室谷さん、今日は東京都の補助金でちょっと変わった制度を教えてほしいんですけど、「医療機関診療情報デジタル導入支援事業」って何をする補助金ですか?
これはですね、クリニックや病院が電子カルテを導入するときに、「コンサルタントを雇う費用」を東京都が補助してくれる制度です!電子カルテを入れたいけど何から始めればいいかわからない、そういう医療機関のための補助金ですよ。
そうなんです。補助基準額は100万円で、200床未満の医療機関や診療所なら補助率が4分の3なので、実質負担は25万円程度でプロのコンサルを活用できます。200床以上の大規模病院でも補助率は2分の1、実質50万円の負担で済みます。
ちょっと待ってください。コンサル費用ってそもそも何をしてもらう費用ですか?
電子カルテ導入って想像以上に複雑で、「どの製品を選ぶか」「業務フローをどう変えるか」「ベンダーとどう交渉するか」みたいなことを専門家に支援してもらう費用です。要件定義、RFP作成、ベンダー選定支援、PMO業務、運用設計支援…こういったコンサル費用が対象経費になります。
なるほど!電子カルテ本体の費用じゃなくて、導入前後の計画・設計に係る費用ということですね。
まさに。本体システムの購入費は別の補助金(姉妹事業の102902)が対象です。この事業は「上流工程」、つまり計画フェーズのコンサル費用に特化した補助金です。経費区分が完全に分かれているので、両方同時に申請することもできます。
コンサル補助額シミュレーション — 200床未満と200床以上の補助率・実質負担比較
東京都内の病院と医科診療所が対象です!無床診療所も有床診療所もOK。姉妹事業の102902(電子カルテ本体整備)が病院限定なのと比べると、本事業はクリニックレベルまで対象が広いのが大きな特徴です。
えっ、個人クリニックでも申請できるんですか!それは知らなかった!
そうなんですよ。院内にIT専門人材がいない小さなクリニックこそ、コンサル支援の効果が高いですよね。補助率4分の3で実質負担25万円程度なら、プロのコンサルを活用するハードルが大幅に下がります。
はい、いくつか注意点があります。まず「この補助金をすでに受けたことがある医療機関」は対象外です。それから保険医療機関として指定されていない診療所、国や地方公共団体が運営する医療機関なども対象外になります。歯科診療所は原則対象外ですので、事前に東京都へ確認することをおすすめします。
なるほど、一度もらったことある施設はもう使えないんですね。それは要注意ですね。
あと、今後申請を考えている施設は、「電子カルテを新たに導入する計画がある施設」というのが前提です。すでに電子カルテを使っていてシステムを更新したい場合は、残念ながら対象外になります。「新たに導入」の支援が目的の補助金です。
| 対象 | 詳細 |
|---|
| 東京都内の病院 | 20床以上の入院施設を持つ医療機関(新規開設予定含む) |
| 東京都内の医科診療所 | 無床診療所・有床診療所(電子カルテ新規導入を検討中) |
| 対象外(1) | 過去に本補助金を受けたことがある医療機関 |
| 対象外(2) | 保険医療機関でない診療所 |
| 対象外(3) | 国・地方公共団体が直接運営する医療機関 |
| 対象外(4) | 歯科診療所(原則対象外、要確認) |
補助額の計算方法がちょっと複雑そうなんですけど、もう少し具体的に教えてもらえますか?
ちょっとわかりにくいんですよね(笑)。まず「補助基準額は100万円に固定」というところからスタートします。そのあと、実際のコンサル費用と100万円を比べて低い方を選び、さらに総事業費から寄附等を除いた金額と比べてまた低い方を選ぶ。最終的にその金額に補助率を掛けるという計算です。
ふむふむ、要はコンサル費用100万円かかったとして、200床未満なら補助率4分の3で75万円もらえる、という計解釈でいいですか?
そのざっくり理解で合っています!コンサル費用が60万円なら補助額は45万円(60万×3/4)、80万円なら60万円(80万×3/4)という感じです。100万円を超えるコンサル費用がかかっても、補助の基準額は100万円までが上限なので、最大補助額は200床未満で75万円、200床以上で50万円が実質的な上限の目安です。
| 規模 | 補助率 | 基準額 | 実質上限補助額 | 自己負担(最大) |
|---|
| 200床未満の医療機関・診療所 | 4分の3(75%) | 100万円 | 約75万円 | 約25万円 |
| 200床以上の病院 | 2分の1(50%) | 100万円 | 約50万円 | 約50万円 |
診療所なら最大75万円の補助で、実質25万円の出費でプロのコンサルをつけられるのは確かにコスパいいですよね!
そうなんです。コンサル費用って通常50万〜150万円くらいかかるので、4分の3補助だと自己負担が大幅に減りますよ。電子カルテ導入で失敗するケースの多くは「要件定義が甘い」か「ベンダー選定のミス」なので、コンサルに投資する価値は十分あります。
じゃあ実際にどんな業務をコンサルに頼むとお金がもらえるんですか?
公式ページに詳しく書いてあるんですが、「電子カルテシステムを新たに導入することを検討する上で必要となる調整業務」が対象です。もう少し具体的に言うと、導入計画の策定、導入コストの算出、要件定義、ベンダー選定支援、RFP作成、プロジェクト管理、運用設計…こういったコンサルタント費用が認められます。
ざっくり言うと「電子カルテを入れると決めてから実際に稼働させるまでの計画・設計フェーズ全般」という感じですか?
そうです!ただ注意点がいくつかあって、電子カルテシステムを「更新」する場合の費用は対象外です。あくまで「新たに導入」が要件です。それから電子カルテ本体のシステム購入費・ライセンス費・ハードウェア代も対象外です。
電子カルテ本体を買うお金は別枠の102902を使う、ということですね。
完全にそうです。さらに、交付決定前にコンサルと契約してしまうと補助対象外になるという非常に大事なルールがあります!採択される前に「もうコンサル契約しました」は一切認められません。
コンサルと業務委託契約を結ぶのは、東京都から「交付決定通知」を受け取ってから。これが最重要ルールです。交付決定前の契約は補助対象外になります。コンサルとは事前に相談・見積取得はOKですが、正式な契約締結は交付決定後に行ってください。
| 対象経費(○) | 対象外経費(×) |
|---|
| 要件定義書作成支援費 | 電子カルテシステム本体購入費 |
| RFP作成・ベンダー選定支援費 | ライセンス費・保守費 |
| PMO(プロジェクト管理)費 | ハードウェア・サーバー購入費 |
| 業務フロー設計・運用ルール策定費 | 院内職員の人件費 |
| 職員研修プログラム設計費 | 更新(リプレース)に係る費用 |
補助を受けるために、電子カルテ自体に条件ってありますか?
ありますよ!病院が導入する電子カルテシステムは「SS-MIX2ストレージへの出力」か「HL7 FHIR記述仕様での出力」のどちらかが可能であることという技術要件があります。
突然難しい用語が出てきた(笑)SS-MIX2とHL7 FHIRって何ですか?
どちらも電子カルテの標準規格です。SS-MIX2は厚生労働省が定めた日本標準の診療データ形式で、電子カルテのデータを標準化されたフォルダに保存してデータ共有しやすくするもの。HL7 FHIRは国際標準の医療情報交換規格で、クラウド時代の最新標準です。どちらかに対応していれば国の全国医療情報プラットフォームへの接続対応ができるというわけです。
なるほど。要はデータ連携できる規格に対応した電子カルテを選んでね、ということですね。
そのとおりです。実は2025年頃から「全国医療情報プラットフォーム」への接続が医療機関に求められるようになっていて、東京都もそれを見据えた補助金設計にしているんです。コンサルを選ぶときは、こういった標準規格への対応状況を確認できる専門家を選ぶのが重要ですよ。
- 条件1: 医療機関での電子カルテ導入実績がある(一般ITコンサルは不可)
- 条件2: SS-MIX2・HL7 FHIRなど医療DX標準規格に詳しい
- 条件3: 業務範囲(要件定義・RFP・PMO・運用設計)を明細化した見積を出せる
大きく5ステップです。まずコンサルを選んで見積を取ること。次に申請書類を作ること。jGrantsで電子申請すること。交付決定後にコンサルと契約して業務実施。最後に実績報告して補助金を受け取るという流れです。
申請から補助金受取までの流れ(令和8年度医療機関診療情報デジタル導入支援事業)
申請期限が令和8年10月30日と長いですが、早めに申請したほうがいいですよね?
そうです!交付決定が令和8年8月以降の見込みで、コンサル業務の完了期限が令和9年3月31日です。10月末ギリギリに申請すると交付決定が冬になり、コンサル業務を年度内に完了させるのが難しくなります。できれば2026年5〜6月中に申請を完了させるのが安全です。
| スケジュール | 内容 |
|---|
| 申請受付開始 | 令和8年4月14日〜 |
| 申請推奨期間 | 令和8年5月〜7月(年度内完了を見据えて) |
| 申請締切 | 令和8年10月30日(金) |
| 交付決定見込 | 令和8年8月以降 |
| 事業完了期限 | 令和9年3月31日 |
| 補助金支払予定 | 令和9年5月予定 |
一番重要なのは「コンサル業務の範囲を細分化した見積書」を作ることです。「コンサル一式100万円」という一括見積ではなく、「要件定義支援:30万円、RFP作成:20万円、ベンダー選定支援:30万円、PMO:20万円」みたいに業務カテゴリ別に工数と単価を明記した見積を出してもらってください。
ダメじゃないですが、審査で「なぜコンサルが必要か」の説明がしやすくなるんです。あとコンサルの医療DX実績一覧を提案書に含めてもらうことも重要です。一般的なITコンサルより医療業務の特殊性をわかっているコンサルのほうが、補助の必要性も説明しやすいです。
めちゃくちゃ大事です!業務委託契約書に成果物(要件定義書、RFP、ベンダー選定報告書、業務フロー設計書等)を明記しておくことが必須です。実績報告時にこれらの文書を提出するので、口頭の助言やミーティング記録だけでは実績認定されにくくなります。
- ポイント1: 業務範囲を明細化した見積(カテゴリ別・工数・単価を明記)
- ポイント2: 医療DX実績のあるコンサルを選定(一般ITコンサルは避ける)
- ポイント3: 業務委託契約書に成果物を明記(要件定義書、RFP等)
その3点を押さえれば、採択の可能性がぐっと高まりそうですね。
そうですね。あと事業計画書には「なぜ今電子カルテを導入するのか」「コンサルが必要な理由は何か」「導入後の医療情報連携にどう活かすか」という流れで書くと、審査員に評価されやすいです。現在電子カルテ未導入の医療機関なら、その理由(IT専門人材の不足、業務フロー設計の複雑さなど)を具体的に書いてください。
室谷さん、実はこの補助金って東京都の他の補助金と組み合わせられるんですよね?
はい!東京都は令和8年度に医療DX関連の補助金を4つのセットで展開していて、それぞれ経費区分が完全に分かれているから
全部同時に申請できます。本事業(102903・コンサル費用)と電子カルテ本体の整備を補助する
102902(病院診療情報デジタル推進事業)が上流・本体の車の両輪です。
えっ!補助率10/10ですか?それは絶対活用しないといけないですよね!
ほんとそうなんです(笑)。理想の時系列としては、まず本事業(102903)でコンサルに要件定義とベンダー選定を依頼して、その成果物を踏まえて
102902でシステム本体を整備する。同時に
102904で職員のスキル向上を図り、
102905でセキュリティも固める。この4事業を組み合わせることで、
電子カルテ導入の全コストを最小化できます。
| 事業名 | 補助内容 | 補助率 | 申請締切 |
|---|
| 102903(本事業) | コンサルタント活用費 | 3/4(診療所・200床未満) | 令和8年10月30日 |
| 102902 | 電子カルテ本体整備(病院のみ) | 1/2〜3/4 | 令和8年7月31日 |
| 102904 | 職員のDX・IT資格取得 | 10/10(全額補助) | 令和8年11月30日 |
| 102905 | サイバーセキュリティ対策 | 1/2 | 令和8年9月11日 |
国や地方公共団体の他の補助金等で同じコンサル費用を補助されている場合は対象外です。重複補助は禁止なので、すでに国のIT導入補助金や厚労省所管の補助金でコンサル費用を申請済みの場合は本事業を使えません。ただし、経費区分が異なる場合(例:国の補助でシステム本体費用を申請、本事業でコンサル費用を申請)は問題ありません。
最後にクリニックの先生方からよくある疑問をぶつけさせてください。無床診療所でも本当に申請できますか?
できます!公式に「医科診療所(無床・有床)も対象」と明記されています。無床診療所は「200床未満の医療機関」に該当するので補助率は3/4です。コンサル費用80万円なら補助額は60万円、自己負担は20万円で済みます。
複数の診療所を持つ医療法人は、診療所ごとに申請できますか?
これは「補助金交付要綱第2」に詳細があるため、東京都保健医療局に直接確認することをおすすめします。ただ基本的に補助金は施設単位で申請するケースが多いので、複数施設の場合は個別に問い合わせてください。電話番号は03(5320)4448です。
業者(コンサル)への支払い完了が令和9年3月31日までに完了している必要があります。先払いか後払いかよりも「支払完了」が要件なので、契約と同時に報告書が完成した段階で支払う設計が一般的です。なお、コンサル業務の成果(報告書等の納品)も令和9年3月31日までに完了している必要があります。
GビズIDを持っていないのですが、申請できますか?
GビズIDプライムがあればjGrantsでオンライン申請できます。どうしてもjGrantsの利用が難しい場合は紙申請の可能性も含めて東京都に相談することを推奨します。GビズIDプライムの取得には2〜3週間かかるので、申請を決めたら即手続き開始してください。
申請締切は令和8年10月30日ですが、コンサル業務の完了は令和9年3月31日が期限です。10月末ギリギリに申請すると、コンサル業務に充てられる期間が3〜4ヶ月しか残りません。余裕を持って令和8年5〜7月中に申請するのがベストです。
東京都保健医療局医療政策部医療政策課
電話: 03-5320-4448(平日9時00分〜17時00分)
公式ページからも申請様式・手引きをダウンロードできます。
東京都内のクリニック・病院で電子カルテ導入を検討している方は、ぜひこの補助金を活用してみてください!
はい!特に院内にIT専門家がいない診療所の先生方は、補助率3/4という好条件でプロのコンサルをつけられる本事業が電子カルテ導入の第一歩として最適です。ぜひ東京都の医療DX4事業パッケージをフル活用してください。