室谷さん、今日のテーマは「SDS電子化補助金」ですよね。SDSって、なんだか化学っぽい響きですが…。
室谷: そうですね(笑)。SDSは、化学物質の危険性・有害性情報を伝えるための仕組みです。労働安全衛生法で通知が義務づけられている、まさにあの情報ですよ。
佐藤: ああ、工場で取り扱う薬品などの安全管理情報ですね。それが電子化の対象なんですか?
室谷: はい。この補助金は、標準フォーマットによる電子データでの出力及び入力に対応したシステムの導入、あるいは既存システムへの機能追加にかかる費用を支援します。
佐藤: 紙ではなく電子データでやり取りするためのシステム、ということですか。なるほど!
室谷: そのとおりです。正式な制度名は「令和8年度SDS電子化補助金」で、事業名は「SDS電子化補助金事業」。jGrantsという補助金ポータルで情報が公開されています。
そもそも、なぜこの電子化を後押しするんですか?
室谷: 目的は、SDSによる危険性・有害性情報の迅速・的確な通知を図ること。そして、化学物質による労働災害の防止に資する、とされています。
佐藤: 情報が素早く正確に伝われば、現場の事故も防げる。そういう理屈ですね。
室谷: ええ。そのためのシステム導入費用の一部を国が補助する、というスキームです。厚生労働省の公募要領によると、令和8年度の予算額(案)は330,393千円。間接補助金として270,000千円以上を確保する方針です。
佐藤: おお、それなりの規模感がありますね!予算が3億円超えって、けっこう大きいのでは?
室谷: そうですね。ただし、この事業は「令和8年度当初予算の成立が前提」と明記されています。予算の状況次第で内容が変わり得る点は、頭に入れておいてください。
SDS電子化補助金の3つの特徴上限100万円・補助率2分の1
補助対象経費の1/2と上限100万円のうち、小さい額を交付
新規導入も機能追加も対象
標準フォーマット対応システムの導入、または既存システムへの出入力機能の追加
対象業種は全国・20区分
製造業から医療・福祉まで、多様な業種が対象になり得る
申請できるのは、どんな事業者ですか?
室谷: 業種によって基準が4パターンに分かれています。基本は、資本金3億円以下または常時使用する労働者300人以下の法人・事業者です。
佐藤: 資本金3億円以下…けっこう大きめの企業まで入りますね!
室谷: ただし卸売業は資本金1億円以下または100人以下、サービス業は資本金5千万円以下または100人以下、小売業は資本金5千万円以下または50人以下という区分です。
佐藤: なるほど、同じ「対象者」でも業種によって線引きが違うんですね。
室谷: ええ。だから「うちは資本金2億円だから大丈夫」と単純に判断せず、自社の業種に合った基準を確認することが大事です。
佐藤: あと、条文には「補助事業者が適当と認める者」という一文もあるとか…。
室谷: よく気づきましたね。応募資格の冒頭に「補助事業者が適当と認める者」とあります。形式的な要件だけでなく、事業を適切に実施できるかも見られる、と考えておきましょう。
対象業種はどのあたりまで広いんですか?
室谷: jGrantsの一覧では、漁業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、情報通信業、複合サービス事業、サービス業、公務、分類不能の産業、農業・林業、鉱業・採石業・砂利採取業、運輸業・郵便業、卸売業・小売業、金融業・保険業、不動産業・物品賃貸業、学術研究・専門・技術サービス業、宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス業・娯楽業、教育・学習支援業、医療・福祉…と20区分が並んでいます。
佐藤: 20区分!てっきり製造業が中心かと思ってました。飲食や教育、金融まで入ってるんですか?
室谷: 入っています。ほぼ全産業に近いんじゃないでしょうか。自分の業種が載っているか、まずは一覧で確認してみてください。
佐藤: 対象地域はどうなってますか?
室谷: 全国です。所在地を問わず申請を検討できる可能性があります。
jGrantsの一覧には「従業員数の制約なし」という表示もあるそうですが…。
室谷: そこは要注意です。一覧画面ではそう見えても、応募資格の欄には業種ごとの従業員数基準が明記されています。
佐藤: どっちを信じればいいんですか?(笑)
室谷: 表示と中身が食い違う場合は、公募要領で要確認、が鉄則です。この制度も、応募資格の条文を優先して読んでください。
佐藤: なるほど。画面表示だけで判断するのは危険ですね。個人事業主の場合はどうですか?
室谷: 応募資格には「法人である事業者」または「常時使用する労働者の数が基準以下の事業者」とあります。条文の読み方によって該当の可能性はありますが、詳しい解釈は公募要領で確認してください。
肝心の補助額はいくらですか?
室谷: 補助上限額は100万円です。補助率は「補助金上限額と補助対象経費の1/2のうち小さい額」となっています。
佐藤: ちょっと待ってください。「補助率」じゃなくて「小さい額」って書いてあるんですね。
室谷: そうなんです。この制度は、経費の半分と上限100万円を比べて、小さいほうを支給する仕組みです。
佐藤: つまり、経費が少なければその半分がもらえて、経費が多ければ100万円で頭打ちになると。
室谷: その理解でOKです。たとえば補助対象経費が80万円なら、その半分の40万円。経費が300万円なら半分は150万円ですが、上限の100万円で止まります。
佐藤: なるほど!経費が200万円あれば、ちょうど満額の100万円になる計算ですね。イメージがつかめました!
式にすると、どう書けばいいですか?
室谷: 支給額=「補助対象経費 × 1/2」と「100万円」のうち小さいほう。これだけです。
佐藤: シンプル!それなら事前に計算しやすいですね。
室谷: ただ、肝心なのは「補助対象経費」に何が含まれるかです。ここを押さえないと、見込みと実際の額がズレますよ。
佐藤: あと、補助金って「返さなくていい」というイメージなんですが…。
室谷: 補助金の支払い条件や時期は、制度によって異なります。この制度の場合は、公募要領・交付要綱で確認してください。思い込みで資金計画を立てるのは禁物です。
佐藤: そこはちゃんと要領を読む、と。肝に銘じます!
補助対象になるのは、どんな費用ですか?
室谷: 大きく2つです。1つ目は、標準フォーマットによる電子データでの出力及び入力に対応したシステムの導入にかかる費用。2つ目は、既存システムへの標準フォーマット形式による危険性・有害性情報等の出入力等の機能追加にかかる費用です。
佐藤: 新規にシステムを入れる場合も、今あるシステムに機能を足す場合も、どちらも対象になり得るんですね。
室谷: そうです。自社の状況に合わせて選べるのは大きなポイントですね。
佐藤: jGrantsには利用目的として「販路拡大・海外展開をしたい」「雇用・職場環境を改善したい」「設備整備・IT導入をしたい」と出ていますよ。
室谷: そうですね。SDSの電子化はIT導入であり、職場環境の改善にもつながります。取引先との情報共有がスムーズになれば、販路拡大や海外展開の下準備にもなり得る。だからこそ、この3つの目的が掲げられているのでしょう。
逆に、対象にならない経費は?
室谷: ここは、提示されている情報だけでは判断できません。対象外経費の具体的なリストは公募要領で要確認です。
佐藤: システム導入とひと口に言っても、パソコン本体や周辺機器、保守費用など、細かい項目がたくさんありますよね。
室谷: そうなんですよ。「IT関連なら入るだろう」と考えるのは危険です。制度によって対象経費の線引きは細かく違いますから。
佐藤: 申請前に、要領の経費の欄をじっくり読むのが近道ですね。
室谷: まさにそのとおり。あとは、見積書などの関係書類をどうそろえるかも重要です。申請様式の案内に沿って準備しましょう。
対象経費のチェックポイント- 標準フォーマットによる電子データの出力・入力に対応したシステムの導入費用
- 既存システムへの標準フォーマット形式による危険性・有害性情報等の出入力機能の追加費用
×デメリット
- 対象外経費の詳細は公募要領・交付要綱で要確認
- 見積書など関係書類の整備が必要(詳細は申請様式の案内で確認)
申請期間はいつですか?
室谷:
2026年8月1日から2026年11月30日までです。令和8年度(2026年度)の募集ですね。
佐藤: けっこう期間が長いんですね。夏から秋にかけて、ですね。
室谷: ええ。ただし、その前に厚生労働省が執行団体を公募する段階があります。そちらの公募期間は
令和8年4月6日から4月21日までとされています。
佐藤: えっ、申請者向けの募集の前に、運営する団体を先に決めるんですか?
室谷: そうなんです。この補助金は「間接補助金」の仕組み。国から補助事業者(執行団体)へ交付し、その団体が事業者へ間接補助金を交付する流れです。
佐藤: なるほど。だから問い合わせ先も、執行団体になる可能性のある団体なんですね。
室谷: 問合せ先として記載されているのは、公益社団法人 全国労働衛生団体連合会です。電話は03-6453-9969。公式ページの参照URLは
https://www.zeneiren.or.jp/ です。
SDS電子化補助金の申請ステップ- 1
公式ページを確認
jGrantsで公募要領・申請様式・交付要綱を確認
- 2
応募資格をチェック
自社の業種に応じた資本金・従業員数の基準を確認
- 3
対象経費と書類を準備
システム導入・機能追加の見積書などをそろえる
- 4
申請を提出
jGrantsにログインして申請(代理申請は不可)
- 5
審査・交付決定
書類審査のうえ、採択・交付決定の手続きへ
- 6
申請してから交付までは、どんな流れですか?
室谷: 執行団体の選定スケジュールを見ると、公募締切(令和8年4月21日)→応募書類の審査→評価委員会→補助事業者の採択→交付申請書の提出→交付決定→補助事業の実施、という流れが示されています。
佐藤: なるほど。執行団体が決まってから、申請者向けの募集期間に入るわけですね。
室谷: そのとおりです。申請者側の細かいスケジュールや審査期間は、公募要領で要確認です。
佐藤: 2026年8月1日の受付開始までに、準備を終えておくのが良さそうですね。
室谷: そうですね。ゆとりをもって、書類を整えておきましょう。
制度のスケジュール2026年4月6日〜4月21日
執行団体の公募期間
厚生労働省が補助事業者(執行団体)を公募
2026年8月1日〜11月30日
申請者向け募集期間
jGrantsから申請を受け付け
2027年3月31日まで
執行団体の補助事業期間
原則として単年度。詳細は公募要領で確認
採択されるためのポイントってありますか?
室谷: 申請者向けの審査基準は公募要領に示されます。ただ、この制度の目的を踏まえると、SDSの情報を迅速・的確に通知する仕組みを本当に導入できる計画かどうかが問われるはずです。
佐藤: つまり、システムを入れること自体が目的になっていないか、ですね。
室谷: ええ。化学物質による労働災害の防止につながる計画であることを、書類の上でしっかり伝えることが大事です。
佐藤: 具体的には、何を準備すればいいですか?
室谷: まず、応募資格の要件を満たすことを証明できる書類をそろえること。次に、対象経費が正しく計上されているか確認すること。この2点は外せません。
申請するとき、よくあるつまずきは?
室谷: 情報の誤りは致命的です。特に、資本金や従業員数の区分を誤って申請するケースは要注意ですね。
佐藤: ああ、卸売業なのに基本区分の3億円・300人で申請しちゃう、みたいなミスですね。
室谷: そういうことです。自社の業種が卸売業・サービス業・小売業に該当するなら、それぞれの基準で確認してください。
佐藤: 判断に迷ったら、どうすればいいですか?
室谷: 問い合わせ先の**公益社団法人 全国労働衛生団体連合会(03-6453-9969)**に確認するのが確実です。私も実際に手続きするなら、迷わず電話しますね(笑)。
ここからは、よくある質問を確認していきたいと思います。
室谷: どうぞ!代表的なものをお答えしますね。
佐藤: まず、対象業種に「公務」とありますが、自治体などでも申請できるんでしょうか?
室谷: jGrantsの対象業種には「公務(他に分類されるものを除く)」も含まれています。ただ、応募資格は法人・事業者向けの書き方ですので、該当するかは公募要領で確認してください。
佐藤: 次に、100万円の上限は絶対に超えない、という理解でいいですか?
室谷: はい、補助上限額は100万円です。ただし「補助対象経費の1/2と比べて小さい額」という条件もありますから、必ず100万円がもらえるとは限りません。
佐藤: そこが肝心ですね。最後に、問い合わせ先を教えてください。
室谷:
公益社団法人 全国労働衛生団体連合会、電話は03-6453-9969です。参照URLは
https://www.zeneiren.or.jp/ です。
募集期間中なら、いつ申請しても同じですか?
室谷: 募集期間は2026年8月1日から11月30日までとされています。期間内かどうかはもちろん重要ですが、書類の準備には時間がかかるため、早めに動き始めるのが得策です。
佐藤: 焦って出すより、余裕をもって準備する、と。
室谷: ええ。あと、この制度は令和8年度当初予算の成立が前提です。募集内容が変更になる可能性もある、という点だけは覚えておいてください。
佐藤: そこも注意ポイントですね。では、申請を検討するときの最初の一歩は?
室谷: 公式ページで公募要領を確認すること。これに尽きます。
最後に、基本情報をまとめてもらえますか?
室谷: もちろんです。表にしておきました。
ありがとうございます!これで全体像がつかめました。
室谷: どういたしまして。補助上限額の100万円は、システム導入の後押しとしては大きいですからね。
改めて、申請を検討するなら何から始めればいいですか?
室谷: まずは公式ページで公募要領を確認すること。募集期間は2026年8月1日から11月30日までですが、準備はぜひ早めに始めてください。
佐藤: その上で、自分の業種・資本金・従業員数を照らして、対象経費の計画を立てる、と。
室谷: 完璧です。SDSの電子化は、化学物質による労働災害の防止につながる取り組みです。制度をうまく活用して、安全な職場づくりを進めていきましょう!