この公募の背景と目的は?

佐藤

佐藤

編集長

室谷さん、今日はちょっとマニアックなテーマですね。NEDOの「水素利用拡大に向けた共通基盤強化のための研究開発事業/水電解技術開発ロードマップの改定」って、名前だけで一息ついちゃいますよ(笑)。
室谷

室谷

代表取締役

確かに長いですよね(笑)。でも中身は非常に熱い事業です。簡単に言うと、水素社会の実現に向けて、水電解技術の開発ロードマップを根本から見直そう、という公募なんです。NEDOが主体となって、実行する研究開発チームを広く民間から募っています。
佐藤

佐藤

編集長

水電解っていうのは、水を電気分解して水素を作る技術ですよね。なんで今、ロードマップを改定する必要があるんですか?
室谷

室谷

代表取締役

大きな理由が2つあります。1つは、大型商用車(HDV)向け燃料電池の製品ニーズに応える必要があること。もう1つは、水素製造コストの大幅な低減が求められていること。従来の研究スピードでは追いつかないほど、高性能化・高耐久化・低コスト化の要求が厳しくなっているんです。
佐藤

佐藤

編集長

なるほど。特にトラックみたいな大型車両だと、乗用車以上のパワーと耐久性が必要ですからね。
室谷

室谷

代表取締役

その通りです。そこで本事業では、DX技術を最大限活用しながら、燃料電池・水電解分野の研究に貢献する共通基盤を構築し、革新的な要素技術開発と連動させようとしています。これが今回の公募の核心です。

3つの研究開発項目の全体像

佐藤

佐藤

編集長

具体的にどんな研究開発を想定しているんですか?
室谷

室谷

代表取締役

大きく分けて3つの項目があります。これを図にまとめましたのでご覧ください。
研究開発項目の全体像
研究開発項目I:共通基盤技術開発
燃料電池と水電解の評価解析プラットフォームを構築。DX技術で研究の高度化・高速化を図ります。
研究開発項目II:次世代要素技術開発
2035年以降の目標に向けた要素技術開発。AEM、SOEC、水素貯蔵タンクなどが対象。
研究開発項目III:実用化技術開発
2035年以前の実用化・事業化を目指す。生産技術、システム化技術など即戦力となる開発。
佐藤

佐藤

編集長

おお、すごい。項目Iで基盤を作って、項目IIで要素技術を磨き、項目IIIで実用化まで持っていく。この3段構えなんですね。
室谷

室谷

代表取締役

そういう理解で正しいです。ただし、今回の公募は「水電解技術開発ロードマップの改定」がテーマなので、特に水電解に関連する研究開発が重視されるでしょう。アルカリ形、PEM形、AEM形、それに高温のSOECまで、幅広い方式が対象になります。

誰が申請できる?応募資格をチェック

対象となる業種は?

佐藤

佐藤

編集長

これはうちの会社でも応募できるんですかね?応募資格を教えてください。
室谷

室谷

代表取締役

jGrantsの情報では、対象業種は「学術研究、専門・技術サービス業」となっています。つまり、大学や研究機関、シンクタンク、技術コンサルティング会社などがメインターゲットですね。
佐藤

佐藤

編集長

じゃあ普通の製造業はダメなんですか?
室谷

室谷

代表取締役

いや、そうとも限りません。あくまで「業種区分」の話で、研究開発部門を持っている大手メーカーや、水電解関連の技術開発を行うスタートアップも、業種区分上は「専門・技術サービス業」に該当する可能性があります。公募要領で詳細を確認する必要がありますね。

従業員数の制約はある?

佐藤

佐藤

編集長

従業員数の条件はどうですか?中小企業でも応募できるんでしょうか。
室谷

室谷

代表取締役

これが嬉しいポイントで、従業員数の制約はなしと明記されています。なのでスタートアップから大企業、大学まで、従業員規模に関係なく応募できます。もちろん、研究開発を実行できる体制があるかどうかは審査で見られますけどね。
佐藤

佐藤

編集長

それはいいですね。全国から応募可能なんですよね?
室谷

室谷

代表取締役

はい、対象地域は全国です。北海道から沖縄まで、どこに拠点があっても構いません。NEDOの公募は基本的に全国区ですからね。

いくらもらえる?補助額と補助率

上限額と補助率の記載がない!

佐藤

佐藤

編集長

さて、一番気になるお金の話です。補助金額ってどのくらいですか?
室谷

室谷

代表取締役

ここが注意ポイントです。jGrantsの基本情報を見ると、補助上限額は「―」、補助率も「記載なし」 となっています。
佐藤

佐藤

編集長

えっ、マジですか!?金額が書いてないんですか?
室谷

室谷

代表取締役

そうなんです。これは「研究開発委託事業」という形態だからです。補助金のように「上限××万円、補助率2/3」という形ではなく、NEDOが研究開発テーマを選定し、委託契約を結ぶ形になります。予算の範囲内で、必要な経費を精査して金額が決まります。
佐藤

佐藤

編集長

じゃあ、もらえる金額は応相談みたいな感じですか?
室谷

室谷

代表取締役

ある意味そうですね。ただし、事業全体の予算規模は公表されています。2025年度予算は72億円。事業期間は2025年度から2029年度までの5年間です。この中から各テーマに配分されます。

経費の使途は?

佐藤

佐藤

編集長

じゃあ具体的にどんな経費が認められるんですか?
室谷

室谷

代表取締役

これもまた「公募要領で確認してね」という話になりますが、一般的なNEDO委託事業では、人件費、設備費、消耗品費、旅費、外注費などが対象になります。ただし、この事業固有のルールがあるかどうかは、必ず公募要領を確認してくださいね。
佐藤

佐藤

編集長

うーん、具体的な金額がわからないと、予算計画が立てにくいですね。
室谷

室谷

代表取締役

おっしゃる通りです。ただ、過去のNEDO事業の実績から見ると、1テーマあたり数億円規模の大型プロジェクトもあれば、数千万円規模の探索的なテーマもあります。重要なのは、研究計画の質と実現可能性。金額ありきではなく、必要な研究開発に対して適正な予算を提案する姿勢が求められます。

どんな研究開発が対象になる?

研究開発項目I:共通基盤技術開発

佐藤

佐藤

編集長

研究開発項目Iの「共通基盤技術開発」って、具体的には何をするんですか?
室谷

室谷

代表取締役

NEDOの説明によると、DX技術を活用した評価解析プラットフォームの構築が目的です。水電解の開発を高度化・高速化するための基盤を作るんですね。対象となるのは常温作動の水電解(アルカリ、PEM、AEM)と、高温作動の水蒸気電解(SOEC)です。
佐藤

佐藤

編集長

つまり、シミュレーションやデータ解析のプラットフォームを開発して、実験の効率を上げよう、ということですか?
室谷

室谷

代表取締役

その通りです。AIや機械学習を使って材料探索を高速化したり、運転データから劣化メカニズムを予測したり。そういった共通基盤を作ることで、個別の要素技術開発を加速させる狙いがあります。

研究開発項目II:次世代要素技術開発

佐藤

佐藤

編集長

項目IIは「次世代要素技術開発」。これはもっと先の技術を狙うんですね。
室谷

室谷

代表取締役

ええ。NEDO技術開発ロードマップで定める2040年頃の目標実現や、技術課題の解決に資する開発が対象です。特に強調されているのがAEM(アニオン交換膜)とSOEC(固体酸化物形電解)です。また、アルカリ形とPEM形の普及拡大に貢献する要素技術も含まれます。
佐藤

佐藤

編集長

燃料電池の方も含まれるんですか?
室谷

室谷

代表取締役

含まれます。項目IIには(3)として「水素貯蔵タンクの要素技術開発」もあります。2035年以降の水素貯蔵密度・コスト・搭載性などの目標達成に向けた開発です。燃料電池と水電解で共通に使える技術は、両方への適用を検討することになっています。

研究開発項目III:実用化技術開発

佐藤

佐藤

編集長

そして項目IIIが実用化。これは一番現実的なフェーズですね。
室谷

室谷

代表取締役

その通り。2035年以前の実用化・事業化を目指した技術開発です。大型トラック向け燃料電池、水電解、水素貯蔵タンクの各分野で、高性能・高耐久・低コストな材料・部材・周辺機器の実用化技術や、大量生産技術、システム化技術などが対象になります。
佐藤

佐藤

編集長

つまり、3つの項目は時間軸が違うんですね。項目IIIが一番短期で、項目IIが中期、項目Iが基盤と。
室谷

室谷

代表取締役

そういう理解で合ってます。ただし、今回の公募は特に「水電解技術開発ロードマップの改定」に焦点が当たっているので、プロポーザルを書く際には、自身の技術がどの項目に該当し、ロードマップ改定にどう貢献できるかを明確に示す必要があります。

申請の流れとスケジュール

公募期間はわずか約1ヶ月!

佐藤

佐藤

編集長

ここで重要なスケジュールをおさらいしましょう。公募期間はいつからいつまでですか?
室谷

室谷

代表取締役

これが結構短いです。2026年7月6日から2026年8月4日まで。約1ヶ月しかありません。
佐藤

佐藤

編集長

えっ、もう終わっちゃってるんじゃ…この記事の公開日は?
室谷

室谷

代表取締役

(笑)この記事を読んでいる方がいると仮定して、次回の公募に備えて情報を整理しておきましょう。NEDOの事業は毎年度公募がありますから、2027年度版も同じようなスケジュールで来る可能性が高いです。
佐藤

佐藤

編集長

なるほど。ちなみに具体的な申請手順はどうなってるんですか?

申請手順をステップで解説

室谷

室谷

代表取締役

jGrantsポータルを使った電子申請が基本です。流れをまとめました。
申請の流れ(概要)
  1. 1
    1. 公募要領の入手
    NEDOの公募ページから要領と様式をダウンロード
  2. 2
    2. 申請書類の作成
    研究計画書、収支計画書、体制図などを作成
  3. 3
    3. GビズIDの取得
    電子申請に必要。未取得の場合は早めに手続き
  4. 4
    4. jGrantsで申請
    ポータルサイトから必要事項を入力し提出
  5. 5
    5. NEDOによる審査
    書類審査とヒアリング(必要に応じて)
  6. 6
    6. 採択・契約
    採択通知後、NEDOと委託契約を締結
佐藤

佐藤

編集長

GビズIDってやっぱり必要なんですね。これって取得に時間かかるんですか?
室谷

室谷

代表取締役

法人の場合、代表者の電子証明書が必要で、平日に役所に行く手間も考えると、早めに準備したほうがいいです。公募が始まってから焦らないように、普段からGビズIDは取得しておくことをおすすめします。
佐藤

佐藤

編集長

申請書類はどのくらいのボリュームですか?
室谷

室谷

代表取締役

これは公募によって異なりますが、NEDOの委託事業だと研究計画書が数十ページになることも珍しくありません。図表や参考文献を含めるとかなりのボリュームです。1ヶ月で準備するのは結構大変ですよ。
佐藤

佐藤

編集長

うわー、じゃあ公募が始まる前から準備しておかないと厳しいですね。
室谷

室谷

代表取締役

全くその通りです。今回の公募が終わったとしても、NEDOの事業に関心があるなら、今から次回の公募に向けて研究計画の構想を練っておくのが賢い戦略です。

審査で評価されるポイントは?

審査の観点を先取りチェック

佐藤

佐藤

編集長

審査ではどんなところが見られるんですか?
室谷

室谷

代表取締役

jGrantsには審査基準の詳細が載っていないので、あくまで一般論ですが、NEDOの委託事業には共通する評価ポイントがあります。これを押さえておきましょう。
佐藤

佐藤

編集長

「費用対効果」って、要するに安く上げろってことですか?
室谷

室谷

代表取締役

そうではありません。適正な予算で最大の成果を上げる計画になっているか、という観点です。過大な予算を要求するのはもちろんダメですが、逆に安すぎて実現性に欠ける計画も評価が下がります。現実的な積算が求められます。

攻略のコツを伝授

佐藤

佐藤

編集長

じゃあ、採択されるためのコツってありますか?
室谷

室谷

代表取締役

いくつかあります。まず、研究開発項目との整合性を明確にすること。今回の公募は「水電解技術開発ロードマップの改定」ですから、あなたの研究がロードマップのどの部分を改定するのか、具体的に示す必要があります。
佐藤

佐藤

編集長

なるほど。ロードマップありきで、それに沿った提案が必要と。
室谷

室谷

代表取締役

そうです。次に、DX技術の活用を具体的に示すこと。本事業はDX技術の活用を強調しています。AIや機械学習、シミュレーション、データ駆動型研究など、デジタル技術をどう使うのかを具体的に書きましょう。
佐藤

佐藤

編集長

あと、やっぱり実績が重要ですか?
室谷

室谷

代表取締役

もちろん過去の研究実績は見られます。しかし、新しい挑戦も評価されるのがNEDO事業の特徴です。特にスタートアップや大学発ベンチャーの場合、斬新なアイデアと熱意が伝われば、実績が少なくてもチャンスはあります。

よくある質問(FAQ)

Q1: 個人事業主でも応募できますか?

佐藤

佐藤

編集長

ここでよくある質問をまとめておきましょう。まず、個人事業主でも応募できるんでしょうか?
室谷

室谷

代表取締役

jGrantsの対象業種には「学術研究、専門・技術サービス業」とあるので、個人事業主でも該当する可能性はあります。ただし、研究開発の規模や体制を考えると、法人格を持っていた方がスムーズかもしれません。公募要領で確認してください。
佐藤

佐藤

編集長

大学の研究者はどうですか?大学として応募するんですか?
室谷

室谷

代表取締役

大学の場合は、研究機関としての法人格で応募します。教授個人ではなく、大学の研究プロジェクトとして申請することになります。NEDOと大学の間で委託契約を結ぶ形式です。

Q2: 複数の企業でコンソーシアムを組めますか?

佐藤

佐藤

編集長

複数の会社で共同研究したい場合、コンソーシアム形式でも応募できますか?
室谷

室谷

代表取締役

可能です。むしろNEDOは産学連携や企業間連携を推奨しています。研究開発項目によっては、単独の企業より複数の機関が連携した方が高い評価を得られるでしょう。代表となる幹事会社を決めて申請する形になります。

Q3: 採択されたら必ず研究を完了しないといけませんか?

佐藤

佐藤

編集長

採択された後の義務って何ですか?途中で辞退できますか?
室谷

室谷

代表取締役

契約を結んだ以上、途中辞退は原則として認められません。ただし、どうしても研究を継続できない合理的な理由がある場合は、NEDOと協議の上で契約を解除することも可能です。その場合、それまでに使った経費の返還が必要になることもあります。安易な応募は禁物です。

Q4: 採択率はどのくらいですか?

佐藤

佐藤

編集長

最後に、採択率を教えてもらえますか?
室谷

室谷

代表取締役

これがですね…今回の公募情報には採択率の記載がありません。NEDOの公募はテーマや年度によって倍率が大きく異なります。人気テーマだと数倍から十数倍になることも。重要なのは倍率を気にするより、質の高いプロポーザルを書くことです。
佐藤

佐藤

編集長

確かに。数字を気にするより、中身で勝負ですね。

まとめ:応募前に確認すべきこと

佐藤

佐藤

編集長

最後に、この公募のポイントをまとめてください。
室谷

室谷

代表取締役

はい。この記事のポイントをまとめた図をご覧ください。
佐藤

佐藤

編集長

わかりやすい!特に「補助金ではなく委託事業」という点は重要ですね。
室谷

室谷

代表取締役

そうなんです。補助金と違って、委託事業はNEDOが研究を発注する形です。だから金額もケースバイケース。自分の研究にどれだけの価値があるかを、しっかりアピールする必要があります。
佐藤

佐藤

編集長

最後に、読者へのアドバイスをお願いします。
室谷

室谷

代表取締役

まずはNEDOの公募ページから公募要領をダウンロードしてください。今回の記事では紹介しきれなかった詳細な応募要件や経費の取り扱いが書いてあります。そして、もし今回の公募期間に間に合わなくても、次年度の公募に向けて準備を始めることをおすすめします。NEDOの事業は毎年行われますから、今から研究計画の構想を練って、関係者と相談しておくことが合格への近道です。
佐藤

佐藤

編集長

なるほど。これから準備する人も、ぜひ参考にしてください。室谷さん、今日はありがとうございました!
室谷

室谷

代表取締役

ありがとうございました!水素技術で日本の未来を切り拓く、そんな挑戦を応援しています。