室谷さん、2026年度の「SBIR推進プログラム(一気通貫型)フェーズ2」って、なんかすごい補助金みたいで話題になってますよね。そもそもSBIRって何なんですか?(笑)
ほんとに!(笑) SBIRっていうのは「Small/Startup Business Innovation Research」の略で、もともとはアメリカ発祥の制度なんですよ。日本では内閣府が司令塔になって、省庁横断的に実施する「日本版SBIR制度」として動いています。NEDOがその一翼を担ってるんですね。
NEDOは「国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構」という国の機関です。エネルギーや産業技術の研究開発を支援する、かなり大きな組織ですよ。この制度、ざっくり言うと研究開発型のスタートアップや企業が、社会課題の解決につながる新技術を開発するのを国がガッツリ後押しする 仕組みです。
社会課題の解決! なるほど。「一気通貫型」っていうのはどういう意味なんですか?
いい質問です! SBIR制度には「一気通貫型」と「連結型」の2種類があるんですが、一気通貫型はフェーズ1(概念実証・実現可能性調査)とフェーズ2(実用化研究開発)の両方をNEDO・経産省の枠内で一貫して支援する方式 です。フェーズ1で種をまいて、ステージゲート審査を通過したらフェーズ2でしっかり育てる、という2段階ロケット方式ですね。
いえ、2026年度はフェーズ1とフェーズ2が同時に公募されています。今回ご紹介しているのはフェーズ2の公募ですが、フェーズ1も同じ2026年5月13日から公募が始まっています。一部の研究開発課題はどちらか一方のみの公募となるケースもあるので、自分が取り組む課題がどちらに該当するか、必ず確認が必要ですよ。
SBIR推進プログラム 一気通貫型 フェーズ別補助額比較
フェーズ1とフェーズ2で、もらえる補助金の額が全然違うんですか?
これが本当にデカい!(笑) フェーズ1は1テーマあたり補助対象費用2000万円以内で、NEDO負担率が100% です。つまり全額NEDO持ちなんですよ。
そうなんです。フェーズ1はPOC(概念実証)やFS(実現可能性調査)のフェーズなので、まだ事業の芽が出るかどうかわからない段階。そこで自己負担ゼロで研究できるのは大きいですよね。で、フェーズ2になると規模感が一気に変わります。補助対象費用は1テーマあたり1億5000万円以内で、NEDO負担率が2/3(最大1億円) になります。
ざっくり1億5000万円が上限ですね。ただNEDOが出すのは2/3で最大1億円なので、残りの5000万円(1/3)は自社負担になります。フェーズ2は実用化に向けた本格的な研究開発期間なので、それなりの自己資金も必要という設計ですね。
区分 フェーズ1 フェーズ2 内容 概念実証(POC)・実現可能性調査(FS) 実用化研究開発 補助対象費用上限 2000万円/テーマ 1億5000万円/テーマ NEDO負担率 100%(定額補助) 2/3以内(最大1億円) 事業期間 交付決定日〜原則1年以内 交付決定日〜原則2年以内 主な目的 アイデアの検証 実用化・製品化
なるほど、フェーズ1でまず試してみて、うまくいったらフェーズ2でガッツリやる、という感じですね。補助額の詳細がわかったところで、次はどんな人・企業が応募できるのか教えてください。
こんな大きな補助金、普通の中小企業でも応募できるんですか?
基本的には「企業(団体等を含む)」が対象です。ただ、公募要領には「原則として本邦の中小企業等の研究開発実施者」とあるので、中小企業が主なターゲットです。単独でも、複数社の連携でも応募できますよ。
研究開発型スタートアップって書いてありましたが、大企業はNGなんですか?
大企業が完全にNGというわけではないんですが、この制度の設計思想は「ディープテック系のスタートアップや中小企業の育成」ですね。事業名に「ディープテック・スタートアップ支援基金」と入っている通り、深い技術革新で社会課題を解決しようとしているスタートアップを特に強力に後押しする設計になっています。
公募では4つの研究開発課題が設定されています。課題の詳細は
SBIR推進プログラム公募ページ で確認できますが、内閣府のガバニングボードが年度ごとに決定する「多様化する社会課題の解決に貢献する研究開発課題」が対象です。エネルギー、バイオ、素材、情報通信など幅広いですね。
技術分野はかなり多様なんですね。フェーズ2は「新規公募」と「フェーズ1通過後の継続」どちらもあるんですか?
そうです。フェーズ2には2つのルートがあります。一つはフェーズ1のステージゲート審査を通過してフェーズ2に進むルート 、もう一つはフェーズ2から新規に応募するルート です。特定の研究開発課題では新規のフェーズ2応募も受け付けているので、フェーズ1をやっていない企業でも直接フェーズ2に挑戦できますよ。
対象 : 企業(団体等を含む)。原則として日本国内の中小企業等
単独・複数参加 : どちらも可能
ルート1 : フェーズ1のステージゲート審査通過者
ルート2 : 特定課題ではフェーズ2からの新規公募あり(課題詳細で要確認)
GビズIDプライムアカウントまたはメンバーアカウント : 必須(事前取得が必要)
フェーズ2の「実用化研究開発」に直接必要な費用が補助対象です。一般的な研究開発型補助金と同様、人件費・外注費・設備費・材料費などが対象になります。公募要領にある「SBIR制度補助金交付規程」に沿った費目が適用されます。
何に使えて何に使えないか、具体的に教えてもらえますか?
はい。対象になりやすいのは、直接的な研究開発に使う費用ですね。研究員の人件費、試作品の材料費、実験装置、外部への委託費などが代表例です。逆に、通常の事業活動費や販売促進費、それと営業目的の設備投資などは対象外になりやすいです。
補助金額は審査の結果を踏まえ、提案書記載額等から減額されることがあります
補助対象費用の明確な根拠(見積書・契約書等)が必要
「SBIR制度補助金交付規程」の規定に従った費目のみ計上可能
不明点は応募前に適合性確認相談(2026年5月22日正午まで受付)を活用
申請する前に「うちの経費はOKですか」って相談できる窓口があるんですね。それは安心ですね。じゃあ実際の申請の流れを教えてください。
SBIR推進プログラム 応募から採択までの流れ
正直、準備に時間がかかります(笑)。まず最初に躓くのがGビズIDの取得なんですよ。GビズIDなしではJグランツに申請できないので、これを真っ先にやるべきです。
1 GビズIDプライムアカウントの取得(最優先)
GビズIDの取得には2週間以上かかる場合があります。まだ持っていない方は今すぐ手続きを開始してください。GビズID公式サイトから申請できます。
2 Jグランツアカウントの登録
GビズIDを取得したら、Jグランツのアカウントを作成します。Jグランツポータルから登録してください。
3 研究開発課題の確認・適合性相談(任意)
応募予定の研究が公募内容に沿っているか不明な場合は、「提案内容と研究開発課題との適合性確認相談」が利用できます。相談受付期間は2026年4月22日〜2026年5月22日正午まで。PwCコンサルティング(SBIR推進プログラム運営支援事務局)宛にメールで相談できます。
4 説明会への参加(任意・定員150名)
フェーズ2の説明会は2026年5月20日(水)9時00分〜9時30分(Microsoft Teams)に開催予定です。参加申込期限は2026年5月19日(火)17時00分までです。
5 提案書・応募書類の作成
研究開発課題への適合性や実施計画、費用計画などをまとめた提案書を作成します。書類様式はSBIRポータルサイトからダウンロードできます。
6 Jグランツで電子申請
応募期限の2026年6月12日(金)正午までに、Jグランツから電子申請します。持参・郵送・FAX・メールによる提出は原則受け付けません。直前は混雑するため、余裕を持って提出してください。
7 書類審査・面接審査・採択結果通知
採択・不採択の結果はJグランツ上で通知されます。
そうなんです! 説明会は各課題の詳細な説明はしないので、課題ごとの説明資料や動画をSBIRポータルサイトで事前に確認しておくのが重要です。説明会に参加するかどうかに関わらず提案は可能ですし、説明会への参加が採択に有利に働くわけでもありません。
こんな大型の補助金、採択されるためにはどうすればいいんですか?
まず基本として、研究開発課題への「適合性」をしっかり示すことが最重要 です。自分の研究がどの課題に対応しているのか、なぜこのフェーズ2で実用化を目指せるのかを具体的に書く必要があります。
社会課題に対してどんなアプローチで解決するのかを、技術的な根拠をもって書くことですね。特にフェーズ1で何を達成したか(または、なぜフェーズ2から直接応募できるほどの進捗があるか)を明確に示す ことが大事です。フェーズ2は「実用化研究開発」なので、「これで実用化できる」という説得力が問われます。
そうです。審査は書類審査と面接審査の2段階です。書類審査で技術的な優位性・新規性・社会課題解決への貢献度が見られ、面接審査ではプレゼン能力と深掘り質問への回答力が試されます。
課題適合性を徹底的に示す : 国が設定した研究開発課題のどこに貢献するかを明確に
フェーズ1の成果を具体的数字で示す : フェーズ1通過者は、POC・FS結果を定量的に記載
実用化ロードマップを描く : フェーズ2終了後の社会実装イメージまで書く
費用の合理性を説明する : 1億5000万円規模の費用をしっかり根拠づける
チームの実績をアピール : 研究代表者と共同研究者の専門性・実績を明記
1億5000万円の費用の根拠づけって、かなり大変そうですね(笑)
そうですね(笑)。逆に言えば、そこまで丁寧に書ける提案者が通る制度でもあります。NEDOが過去に採択した一覧も公開されているので(2023〜2025年度分)、参考にするのも手ですよ。
ここまで色々聞きましたが、改めて基本情報を整理してもらえますか?
項目 内容 制度名 2026年度「SBIR推進プログラム」(一気通貫型)フェーズ2 実施機関 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) 事業名 ディープテック・スタートアップ支援基金/SBIR推進プログラム プロジェクトコード P23020 公募期間 2026年5月13日(水)〜2026年6月12日(金)正午 補助対象費用上限 1テーマあたり1億5000万円以内 NEDO負担率 補助対象費用の2/3(上限1億円) 事業期間 交付決定日〜原則として2年以内 対象者 企業(団体等を含む)、主に国内の中小企業等 申請方法 Jグランツによる電子申請のみ 対象分野 スタートアップ支援(ディープテック全般) 公式URL sbir.nedo.go.jp
申請はJグランツのみなんですね。GビズIDが必須で、締切は2026年6月12日の正午。早めに動かないとですね。
そうです!GビズIDの取得に2週間以上かかる場合があるので、記事を読んだ今すぐ取得手続きを始めてほしい です。締切直前に「GビズIDがない」という状態になったら応募すらできませんから。
読者から「これってどういうこと?」ってなりそうな質問を聞いてもいいですか?
フェーズ1をやっていない企業でも、フェーズ2から応募できるんですか?
できます! 特定の研究開発課題に限ってはなりますが、フェーズ2からの新規公募も受け付けています。自分が応募しようとしている課題がフェーズ2新規公募の対象かどうかは、各課題の詳細資料で確認してください。
不採択の場合でも、採択・不採択の結果はJグランツ上で通知されます。不採択理由の詳細なフィードバックは必ずしも提供されない場合もありますが、次の応募に向けた改善の参考にするしかないですね。毎年公募があるので、次年度に向けた準備をするのが現実的です。
「SBIR連結型」と「SBIR一気通貫型」は何が違うんですか?
一気通貫型はNEDO・経産省の中でフェーズ1〜2の全サポートが完結します。連結型は、フェーズ1・2をNEDOがやりつつ、その後の支援を別の省庁に「つなぐ」型です。今回の公募は一気通貫型なので、NEDO一本で最後まで面倒を見てもらえる安心感があります。
必須ではありません。説明会への参加は任意で、参加しなくても提案できます。ただし、説明会では各課題の詳細な説明は行われないので、事前に公募ページの説明資料と説明動画をしっかり確認しておくことが大切です。
NEDO スタートアップ支援部 SBIR推進プログラム事務局
お問い合わせは、SBIR推進プログラム公募ページ内のお問い合わせフォーム から行ってください。
E-mailでの問い合わせは原則として受け付けていないため、フォームのご利用をお願いします。
なお、研究開発課題への適合性確認相談(2026年5月22日正午まで受付中)については以下の連絡先へ:
To: jp_sbir_promotion_program[@]pwc.com([@]を@に変換)
cc: sbir_ikkituukann[@]nedo.go.jp([@]を@に変換)
担当: SBIR推進プログラム運営支援事務局(PwCコンサルティング受託)
似たような補助金と比べると、どんな特徴がありますか?
研究開発型スタートアップを支援する補助金は他にもあるので、並べて見てみましょう。
フェーズ2の補助額、1億5000万円ってやっぱり他と比べてもケタが違いますね!
そうなんですよ! 通常の補助金は数百万〜数千万円の規模が多い中、SBIR一気通貫型フェーズ2は最大1億5000万円という、ディープテック開発に特化した超大型補助金です。その分、審査も厳しいですし、応募には相応の技術・実績が求められます。
フェーズ1から始めて着実にフェーズ2を目指す戦略も有効そうですね。
まさに! 今すぐフェーズ2に出せる技術がない方は、まずフェーズ1(ID: 110584)への応募から始めてみてください。フェーズ1で2000万円の全額補助を使いながら概念実証を進め、ステージゲート審査をクリアしてフェーズ2へという王道ルートがあります。
公募期間が2026年6月12日まで、という点は変わらないんですね。GビズID取得から始めないといけないことを考えると、本当に今すぐ動かないといけないですね!
そうです。特にGビズIDの取得に2週間以上かかるケースもある。
2026年5月末以降にGビズID申請を始めると、6月12日の締切には間に合わないリスクがある ので、本記事を読んだ今日から動いてください。全都道府県からオンラインで応募できますし、
補助金データベース でお住まいの地域の他の補助金も一緒に調べてみてください。
最後に、NEDOのSBIR推進プログラムは2023年度から始まった比較的新しい制度ですが、すでに100件以上の採択実績があります。2023〜2025年度の採択一覧はNEDO公式サイトで公開されているので、どんな企業・技術が採択されてきたかをチェックして、自社の提案書の参考にしてみてください。ディープテックで日本を変えたい、という志のある方にはぜひ挑戦してほしい制度です!