室谷さん、これ見てください!愛媛県がIT系の学生を対象に、奨学金の返還を最大141万円も助成してくれる制度があるって聞いたんですけど、本当ですか?
ほんとですよ!「愛媛県中核産業人材確保のための奨学金返還支援制度(IT人材確保枠)」ですね。正確に言うと最大141.12万円で、年間最大20.16万円を最長7年間にわたって助成してくれる制度です。
えっ、7年間も!?それってずっともらえるんですか?
毎年の就業実績と奨学金の返還実績を知事あてに報告することが条件になりますが、要件を満たし続ける限りは最長7年間もらえます。愛媛県内のIT系企業に就職して奨学金を返している人にとっては、めちゃくちゃありがたい制度ですよ!
それはすごい!じゃあ、まずこの制度がどんな背景で作られたのか教えてください。
愛媛県がこの制度を作った背景には、県内産業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進という課題があります。全国的にIT人材不足が深刻化するなか、愛媛県でもIT産業の振興と集積を進めるため、ITスキルを持った人材が愛媛に就職してくれるように、奨学金返還を支援する仕組みを整えたんです。
なるほど、県として本気でIT人材を呼び込もうとしているわけですね。
そうです!愛媛県と、制度に登録した企業が共同で基金を作って、その基金から助成するという仕組みになっています。県だけじゃなく企業も一緒に「来てほしい」って言っているのが特徴ですね。
愛媛県奨学金返還支援制度の申請フロー図
でも、誰でももらえるわけじゃないですよね?どんな条件がありますか?
大きく3つの条件があります。1つ目は日本学生支援機構(JASSO)の第一種または第二種奨学金を借りていること。民間の奨学金は対象外なので注意が必要です。
2つ目が、この制度のIT人材確保枠ならではのポイントで、ITスキル標準レベル2以上の情報処理技術者試験に合格していること、または就職までに合格を目指すことです。
一番身近なのは基本情報技術者試験(レベル2)ですね。他にも応用情報技術者試験(レベル3)や、ITストラテジスト試験・システムアーキテクト試験といったレベル4の試験も全部対象です。合格済みの人は「助成対象者」として、まだ合格していないけど目指している人は「助成候補者」として申請できます。
ただし、試験に合格するまでは助成は受けられません。合格後に別途、合格報告の手続きが必要になります。「愛媛就職前に試験を取りたい」という人向けに、事前に認定だけ受けておける、という形ですね。
3つ目が大学院・大学・短大・高専・専修学校の在学者または既卒者で、愛媛県内の登録企業への就職を希望していることです。すでに登録企業に雇用されている人は申請できないので、就職前に申請するのが基本ですね。
つまり「就職先を愛媛の登録企業にするつもりがある人」が対象ということですね。
そうです。加えて、他の自治体の奨学金返還支援制度を使っていないこともポイントです。二重取りはできないので、もし他の制度を使っている場合は確認してみてください。
- 条件1 JASSOの第一種・第二種奨学金を借りていること
- 条件2 ITスキル標準レベル2以上の情報処理技術者試験に合格済み、または就職までに合格を目指すこと(基本情報技術者試験以上が対象)
- 条件3 大学院・大学・短大・高専・専修学校の在学者または既卒者で、愛媛県内の登録企業への就職を希望していること
助成額の計算方法を示す図解
対象者の条件はわかりました。実際のところ、いくらもらえるのか教えてください!
計算式は「年間の奨学金返還額の5分の4、または20.16万円のいずれか低い額」です。毎年10月から翌年9月の1年間の返還額を基準に計算されます。
なかなか計算が複雑ですね。具体的な例で教えてもらえますか?
月の返還額が1万4,000円の場合で計算してみましょう。年間で16万8,000円を返還していますよね。その5分の4は13万4,400円です。これが20.16万円を下回っているので、この場合は13万4,400円が1年分の助成額になります。
じゃあ、月2万3,000円返している人はどうなりますか?
年間27万6,000円の5分の4を計算すると22万800円になります。でもこれが上限の20.16万円を超えているので、この場合は上限の20.16万円が適用されます。
なるほど!返還額が多い人でも年間20.16万円が上限なんですね。
そうです。この助成を7年間受け続けた場合の累計が最大141.12万円(20.16万円×7年)というわけです。
- 基本計算式 年間奨学金返還額×4/5 か 20.16万円 の低い方
- 上限 年間20.16万円
- 最長期間 7年間
- 最大累計 141.12万円
- 負担割合 愛媛県と登録企業がそれぞれ1/2ずつ負担
| 月返還額 | 年間返還額 | 4/5計算 | 助成額(年間) |
|---|
| 1万円 | 12万円 | 9.6万円 | 9.6万円 |
| 1万4,000円 | 16.8万円 | 13.44万円 | 13.44万円 |
| 2万円 | 24万円 | 19.2万円 | 19.2万円 |
| 2万1,000円以上 | 25.2万円以上 | 20.16万円以上 | 上限20.16万円 |
愛媛県と就職した登録企業が、それぞれ半分ずつ出し合う仕組みです。企業側は毎年11月頃に送られる納付通知書をもとに12月中旬までに基金へ出捐する流れになっています。
金額がわかったところで、どうやって申請すればいいんですか?
まず大事なポイントとして、この制度は就職前に「事前認定申請」が必要です。就職してからでは申請できないので、「愛媛の企業に就職しようかな」と思っているうちに動くのがポイントです!
1電子申請フォームで認定申請する 愛媛県のe-tumoシステムから申請します。助成対象者申請フォームにアクセスして、必要書類をPDFまたは画像データで提出してください。
2愛媛県が審査・認定する 提出書類の審査が行われ、助成対象者(または助成候補者)として認定されます。毎年度20名程度を募集していますが、上回る場合もあり、原則先着順です。
3登録企業への就職活動をする 認定を受けたら、制度に参加している愛媛県内の登録企業を探して就職活動を進めます。登録企業一覧は公式ページで確認できます。
4登録企業に正社員として就職する 正社員として雇用されることが条件です。パートやアルバイトは対象外です。
5毎年度、就業・返還実績を知事あてに報告する 10月から翌年9月の就業実績と奨学金返還実績を、知事が定める期日までに報告します。
6要件充足の確認後、助成金が交付される 県と登録企業からそれぞれ助成金が支払われます。
3種類あります。1つ目は奨学生証(またはこれに準ずる書類)です。JASSOから交付されているものですね。2つ目は本人確認書類で、運転免許証・保険証・パスポートのいずれか1点。3つ目は、合格済みの場合は情報処理技術者試験の合格証明書のコピーです。
合格前(助成候補者)の場合は合格証明書なしで申請できるんですね。
そうです!ただし合格後には「合格報告」の別途申請が必要になります。合格報告フォームからの電子申請です。これをやらないと助成が受けられないので忘れずに。
申請時点で、すでに登録企業に雇用されている方は申請できません。就職前に認定申請を済ませることが必須条件です。愛媛県内の企業への転職を考えている方は、内定前・入社前に申請するようにしてください。
対象となる情報処理技術者試験のレベル2以上って、具体的にどんな試験があるんですか?
一番チャレンジしやすいのは基本情報技術者試験(レベル2)です。年2回実施されていて、大学生や文系出身の方でも合格できる試験です。
基本情報技術者試験、最近CBT(コンピューター試験)になりましたよね!
そうです!通年で受験できるようになったので、自分のペースで受けやすくなりました。レベル3の応用情報技術者試験や、レベル4の高度試験も全部対象ですが、まずは基本情報から目指す方が多いですね。
| レベル | 試験名 |
|---|
| レベル4 | ITストラテジスト試験 |
| レベル4 | システムアーキテクト試験 |
| レベル4 | プロジェクトマネージャ試験 |
| レベル4 | ネットワークスペシャリスト試験 |
| レベル4 | データベーススペシャリスト試験 |
| レベル4 | エンベデッドシステムスペシャリスト試験 |
| レベル4 | ITサービスマネージャ試験 |
| レベル4 | システム監査技術者試験 |
| レベル4 | 情報処理安全確保支援士試験 |
| レベル3 | 応用情報技術者試験 |
| レベル2 | 基本情報技術者試験 |
大学でIT系を専攻していなくても、就職前に基本情報技術者試験を取れば対象になるんですね!
そうです!文系でも独学で合格している人はたくさんいます。愛媛への就職を考えているなら、在学中に受験しておくと選択肢が広がりますよ。
就職先が「登録企業」じゃないといけないということですが、どんな企業が登録しているんですか?
主に3種類の企業が対象です。1つ目は愛媛県内に主たる事業所がある企業、2つ目は助成対象者を県内の事業所に在籍させる企業、3つ目は県内の事業所で在籍させることを条件に雇用する企業です。
ということは、本社が東京でも愛媛の支社・拠点に配属されるならOKということですか?
その通りです!愛媛県のサイトに「登録企業一覧」が掲載されていて、2025年8月8日時点で更新された最新版を確認できます。製造業系のIT部門、ソフトウェア開発会社、システムインテグレーターなどさまざまな企業が登録しています。
- パターン1 愛媛県内に主たる事業所がある企業
- パターン2 愛媛県内の事業所等に在籍させる企業(本社が県外でも可)
- パターン3 県内事業所での在籍を条件に雇用する企業
登録企業かどうかはどうやって確認すればいいですか?
愛媛県の
公式ページに登録企業一覧のPDFが掲載されています。就職活動で気になる企業があれば、そのリストと照らし合わせてみてください。また、企業側も随時募集中なので、希望する企業が未登録の場合は企業側に働きかけることもできます。
ところで、似たような名前の「中核産業人材確保のための奨学金返還支援制度」という制度もありますよね。IT人材確保枠とは何が違うんですか?
大きな違いはIT資格の有無が問われるかどうかです。一般枠(ものづくり産業分野、IT関連分野、観光分野対象)はITスキルを問わない、幅広い業種向けの制度です。一方、今回のIT人材確保枠は基本情報技術者試験以上の合格が条件になっている代わりに、IT人材として集中的に支援が受けられます。
| 比較項目 | IT人材確保枠(今回の制度) | 一般枠(/subsidy/72834) |
|---|
| 対象分野 | IT人材特化 | ものづくり・IT・観光など広範囲 |
| 資格要件 | ITスキル標準レベル2以上必須(または目指す) | 資格要件なし |
| 助成額(年間上限) | 20.16万円 | 16.8万円 |
| 最大助成総額 | 141.12万円 | 117.6万円(仮に7年の場合) |
そうなんです。基本情報技術者試験に合格していればIT人材確保枠の方が有利です。「試験勉強もして、愛媛就職も決めて」と一石二鳥を狙いましょう!
公式ページには具体的な締め切りは記載されていませんが、毎年度20名程度の募集を想定しており、原則として先着順での受付となっています。就職活動のタイミングに合わせて、早めに動くことをおすすめします。
就職前に認定申請が必要ということは、就職活動と並行して動かないといけないですね。
その通りです!理想的なタイムラインとしては、大学3〜4年生の段階で基本情報技術者試験を取得しておき、就職活動と同時に認定申請を進める流れがスムーズです。既卒者の場合は、愛媛就職の方向が固まった段階ですぐ申請に動きましょう。
助成の対象期間は毎年10月から翌年9月なんですね。
そうです。就職後は10月から翌年9月の1年間を1対象期間として、毎年実績報告を行います。この期間内に正社員として就業し、奨学金を返還している実績があることが、毎年の助成条件になります。
助成は自動的には続きません。毎年度の就業実績・奨学金返還実績を知事あてに期日までに報告しないと、その年の助成が受けられなくなります。報告期日を必ず確認して、忘れずに手続きをしてください。
ここまで聞いて、もうちょっと気になる点があります。在学中に合格できなかった場合はどうなりますか?
試験未合格の状態では「助成候補者」として認定申請はできますが、合格するまで助成は受けられません。就職後に合格した場合は合格報告の手続きをすることで、その時点から助成対象者になれます。
主たる事業所が県外でも、愛媛県内の事業所に在籍・就業する実績があれば対象になる場合があります。ただし、完全にリモートで愛媛以外で働く場合は難しいので、就職先の登録企業に確認してみてください。
登録企業以外に転職した場合は、その年度の助成対象外となります。ただし、愛媛県内の別の登録企業へ転職する場合は、再度手続きをすれば継続できる可能性があります。詳細は産業人材課に確認するのがベストです。
奨学金の返還が終わると助成の対象外になります。7年間の上限のうち、奨学金の返還期間が終わった時点で助成は終了です。
そうです!給付金や助成金を装った詐欺は絶対に気をつけてください!
- 愛媛県や登録企業が、電話でATM操作や口座情報を求めることはありません
- 「奨学金返還支援」を名目に個人情報や手数料を要求する連絡には応じないでください
- 公式の申請は必ず愛媛県の公式サイトから電子申請フォームを通じて行います
- 不審な連絡があった場合は、愛媛県産業人材課(TEL 089-912-2505)に直接確認してください
| 項目 | 内容 |
|---|
| 制度名 | 愛媛県中核産業人材確保のための奨学金返還支援制度(IT人材確保枠) |
| 対象者 | JASSOの第一種・第二種奨学金借入者かつITスキル標準レベル2以上の試験合格済みまたは目指す在学者・既卒者 |
| 助成額 | 年間最大20.16万円(年間奨学金返還額の4/5または20.16万円のいずれか低い方) |
| 最大助成総額 | 141.12万円(最長7年間) |
| 助成期間 | 最長7年間(対象期間 毎年10月〜翌年9月) |
| 申請方法 | 電子申請フォーム(愛媛県e-tumoシステム) |
| 申請先・問い合わせ先 | 愛媛県 産業人材課 TEL 089-912-2505 |
| 公式ページ | 愛媛県庁公式ページ |
愛媛で就職を考えている方向けに、他にも関連する支援制度はありますか?
愛媛県にはいくつかの支援制度が充実していますよ!例えば、ITスキルを問わない「中核産業人材確保のための奨学金返還支援制度(一般枠)」も別にあります。IT枠の試験条件に達していなくても、ものづくりや観光分野であれば使える制度です。
愛媛に移住して就職する場合は、移住支援金も組み合わせると更にお得になるケースがあります。制度によっては併用できるものもあるので、愛媛就職を検討している方はぜひ複数の制度を確認してみてください!