室谷さん、今日は「SBIR推進プログラム(一気通貫型)のフェーズ1」について聞きたいんですけど、そもそもSBIRって何ですか?なんか略語でよくわからなくて(笑)
あー、確かに!「SBIR」って、Small/Startup Business Innovation Researchの略なんですよ。もとはアメリカ発の制度で、スタートアップや中小企業の革新的な研究開発を政府が支援する仕組みです。日本でも2021年度から「日本版SBIR制度」として内閣府が司令塔になって、省庁横断で実施しています。
ほんとに?アメリカから来た制度なんですね。でも「一気通貫型」って何ですか?他にも種類があるんですか?
そうなんです、SBIR推進プログラムには2種類あって、「一気通貫型」と「連結型」があります。一気通貫型は、NEDOがフェーズ1とフェーズ2を一気通貫で支援 する形。連結型は、NEDOがフェーズ1を担当して、その後は別の省庁に引き継ぐ形です。
なるほど!今回公募されてるのは「一気通貫型のフェーズ1」ですよね。フェーズ1ってどんな段階ですか?
フェーズ1は概念実証(POC)や実現可能性調査(FS) を行う段階です。「この技術、本当に使えそうか?」「ビジネスとして成立しそうか?」を検証するフェーズですね。スタートアップが事業化に向けた最初の一歩を踏み出す、まさにその時期を支援するんです。
POCってPoC...Proof of Conceptのことですね。つまり「アイデアの実証実験」みたいなことを1年かけてやる、ということ?
その通り!1年以内で概念実証や可能性調査を完了させて、そのうえでフェーズ2の審査(ステージゲート審査)に進む、という流れです。
SBIR推進プログラム(一気通貫型)フェーズ1の概要図
フェーズ1でいくらもらえるんですか?補助率が100%って聞いて「え、本当に?」って思いました(笑)
本当なんです(笑)!フェーズ1の補助対象費用は1テーマあたり最大2,000万円で、NEDO負担率が100% です。つまり、自己負担ゼロで研究開発ができるということ。
えっ、マジですか!?2,000万円を全額もらえるんですか?
「最大」ですよ(笑)。提案内容の審査結果によって、申請額から減額されることもあります。でも原則として全額NEDOが補助してくれる、定額補助という形式です。
フェーズ2に進んだら補助金額はどう変わるんですか?
フェーズ2は金額がぐっと上がります。最大1億円(NEDO負担率2/3以内) になります。事業期間も2年以内まで延びますね。フェーズ1で実証実験をして、成功すればフェーズ2でしっかり実用化開発に進める、という段階的な支援設計になってます。
フェーズ 補助対象費用上限 NEDO負担率 事業期間 実施内容 フェーズ1 2,000万円 100%(定額補助) 1年以内 POC・FS(概念実証・実現可能性調査) フェーズ2 1億円(NEDO負担額) 2/3以内 2年以内 実用化に向けた研究開発
なるほど、フェーズ1で2,000万円、フェーズ2で1億円ですか。合計すれば最大1億2,000万円以上ということに?
そう考えてもらって大丈夫です。ただし、フェーズ2に進むには「ステージゲート審査」を通過する必要があります。2021年度から始まったプログラムで、累計採択件数はすでに110社を超えているんですよ。
110社以上!すごい数ですね。それじゃあ採択されたスタートアップが実際に作ったものとか、見られますか?
過去の採択一覧がNEDOのホームページで公開されています。たとえば2025年度だと、フレイル予防センシングデバイス、口腔ケアデバイス、月面ローバー用ガンマ線検知機器、膜面アンテナを搭載した超小型人工衛星など、本当に多様な技術テーマで採択されてますよ。
月面ローバーに人工衛星!めちゃくちゃ幅があるんですね(笑)
補助対象費用上限 :1テーマあたり2,000万円以内
NEDO負担率 :100%(定額補助)
事業期間 :交付決定日から原則1年以内
申請者の自己負担 :原則なし(定額補助)
審査結果に基づき申請額から減額される場合があります
そんな手厚い補助金、誰でも申請できるんですか?資格要件が厳しそうで...
対象は「研究開発型スタートアップ等」で、もう少し正確に言うと「中小企業者または研究開発成果の事業化を目指す個人(研究者等)であって、その研究開発が革新的であると認められるもの」です。大企業は基本的に対象外ですね。
「革新的」ってどう判断されるんですか?主観的じゃないですか?
そこはNEDOの審査で判断されます(笑)。要は「既存技術の延長線上ではなく、新しい技術シーズを持っていて、社会課題を解決できる可能性がある」かどうかです。単独での申請も、複数の企業が共同で申請することも可能です。
設立したばかりのスタートアップでも申請できますか?上場してたらダメとか、売上がないとダメとか、そういう縛りはあるんですか?
設立年数や売上高の具体的な縛りは公募要領には明記されていないんですよ。ただし、本邦(日本国内)の事業者であることが原則条件です。外資系企業や海外のスタートアップは対象外になります。詳細な応募要件は公募要領で確認することをお勧めします。
大企業は対象外 (中小企業者または研究者個人が対象)
海外企業は対象外 (原則として本邦の事業者のみ)
詳細な応募要件は公募要領(NEDOポータルからDL可)で必ず確認してください
わかりました。じゃあ具体的にどんな技術テーマが対象なんですか?「うちの技術でも応募できるのかな」って気になってる方も多いと思うんですが。
2026年度は4つの研究開発課題が設定されています。ただし、課題の具体的な名称は公募要領の「研究開発課題詳細」に記載されていて、課題ごとに動画での説明も提供されています。課題1〜4があって、うち課題3はフェーズ1のみの対象、それ以外の課題1・2・4はフェーズ1・2の両方で公募されています。
課題が決まってるんですね。自由にテーマを設定できるわけじゃなくて、「課題に沿った提案をしてください」という形なんですか?
そうです。SBIR推進プログラムは「社会課題型」と「調達ニーズ型」の2種類の研究開発課題があって、国が設定した社会課題や調達ニーズに対する技術的なアプローチを提案する という形です。国がニーズを持っていて、それを解決するスタートアップを選抜する、というイメージですね。
実際に申請しようと思ったら、何から始めればいいですか?
まず一番大事なのがGビズIDの取得 です。Jグランツ(電子申請システム)を使うには、GビズIDが必須なんですけど、取得に2週間以上かかることがあります。締切が2026年6月12日正午なので、今すぐ取得手続きを始めても余裕はあまりない。
法務局への確認が入るので、書類審査があるんですよ。GビズIDには「プライムアカウント」と「メンバーアカウント」の2種類があって、どちらでも申請可能です。GビズIDがないと物理的に申請できないので、これが最優先の準備事項です。
公募要領をしっかり読んで、「自分の提案は本当にこの課題に合ってるか?」を確認することをお勧めします。もし「課題に合ってるかどうかわからない」という場合は、適合性確認相談 を活用できます。2026年5月22日正午まで相談を受け付けています。
適合性確認相談!?相談したら採択に有利になったりするんですか?
有利にはなりません。「技術的に課題に合っているか否かのみを確認する」制度で、審査には影響しないとNEDOが明言しています。ただ、「応募してみたら対象外だった」という無駄足を防げるのはありがたいですよね(笑)
1 GビズIDを取得する(プライムまたはメンバーアカウント)― 2週間以上かかる場合あり。今すぐ手続き開始を推奨
2 公募説明会に参加する(希望者)― 2026年5月19日(火)9時00分〜9時30分、Microsoft Teams。申込期限 3 適合性確認相談を活用する(希望者のみ)― 受付期間 4 Jグランツで提案書類を作成・アップロード― 必要書類は公募要領の「提出書類」欄を参照
SBIR推進プログラム フェーズ1 申請ステップ図
公募説明会があるんですね。参加しないと申請できなかったりしますか?
説明会への参加は任意です。「説明会に参加しなくても申請可能」とNEDOが明示しています。ただし各課題の詳細な説明は説明会ではなく、NEDOポータルに掲載された説明資料・動画で確認する必要があります。定員150名なので、参加希望の方は早めの申し込みをお勧めします。
公募要領に「提出書類」が詳しく記載されています。大枠では、事業計画書(提案書)、収支計画書、会社概要などが必要になります。あとは書類の作成・提出がすべてJグランツ経由になるので、アカウント登録の操作方法も事前に確認しておくといいですよ。
書類を出したあとはどうなるんですか?面談とか面接審査はあるんですか?
審査の詳細は公募要領の第4章「採択先の選定」に記載されています。審査は書面審査を基本としていますが、プレゼンテーション・ヒアリングが設定されることがあります。
公募要領によると、主に「研究開発の革新性・実現可能性」「社会課題解決への貢献度」「事業化の見通し」「申請者の実施能力」などが審査されます。「革新的な技術シーズがある」「課題のニーズに合致している」「事業化までの道筋が描けている」 の3点を押さえた提案が採択されやすいです。
2026年公募のスケジュールは公式には明示されていませんが、過去の例では公募締切から約2〜3ヶ月後に採択通知がある傾向があります。2025年度の公募(締切:6月13日)では、8月前後に採択発表がありました。
じゃあ2026年度は8〜9月頃に採択発表があって、その後に交付決定、研究開発スタートという感じですか?
そういう流れになると思います。交付決定から1年以内が事業期間なので、採択されれば早ければ2026年内に研究開発がスタートできます。
フェーズ1を終えたスタートアップは「ステージゲート審査」を受けます。これはフェーズ2(最大1億円)に進むかどうかを判断する中間審査です。2023・2024年度の実績では、フェーズ2への移行率50%以上がKPIとして設定されており、フェーズ1で成果を出した企業の多くがフェーズ2に進んでいます。
補助金って「使える経費」と「使えない経費」がありますよね。SBIRフェーズ1はどんな経費に使えますか?
公募要領には経費の分類が丁寧に書いてあります。大きく分けると以下の5つのカテゴリーです。
経費区分 内容の例 機械装置等費 試作品製作、実験装置、ソフトウェア購入など 労務費 研究開発に従事する人員の人件費 その他経費 消耗品費、外注費、旅費、資料整理費など 間接経費 直接経費の一定割合(上限あり) 共同研究費 共同研究先への経費
人件費も使えるんですね!研究者を雇って給料を払う費用も対象になりますか?
はい。研究開発に従事する従業員や、RA(リサーチアシスタント)等の雇用費用 も対象経費になります。スタートアップが優秀な研究者を採用して研究開発を加速させる、というユースケースはよくあります。
研究開発と直接関係のない費用ですね。たとえば営業・販売活動の費用、交際費、宣伝広告費などは対象外です。また、「間接経費」には上限があるので、計画段階で確認が必要です。経費の計上については公募要領の第7章〜第8章に詳しく書かれています。
補助金はいつ支払われますか?研究開発を先にやって後からもらう形ですか?
SBIRは「後払い型」が基本です。支出した経費を精算した上で補助金が交付されます。スタートアップによってはキャッシュフローの管理が重要 になるので、資金繰り計画もセットで考えておく必要がありますよ。
経費の話でわかってきました。ところで、SBIR「連結型」との違いをもう少し詳しく教えてもらえますか?
補助金額の上限が違いますね。連結型のフェーズ1は最大1,500万円で、一気通貫型より500万円少ない。あと、連結型は「ニーズ元省庁」(経産省以外の省庁)が課題を設定して、フェーズ1後の支援は各省庁が継続するという仕組みです。
「どっちに応募するか」はどう決めればいいんですか?
取り組む課題によります。フェーズ2まで一貫してNEDOが支援する安心感が欲しいなら一気通貫型。経産省・NEDO以外の省庁(例えば農水省・厚労省・文科省など)が設定した課題に取り組みたいなら連結型、という使い分けですね。
他にSBIR推進プログラムや関連制度と比較すると、どういう位置づけになりますか?
SBIR推進プログラムはスタートアップ支援の中でも「研究開発初期段階」の支援に特化しているのが特徴です。他の制度と比較してみましょう。
制度名 補助金額上限 補助率 対象ステージ 申請期間 SBIR一気通貫型フェーズ1 (本制度)2,000万円 100% POC・FS(初期研究) 2026年5月13日〜6月12日 SBIR一気通貫型フェーズ2 1億円(NEDO負担額) 2/3以内 実用化研究開発 2026年5月13日〜6月12日 SBIR連結型 1,500万円 100% POC・FS(初期研究) 2026年3月16日〜4月3日(受付終了)
そうなんです!今から応募できるのは一気通貫型のフェーズ1とフェーズ2です。フェーズ2は、すでにフェーズ1の実績があるスタートアップやフェーズ2から新規参入できる場合もあります。どちらを選ぶかは、自社の研究開発ステージを見極めて判断することが重要です。
まだ研究の初期段階なら迷わずフェーズ1ですね。2,000万円でしっかり実証実験ができれば、フェーズ2の1億円への道も開けると。
まさにそのとおりです!「フェーズ1→ステージゲート審査→フェーズ2」というキャリアパスが設計されているので、フェーズ1で実績を積み重ねてフェーズ2を目指す、という戦略が王道ですね。
最後に、読者が「これ気になる!」ってなりそうな質問をまとめてもらえますか?
Q1. 大学発スタートアップ(大学の先生が創業した会社)でも申請できますか?
申請可能です。「研究開発成果の事業化を目指す個人(研究者等)」も対象者に含まれています。大学の先生が設立した会社や、大学発スタートアップも申請できます。
Q2. 申請するには事業計画書だけ出せばいいですか?
事業計画書(提案書)のほか、収支計画書、会社・個人概要などの書類が必要になります。詳細は公募要領の「提出書類」欄で確認してください。書類の様式はNEDOポータルからダウンロードできます。
Q3. Jグランツのアカウント作成はどうすればいいですか?
可能です。再申請を禁止する規定はありません。前回の審査でフィードバックを受けて提案を磨き直すことで、次回採択の可能性を高めることができます。
Q5. フェーズ1採択後にフェーズ2に進めなかったらどうなりますか?
フェーズ2に進めなかった場合も、フェーズ1の研究成果は事業者自身のものです。知的財産権の取り扱いは公募要領の「研究開発成果品の取り扱い」に詳しく記載されています。フェーズ2に進めなくても、POC・FSで得られた知見や特許はしっかり残ります。
それは安心ですね!採択累計110社以上というのも、それだけ多くのスタートアップが活用してるということですよね。
2021年度にスタートして、累計採択が110社を超えているという事実は、このプログラムへの信頼の証拠だと思います。2026年度も6月12日の締切まであとわずかです。GビズIDをまだ取得していない方は今すぐ手続きを始めてください!(笑)
最後に、この補助金の基本情報をまとめてもらえますか?
項目 内容 制度名 2026年度「SBIR推進プログラム」(一気通貫型)フェーズ1 実施機関 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) 対象者 研究開発型スタートアップ等(本邦の中小企業者または研究者個人) 補助対象費用 1テーマあたり最大2,000万円 NEDO負担率 100%(定額補助) 事業期間 交付決定日から原則1年以内 公募期間 2026年5月13日〜2026年6月12日正午(予定) 申請方法 Jグランツによる電子申請のみ(持参・郵送・FAX・メール不可) プロジェクトコード P23020 公式ページ https://www.nedo.go.jp/koubo/CA2_100530.html
2026年6月12日の締切まで、GビズID取得から公募要領の確認、適合性確認相談(希望者)を計画的に進めることが重要です。累計採択110社以上の実績があるこのプログラム、革新的な技術シーズを持つスタートアップならぜひ検討してみてください。
提出期限:2026年6月12日(金)正午 。1分でも過ぎたら受付不可
通信トラフィック混雑で提出に時間がかかる可能性あり、早めに作業を
GビズID未取得では申請不可能。今すぐ取得手続きを開始してください
スタートアップ支援部 SBIR推進プログラム事務局(NEDO)
E-mail:sbir_ikkituukann@nedo.go.jp([*]を@に変更)
適合性確認相談の提出先(PwCコンサルティング受託)
To:jp_sbir_promotion_program@pwc.com
Cc:sbir_ikkituukann@nedo.go.jp
公募に関するお問い合わせは、NEDOポータルの「お問い合わせフォーム」 を利用してください。
ありがとうございました!2026年の公募、締切まであと1ヶ月を切っているので、興味のある方はぜひ今すぐ動いてほしいですね。全国のスタートアップの皆さん、頑張ってください!
GビズIDの取得さえ早めに動いておけば、十分間に合います。採択された暁には、ぜひ実用化まで突っ走ってほしいですね!(笑)