室谷さん、またNEDOが新しい公募を出しましたね。「クリティカルマテリアルのサプライチェーン強靱化に関する調査」。タイトルだけで頭が痛くなりそうです(笑)。これ、いったい何の調査なんですか?
佐藤さん、おっしゃる通り難しい名前ですよね(笑)。でも中身を紐解くと、すごく重要な事業なんです。一言で言うと、モーターや蓄電池、半導体の生産に欠かせない「クリティカルマテリアル」、つまり重要鉱物のサプライチェーンをどう強くするかを調査するプロジェクトです。
なるほど。でも「調査」ということは、研究開発とか設備投資の補助金とはちょっと違うんですか?
その通りです。この事業は**「調査等」という類型**で、補助金というより委託事業に近いイメージですね。実際に工場を建てるとか機械を買うのではなく、政策や技術の動向を調べ、分析し、提案するというのが主な仕事になります。
へえー。それでNEDOの公募ページを見ると、事業期間が「2026年度」って書いてありました。つまり今年度中に調査を完了させるってことですね。
ええ。なぜ今この調査が必要かというと、近年の世界情勢の激変が背景にあります。米中二極化やウクライナ侵攻などで、クリティカルマテリアルのサプライチェーンを取り巻く環境が大きく変わったんです。
レアアースとかリチウムとか、特定の国に依存してる材料のことですよね。
そうです。各国が産業基盤強化のための取り組みを活性化させている中で、日本としてもサプライチェーンの強靱化が急務になっています。そこで本調査では、大きく分けて3つの項目について調べることになっています。
まず1つ目が、各国の政策・業界・技術動向に関する調査。世界で何が起きているのかを把握する。2つ目が、中長期的なサプライチェーン強靱化に向けて取り組むべきマテリアル技術領域を抽出するための分析手法の調査。3つ目が、持続的なサプライチェーン構築のためのエコシステムに関する調査です。
つまり、現状分析から未来の戦略立案まで一気通貫でやるってことですね。これはコンサルティング会社とかシンクタンク向けの公募ですか?
そうとも言えますね。ただ公募要領には対象者として「企業(団体等を含む)、大学等」と明記されています。つまり研究機関や大学の研究者でも応募可能です。
実際のところ、去年(2025年)も同じような調査が公募されてましたよね。今年度版との違いは何でしょう?
さすが佐藤さん、よくご覧になってますね。2025年度版と2026年度版では、調査項目のニュアンスが少し変化しています。2025年度版では「サプライチェーンの可視化、リスクの把握・分析」が明記されていましたが、2026年度版では「中長期的な強靱化に向け取り組むべきマテリアル技術領域を抽出するための分析手法」に重点が移っています。
なるほど。より具体的な技術領域の特定を求めているんですね。これは結構高度な分析力が必要そうです。
本調査の3本柱各国動向調査
クリティカルマテリアルのサプライチェーン分析に必要な、各国の政策・業界・技術動向を調査
技術領域抽出
中長期的なサプライチェーン強靱化に向け取り組むべきマテリアル技術領域を抽出する分析手法を調査
エコシステム調査
持続的なクリティカルマテリアルのサプライチェーン構築のためのエコシステムについて調査
ここで一番気になるお金の話なんですが…公募ページを見ると「補助上限額:-」「補助率:-」って書いてあります。これ、空欄なんですけど(笑)。
佐藤さん、鋭いですね(笑)。実はこの公募、補助上限額も補助率も公式には明示されていません。
えっ、マジですか!それってどうやって予算計画立てろと?金額がわからないのに応募しろって無理じゃないですか?
おっしゃる通り、一見すると不安ですよね。ただ、これはNEDOの「調査等」の事業によくあるパターンで、応募者からの提案内容に応じて契約額が決まるというスタイルなんです。
つまり、こちらから「これだけの調査をします。必要な費用はこれくらいです」と提案して、NEDOと協議の上で金額が決まるんですね。
その通りです。補助金のように「上限500万円、補助率2/3」といった画一的な枠組みではなく、提案内容の質と規模に応じて委託費が決まるというのが特徴です。
でも、過去の類似調査の実績とか、相場観ってないんですか?
そこはですね、私どもが使える情報に制限がありまして(苦笑)。公式に提示されている事実以外はお伝えできないんです。ただ、一つだけ言えるのは、2025年度版の公募では説明会が開催されていて、その中で質疑応答があったはずです。
なるほど。じゃあ今年度(2026年度)の公募でも、説明会が開かれる可能性が高いと。
予告ページには説明会の記載は現時点ではありませんが、公募開始日である2026年7月13日以降に詳細がNEDOのWebサイトに掲載される予定です。そちらを注視する必要がありますね。
では、誰でも応募できるんですか?さっき「企業、大学等」って言ってましたけど、個人事業主でも大丈夫なんですか?
公募情報には「対象者:企業(団体等を含む)、大学等」と書かれています。つまり個人事業主でも応募は可能です。ただし、**対象業種が「学術研究、専門・技術サービス業」**に限定されています。
つまり、一般的な小売業や飲食業では応募できないということですね。
その通りです。あくまで調査研究や技術コンサルティングを生業としている事業者がメインのターゲットになります。具体的には、シンクタンク、コンサルティング会社、大学の研究室、研究開発型の企業などが想定されます。
うーん、うちの会社も事業内容的にはギリギリかもしれません。でも「専門・技術サービス業」って結構広いですからね。
ここが朗報です。**従業員数については「従業員数の制約なし」**と明記されています。
おお、それはいいですね!大手も中小も関係なく、同じ土俵で戦えると。
はい。また、資本金に関する制約も特に記載がありません。つまり、会社の規模に関わらず、調査能力と実績がものを言う公募だと言えます。
じゃあ、うちのような小さな会社でも、ちゃんとした調査計画書を出せば採択される可能性があるんですね。
その可能性は十分にあります。ただし、提案する調査内容がNEDOの求める水準に達しているかどうかが勝負どころです。
主な対象者と要件- 学術研究、専門・技術サービス業に該当
- 従業員数の制約なし
- 資本金の制約なし
- GビズIDプライムまたはメンバーが必要
- 国公私立大学、高等専門学校等
- 研究室単位での応募も可能
- 研究計画の明確化が必要
- GビズIDは機関で取得可能
はい。応募受付はJグランツ(jGrants)上で行われます。そのため、GビズIDプライムまたはGビズIDメンバーのアカウントが必須です。
これ、取得に時間かかるんですよね。確か2週間くらい見といた方がいいって聞いたことがあります。
そうなんです。公募期間が2026年7月13日から8月7日までと、約1ヶ月間と短いので、今から準備しておかないと間に合わない可能性があります。
マジですか!じゃあ応募を考えてる人は、すぐにでもGビズIDの申請を始めた方がいいですね。
その通りです。特に法人の場合は登記情報の確認などが必要なので、最低でも1ヶ月前には手続きを始めることをおすすめします。
さて、もし採択されたとして、具体的にどんな費用が調査経費として認められるんですか?
そこがまたこの公募の特徴で、公式には具体的な経費のリストが提示されていません。
え、またですか(笑)。じゃあ何に使っていいか全くわからないじゃないですか。
落ち着いてください(笑)。一般的なNEDOの委託事業の考え方からすると、調査に直接必要な経費が対象になります。具体的には、人件費、旅費、謝金、備品費、消耗品費、借料、印刷製本費、翻訳通訳料、委託費などです。
なるほど。つまり、調査を遂行するために必要な経費は一通り認められる可能性が高いと。
はい。ただし、設備投資のような大きな機械を買うための費用は対象外になるのが一般的です。あくまで「調査」ですから、文献調査やインタビュー調査、データ分析などにかかる費用が中心になります。
じゃあ、例えば海外の鉱山を視察するための旅費とかも大丈夫なんですか?
調査目的で必要と認められれば、海外旅費も対象になる可能性はあります。ただし、公募要領や仕様書に明記されている範囲内での執行が求められます。
具体的にどこまでがOKでどこからがNGか、応募段階で確認しておかないと怖いですね。
そうですね。提案段階で調査計画と見積もりを詳細に記載し、NEDOと協議の上で合意を得ることが重要です。後から「この経費は対象外です」と言われないように、しっかり確認しましょう。
経費の目安(一般的なNEDO委託事業の例)- 人件費(調査担当者の給与相当分)
- 旅費(国内・海外調査の交通費・宿泊費)
- 謝金(有識者へのインタビューなど)
- 消耗品費(文房具・データ購入費)
- 借料(会議室・レンタル機材)
- 翻訳通訳費(海外資料の翻訳など)
×デメリット
- 設備投資(機械・備品の購入)
- 土地・建物の取得費
- 間接費の過大計上
- 交際費・接待費
- 公募要領に明記されていない経費
じゃあ、実際に応募するときの手順を教えてください。何から始めればいいですか?
まず大前提として、今年度(2026年度)の公募は予告段階です。現時点で公開されているのは予告情報であり、本公募は2026年7月13日から2026年8月7日までです。
最初のステップは、NEDOのWebサイトで最新情報を確認することです。特に、公募要領と仕様書が公開されたら、必ずダウンロードして熟読してください。
次に、提案書類の作成です。2025年度版では、提案書類(様式)が152KBのファイルとして提供されていました。この様式に従って、調査計画、実施体制、所要経費などを詳細に記載します。
過去の事例から言うと、数十ページに及ぶことも珍しくありません。特に、調査の背景、目的、方法、期待される成果、実施体制、スケジュール、経費の内訳などを具体的に書く必要があります。
書類が完成したら、Jグランツ上のWeb入力フォームから必要情報を入力し、提案書類をアップロードします。
ダメです。持参・郵送・FAX・メール等による応募は受け付けていません。必ずJグランツからの電子申請のみが認められています。
NEDOと委託契約を締結します。契約期間は、NEDOが指定する日から2026年3月31日までです。調査期間中は、定期的な進捗報告が求められます。
申請から契約までの流れ- 1
GビズIDの取得
事前にGビズIDプライムまたはメンバーのアカウントを取得。最低1ヶ月前から準備
- 2
公募要領の確認
NEDO Webサイトから公募要領・仕様書をダウンロードし、要件を確認
- 3
提案書類の作成
調査計画、実施体制、所要経費を詳細に記載。数十ページに及ぶことも
- 4
Jグランツで応募
Web入力フォームから必要情報を入力し、提案書類をアップロード。期間は2026/7/13~8/7
- 5
審査・採択
NEDOによる審査。採択者は契約手続きへ
- 6
委託契約の締結
NEDOと委託契約を締結。指定日から2026年3月31日までが事業期間
審査って、具体的にどんな基準で行われるんですか?やっぱり価格競争なんですか?
そこがこの公募のミソです。公式には明確な審査基準が示されていません。ただし、一般的なNEDOの委託事業の審査では、技術的な内容の優位性と、提案者の遂行能力が重視されます。
まず、提案する調査内容がNEDOの求める要件に合致しているかが最も重要です。今回の調査では、3つの大きな柱(各国動向調査、技術領域抽出、エコシステム調査)がありますが、これらをどう調査するのか、具体的かつ論理的な計画が必要です。
なるほど。漠然とした「調査します」じゃなくて、誰に、いつ、どうやって、何を調べるのかが明確でないとダメだと。
次に、調査を遂行できるだけの体制が整っているかも重要です。研究員の専門性、過去の実績、ネットワークなどが評価されます。
うちみたいな小規模企業だと、人材面で不安がありますね。
そこで有効なのが、大学や他の研究機関との連携です。例えば、大学の研究者を共同研究者として巻き込むことで、専門性を補完できます。
そして、提案する経費が妥当かどうかも審査の対象です。過大な見積もりはもちろん、安すぎる見積もりも「本当に調査が遂行できるのか」と疑われます。
価格競争になりにくいというのは、品質重視の観点からは良いですね。
ここまでの話で、大まかな流れはわかりました。でもまだ疑問がいくつかあります。
どんなことでも聞いてください。わかる範囲でお答えします。
まず、同じテーマで複数の応募があった場合、どうなるんですか?
一般論として、NEDOは最も優れた提案を1件採択することが多いです。ただし、調査範囲が広い場合は、複数の事業者に分割して委託することもあり得ます。
過去に同じ調査を実施した事業者は、採択されやすいんですか?
実績は確かに有利に働く可能性がありますが、新規参入が排除されるわけではありません。むしろ、斬新な視点や新しい分析手法を提案できる事業者は、高く評価される可能性があります。
公募期間が1ヶ月しかないですが、提案書の作成は間に合いますか?
正直、1ヶ月は非常にタイトです。特に、調査計画を練り、協力体制を構築し、見積もりを取得するには、普段から準備を進めておく必要があります。
採択されなかった場合、フィードバックはもらえますか?
NEDOの一般的な慣行として、不採択理由の開示は限定的な場合が多いです。ただし、公募要領に記載があれば、その範囲内で確認できます。
一般的に、NEDOの調査事業の成果は、報告書として公開されることが多いです。ただし、契約内容によっては、一部非開示の部分もあるかもしれません。
締切までに何をすればいいのか、具体的なタイムラインを教えてください。
まず、現時点(2026年6月)でできることは、情報収集とGビズIDの準備です。予告ページが公開されているので、公募開始日(2026年7月13日)を待ちましょう。
まず、GビズIDの取得手続きを開始してください。まだの方は、今すぐにでも動き出した方がいいです。
調査計画の骨子を考えておくことです。クリティカルマテリアルのサプライチェーンについて、どのような切り口で調査するか、仮説を立てておくと、公募要領が出た後の作業がスムーズになります。
公募が開始されたら、即座に公募要領をダウンロードして内容を確認します。特に、**提出期限(2026年8月7日)**を必ず確認してください。
そうなんです。提案書の作成には最低でも2〜3週間かかると見ておいた方がいいです。特に、見積もりの取得には時間がかかることが多いので、早めに動きましょう。
そして、提出期限直前はアクセスが集中してシステムが混雑する可能性があります。余裕をもって、期限の2〜3日前には提出を完了しておくことをおすすめします。
なるほど。ギリギリだと、システムトラブルで提出できなかったってことになりかねないですね。
2026年度 公募スケジュール2026年6月19日
予告公開
NEDO Webサイトで予告情報が公開。詳細は本公募で確認
2026年7月13日
公募開始
公募要領・仕様書が公開。Jグランツで応募受付開始
2026年8月7日
提出締切
正午(JST)必着。余裕をもって提出すること
2026年7月〜8月
審査期間
NEDOによる審査。採否の連絡は未定
採択後〜2027年3月31日
事業期間
委託契約締結後、調査を実施。2026年度中に完了
最後に、室谷さんから見て、この調査の魅力を一言で言うと何ですか?
一言で言うなら、**「日本の産業競争力の根幹に関わる重要な調査に、直接関われるチャンス」**ですね。
この調査の面白いところは、単なる文献調査ではなく、政策提言にまでつながる可能性があるという点です。調査結果が実際の政策や、その後の大規模な研究開発プロジェクトの方向性を左右することもあります。
つまり、自分たちの調査が、日本の産業政策に影響を与えるかもしれないんですね。
その通りです。特に、クリティカルマテリアルは半導体や蓄電池、モーターなど、日本の基幹産業に直結するテーマです。ここで質の高い調査を提供できれば、大きな社会的インパクトを生み出せます。
最後に、応募を検討している事業者へのアドバイスをお願いします。
まず、自分の強みを明確にすることです。あなたの組織は、この調査にどんな独自の視点や知見を提供できますか?差別化できるポイントをしっかりと打ち出しましょう。
なるほど。そして、計画は具体的にということですね。
はい。「調査します」だけではダメです。「誰にインタビューするのか」「どんなデータを収集するのか」「どう分析するのか」を、可能な限り具体的に書き込んでください。
そして、期限に余裕を持って準備することも忘れずに。
そうです。GビズIDの取得は今すぐ、公募要領の確認は公開後すぐに、そして提案書の作成は計画的に。この3つを守れば、万全の体制で臨めるはずです。
室谷さん、今日は本当に詳しく解説していただき、ありがとうございました!この記事を読んだ事業者の皆さん、ぜひチャレンジしてみてくださいね!
こちらこそ、ありがとうございました!皆さんのご応募を心から応援しています!