室谷さん、今日は島根県の海外出願支援の補助金について教えてください!
室谷: はい、中小企業等海外展開支援事業費補助金(海外出願支援事業)ですね。外国への事業展開を計画している中小企業を対象に、外国出願にかかる費用の半額を助成する制度です。
佐藤: えっ、半額も助成してくれるんですか?それは嬉しいですね!
室谷: そうなんです。外国で特許や商標の権利を取得したいけれど、費用がネックで踏み出せない企業には、心強い制度だと思いますよ。
佐藤: どうしてこんな制度があるんですか?
室谷: 中小企業の戦略的な外国出願を促進するためです。海外展開を計画している企業が、出願費用の負担で諦めてしまわないように、後押しする仕組みですね。
この補助金の特徴を整理して見せてもらえますか?
室谷: こんな感じです。外国出願の費用を半分助成する、案件タイプごとに上限額が違う、島根県内に事業所が必要、グループでも申請できる、というのが柱ですね。
この補助金の特徴外国出願の費用を半額助成
補助率は1/2以内。1企業あたりの上限は300万円
特許・実用新案・意匠・商標が対象
案件タイプごとに上限額が設定されている
島根県内に事業所が必要
島根県内に事業所を有する中小企業者等が対象
グループ申請も可能
中小企業者グループは構成員の2/3以上が中小企業者であること
なるほど。シンプルに言えば「海外で権利を取りたい島根県の中小企業」を応援する制度なんですね。
室谷: そのとおりです。では、具体的な金額の話に進みましょうか。
その前に、対象の業種は限られているんですか?
室谷: それが意外と広いんですよ。農業・林業、漁業、建設業、製造業、情報通信業、運輸業・郵便業、卸売業・小売業、金融業・保険業、不動産業・物品賃貸業、宿泊業・飲食サービス業、教育・学習支援業、医療・福祉などが並んでいます。
佐藤: えっ、医療・福祉も対象なんですか!
室谷: そうなんです。さらに「サービス業(他に分類されないもの)」や「分類不能の産業」まで入っています。公務まで対象リストに載っているんですよ。
佐藤: 公務まで!? それはびっくりですね(笑)。それなら、うちの会社も対象かも!
室谷: ちなみにjGrantsの公式ページには従業員数の上限が300名以下と出ています。自分の会社が当てはまるかは、公募要領で確認するのが確実です。
まず基本の金額から教えてください!
室谷: 補助率は1/2以内。つまり外国出願にかかった費用の半分までが補助されます。1企業あたりの上限は300万円です。
佐藤: マジですか、300万円!それは大きいですね。
室谷: ただし、これは複数案件をまとめた場合の上限です。特許を2件、商標を3件と出願するなら、その合計で300万円まで、というイメージですね。
案件ごとの上限額も決まっているんですよね?
室谷: そうなんです。特許は1案件あたり150万円、実用新案・意匠・商標はそれぞれ60万円、抜け駆け対策商標は30万円です。
佐藤: 抜け駆け対策商標?何ですか、それ。
室谷: 日本で既に出願・登録済みの商標が、海外で第三者に無断で出願・登録されてしまう「抜け駆け商標」の対策として行う外国出願のことです。これにも上限30万円で助成が受けられます。
案件ごとの補助上限額| 案件タイプ | 1案件あたりの上限 | 備考 |
|---|
| 特許 | 150万円 | 補助率1/2以内 |
| 実用新案・意匠・商標 | 60万円 | それぞれ |
| 抜け駆け対策商標 | 30万円 | 無断出願対策用 |
なるほど。海外で先に商標を押さえられちゃうのを防ぐための出願ですね。表にすると一目瞭然です!
助成の対象になる経費は、どんなものがありますか?
室谷: 助成対象経費は3つ。①外国特許庁への出願手数料、②国内代理人・現地代理人費用、③翻訳費用です。
佐藤: なるほど、出願に必要な費用が一通りそろってますね。
室谷: そうですね。外国出願では現地の代理人を通すことが多いですから、その費用が対象になるのは大きいです。
佐藤: 逆に、対象外になるものはあるんですか?
室谷: 公式情報に対象外経費の一覧は載っていません。ここに挙がった3つに該当するか迷う場合は、公募要領か問い合わせ先で確認するのが確実です。
助成対象経費と注意点- 外国特許庁への出願手数料
- 国内代理人・現地代理人費用
- 翻訳費用
×デメリット
- 対象外経費の詳細は公募要領を確認
- jGrants入力だけでは申請受付にならない
- みなし大企業は対象外
金額のイメージがつかめました。次は、誰が申請できるかを見ていきましょう!
応募資格の基本を教えてください。
室谷: 島根県内に事業所を有する中小企業者、または中小企業者で構成されるグループです。グループの場合は、構成員のうち中小企業者が3分の2以上を占めている必要があります。
佐藤: 個人事業主も対象に含まれるんでしょうか?
室谷: そこは注意が必要です。提示されている情報には中小企業者の定義や個人事業主の扱いが明記されていません。個人事業主が含まれるかどうかは公募要領で確認してください。
佐藤: わかりました。ここは自己判断せずに確認します!
室谷: それと、地域団体商標の外国出願については、商工会議所や商工会、NPO法人なども対象になります。こちらも頭に入れておいてください。
みなし大企業って、どんな企業のことですか?
室谷: 中小企業の形態をとっていても、実質的に大企業に支配されている企業のことです。具体的に(ア)から(オ)まで定義されています。
佐藤: たとえばどんなケースですか?
室谷: 発行済株式の総数の2分の1以上を同一の大企業が所有しているケース。3分の2以上を複数の大企業が所有しているケース。大企業の役員や職員を兼ねている人が役員総数の2分の1以上を占めているケースも該当します。
佐藤: 思ったより厳しく見られるんですね。
室谷: さらに、資本金や出資の総額が5億円以上の法人に直接・間接に100%の株式を保有される中小企業者も対象外。直近過去3年分の課税所得の年平均額が15億円を超える中小企業者も対象外です。
佐藤: なるほど。大企業の子会社や関連会社だと対象にならない可能性が高い、と理解しました。
みなし大企業以外にも要件があるんですよね?
室谷: はい。(1)から(5)まであります。まず(1)は、応募時点で日本国特許庁に出願済みであること。そして採択後に、その出願を基礎に優先権主張をして外国出願を年度内に行う予定であることが条件です。
佐藤: えっ、日本でまだ出願していないとダメなんですか?
室谷: そうなんです。まず国内で特許や商標を出願して、それを土台に海外で優先権主張をする、という流れですね。商標は優先権がない外国出願も可能ですが、PCT出願やハーグ出願には条件が付きます。
続いて(2)以降の要件を教えてください!
室谷: (2)は、先行技術調査などの結果からみて、外国での権利取得の可能性が明らかに否定されないことです。
佐藤: 調査をして、権利化できる見込みがあることを示せ、と。
室谷: そうです。(3)は、外国で権利が成立した場合にその権利を活用した事業展開を計画していること。または商標出願については、外国での抜け駆け商標出願対策の意思を有していることです。
佐藤: ただ権利を取るだけじゃなく、事業に結びつける計画が必要なんですね。
室谷: そのとおりです。補助金ですから、最終的に事業展開につながることが期待されているわけです。
(4)と(5)はどんな内容ですか?
室谷: (4)は、外国出願に必要な資金能力および資金計画を有していることです。補助率は1/2以内ですから、残りの半分は自社負担。その資金計画が問われます。
佐藤: なるほど。自己負担分の計画も必要、と。
室谷: (5)は、経済産業省におけるEBPMに関する取組に協力することです。EBPMとは、証拠に基づく政策立案のことですね。
佐藤: なんか難しそうな言葉ですが…。
室谷: 要するに、この補助金が本当に効果を上げているかを検証するための調査に協力する、ということです。採択されると企業名・所在地などが公表され、事業完了後5年間は状況調査が行われます。
佐藤: 5年間もですか!それは長いですね。覚悟しておきます。
今回の第4回公募の募集期間を教えてください!
室谷: 令和8年8月3日(月)から令和8年8月31日(月)までです。随時募集ですが、予算の上限に達し次第、公募を締め切ります。
佐藤: えっ、予算が尽きたら期間中でも締め切られちゃうんですか?
室谷: そうなんです。「予算の上限に達し次第、公募を締め切ります」と明記されています。ギリギリまで待つと受け付けてもらえない可能性もありますから、早めの準備が鉄則です。
佐藤: ちなみに基本情報では2026年8月2日からとなっていますが…。
室谷: 公式の制度詳細では令和8年8月3日(月)からです。開始日時に表記のズレがあるので、正確な日時は公募要領で確認してください。
第4回公募のスケジュール令和8年8月3日(月)
公募開始
公募要領を確認し、申請書類を準備
令和8年8月31日(月)
公募締切
予算の上限に達し次第、締め切り
採択後
外国出願を実施
年度内に外国出願を行う
事業完了後5年間
フォローアップ調査
状況調査やヒアリングに協力
申請の手順を教えてください。
室谷: 流れとしては、まず公募要領で要件と申請様式を確認します。そのうえでjGrantsで申請に必要な情報を入力し、交付申請書と添付書類を郵送で公益財団法人しまね産業振興財団に提出します。
佐藤: なるほど。jGrantsで入力すれば完了、ではないんですね!
室谷: そこが最大のポイントです。jGrants上に入力しただけでは、申請受付となりません。必ず郵送での書類提出までが必要です。
申請の流れ- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
報告・フォローアップ
事業完了後5年間の状況調査に協力
書類の提出先はどこですか?
室谷:
〒690-0816 島根県松江市北陵町1番地 テクノアークしまねの公益財団法人しまね産業振興財団、新事業支援課 技術支援グループ 杉原さん宛てです。電話は
0852-60-5112、メールは
sat@joho-shimane.or.jpです。
特許と商標をまとめて申請したい場合は、どうすればいいんですか?
室谷: 複数案件を申請する場合は、案件の数だけ申し込みが必要です。
佐藤: えっ、1回の申請にまとめられないんですか?
室谷: 公式文書には「複数案件申請される場合は、案件の数だけお申し込みください」とあります。特許1件と商標1件なら、2件分の申し込みになるイメージです。
佐藤: わかりました。そのあたりも公募要領で確認しておきます!
審査では、どんな点が重視されるんでしょうか?
室谷: まずは(1)から(5)の要件をすべて満たすことが大前提です。なかでも(2)の「外国での権利取得の可能性が明らかに否定されないこと」は、先行技術調査の結果が問われます。
佐藤: 調査をしっかりやっているか、ということですね。
室谷: そうです。「日本で出願しているから海外でも大丈夫だろう」ではなく、海外での権利化の見込みをきちんと示す必要があります。
ほかにはどんなポイントがありますか?
室谷: (3)の事業展開計画です。外国で権利が成立した場合に、その権利を活用した事業展開を計画していることが求められます。申請書には、具体的な事業展開のイメージを書き込むと良いでしょう。
佐藤: 商標の場合は、抜け駆け対策の意思があることでもOKなんですよね?
室谷: はい。日本で既に出願・登録済みの商標が海外で第三者に無断で出願・登録された「抜け駆け商標」への対策として出願する場合も対象になります。
佐藤: 海外進出の予定が先でも、商標だけ先に押さえておきたい、というケースは助かりますね。
資金計画も要件に入ってますね。
室谷: (4)の「外国出願に必要な資金能力および資金計画を有していること」ですね。補助金は費用の半分まで。残りは自社負担ですから、その計画がしっかりあるかを確認されます。
佐藤: 助成率が1/2以内ですもんね。全額が出るわけじゃないから、自己負担分の計画が要るんですね。
室谷: そのとおりです。出願費用の見積もりと、自社の資金計画をセットで考えておきましょう。
佐藤: 事前の準備が大事そうですね!
申請で一番よくある失敗は何ですか?
室谷: やはり「jGrantsに入力したから申請完了」と勘違いしてしまうことですね。何度も言いますが、交付申請書と添付書類の郵送までが必須です。
佐藤: メールやFAXでの提出はダメなんですか?
室谷: 公式文書では郵送での提出とされています。メールアドレスは問い合わせ用ですから、書類提出は必ず郵送で行ってください。
佐藤: うーん、これは本当に要注意ですね。入力だけで満足しちゃいそうです(笑)。
採択されたら、何か気をつけることはありますか?
室谷: まず、採択された場合は企業名・所在地などが公表されます。それから、事業完了後5年間の状況調査があります。
佐藤: フォローアップ調査やヒアリングが行われる、と。
室谷: はい。補助金の効果を検証するためです。政策立案に活かすEBPMの一環ですね。応募する段階で、この調査への協力も視野に入れておいてください。
最後に、よくある質問をまとめておきましょう!
室谷: はい。まず「募集期間はいつ?」には、令和8年8月3日(月)から8月31日(月)まで。ただし予算の上限に達し次第締め切られます。
佐藤: 「いくらもらえる?」は、補助率1/2以内、1企業あたり上限300万円ですね。
室谷: 案件ごとだと、特許150万円、実用新案・意匠・商標はそれぞれ60万円、抜け駆け対策商標は30万円です。対象経費は外国特許庁への出願手数料と代理人費用、翻訳費用の3つです。
佐藤: 「申請はどうするの?」は、jGrantsで入力して、書類を郵送。これが必須ですね。
室谷: そのとおりです。ここを間違えると受け付けてもらえないので、注意してください。
とても分かりやすい解説でした!ありがとうございます!
室谷: いえいえ。海外展開を考えている島根県の中小企業の皆さん、出願の準備はお早めに!応募を検討する際は、必ず公募要領と公式情報を確認してくださいね。