室谷さん、今日はちょっと変わった補助金を聞いてきたんですよ。「プロジェクションマッピング等促進支援事業助成金」ってやつで、東京観光財団が窓口なんですが。
ああ、それは面白い!東京都と公益財団法人東京観光財団が一緒になって、夜間観光を盛り上げようとしている助成金ですね。プロジェクションマッピングと、最近流行りのドローンショーが対象になっています。
最大2,500万円って書いてあって、それ本当ですか?
本当です!ただし、新規事業の場合で最大2,500万円。継続2年目は2,000万円、継続3年目は1,500万円と、年度を重ねるごとに段階的に下がっていく設計になっています。ポイントは「3年間継続して支援してもらえる」という点で、単発のイベントじゃなくて地域に根ざしたコンテンツを育てていくための仕組みなんです。
なるほど、継続前提の助成金なんですね。補助率はどうなっているんですか?
補助率も事業タイプによって変わります。以下のテーブルを見てもらうとわかりやすいですよ。
| 事業タイプ | 助成率 | 助成限度額 |
|---|
| プロジェクションマッピング 新規事業 | 助成対象経費の3分の2以内 | 2,500万円 |
| プロジェクションマッピング 継続2年目 | 助成対象経費の2分の1以内 | 2,000万円 |
| プロジェクションマッピング 継続3年目 | 助成対象経費の3分の1以内 | 1,500万円 |
| ドローンショー 新規事業 | 助成対象経費の3分の2以内 | 2,500万円 |
| プロジェクター購入費(新規)※民間事業者除く | 助成対象経費の5分の4以内 | 1,000万円 |
| プロジェクター購入費(継続2年目)※民間事業者除く | 助成対象経費の5分の4以内 | 750万円 |
| プロジェクター購入費(継続3年目)※民間事業者除く | 助成対象経費の5分の4以内 | 500万円 |
えっ、プロジェクターの購入費は別枠で5分の4まで出るんですか!?ほんとに?
そうなんです!ただしこれには条件があって、「購入した機材を3年間継続して本事業に使用する場合」に限ります。それと民間事業者はプロジェクター等の購入費を助成対象経費に含めることができないという制限がありますので要注意です。
民間事業者だとプロジェクターが買えないのか…。それは大きな制限ですね。
考え方としては、民間事業者よりも地域の公共的な団体が機材を保有して地域資産として活用してほしい、ということなんでしょうね。ただ、民間事業者はレンタルなら通常の助成率が使えますから、完全に閉め出されているわけではないです。
プロジェクションマッピング等促進支援事業助成金 助成率と限度額の比較図
そもそも「プロジェクションマッピング」って、どこまでが対象になるんですか?壁に光を当てるだけじゃダメとか?
そこは結構シビアに定義されていて、単純に光を当てるだけの「ライトアップ」は対象外なんです。建造物等の立体物の「形状に合わせた映像を投影(マッピング)」する必要があります。
そうです。あと、もう一つ大事な制限があって、日没後の夜間に実施するイベントだけが対象で、日中は対象外です。夜間観光の活性化という目的が明確なので、これは当然といえば当然ですが。
「建造物と同程度の規模感を有するものの立体構造を生かした事業」は対象になります。大きな木や彫刻物なら可能性がありますね。ただし樹木や河川等の自然物でも、投光器で単に照らすだけのライトアップは対象外です。
ドローンショーは「複数のドローン(高輝度LEDライトを搭載し、遠隔操作や自動操作で飛行する無人機)を活用し、都内の公共空間等の会場で実施するイベント」です。こちらも夜間限定。ドローンの場合は航空法、小型無人機等飛行禁止法など、クリアすべき法規制が多いので、事前準備が特に重要になります。
ドローンは規制が多そうですね。新規事業と継続事業ってどう違うんですか?
まず新規事業は「この助成金を初めて使う事業、または既存の事業に新たな内容を加えた事業」です。ただし「同一投影先でテーマも過去と同じ」や「単純な機材・コンテンツの更新」は新規扱いにならないので注意が必要です。継続2年目と3年目は、それぞれ前年に助成金の支払いを受けて引き続き行う事業です。
「誰でも申請できる」わけじゃないですよね。どういう団体が対象ですか?
これが面白い構成になっていて、7種類の申請者が認められています。
- 区市町村: 東京都内の特別区・市町村
- 観光協会: 地域の観光産業振興を主な目的とする都内団体(法人格不問)
- 商工会等: 商工会法に基づく商工会・商工会議所で都内に所在するもの
- エリアマネジメント: 複数企業・開発事業者が組織する都内の法人(過年度活動実績必須)
- 民間事業者: 営利目的の私企業(法人格必須)
- その他の法人: 公益財団法人・公益社団法人・一般財団法人・一般社団法人・NPO法人でまちづくり活動を行うもの
- 商店街等: 商店街振興組合・事業協同組合等
そうです。法人格が必要なケースがほとんどです。観光協会だけは法人格不問ですが、それ以外はすべて法人格が必要。個人事業主は対象外です。
民間事業者と「その他の法人」の場合は、共同実施が必要だと聞きました。これはどういうことですか?
民間事業者またはその他の法人が申請する場合は、2者以上の複数の団体で共同実施することが必須なんです。理由は2つあって、ひとつは地域の事情に精通した団体と連携して近隣トラブルを防ぐため。もうひとつは複数の視点を持ち込んで、単一団体より魅力ある事業を創出するためです。
実質的に、民間だと「地域の観光協会や商工会と組んでください」ということになるんですね。
そういうことです。この「共同実施者」は申請者と実質的支配関係にある団体(親会社・子会社・グループ会社など)は認められないので要注意です。本当に独立した対等な団体が必要です。
プロジェクションマッピング等促進支援事業 申請者タイプ別フロー図
助成金って「何に使えるか」が一番大事ですよね。プロジェクションマッピングの場合、どんな経費が対象になりますか?
プロジェクションマッピングの対象経費は大きく9つに分類されます。
| 経費区分 | 主な内容 |
|---|
| コンテンツ制作費 | 映像制作費、デザイナー費用(外注のみ) |
| プロジェクター・レンズ購入費 | 本体・レンズの購入(民間事業者は不可) |
| 機材・設備・備品等の賃貸料/購入費 | レーザー・スモーク等演出機材を含む(民間は購入不可) |
| 会場設営・運営委託費 | 警備費・事前現地調査費を含む |
| 会場占用料・賃貸料 | 公園・道路等の使用料 |
| 事業周知費 | チラシ・広告費(ホームページ更新等の経常費は除く) |
| 賠償責任・傷害保険 | 参加者向けの保険のみ |
| 付随イベント経費 | 対象経費の4分の1以内が上限 |
| その他諸経費 | 審査で認められたもののみ |
付随イベントって面白いですね。プロジェクションマッピングの傍らでやる屋台とか演奏会みたいなものですか?
そうです!「プロジェクションマッピングイベントと併催して周辺の更なる賑わい創出および回遊性向上を図るイベント」が付随イベントとして認められます。ただし付随イベント経費は助成対象経費の4分の1以内という上限があります。
100万円以上の発注は相見積りが必要なんですよね?
1件あたり100万円(税込)以上の発注には原則3社以上の見積書が必要です。それ未満でも最低1社の見積書は必要。事業委託で大きな金額が動くことが多いので、この要件は最初から押さえておいてください。
- 人件費: 申請団体自身のスタッフ費用(自社のデザイナー・オペレーターも不可)
- 土地・建物の取得費: 施設取得・造成費
- 動産保険: イベント中止保険など来訪者以外に関するもの
- 金券等・消耗品: 日用品類など
- 経常費: ホームページ更新費などの固定費
- 関連会社との取引: 親子・グループ会社との取引は原則不可
自社デザイナーが使えないのは痛い。全部外注しなきゃいけないということですか?
コンテンツ制作費と会場設営・運営の委託費については「自社スタッフは対象外」と明記されています。事業の経費として計上するには外注が必要です。これが地域の映像制作会社やイベント会社との協業を促進する狙いもあるんでしょうね。
申請するには条件があるんですよね。何か特別な要件がありますか?
プロジェクションマッピングの場合、いくつか重要な要件があります。まず区市町村の長からの推薦書が必要です(区市町村自身が申請する場合は不要)。これが地味に時間がかかるポイントで、先に区市町村の担当部署に相談して推薦書をもらってから申請することになります。
それだけじゃなくて、屋外広告物条例・景観条例の遵守と関係行政機関との事前調整も必須です。さらに「専門のデザイナーを活用すること」という要件もあります。ここでいうデザイナーは「プロジェクションマッピングデザイン計画の策定・コンサルティング・デザインアウトプット作成・投影機材選定等の業務実績を有する者」です。単に映像を流すだけのオペレーターとは違います。
そうです。「SDGsを意識した取組を実施すること(プラスチックゴミの削減やリサイクルしやすい素材の使用等)」という要件があります。あと5年以上の継続的な実施及び地域貢献に努めることという長期コミットメントの要件もあります。
5年間は続けないといけないんですか!それはかなりコミットメントが高いですね。
「努めること」という表現ですが、3年間支援を受けながら5年継続を目指す設計になっています。来場者数の計測も必須で、効果測定の結果を財団へ報告することが義務付けられています。
令和8年度の申請スケジュールはどうなっていますか?
令和8年度(2026年度)は4回の申請機会があります。
| 申請回 | 提出期限 | 一次審査 | 二次審査 | 結果通知 | 助成対象期間終了 |
|---|
| 第1回 | 令和8年5月29日 | 令和8年6月頃 | 令和8年7月頃 | 令和8年8月頃 | 令和9年3月31日 |
| 第2回 | 令和8年8月31日 | 令和8年9月頃 | 令和8年10月頃 | 令和8年11月頃 | 令和9年6月30日 |
| 第3回 | 令和8年11月30日 | 令和8年12月頃 | 令和9年1月頃 | 令和9年2月頃 | 令和9年9月30日 |
| 第4回 | 令和9年1月29日 | 令和9年2月頃 | 令和9年3月頃 | 令和9年4月頃 | 令和9年11月30日 |
今から動けば第1回(5月29日締切)に間に合いそうですが、推薦書の取得とかを考えると結構タイトですよね?
そうですね。区市町村の担当部署との調整、共同実施者の選定と書類取得、申請書類の準備…と考えると、今すぐ区市町村の担当部署に連絡することが最優先です。特に民間事業者の場合は推薦書取得に時間がかかるケースが多いです。第1回に間に合わなくても、第2回(8月31日)という選択肢もありますよ。
募集要領に「今年度の採択枠があらかじめ決まっています。予定の採択枠がなくなった場合は、第2回以降の募集及び審査会を実施しない場合がございます」との記載があります。つまり、第1回で定員に達したら第2回以降は中止になる可能性があるということ。第1回申請が最もチャンスが広いです。
審査はどういう観点で見られるんですか?採択されるために何を押さえればいいですか?
- 資格審査: 申請要件を満たしているか
- 実施内容: 映像等を含め質の高い内容か。集客・景観(夜景)向上に資するか
- 事業調整・取組: 関連団体との事前調整は十分か。公共空間での実施か。集客に向けた積極的な取組が想定されているか。地域内の周遊促進など広く観光振興に資するか
- 経費の妥当性: 経費の使い方が適切か。過大または過小な経費配分がないか
- 継続可能性: 次年度以降の継続性は十分に見込める内容か
「公共空間等誰もが参加できる場所」というのが重要なポイントですね。閉鎖的な会員制イベントじゃダメということですか?
そうです。入場無料・誰でも見られる公共空間でのイベントが評価されます。「地域内の周遊促進(連携イベントの実施等)」も審査ポイントに入っているので、プロジェクションマッピングだけでなく周辺の飲食店や商店街との連携も書き込むと印象が良くなります。
継続可能性というのは、「来年もやります」って書けばいいんですか?
単に「やります」と書くだけでなく、具体的な収益見込みや地域との連携体制、次年度の事業計画の骨格まで示すことが重要です。財団は3年間支援するわけですから、申請時点で3年後まで見えているかどうかを見ています。
なるほど、3年ぶんのビジョンが必要なんですね。さらに「都内の地域的な偏りがないか等を鑑み」という文言もありましたが、これは何を意味しますか?
同じ地区に採択が集中しないよう、地理的な分散も考慮されているということです。特定のエリアでのみ実施されているイベントより、まだ夜間観光が発達していない地域でのイベントのほうが評価されやすい可能性があります。
申請はGビズIDで行うんですか?それとも郵送だけですか?
この助成金はJグランツ(デジタル庁が運営する電子申請システム)経由の申請が中心で、GビズIDが必要です。ただし、書面(郵送)と電子データの両方を提出する仕組みになっています。
GビズIDは会社の代表者や登記担当者が取得する行政共通IDです。「GビズIDプライム」(法人等の代表者アカウント)と「GビズIDメンバー」(担当者用)があります。Jグランツには「GビズIDプライム」でログインします。
GビズIDの取得に時間がかかることがあるので、早めに準備が必要ですね。
そうです。特に初めてJグランツを使う場合は、ID取得から入力、印刷、郵送まで思ったより時間がかかります。第1回の5月29日締切を目指すなら、今すぐGビズIDの申請状況を確認してください。
過去に「こういう失敗で不採択になった」という事例はありますか?
審査結果の詳細は公表されませんが、募集要領から読み取れる落とし穴を整理しますね。
- 「単純なコンテンツ更新」だった: 毎年同じ建物に映像を投影しているが「テーマも映像も去年と同じ」というケースは新規事業と認められない
- 共同実施者が「対等」ではなかった: 関連会社や実質的に支配している団体を共同実施者にしてしまう
- 推薦書の取得が遅れた: 区市町村に申請の数日前に相談しても推薦書が間に合わないことも
- 他の補助金を同時に活用しようとした: 東京観光財団の他の補助金との併用は認められない(国庫補助金等との重複も原則不可)
東京観光財団が実施する他の補助金等との併用は原則不可です。国庫補助金・都・区市町村の補助金を一部財源とする事業も原則対象外になります。ただし区市町村補助金のうち「特定事業への使途を指定されていない運営費等」は例外になります。この点は事前に財団に相談することをお勧めします。
ドローンショーの場合は追加で準備するものがありますか?
ドローンの場合は法規制のクリアが追加で必要になります。航空法の飛行許可・承認、小型無人機等飛行禁止法への対応、東京都立公園条例・東京都港湾管理条例等への対応が必要で、実績報告時には機体登録認証・飛行許可承認申請・飛行日誌等の提出が必須です。ドローンは事前調整のハードルが高い分、採択後の達成感も大きいと思いますよ。
問い合わせ窓口の電話番号もちゃんと出ていますね。気になることは直接聞けますか?
- GビズIDプライムの取得完了(Jグランツログイン可能な状態)
- 区市町村担当部署への事前相談(推薦書発行依頼)完了
- 共同実施者の確定と必要書類の確認(民間事業者・その他法人の場合)
- 事業計画の骨格作成(3年間継続ビジョンを含む)
- デザイナーの選定(プロジェクションマッピングの場合は実績確認必須)
- 100万円以上の委託に対する相見積もり(3社以上)の実施計画
- 関連法規制の確認(特にドローンショーの場合)
プロジェクションマッピングだけでなく、観光系・コンテンツ系の補助金を組み合わせてみたいんですが、他に似たような制度はありますか?
観光振興・地域活性化の文脈で使える補助金をいくつか紹介しますね。まず
令和8年度多様な体験型観光推進事業補助金は観光体験コンテンツ全般に使える補助金です。プロジェクションマッピングとは別の観光体験に活用できます。
東京の企業・団体向けで、もっと幅広いものはありますか?
令和8年度スポーツエンターテインメント・コンテンツ海外展開支援事業費補助金は最大1億円で、コンテンツの国際展開も支援しています。ただし東京都内での地域観光振興に特化した今回の助成金とは方向性が異なります。東京都内での事業ならまず今回の「プロジェクションマッピング等促進支援事業助成金」が最適です。助成上限が2,500万円とかなり大きく、プロジェクター購入費への5分の4助成という特別枠があるのは他の補助金にはないユニークな特徴です。
まとめの前に、よくある疑問にも答えてもらいたいのですが。
「既に過去に同じ場所でプロジェクションマッピングをやっているが、新規事業として申請できますか?」という疑問はよく聞きます。
「同一投影先でテーマ等が過去に実施している内容に該当する部分」は新規事業として認められません。ただし「新たな内容を加える」のであれば新規扱いになります。例えば、毎年同じビルに投影しているが今年から新たな物語やインタラクティブ要素を加えるなら新規と判断される可能性があります。グレーな場合は財団に事前相談をすることをお勧めします。
「採択されたら確実に助成金がもらえますか?」という質問もありそうです。
採択(交付決定)はあくまで「申請した内容で事業を実施すれば助成します」という約束であって、事業を実施した後に実績報告を行い、完了検査が通って初めて助成金が確定・支払われます。また「交付申請額と交付決定額は異なる場合がある」とも明記されているので、申請額満額が必ず出るわけではないことも覚えておいてください。
実施にあたって収入(入場料など)が発生した場合はどうなりますか?
入場料・協賛金・寄付金等の収入がある場合、「助成を受けることにより収益が生じる場合は助成金の額から収益相当額を控除する」ルールがあります。無料イベントか、収入があっても自主財源を超えない範囲であれば影響は少ないですが、有料イベントを計画している場合は事前に試算が必要です。
東京都内でプロジェクションマッピングやドローンショーを企画している団体・企業にとって、この助成金は夜間観光コンテンツを立ち上げるための大きな後押しになります。最大2,500万円(プロジェクター購入費は別途最大1,000万円)という規模は、初めて大型映像イベントに挑戦するには十分な資金規模です。
まずは東京観光財団の公式ページとjGrants掲載ページで最新情報を確認し、第1回申請(令和8年5月29日)に向けて区市町村との調整をスタートさせてください。
東京都の補助金・助成金一覧はこちら