室谷さん、「再就職手当」って名前はよく聞くんですけど、実際どんなお金なんですか?
雇用保険の失業給付(基本手当)をもらいながら求職中の方が、予定より早く就職できた場合に一時金としてもらえる制度です。「早く就職したら、残った給付日数分のお金を一括でもらえますよ」というイメージですね。
そのとおり。正確には残日数が多いほど受け取れる額が大きくなります。しかも給付率が70%か60%かで変わってくるので、早く動いた人ほど明らかに有利な設計になっています!
失業給付をもらいながらだらだら就活するより、さっさと就職した方が総取りになる可能性があるわけか!
まさにそれを狙った制度なんです。早期再就職を促すインセンティブとして厚生労働省が用意しています。国が「早く働いて経済を回してほしい」という意図が見えますよね(笑)。
なるほど、国策系の給付金なんですね。では対象者や金額の話、詳しく聞かせてください!
再就職手当 申請フロー図解
大前提として、雇用保険の基本手当の受給資格がある方が対象です。つまり、ある程度の雇用保険加入期間があって、ちゃんと失業認定を受けている方ですね。
その上でどんな就職先に就いた場合が対象になりますか?
「安定した職業に就いた」ことが条件です。具体的には2パターンあって、ひとつは就職先で雇用保険の被保険者になる場合。もうひとつは自分で事業を起こして、雇用保険の被保険者を雇う事業主になる場合です。
はい!フリーランスで人を雇えば事業主ルートで対象になります。ただし「個人事業主として1人で始める」だけだと、被保険者を雇わない限り対象外になるので注意が必要です。
重要なポイントですね。就職日の前日までの残日数が、所定給付日数の3分の1以上残っていないとダメです。例えば所定給付日数が90日の人なら、30日以上残っている必要があります。
- 雇用保険の基本手当の受給資格がある
- 安定した職業に就いた(雇用保険被保険者になる、または被保険者を雇用する事業主になる)
- 就職日前日時点で基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上ある
- 待期期間(7日間)が終了した後の就職である
- 給付制限期間中の就職ではない(給付制限がある場合は、その期間終了後1か月はハローワーク等の紹介による就職が必要)
そうです。ハローワークで求職申し込みをした後、最初の7日間は失業認定の「待期期間」があります。この間に就職しても対象外です。あと、自己都合退職などで給付制限がある人は、制限期間終了後1か月以内はハローワーク等の紹介経由でないと対象にならない点も要注意ですよ。
離職理由によって申請できるタイミングが違うんですね。では実際いくらもらえるか、次に教えてください!
再就職手当 給付率比較
金額の計算式が少し複雑そうですが、わかりやすく教えてもらえますか?
基本の計算式は「支給残日数 × 給付率 × 基本手当日額」です。ここで給付率が2段階になっています。
| 残日数の状況 | 給付率 | 計算式 |
|---|
| 所定給付日数の3分の2以上残っている | 70% | 残日数 × 70% × 基本手当日額 |
| 所定給付日数の3分の1以上残っている | 60% | 残日数 × 60% × 基本手当日額 |
2分の2以上って、かなり早い段階で就職した人ですよね?
そうですね。例えば所定給付日数が90日の人なら、60日以上残っていれば70%、30日以上60日未満なら60%です。早ければ早いほど給付率が高くなる仕組みです!
あります!基本手当日額の上限は6,570円(60歳以上65歳未満の方は5,310円)です。毎年8月1日以降に変更されることがあるので、最新情報はハローワークで確認してください。
では例を見てみましょう。所定給付日数90日、残日数90日(3分の2以上)、基本手当日額が上限の6,570円の場合です。計算は90 × 70% × 6,570 = 413,910円になります!
残日数が60日で給付率60%だと、60 × 60% × 6,570 = 236,520円です。早さによってこれだけ差がつくんです。
| 具体例 | 残日数 | 給付率 | 基本手当日額(上限) | 支給額 |
|---|
| ケースA(3分の2以上) | 90日 | 70% | 6,570円 | 413,910円 |
| ケースB(3分の1以上) | 60日 | 60% | 6,570円 | 236,520円 |
| ケースC(3分の1以上) | 30日 | 60% | 6,570円 | 118,260円 |
基本手当日額の上限額(現在6,570円、60歳以上65歳未満は5,310円)は毎年8月1日以降に変更されることがあります。記事執筆時点(2026年5月)の金額ですので、申請前に必ずハローワークまたは公式サイトで最新額を確認してください。
わかりました。では就業促進定着手当という追加の手当もあると聞いたんですが?
再就職手当をもらった後でも、さらに追加でもらえる手当があるって本当ですか?
本当です!「就業促進定着手当」というもので、再就職手当を受け取った方が6か月以上継続して同じ職場に雇用され、かつ再就職後の賃金が離職前より低下している場合に受け取れます。
転職したら給与が下がってしまった…という方向けですね。
まさに。計算式は「(離職前の賃金日額 − 再就職先での賃金日額)× 6か月間の賃金支払い基礎日数」となります。ただし上限があって、基本手当日額 × 支給残日数(再就職手当受給前の残日数) × 20%が上限です。
6,570円 × 90日 × 20% = 118,260円が上限です。再就職手当413,910円と合わせると最大で532,170円(検算: 413,910 + 118,260 = 532,170円)になりますね。
半年の我慢でそれだけもらえるなら、踏ん張る意味がありそうですね!
しかも「6か月後に申請できる」のが確定してから動けるので、計画も立てやすいんです。
- 再就職手当の受給が前提条件
- 再就職先に6か月以上継続雇用されること
- 再就職後6か月間の賃金日額が離職前の賃金日額を下回ること
- 上限額 = 基本手当日額 × 再就職手当受給前の支給残日数 × 20%
ハローワークに行けばいいんですよね?具体的にどう動けばいいですか?
はい、最寄りのハローワークに申請します。タイミングが重要で、就職した後に動く手順なんです。
1就職日を確定させ、就職日前日までに失業認定を受ける(失業の認定)
2就職先から「採用証明書」等、就職日と雇用保険加入を証明する書類をもらう
3就職日の翌日から1か月以内に、所管のハローワークへ支給申請書を提出する
「就職日の翌日から1か月以内」って、結構早いですよね。
そうなんです!これを逃すと申請できなくなる可能性があるので、就職が決まったらすぐにハローワークへ連絡するのが鉄則です。
ハローワークによって若干異なることがあるので、窓口に確認するのが確実ですが、一般的には受給資格者証(雇用保険被保険者証)と採用証明書(就職日・雇用形態が分かるもの)が必要です。
再就職手当の申請は就職日の翌日から1か月以内です。この期限を過ぎると原則として申請できなくなります。就職が内定したら、できるだけ早くハローワークに相談することを強くお勧めします。
申請の流れは把握できました。就業促進定着手当の申請はまた別ですよね?
はい、別途申請が必要です。再就職先に6か月勤務した後、再就職先の所在地を管轄するハローワークへ申請します。就業促進定着手当支給申請書に賃金証明などを添えて提出する流れです。
| 手当の種類 | 申請先 | 申請期限 |
|---|
| 再就職手当 | 居住地管轄のハローワーク | 就職日の翌日から1か月以内 |
| 就業促進定着手当 | 再就職先の所在地管轄のハローワーク | 6か月勤続後すみやかに |
管轄ハローワークが変わる可能性があるんですね。大事なポイントですね。
似た名前で「常用就職支度手当」というものも聞いたことがあります。これは別物ですか?
全く別の制度です。常用就職支度手当は、基本手当の残日数が所定給付日数の3分の1未満しか残っていない方や、障害のある方など就職が困難な方が対象です。
つまり再就職手当は「残日数が多い人向け」で、常用就職支度手当は「残り少ない人や就職困難者向け」?
その理解で正解です!支給額の計算は「90日(残日数が90日未満なら残日数、ただし45日を下回る場合は45日) × 40% × 基本手当日額」になります。例えば90日×40%×6,570円=236,520円(残日数90日の場合)ですね。
再就職手当と常用就職支度手当は、同時にはもらえないんですよね?
そうです。どちらか一方しか受け取れません。自分の残日数と状況を確認して、どちらが適用されるかをハローワークで確認してください。
| 再就職手当 | 常用就職支度手当 |
|---|
| 対象者 | 残日数が1/3以上ある方 | 残日数が1/3未満、または就職困難者 |
| 給付率 | 70%または60% | 40% |
| 給付日数 | 支給残日数 | 最大90日(最低45日保証) |
| 重複受給 | 不可(どちらか一方) | 不可 |
まとめると、早く就職できる人は再就職手当、残日数が少なくなってしまった人や障害のある方は常用就職支度手当、という使い分けですね。
読者からよく聞かれる疑問もまとめてほしいんですが、まず「パートやアルバイトでも対象になりますか?」という質問が多いです。
これは「安定した職業かどうか」がポイントです。パートやアルバイトでも雇用保険の被保険者となる場合は対象になります。ただし雇用期間が1年未満や、反復更新が見込まれない短期の仕事は「安定した職業」に当たらないことがあります。ハローワークに相談するのが確実です。
自己都合退職だと給付制限(原則2か月)がつきます。この場合、給付制限終了後1か月以内の就職はハローワーク等の紹介による就職である必要があります。それ以降なら紹介経由でなくてもOKです。
失業認定を受けていない期間は基本手当が支給されず、その分残日数の計算に影響します。認定日に行けない事情がある場合は事前にハローワークに相談してください。
転職サイト(民間の職業紹介事業者)経由でも対象になります!ただし給付制限中(制限終了後1か月以内)の場合は、ハローワークか特定地方公共団体、または許可を受けた職業紹介事業者からの紹介である必要があります。
個人事業主として独立した場合、雇用保険の被保険者を雇用することが条件になります。1人でフリーランスをするだけでは原則対象外です。ただし法人を設立して代表者として雇用保険に加入する場合や、人を雇う場合は対象になることがあります。
最後に、受け取った後で会社を辞めた場合はどうなりますか?
支給後に退職しても、再就職手当の返還義務は原則ありません。ただし就業促進定着手当をもらう前提として6か月勤続が条件なので、そちらは影響します。就業促進定着手当まで狙うなら最低6か月は頑張りましょう(笑)!
| 項目 | 内容 |
|---|
| 制度名 | 再就職手当(就業促進手当) |
| 対象者 | 雇用保険の基本手当受給資格者で残日数が所定給付日数の1/3以上ある方 |
| 給付率 | 残日数2/3以上で70%、1/3以上2/3未満で60% |
| 基本手当日額上限 | 6,570円(60歳以上65歳未満は5,310円)※毎年8月に変更可能性あり |
| 申請先 | 最寄りのハローワーク |
| 申請期限 | 就職日の翌日から1か月以内 |
| 所管 | 厚生労働省・ハローワーク |
| 公式ページ | ハローワークインターネットサービス 就職促進給付 |
まとめると、雇用保険の受給中に早く就職できれば最大70%分の一時金がもらえて、かつ賃金が下がった場合はさらに定着手当も狙えるということですね!
その通りです!ポイントは「残日数が多いうちに就職する」こと。給付金を全部もらいきるより、早期就職で手当をもらう方が総額で大きくなるケースも十分あります。失業期間が長引きそうと感じたら、ぜひ積極的に動いてみてください!
再就職手当や雇用保険の給付に関して、ATMの操作を求めることや、電話で口座番号や暗証番号を聞き出すことは絶対にありません。不審な連絡があった場合は、最寄りのハローワークや警察に相談してください。
再就職に向けてスキルアップしたい場合、他の支援もありますか?
ありますよ!厚生労働省の「教育訓練給付金」は、ハローワークの指定を受けた講座を受講すると受講費用の一部が戻ってくる制度です。再就職に向けてスキルを磨きたい方にぴったりですね。
住む場所の確保に不安がある方向けの支援もありますか?
「住居確保給付金」という制度があります。仕事を失ったり収入が減少した方に家賃相当の給付金が支給される制度で、再就職活動中の生活基盤を守るのに役立ちます。
制度を組み合わせることで、再就職活動中の生活不安を最小限にしながら、より良い職場を探すことができます!関連制度のご案内:
教育訓練給付金(スキルアップ講座の受講費用補助)・
住居確保給付金(離職・収入減少時の家賃補助)も参考にしてみてください。
ありがとうございます!再就職手当の申請と組み合わせて活用できそうですね。