室谷さん、今日は「競争的な水素サプライチェーン構築に向けた技術開発事業/総合調査研究/液化水素試験設備の整備・運営に関する基礎調査」というNEDOの公募について聞かせてください。タイトルが長くて、正直何をする事業なのかよくわからないんですが(笑)
そうですよね。簡単に言うと、液化水素を使った試験をするための施設を、日本のどこに、どんなスペックで、誰が運営するかを調べる事業です。NEDOが「これを調べてきてください」という委託業務を広く公募しているわけです。
「試験設備」って、具体的にどんな試験をするための施設なんですか?
液化水素は-253℃という超低温で扱う物質で、普通の材料や機器だとボロボロになってしまう。だから水素社会を実現するためには、液化水素環境に耐えられる材料・機器が本当に大丈夫かどうかを確認できる試験設備が絶対に必要なんです。ところが今の日本には、民間企業のニーズに応えるだけの試験設備がまだないんですよ。
えっ、そんな状況なんですか!日本って水素技術が進んでいるイメージだったんですが。
研究レベルでは進んでいるんですが、産業界が「うちの製品を評価してくれ」と持ち込める公共的な試験設備が、まだ整備途上なんです。実はNEDOは2022年度に一度同じような調査をやっているんですが、そのときは財源・運営体制・運営方針について提言段階にとどまってしまった。だから今回、より具体的な調査をもう一度やる、ということです。
では肝心の予算規模は?補助金じゃないということは…お金はどうなるんですか?
委託費の上限は2,000万円以内です!補助金ではなく「委託契約」なので、採択されたらNEDOと委託契約を結んで、調査を実施して報告書を納品する。そのお金をNEDOから受け取る仕組みです。
2,000万円!それは結構大きな規模ですね。期間はどのくらいですか?
事業期間は2026年度の1年間です。契約締結後から2027年3月末を目処に、調査・分析・報告書作成を全て完了させる必要があります。短期集中型の調査事業ですね。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 制度名 | 競争的な水素サプライチェーン構築に向けた技術開発事業/総合調査研究/液化水素試験設備の整備・運営に関する基礎調査 |
| 事業分類 | 委託事業(補助金ではない) |
| 委託費上限 | 2,000万円以内 |
| 公募期間 | 2026年4月20日〜2026年5月13日(水)正午 |
| 事業期間 | 2026年度 |
| 実施機関 | 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) |
| 技術分野 | 燃料電池・水素 |
| プロジェクトコード | P23004 |
| 公式ページ | NEDO公式サイト |
なるほど、仕組みはわかりました。じゃあ具体的に、この調査で何を明らかにするんですか?
仕様書まで読んでいただいたんですよね?実際に何を調べるのか教えてください。
NEDO公式の仕様書を見ると、調査内容は大きく3つの柱になっています。
液化水素試験設備 NEDO委託事業 申請の流れ
まず1つ目が「国内外の関連設備の情報収集」。2022年度のNEDO調査をベースにしながら、世界の液化水素試験設備の構成・仕様・能力を最新情報に更新する作業です。液化水素利用の国際的な技術動向やロードマップも収集します。
世界的に見てどんな設備があるか、まず把握するわけですね。
そうです。2つ目が「国内関連機関のニーズ調査」。企業・団体・学術機関へのアンケートとヒアリングで「実際にどんな試験が必要か」を洗い出す。基本仕様・安全設計要件・試験データ管理まで具体的なニーズを把握します。第三者機関として国際標準化に使えるデータを取れる設備かどうかも重要な観点です。
現場の声を直接聞きに行くわけですか。それは大事ですね!
はい!そして3つ目が「液化水素試験設備の具体化に関する検討」。1・2の調査結果を踏まえて、候補地・基本仕様・建設費・ランニングコスト・収益モデル・運営体制まで、設備の導入計画を具体的に策定するんです。
えっ、そこまでやるんですか?かなり踏み込んだ内容ですね。
そうなんですよ。仕様書には「流通試験場1か所と浸漬試験場1か所を持つ案」と「最初から全ての試験場を使える案」の2通りの基本仕様案を検討することまで求められています。有識者委員会を通じた最適化も含まれています。
- 情報収集: 国内外の液化水素試験設備の最新状況・技術動向
- ニーズ調査: 国内関連機関へのアンケート・ヒアリングによる需要把握
- 設備の具体化: 候補地・仕様・費用・運営体制の導入計画策定(2案提示)
ランニングコストや収益モデルまで…。設備完成後の自立運営まで視野に入れているんですね。それが次の「申請できる人」の話につながってきますね。
こういう専門的な調査って、誰でも応募できるんですか?
基本的には企業・大学等であれば広く応募できます。民間企業、大学・研究機関、公益法人、シンクタンク、独立行政法人などが候補になります。単独でも、複数主体によるコンソーシアムでも構いません。
公募要領には3つの応募要件が明記されています。まず「当該技術または関連技術の調査実績を有し、調査目標達成に必要な組織・人員を有していること」。次に「委託業務を円滑に遂行する経営基盤・資金・情報管理体制を有していること」。そして「NEDOの委託契約に基づき適切に遂行できる体制を有していること」の3点です。
水素・液化ガス・低温工学・化学プラントの技術知見があるか、調査研究・政策検討の実務経験があるか、大規模な報告書を納品できるか…この3つが揃っているかどうかが実質的なハードルになりますね!(笑)
液化水素委託事業 応募可能な主体
だからコンソーシアム(共同提案体)という選択肢があるんです。例えばエネルギー系コンサル会社+液化水素専門の研究機関でチームを組むとか、大学研究室+プラントエンジニアリング会社でそれぞれの強みを組み合わせるとか。代表法人を決めてJグランツから1本で申請できます。
国立研究開発法人が応募する場合は注意点があると聞きましたが?
ありがとうございます。それは重要なポイントです!公募要領に明記されているんですが、国立研究開発法人が応募する場合、民間企業への再委託または共同実施は原則認められないんです。「資金の流れがないもの」は例外ですが、基本的に国立研究開発法人は自前で遂行できる体制が求められます。
「補助金じゃなく委託事業」ということで、実際の仕組みの違いを教えてもらえますか?
大きな違いが3つあります。まず「仕事の方向性」。補助金は「自社の事業に使えるお金」ですが、委託事業は「NEDOが定めた調査をやってください」という受注仕事です。自由度が低い反面、確実にお金を受け取れる。
なるほど!自社の事業とは関係なく、NEDOのミッションに沿った調査をする受託仕事ですね。
2つ目の違いは「成果物の扱い」。補助金は成果物の知財は自社に帰属することが多いけど、委託事業はNEDOに成果が帰属します。調査報告書・データ・提言書は全てNEDOのものになる。自社の知財を守る必要がある主体には注意が必要です。
そして3つ目が「経費の精算方式」。委託事業は「かかった経費を後で精算する」精算払いが原則です。事業終了後にNEDOの定める経費区分で精算するので、会計処理が補助金より厳格になります。
- 仕様書に記載された調査内容を全て遂行すること(漏れは受け入れ不可)
- 経費は「人件費・外注費・旅費・物品費・その他経費」の区分で厳格に管理
- 調査委託契約約款に基づく事務処理マニュアルに従うこと
- NEDOとの緊密な連絡・報告体制を維持すること
- 成果物の知的財産権はNEDOに帰属する(自社の知財保護は不可)
厳格なんですね。対象になる経費はどんなものですか?経費計画を立てるのに参考にしたいです。
2,000万円という委託費の枠の中で、どんな経費が使えますか?
NEDO委託事業の経費区分は決まっていて、人件費・外注費・旅費・物品費・その他経費の5区分です。
| 経費区分 | 具体例 |
|---|
| 人件費 | 調査担当者の直接人件費(時間×単価)、間接人件費 |
| 外注費 | 専門調査会社への再委託、海外現地調査委託、翻訳・通訳費 |
| 旅費 | 国内出張費(現地調査・ヒアリング)、海外出張費(海外事例調査) |
| 物品費 | 資料購入費(業界レポート・文献)、調査用ソフトウェア・データベース |
| その他経費 | 会議費(有識者委員会)、印刷製本費(報告書)、通信費 |
調査目的に直接関係しない経費はダメです。オフィスの家賃・光熱費などの間接経費は別途間接経費率として計上する形になります。交際費・贈答費も当然アウト。他の公的資金で既に支援を受けた経費の二重計上も厳禁です。
人件費が中心の調査事業って、経費計画の立て方が難しそうですね。
そうなんですよ。人件費は「調査に直接携わった時間×1時間あたりの人件費単価」で計算するので、誰が何時間この調査に関わったかを細かく記録し続ける必要があります。プロジェクト管理がしっかりしていないと精算時に大変なことになります!(笑)
これは提案書を作る前に経費計画をしっかり詰めておかないといけませんね。次は実際の申請手順を教えてください。
NEDO公式HPで公募要領・仕様書をダウンロード。NEDO公式サイトから公募要領(421KB)・仕様書(193KB)・基本計画(375KB)・提案書様式(別添1〜4・チェックリスト)を全てダウンロードする。2026年4月27日時点で公募説明会資料(1.1MB)も追加掲載済み。
GビズIDを取得する。JグランツでNEDO公募に応募するには「GビズIDプライムアカウント」または「GビズIDメンバーアカウント」が必要。取得に2週間以上かかる場合があるため、未取得なら今すぐ手続きを始めること。
提案書の骨子を設計する。仕様書の調査内容(3つの柱)に対して自組織がどう応えるかを整理。水素・液化ガス分野の調査実績、実施体制の専門性、調査方法論の独自性を中心にストーリーを組み立てる。コンソーシアム組成が必要な場合は代表法人・分担体制を決定する。
提案書・経費見積を作成する。別添1(提案書様式)に従い、実施体制・スケジュール・調査方法・成果物・経費計画を記載する。委託費上限2,000万円を超えないよう経費計画を精査。間接経費の上限率も公募要領で確認すること。
提出書類を揃えてJグランツから申請する。2026年5月13日(水)正午までに、Jグランツ公募ページから提案書一式をアップロードして申請する。複数法人の共同提案の場合は代表法人が代表して1件申請する。郵送・FAX・メールでの提出は受け付けない。
ヒアリング・採択通知・契約締結。書類審査通過後、ヒアリングを経て採択候補者が決定する。NEDOとの委託契約締結後に事業開始となる。
調査実施・中間報告・成果物納品。調査委託契約約款に基づき、2026年度内(2027年3月末頃)までに調査報告書等の成果物を納品する。進捗管理のためのNEDOへの中間報告も求められる。
締切は2026年5月13日(水)正午なんですね。公募期間が約3週間しかないので、急がないといけませんね。
本当にそうです!公募期間が短いのが特徴なんですよ。2026年4月22日に開催したオンライン説明会(Microsoft Teams使用)の資料が2026年4月27日に追加掲載されているので、そちらも必ず確認してください。
どうすれば採択されやすいんでしょうか?室谷さんの知見を教えてください。
NEDO委託事業の審査は「仕様書への完全対応」「実施体制の専門性」「調査方法論の独自性と実現可能性」「成果物の実用性・政策貢献度」「経費の合理性」の5つが評価軸になります。
断然、仕様書への完全対応です!NEDOの公募審査は基本的に減点方式で、仕様書の調査項目に1つでも対応できていないと大幅減点になります。仕様書をチェックリスト化して、提案書の各章と対応させるのが鉄則です。
- 仕様書全項目へのチェックリスト対応: 3つの調査柱(国内外情報収集・ニーズ調査・具体化検討)を全て網羅。漏れは即減点
- 水素・液化ガス分野の実績証明: 過去の類似調査事業・論文・受託実績を提案書に具体的に記載する
- コンソーシアム組成による専門性強化: 単独で全分野を賄えない場合は、技術系(水素工学・低温工学)+政策系(エネルギー政策・調査設計)でチームを組む
- 「2案提示」への具体的な対応: 仕様書が求める「流通試験場・浸漬試験場の段階整備案」と「全設備同時整備案」の2案を分析する手法を提示する
- 成果物の政策貢献度を訴求: 本調査成果がNEDO・METIの水素政策立案にどう活用されるか、次のフェーズ(試験設備の設立・実証事業)への橋渡しをどう担うかを具体的に記述する
コンソーシアムの話が出ましたが、どういう組み合わせが強いんでしょうか?
本調査に最強の組み合わせは「液化水素・低温工学の技術専門家」×「エネルギー政策調査の実務者」×「アンケート・ヒアリング調査のプロ」の三者です。技術・政策・調査方法論の3つが揃うとほぼ完璧な体制になります。
具体的にどんなタイプの組織が組み合わさるんですか?
例えば「液化ガス関連の大手エンジニアリング会社(技術知見)+エネルギー専門のコンサルティングファーム(政策調査・報告書作成)」とか、「水素工学の大学研究室(技術的バックボーン)+シンクタンク(調査設計・ヒアリング手法)」という組み合わせが王道ですね。
2,000万円の枠に収めつつ、人件費・旅費・外注費のバランスが合理的かどうかを審査官がチェックします。人件費が高すぎ(成果に見合わない)でも低すぎ(実施体制への不信感)でもダメです。類似調査事業の単価相場を調べて、市場実勢に即した計画を作ることが大事です。
応募を検討している方がよく持つ疑問に答えてもらえますか?
はい!実際によく聞かれる質問を7つまとめましょう。
いいえ!これは委託事業です。補助金は自社事業に使えるお金ですが、委託事業はNEDOから仕事を受けてお金を受け取る仕組み。成果物の知財はNEDOに帰属し、経費は精算払いになります。
公募期間が2026年4月20日から5月13日の約3週間しかないので、実質的に2〜3週間で提案書を作り上げる必要があります。仕様書の内容を理解して、コンソーシアム組成・経費見積・書類作成をこの期間内に完了させるのはタフな作業です。今すぐGビズIDの確認と仕様書の精読を始めてください。
採択後にNEDOと委託契約を締結してから事業開始となります。2026年度内(2027年3月末頃)の成果物納品が求められるので、契約締結から実質10〜11ヶ月が実施期間になると見ておいた方がいいですね。
はい、説明会は2026年4月22日(水)に開催済みです。ただし2026年4月27日に説明会資料が公開されているので、NEDO公式HPからダウンロードできます。
「GビズIDを持っていない場合はどうすればいい?」
取得に2週間以上かかるため、今すぐ
Gビズ IDの取得手続きを始めてください。プライムアカウントかメンバーアカウントのどちらかが必要です。取得できずに締切を迎えた場合は、万が一NEDOの責によらない理由であれば事前連絡して指示を仰ぐことが唯一の方法です。
NEDO水素・アンモニア部 大規模水素利用ユニット 水素SCチームが担当です。担当者は岸・長友・深澤の3名で、メールアドレスはsuiso_sc[*]ml.nedo.go.jp([*]を@に変換)です。不明点は早めに確認してください!
特に重要なのが「NEDO事業遂行上の情報管理体制」。別添4の確認票に記載があるように、調査で入手した情報の取り扱い・安全保障貿易管理・研究不正への対応が厳格に求められます。液化水素関連の技術情報には安全保障上のセンシティブなものが含まれる可能性があるため、情報漏洩防止体制を事前に整備しておくことが必須です。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 公募者 | 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) |
| 公募期間 | 2026年4月20日(月)〜2026年5月13日(水)正午 |
| 委託費上限 | 2,000万円以内 |
| 対象者 | 企業(団体等を含む)・大学等(単独または共同提案体) |
| 調査内容 | 液化水素試験設備の国内外情報収集・ニーズ調査・具体化検討 |
| 事業期間 | 2026年度 |
| 申請方法 | Jグランツ(電子申請のみ。郵送・FAX・メール不可) |
| GビズID | プライムまたはメンバーアカウント必須(取得2週間以上) |
| 問い合わせ | suiso_sc[]ml.nedo.go.jp([]を@に変換)担当: 岸・長友・深澤 |
| 公式ページ | NEDO公式サイト |
| Jグランツ申請先 | 申請URL |
水素社会の実現に向けた本当に重要な基盤調査ですね。2026年5月13日正午が締切なので、今からすぐ動かないといけませんね!
まさに!(笑)GビズID未取得の方は今日中に手続きを始めてください。仕様書・公募要領をよく読んで、コンソーシアムを組む相手が必要なら今すぐ打診を始める。水素サプライチェーンの将来インフラを設計する、本当に意義のある仕事ですよ。
| 制度名 | 特徴 | リンク |
|---|
| NEDO先導研究プログラム(エネルギー・環境新技術) | NEDOが公募するエネルギー分野の先導研究費 | 詳細 |
| GXサプライチェーン構築支援事業(洋上風力) | GX産業育成のための設備投資補助(補助金) | 詳細 |
| NEDO先導研究プログラム(未踏チャレンジ) | 破壊的イノベーションを狙うチャレンジ型研究 | 詳細 |
本委託事業と違って補助金の制度もあるんですね。水素・GX分野に取り組む事業者は選択肢が広がりますね。
そうなんです。委託事業はNEDOのミッションに沿った仕事を受けるイメージ。補助金は自社のビジネスに充てるお金。使い分けを理解して、自社の強みに合った制度を選ぶのが大事です。本調査の成果がまさに次の実証設備整備補助金のベースになる、という意味でも重要な案件ですよ!