室谷さん、今日のテーマは「東京都就職氷河期世代等安定就業サポート助成金」です。名前がすごく長い(笑)。まずこれ、どんな制度なんですか?
就職氷河期に就職の機会を逃したことなどでキャリア形成が十分にできず、正規雇用としての就職が難しい人を、正規雇用労働者として雇い、計画的に育成する環境を整えた中小企業に、東京都が助成金を交付する制度です。補助率は100%、上限は240万円です。
補助率100%って、かなり太っ腹ですね!でも「雇うだけでOK」ではないんですよね?
そうです。3か月間の支援期間中に、指導育成計画の策定、メンターの選任・指導、研修の実施、という取組を行った事業主が対象です。長く働き続けられる労働環境の整備が目的ですから、形だけの雇用では通りません。
なるほど。働く人を「雇って終わり」ではなく、ちゃんと定着させるところまで見られる制度なんですね。
令和8年度から変わる点があると聞きましたが、どこが変わったんですか?
まず助成金の名前が変わりました。令和7年度までは「就職氷河期世代等待遇向上支援助成金」だったのが、令和8年度から「就職氷河期世代等安定就業サポート助成金」になっています。
なるほど、「待遇向上」から「安定就業サポート」に変わったんですね。ほかには?
1年度につき1つの雇用保険適用事業所ごとに申請できる対象労働者数が、3名から5名に増えました。さらに新たに「介護支援制度整備加算」が創設されています。
3名から5名に増えるのは大きいですね!上限240万円への道も広がりそうです。
そうですね。「退職金」「結婚・育児」に加えて「介護」の制度整備でも加算が受けられるようになったのは、新しくなったポイントです。
制度の3つの特徴補助率100%・上限240万円
加算を合わせると上限240万円。対象労働者数と加算の組み合わせで決まる
2つのコースを用意
正規雇用等コースと安定有期雇用コースがある
3か月の支援期間
指導育成計画・メンター・研修の3点セットを実施
では、具体的な金額を教えてください。まず「正規雇用等コース」はいくらですか?
対象労働者数に応じて、1人なら30万円、2人なら60万円、3人なら90万円、4人なら120万円、5人なら150万円です。1人あたり30万円の計算ですね。
正規雇用等コースには4つの加算があります。退職金制度整備加算10万円、結婚・育児支援制度整備加算10万円、介護支援制度整備加算10万円、賃上げ加算が1人12万円です。5人分なら60万円まで乗ります。
| 対象労働者数 | 助成金額 |
|---|
| 1人 | 30万円 |
| 2人 | 60万円 |
| 3人 | 90万円 |
| 4人 | 120万円 |
| 5人 | 150万円 |
安定有期雇用コースだと、1人20万円、2人40万円、3人60万円、4人80万円、5人100万円です。正規雇用等コースより1人あたり10万円低くなります。
安定有期雇用コースのみの場合は、加算はありません。そこは注意が必要です。
2コースの比較| 項目 | 正規雇用等コース | 安定有期雇用コース |
|---|
| 1人のとき | 30万円 | 20万円 |
| 5人のとき | 150万円 | 100万円 |
| 加算 | 退職金・結婚育児・介護・賃上げあり | なし |
正規雇用等コースで5人を雇い、退職金・結婚・育児・介護の各制度整備加算10万円×3と、賃上げ加算60万円をすべて満たせば、150万円+90万円で240万円になります。
支援期間中に対象労働者の時間単価を60円以上賃上げし、かつ賃上げ後の時間当たり賃金が東京都の最低賃金を60円以上上回っていることが必要です。金額が絡む部分なので、詳細は申請の手引きでしっかり確認してください。
誰でも申請できるわけではないですよね。まず事業主側の条件を教えてください。
中小企業事業主であること、東京労働局管内に雇用保険適用事業所があることが大前提です。そのうえで、国の「特定求職者雇用開発助成金(中高年層安定雇用支援コース又は就職氷河期世代安定雇用実現コース)」の支給決定を受けているか、都の就職支援事業を利用して対象労働者を採用したことが必要です。
国の助成金か、都の就職支援事業か。どちらかでOKなんですね。
はい。ただし「その他要件あり」と明記されています。申請前に必ず最新の手引きで確認してください。業種も農業、林業、漁業、建設業、製造業、情報通信業、運輸業、卸売・小売業、金融・保険、不動産、教育、医療・福祉など多岐にわたります。
都の就職支援事業って、具体的にどんなものがありますか?
就活エクスプレス、ミドルチャレンジ(Jobトライ)、東京しごと塾、就職チャレンジ多摩(ミドルコース)、雇用創出・安定化支援事業、ものづくり産業人材確保支援事業、成長産業人材雇用支援事業、キャリアチェンジ再就職支援事業の8事業があります。
8つもあるんですね。この中のどれかを利用して採用されれば対象になる可能性がある、と。
そうです。同事業を都から受託(再受託含む)する事業者から職業紹介を受け、対象労働者を正規雇用労働者として採用することが要件です。非正規雇用で採用後6か月未満で正規転換するケースも含まれます。
雇う側の条件はわかりました。対象になる労働者にはどんな要件がありますか?
大きく3パターンあります。1つ目は正規雇用労働者として採用された場合で、採用日から支援期間終了の日まで同一事業主との正規雇用契約が続き、都内の事業所に継続して勤務・在籍していることです。
有期雇用労働者として採用された日から6か月未満の間に正規雇用労働者へ転換した場合です。この場合も採用日から支援期間終了まで、同一事業主に正規雇用として継続して勤務・在籍していることが必要です。
有期雇用労働者として採用され、そのまま継続して雇用されている場合です。採用日から支援期間終了まで同一事業主に有期雇用として在籍し、都内の事業所で勤務・在籍していること。さらに、申請事業主がその有期雇用労働者を社会保険に加入させている必要があります。
正規雇用等コースの場合、国の就職氷河期コース等の支給対象になった労働者か、令和5年度以降(シニア世代は令和6年度以降)に都の就職支援事業へ参加し、受託事業者から職業紹介を受けて採用された労働者です。当初から正規雇用、または有期雇用で採用後6か月未満に正規転換したケース、あるいは労働契約期間が3年以上(シニアは2年以上)の有期雇用として雇用されているケースが対象です。
そういうことです。安定有期雇用コースは、労働契約期間が1年以上3年未満(シニアは1年以上2年未満)の有期雇用で就職した労働者が対象です。正規雇用等コースとは期間の線引きが違います。
コース選びを間違えると対象外になりそうなので、手引きでしっかり確認します。
助成金をもらうための「支援事業」。もう少し中身を教えてください。
支援期間3か月のうちに、3年間(安定有期雇用コースは1年間)の指導育成計画の策定、指導育成者(メンター)の選任とメンターによる指導、指導育成計画に基づく研修の実施、この3つを行います。
つまり「計画書を作って終わり」ではなく、実際に指導する人を決めて、研修までやる。結構本格的ですね。
ええ。制度化された育成の仕組みを会社に残すことが目的なので、実績報告では指導育成計画書、メンター選任・指導報告書、研修実施報告書などの提出が必要です。
退職金制度整備加算は、支援期間中に新たに退職金制度を整備し、就業規則等を労働基準監督署へ届け出た場合、または新たに中退共制度に事業主として加入した場合に10万円です。
結婚・育児支援制度整備加算も10万円です。結婚や妊娠・出産、育児に関する休暇や一時金制度を新たに整備し、就業規則等を労働基準監督署へ届け出た場合が対象。介護支援制度整備加算も、介護に関する休暇制度を新たに整備して届け出た場合に10万円です。
そのとおりです。それぞれ1事業主あたり1回のみの申請です。
この助成金は、パソコンを買ったとか研修会社に払ったとか、そういう経費の払い戻しではないんですか?
この制度は経費を精算するタイプではありません。対象労働者数と加算の組み合わせで金額が決まる定額制です。基本情報の使途も「雇用・職場環境を改善したい」ですから、設備購入の補助というより、人材育成の取組に対する助成金と考えたほうがいいです。
なるほど。だから補助率100%という表現になるんですね。
はい。支援期間に実施した内容を実績報告して、審査を経て交付されます。領収書を集めるタイプではないので、その分、整理はしやすいかもしれません。
制度の仕組みを整理- 補助率100%で上限240万円
- 対象労働者5人まで申請できる
- 加算が4種類ある
×デメリット
- 3か月の支援期間内に実績が必要
- 実績報告がないと交付されない
- 安定有期雇用コースのみは加算なし
はい。電子申請はJグランツから行います。利用にはGビズID(gBizIDプライム)のアカウントが必要です。審査があってID発行まで時間がかかることもあるので、余裕をもって準備してください。
あと、電子申請の場合は交付申請書を電子で提出したら、その後の実績報告書、撤回届、中止申請書、再提出書類もすべて電子申請です。郵送・窓口で出したら、実績報告を電子で出すことはできません。
まずGビズIDを取得し、最新の申請の手引きと様式を確認します。次に交付申請書を提出します。第4回なら令和8年8月中の受付期間です。その後、支援期間に支援事業を実施し、実績報告書を提出して、審査を経て助成金が交付されます。
支援期間に支援を実施できなかったり、実績報告期間に報告がなかったりすると、助成金の交付は受けられません。ここが最重要ポイントです。
申請の流れ- 1
GビズIDを取得
電子申請ならgBizIDプライムが必要
- 2
手引きと様式を確認
TOKYOはたらくネットから最新版を取得
- 3
交付申請書を提出
第4回は令和8年8月1日8時30分から8月31日17時15分
- 4
- 5
実績報告を提出
令和9年1月1日8時30分から1月25日17時15分
- 6
令和8年度第4回の日程をまとめるとどうなりますか?
交付申請受付は令和8年8月1日午前8時30分から8月31日午後5時15分まで。支援期間は令和8年10月1日から12月31日。実績報告受付は令和9年1月1日午前8時30分から1月25日午後5時15分までです。
ちなみにJグランツの一覧では募集期間が2026年7月31日〜8月31日と見えました。
公式詳細の受付開始は8月1日午前8時30分なので、表記にずれがあります。これは公募要領で確認してください。開始日を取り違えると大変なので、申請前に必ず最新の手引きを見るのがおすすめです。
令和8年度 第4回スケジュール令和8年8月1日 8時30分
交付申請受付開始
8月31日17時15分まで
令和8年10月1日
支援期間開始
12月31日まで
令和9年1月1日 8時30分
実績報告受付開始
1月25日17時15分まで
最後に、審査で気をつけるポイントを教えてください。
まず、書類不備で受付されないことです。交付申請時と実績報告時にそれぞれセルフチェックリストがあります。提出前にこれで確認するだけで、不備はかなり防げます。
あります。様式も「事業計画書兼交付申請書」「誓約書」「同意書」、実績報告時には「指導育成計画書」「メンター選任・指導報告書」「研修実施報告書」などがあります。全部TOKYOはたらくネットからダウンロードできます。
郵送は送達記録が残るレターパック等で送ってください。申請書類は信書に該当するので、信書の送付が禁止されているメール便や宅配便は使えません。消印有効ですが、消印がない場合は到着日扱いになります。
東京都正規雇用化推進窓口で、平日午前8時30分〜午後5時15分です。12月29日〜1月3日を除きます。FAXやメールでの申請受付や問い合わせは一切対応していないので、注意してください。
東京都正規雇用化推進窓口、就職氷河期世代等安定就業サポート助成金担当、電話03-6205-6730です。受付時間は平日8時30分から17時15分まで。ここで確認するのが確実です。
長い制度名なので、電話するときも正式名称をメモしてからにします(笑)。
TOKYOはたらくネットの該当ページからダウンロードします。郵送申請の手引きと電子申請の手引きも同じページにあります。必ず最新版を使ってください。
手引きは更新されることがあります。古い書類や古い様式を使うと受付できない可能性があるので、申請のたびに確認するのが安全です。
予算の範囲を超えた場合は、年度途中でも申請受付を終了することがあります。受付終了時はTOKYOはたらくネットで案内されます。ギリギリまで待つより、書類を早めに整えて出すのがおすすめです。
確かに、予算が尽きたら終わり、というタイプですからね。早め行動が大事です。
加えて、撤回届提出期限後は対象労働者の変更や追加はできません。事業を中止した場合は年度内の申請回数にカウントされ、交付したものとみなされます。ここも注意してください。
それでは最後に、基本情報を表でまとめてもらえますか?
もちろんです。下の表がこの助成金の要点です。Jグランツの一覧表記と公式詳細で受付開始日にずれがあるので、そこは必ず公募要領で確認してください。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 制度名 | 東京都就職氷河期世代等安定就業サポート助成金(令和8年度第4回申請受付) |
| 実施機関 | 東京都 |
| 補助金額 | 上限240万円/補助率100% |
| 対象地域 | 東京都 |
| 対象業種 | 農業、林業、漁業、鉱業、採石業、砂利採取業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、情報通信業、運輸業、郵便業、卸売業、小売業、金融業、保険業、不動産業、物品賃貸業、学術研究、専門・技術サービス業、宿泊業、飲食サービス業、生活関連サービス業、娯楽業、教育、学習支援業、医療、福祉、複合サービス事業、サービス業(他に分類されないもの) |
| 募集期間 | Jグランツ表示:2026年7月31日〜8月31日 ※公式詳細は令和8年8月1日8時30分〜8月31日17時15分 |
| 支援期間 | 令和8年10月1日〜12月31日 |
| 実績報告受付 | 令和9年1月1日8時30分〜1月25日17時15分 |
| 公式URL | https://www.jgrants-portal.go.jp/subsidy/a0WJ200000CDdoYMAT |
これだけ情報がまとまっていると、申請を検討するときの出発点になりますね!
ぜひ「最新の手引き」と「セルフチェックリスト」をセットで確認してから、申請に進んでください。予算の関係で受付が早く締まることもあるので、動けるなら早めがおすすめです。