室谷さん、今日のテーマは、すごく長い名前の「令和8年度第2回 事業承継を契機とした成長支援事業(一般コース)」です。ぱっと聞いただけでは何をしてくれるのか分からないんですけど。
かいつまんで言うと、先代経営者から代表権を引き継いだ後継者が、事業承継をきっかけに「新規事業展開」へ乗り出すのを支援する東京都の助成事業です。助成金に加えて、アドバイザー派遣もセットになっています。
後継者限定なんだ!そもそも、なんで事業承継のタイミングを狙うんでしょう。
事業を引き継いだ直後って、取引先や社内の体制が変わる大きな転換点じゃないですか。この制度は、そこで「新しい事業を始めて、取引拡大につなげる」チャレンジを支えようという設計なんです。制度の目的にも「取引拡大を通じた中小企業の振興」と明記されています。
なるほどね。親から会社を継いで、さあこれから新しいことをやろう、というタイミングの背中を押してくれるわけだ。
そういうことです。逆に、まだ代表権を引き継いでいないケースや、承継と関係なく新事業を始めたいケースは、この制度の趣旨に合うかどうか、まず公募要領で確認するのがおすすめですよ。
東京都です。申請できるのは「東京都内で事業を行う中小企業者」で、個人事業主も含まれます。国の補助金と間違えやすいのですが、この制度は都が実施する事業ですね。
ああ、だから名称に「東京都」が出ていないのに、対象が東京限定になるんですね。事務局はどこですか?
実際に申請や相談対応をしているのは、東京都中小企業振興公社です。お問い合わせ先は TEL:03-4446-4650。「事業承継を契機とした成長支援事業」の事務局にかければ、申請についての相談ができます。
あとで電話するときに使います。助成金の額も気になるけど、まずは制度の特徴を整理して見せてもらえますか?
事業承継を契機とした成長支援事業(一般コース)の特徴後継者の新規事業展開を後押し
先代から代表権を引き継いだ後継者が対象。承継を機にした新たな事業への挑戦を、助成金とアドバイザー派遣で支えます。
助成金と専門家支援の2本立て
助成金に加え、採択事業者には専門家によるアドバイスが受けられる制度設計です。取り組みの改善や次の成長につなげます。
東京都内の中小企業者が対象
対象地域は東京都。個人事業主も含まれ、従業員数の制約はないとされています。
上限800万円の助成
補助率は助成対象経費の2/3以内。賃金引上げ計画の実施で3/4以内、小規模事業者なら4/5以内にアップします。
なるほど、3つの特徴でだいぶイメージがつきました。で、実際にいくら出るんですか?
そこが本題ですよね。次の章で金額を細かく見ていきましょう。
助成上限額は800万円です。jGrantsの公式情報では「8,000,000円」と表記されています。補助率は、助成対象経費の2/3以内が基本です。
800万円もらえるなら、新規事業の設備投資にも使えそうですね。補助率2/3というのは、経費の3分の2が助成されて、残り3分の1は自社負担という意味ですか?
そうです。「審査で認められた経費」が対象で、その2/3までを助成し、上限が800万円という構造です。全額が無条件に出るわけではないので、そこは計画づくりで意識すると良いですね。
2/3って大きい気がします。機械を入れたりシステムを入れたりするときに助かりますよね。
ええ。ただし、助成対象経費のすべてが自動的に対象になるわけではありません。「新規事業展開に取り組む計画を作成し、審査で認められた経費」というのが公式の定義です。計画と経費の対応をきちんと示す必要があります。
なるほど。どんな経費を計上するかは、後でじっくり聞きますね。まずは補助率の違いを表で見たいです。
| 区分 | 補助上限額 | 補助率 |
|---|
| 基本のケース | 800万円 | 助成対象経費の2/3以内 |
| 賃金引上げ計画を策定し実施した場合(中小企業者) | 800万円 | 助成対象経費の3/4以内 |
| 賃金引上げ計画を策定し実施した場合(小規模事業者) | 800万円 | 助成対象経費の4/5以内 |
| 助成対象期間 | ― | 交付決定日から最大1年間 |
表の真ん中と下にある「賃金引上げ計画」が気になります。これは何ですか?
賃金引上げ計画を策定し、実施した場合、補助率が上がる仕組みです。中小企業者は3/4以内、小規模事業者は4/5以内までアップします。
えっ、小規模事業者だと5分の4!?自己負担がだいぶ減りますね。これはすごい。
ただ、注意してほしいのは「計画を立てただけ」ではなく、策定して実施した場合という点です。計画を実行して、賃上げにつなげた事実が必要になる可能性が高いので、公募要領の要件をよく読んでください。
ここも加点や補助率に関わるところですから、正確に把握したいですね。どの制度でも賃上げは後押しされるんだなあと感じます。
そうですね。補助率のちがいを図で整理すると、こんなイメージです。
補助率の比較| ケース | 賃金引上げ計画なし | 賃金引上げ計画あり(中小企業者) | 賃金引上げ計画あり(小規模事業者) |
|---|
| 補助率 | 助成対象経費の2/3以内 | 助成対象経費の3/4以内 | 助成対象経費の4/5以内 |
| 補助上限額 | 800万円 | 800万円 | 800万円 |
補助上限はどのケースも800万円で、補助率だけが変わるんですね。これは頭に入れておきます!
この事業は、いつからいつまでの経費が対象になるんでしょう?
助成対象期間は、交付決定日から最大1年間です。今回の募集では、交付決定日が令和9年1月頃の予定とされています。
ということは、令和9年1月頃に決まって、そこから約1年かけて新事業を実行するイメージですか?
そうです。申請書を作るときから「交付決定から1年で、何をどこまでやるか」を具体的に描く必要があります。新事業と言っても、何年もかかる長期計画ではなく、この1年の間に結果を出せる計画が求められます。
なるほど。長期的な夢物語ではなく、1年で動ける内容に絞るのがコツですね。
そう。だからこそ、いまの事業の延長線上で何ができるかを考えておくと計画が作りやすいと思います。
申請資格をもう少し細かく教えてください。うちは個人事業主なんですけど大丈夫ですか?
大丈夫です。対象は申請要件を満たす、東京都内で事業を行う中小企業者。ただし個人事業主を含むとされています。個人事業の方も申請の対象になり得ます。
従業員数などの上限はあるんでしょうか。従業員が多いと対象外になったりしませんか?
公式情報では従業員数の制約なしとされています。まずは「中小企業者」の定義や、事業承継をした時期などの要件を公募要領で確認するのが確実です。
たしかに「都内で事業を行う」と一口に言っても、本店が東京か、それとも事業所が東京にあればいいのか、細かい線引きはありますもんね。
そこは私が「絶対にこうです」と言い切れない部分です。申請前に必ず公募要領と照らし合わせてください。特に「いつ代表権を引き継いだか」は、募集回によって考え方が変わり得ます。
うん、ここは確認必須ですね。焦らず正確にいきましょう。
jGrantsの公式情報では、農業、林業、漁業、鉱業、採石業、砂利採取業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、情報通信業、運輸業、郵便業、卸売業、小売業、金融業、保険業、不動産業、物品賃貸業、学術研究、専門・技術サービス業、宿泊業、飲食サービス業、生活関連サービス業、娯楽業、教育、学習支援業、医療、福祉、複合サービス事業、サービス業(他に分類されないもの)などが並んでいます。
ちょっと待って、本当に多いですね(笑)。飲食系も医療・福祉も入っている。かなりの業種が対象になり得るんですね。
そうですね。ただ、これは「対象になり得る業種」の一覧です。実際に助成を受けられるかは、先代からの事業承継があって、新規事業展開の計画が審査で認められるかどうかが大きいと思います。
なるほど。じゃあ業種で諦める前に、まず計画の中身で勝負する感じですね。
そう思います。御社の業種が一覧にあるかどうかの確認は大事ですが、そこで終わらず、計画の具体性を磨くのが近道です。
制度名に何度も「一般コース」と出てきますが、これはどういう意味なんでしょう?
公式の制度名は「令和8年度第2回 事業承継を契機とした成長支援事業(一般コース)」です。ただ、ほかのコースとの違いは、私が持っている情報だけでは説明できないので、興味があれば公募要領で確認してくださいね。
あ、そこは変に推測しない方がいいですね。それより、申請者は後継者本人でないといけないんですよね?
はい。先代経営者から代表権を引き継いだ後継者への支援が目的です。会社の社長が交代したばかり、個人事業で親の事業を継いだばかり、といった状況が念頭に置かれています。
うちの場合は「親が代表のまま子どもが新事業を始める」のではなく、きちんと承継してから申請する流れになりそうです。
そうですね。申請の前提を確認する意味でも、まずは公募要領の「助成対象者」の欄を開いてみてください。
次はお金の使い道です。助成対象になる経費はどう決まるんですか?
公式の説明では、新規事業展開に取り組む計画を作成し、審査で認められた経費が助成対象経費です。つまり、計画書に「この事業をするために、これだけの経費が要る」と書いて、それが審査で認められる必要があります。
ということは、あとから「やっぱりこれも買いたい」と自由に付け足せるわけではない、と。
そう捉えて間違いないです。東京都が公表した資料では、具体例として原材料・副資材費、機械装置・工具器具費、委託・外注費、設備導入費、システム導入費などが並んでいます。新規事業に必要な投資をイメージしてください。
機械装置やシステム導入は分かりやすいです。うちが新しいサービスを始めるなら、開発を外注したり、システムを入れたりする費用がメインになりそうです。
それなら委託・外注費やシステム導入費が候補になりますね。計画書の段階から、どの経費がなぜ必要かを説明できるようにしておきましょう。
助成対象になりやすい例と、注意したいポイントを図にしてもらえますか?
助成対象経費の考え方- 新規事業展開のための計画を作成し、審査で認められた経費が対象
- 東京都の公表資料では原材料・副資材費、機械装置・工具器具費、委託・外注費、設備導入費、システム導入費などが例示
- 補助率は2/3以内で、賃上げ実施時は最大4/5以内に。自己負担を軽減できる
×デメリット
- 何でも対象になるわけではなく、計画と審査を経て認められた経費のみ
- 対象期間は交付決定日から最大1年間で、期間内の事業実施が前提
- 細かな対象外経費や要件は公募要領での確認が必要
「対象になりやすい例」はイメージできました。逆に「これは対象外かも?」は何を見れば分かりますか?
助成対象経費の範囲や、対象外になる経費の考え方は、交付要綱や公募要領にくわしく書かれているはずです。私の手持ちの情報だけで「何が絶対に対象外」とは断定できないので、必ず公募要領を確認してください。
募集期間はいつですか?ここを間違えると話になりませんから。
令和8年9月1日(火)午前9時から、9月30日(水)午後4時までです。西暦だと2026年9月1日から9月30日。1か月間の受付ですね。
なるほど、2026年の9月。まだ少し先だけど、書類を集めるなら夏から動き始めた方が良さそうですね。
実際、交付決定日は令和9年1月頃予定です。受付が終わってから審査があり、結果が出るまで時間がかかることも頭に入れておいてください。
じゃあ、単に締切日に出せばいいという話ではないんですね。
申請方法は郵送ですか?それとも窓口に持っていくんですか?
jGrantsという、デジタル庁が運用する補助金ポータルサイトでの申請が前提です。対象のページには「当サイトの代理申請 可」とありますから、代理人が申請することも可能なようです。
電子申請か。ログイン環境などを準備しておかないといけないですね。
そうですね。書類の提出方法やアカウントの準備手順は、jGrantsの公式案内に沿って進めてください。申請に必要な書類は、東京都中小企業振興公社のページからダウンロードできると案内されています。
申請から事業実施までの流れ- 1
公募情報と申請書類を確認
東京都中小企業振興公社のページから申請書を入手し、公募要領を読み込みます。
- 2
新規事業の計画を固める
1年で実行できる内容に絞り、対象経費との対応を整理します。
- 3
jGrantsから電子申請
令和8年9月1日(火)午前9時から9月30日(水)午後4時まで。ログイン環境の準備は公式案内に沿って進めます。
- 4
- 5
交付決定・事業実施
令和9年1月頃の交付決定後、助成対象期間である最大1年間で事業を実施します。
手順が図になって頭に入りやすい!「審査を経て交付決定」という流れはどこの制度も大事ですね。
うん。助成対象期間は交付決定日からなので、そこから逆算して計画を組み立ててください。
令和8年度第2回のスケジュール令和8年9月1日(火)
申請受付開始
午前9時から受付が始まります。
令和8年9月30日(水)
申請受付締切
午後4時が締切です。時間に余裕を持って申請しましょう。
令和9年1月頃
交付決定(予定)
審査を経て交付決定が行われます。
交付決定日から
助成対象期間
最大1年間が助成対象期間です。
交付決定が令和9年1月頃で、そこから助成対象期間が始まる、と。では次は、審査はどう見られているのかを教えてください。
いい質問ですね。採択に向けた考え方を次の章でお話しします。
審査って何を見られるんでしょう?「新規事業をやりたいです!」だけでは通らない気がしています。
審査基準そのものは公募要領に書かれているはずなので、まずそれを読み込むのが基本です。制度の趣旨から言えるのは、承継をきっかけにした「新規事業展開」と「取引拡大」につながる計画かどうかが問われるでしょう。
つまり「新しいことをやる」だけでなく、その先に売上や取引の拡大が見える計画が好まれる、と。
はい。そこを念頭に置くと、挑戦する事業がどう市場や顧客を広げるのかを、自分の言葉で説明できるようにしておくのが大事です。
助成対象期間は交付決定日から最大1年間です。ですから、計画は1年以内に着手して実行できる内容である必要があります。
なるほど。長期的な研究開発みたいなテーマだと、1年で結果を出しづらいですもんね。
そう。経費も、この期間に実際に発生するものをそろえるのが基本です。いつ、何を、いくらで、と計画と経費の対応を明確にできると、説得力が増すと思います。
賃金引上げ計画を立てると補助率が上がる話がありました。採択にも関係しますか?
採点にどう影響するかは、私の情報だけでは断定できません。ただ、補助率に反映される制度設計であることは確かなので、該当するなら計画に組み込む価値はあります。
あと、アドバイザー派遣って一体何に使えるんですか?
都の公表資料では、採択された事業者が対象で、専門家が取り組みの改善点や、更なる事業展開に向けたアドバイスを行うとされています。令和7年度の案内では1社2回・無料と紹介されていましたが、令和8年度第2回の実施内容は公募要領で確認してください。
無料でプロの意見をもらえるなら、計画を実行しながら改善できるのは心強いですね。審査に向けた心構えを図にまとめてもらえますか?
最後の「公募要領で確認」が何回出てきたか分からないくらい、書類が大事なんですね(笑)。
それだけ正確な情報を見極めてほしい、ということです。面倒に感じるかもしれませんが、ここを丁寧にやるかどうかが申請の質を左右しますよ。
この事業は助成金ですから、返済を前提としない支援です。ただし、事業の実施状況や経費の使い方を適正に報告する義務はあります。ルールを守って計画どおりに使うことが大前提ですね。
やった、借金じゃないんだ。それならチャレンジしやすい!
その代わり、審査に通って交付決定を受けてから事業を実施し、実績を報告して助成額が確定するという流れです。「まずお金をもらってから後でやる」のではなく、後払い型である点は覚えておいてください。
別の制度と併用しながら、こちらも申請するのは可能ですか?
併用のルールは制度によって細かく違いますから、私が「併用できます」と勝手にお答えするわけにはいきません。公募要領の該当項目を確認するか、事務局に電話で確認するのが確実です。
そうですよね。似た名前の事業もいくつかありますし、同じ東京都の支援でも別の制度と間違えないようにしないと。
この記事では扱っていない他制度の話は、必ずそれぞれの公式ページで確認してくださいね。
東京都中小企業振興公社・事業承継を契機とした成長支援事業事務局、電話は03-4446-4650です。申請書をダウンロードできるページも、同公社のホームページ内にあります。
「このケースは対象になる?」といった相談にも乗ってもらえますか?
対象要件のような個別の判断は、非公式な情報で決めつけず、必ず事務局に問い合わせてください。電話番号までは案内できますが、私が「確実に通る」と保証するわけにはいきませんからね。
分かりました。申請前の確認ポイントとしてメモしておきます!
長くなりましたが、最後に基本情報をコンパクトにまとめてください。
表にしておきますね。制度名、上限、補助率、募集期間、対象地域、問い合わせ先。このあたりを申請前に必ずチェックしてください。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 制度名 | 令和8年度第2回 事業承継を契機とした成長支援事業(一般コース) |
| 実施機関 | 東京都(事務局:東京都中小企業振興公社) |
| 対象地域 | 東京都 |
| 対象者 | 申請要件を満たす、東京都内で事業を行う中小企業者(個人事業主を含む) |
| 補助上限額 | 800万円 |
| 補助率 | 助成対象経費の2/3以内(賃金引上げ計画を策定し実施した場合、中小企業者は3/4以内、小規模事業者は4/5以内) |
| 助成対象経費 | 新規事業展開に取り組む計画を作成し、審査で認められた経費 |
| 助成対象期間 | 交付決定日から最大1年間 |
| 募集期間 | 令和8年9月1日(火)午前9時~9月30日(水)午後4時 |
| 交付決定日 | 令和9年1月頃予定 |
| 公式URL | https://www.jgrants-portal.go.jp/subsidy/a0WJ200000CDdsqMAD |
| 問い合わせ先 | 東京都中小企業振興公社 事業承継を契機とした成長支援事業 事務局 TEL:03-4446-4650 |
一覧にすると本当に分かりやすい!うちも事業承継を考えている身としては、交付決定時期から逆算して動きたいです。
そうですね。受付開始は令和8年9月1日午前9時。それまでに公募要領を取り寄せて、計画と経費の対応をまとめておくのが理想的です。
今日はありがとうございました!書類を集めたら、まず事務局に電話してみます。
ぜひそうしてください。承継のタイミングを成長のチャンスに変えられるよう、応援しています!