室谷さん、今日は「テナントビルの省CO2改修支援事業」について教えてください。名前の通り、テナントビル向けの補助金ですよね?
そうですね。テナントが入居する既存の建物を対象に、省エネ・省CO2改修の費用を支援してくれる制度です。ただ、単に改修すればいいわけじゃなくて、条件があるんですよ。
ビルオーナーとテナントが「グリーンリース契約等」という、環境負荷を低減する取り組みに関する契約や覚書を結んで、協働して省CO2化を進めること。これが前提になります。
グリーンリース契約等……。耳慣れない言葉ですね。つまり、オーナーとテナントが一緒にやらないとダメなんですね。
そうなんです。この制度の目的が、既存のテナントビルの低炭素化と、グリーンリース契約等の普及促進ですから。改修したいけど、オーナーとテナントの関係がギクシャクしてるビルは、まず話し合いから始めないといけないですね。
この「グリーンリース契約等」って、具体的にはどんなことを取り決めるんですか?
環境負荷を低減する取り組みに関する契約や覚書、とされています。たとえば省エネ改修をしたときに、その効果やコストをどう分担するか、運用ルールをどうするか、といったことをビルオーナーとテナントが合意するイメージですね。
なるほど。書式は決まっているんですか? 契約書っぽいものが必要ですか?
「契約や覚書」とありますから、契約書でも覚書でも、双方の合意が分かる形であればいいのでしょう。ただ、どんな内容をどこまで書けばいいかは、公募要領で確認してください。
いい質問です。そのあたりも、公募要領や交付要綱を確認しないと断言できません。ちなみに、代理申請が可能とされているので、専門家に相談しながら進めることもできますよ。
なりません! この制度の対象は「テナントが入居する既存の建物」です。新築は対象外ですね。
ああ、だから「改修支援」なんですね。既存ビルの改修に特化した制度と。
ええ。既存のテナントビルの低炭素化に向けた取り組みを推進する、というのが大きな狙いです。
それなら、老朽化したビルの省エネ改修を検討しているオーナーにはぴったりですね。
そうですね。ただ、テナントが入居していることが前提ですから、空きビルや入居予定のないビルは対象外と考えてください。
この制度の3つの特徴既存テナントビル向け
テナントが入居する既存の建物が対象。新築は対象外です。
グリーンリース契約等が必須
ビルオーナーとテナントが環境負荷低減の取り組みに関する契約や覚書を結ぶ必要があります。
専用部と共用部を合算して上限4,000万円
テナント専用部と共用部・共用設備を合わせて、上限4,000万円・補助率3分の1です。
補助率は3分の1です。かかった費用の3分の1が補助される計算ですね。
さらに、上限額が大きいのもこの制度の特徴です。補助上限は4,000万円です!
えっ、4,000万円!? それはかなり大きいですね。
ただし、テナント専用部と共用部を合算して、です。内訳は「a テナント専用部」と「b 共用部または共用設備」の2つがあって、このaとbを足した金額が上限4,000万円まで使えます。
計算例を出してもらえますか? たとえば改修費が6,000万円かかる場合は?
6,000万円 × 3分の1 = 2,000万円ですね。上限の4,000万円に届かないので、全額補助されます。
1億2,000万円 × 3分の1 = 4,000万円。ちょうど上限ちょうどですね。
なるほど! 1億5,000万円だったらどうなりますか?
3分の1で5,000万円になりますが、上限が4,000万円なので、補助額は4,000万円で頭打ちです。
つまり、それ以上かかっても補助は増えない、と。大規模な改修ほど上限の大きさが生きてくるわけですね。
そうです。特に共用部をまとめて直すような、大きな工事のときにこの上限額のメリットが出ます。
さっき「b 共用部または共用設備」に条件があると言ってましたよね?
はい。共用部または共用設備を対象にする場合、テナントの床面積割合がビル全体の延床面積の30%以上であることが条件です。
30%以上、ね。つまり、ビルの3割以上をテナントが使っている必要がある、と。
その解釈でいいと思います。ただ、この条件が「b」だけに付いているのか、それとも「a」にも影響するのかは、公募要領で確認したほうが確実です。
テナント専用部だけの改修なら、この30%ルールは関係ない可能性もある、と。
記載を見る限りはそう読めますが、申請する前に必ず公募要領を確認してくださいね。
| 補助対象の区分 | 内容 | 条件 |
|---|
| a:テナント専用部 | テナントが入居している専用部分の改修 | 特に明記なし |
| b:共用部または共用設備 | ビルの共用部分・共用設備の改修 | テナントの床面積割合が延床面積の30%以上 |
| 合算 | a+b | 上限4,000万円・補助率3分の1 |
どんな事業者が申請できるんですか? やっぱり限定されていますか?
それが、めちゃくちゃ広いんですよ。対象業種として、農業、林業、漁業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、情報通信業、運輸業、郵便業、卸売業・小売業、金融業・保険業、不動産業、物品賃貸業、学術研究、専門・技術サービス業、宿泊業、飲食サービス業、生活関連サービス業、娯楽業、教育、学習支援業、医療、福祉……。
ちょっと待ってください! すごい数ですね(笑)。これ、ほぼ全部じゃないですか?
ほとんど全業種と言っていいでしょう。公務や分類不能の産業まで入っていますからね。
つまり、テナントビルに入居している会社なら、業種で諦める必要はほぼない、と。
そうですね。大事なのは業種うんぬんより、テナントビルかどうか、既存かどうか、グリーンリース契約等を結べるかどうか、です。
対象業種として個人事業主がどう扱われるかは、公募要領で確認が必要です。ただ、法人限定とは書かれていませんね。
ただ、グリーンリース契約等を結ぶ必要があるので、ビルのオーナーが個人か法人か、テナントが個人事業主かどうか、といった関係性は整理しておいたほうがいいです。
従業員数の制約なしとされています。人数で弾かれる心配はありません。
それはありがたいですね。じゃあ、小さい会社でも大きい会社でも、条件を満たせば対象になると。
ええ。対象地域も全国です。あとは建物側の条件を満たすかどうか、ですね。
申請者になるのは、ビルオーナーですか? それともテナントですか?
この制度はビルオーナーとテナントが協働して取り組むことが前提です。どちらが申請者になるかは、グリーンリース契約等の内容や、改修する部分が専用部か共用部かによって変わってくるでしょう。
共用部の改修ならオーナー、専用部の改修ならテナント、みたいなイメージですか?
イメージとしては分かりやすいですね。ただ、実際にどちらが申請主体になるかは、公募要領や交付要綱で確認してください。ここで断定はできません。
そもそも「テナントビル」の定義も確認が必要そうですね。
そうですね。テナントが入居する既存の建物、とされていますが、どの範囲までをテナントビルと呼ぶのかは、しっかり公募要領を読み込むことをおすすめします。
申請対象になるかのざっくりチェックテナントが入居する既存の建物ですか?
はいグリーンリース契約等を結んでいますか?
結んでいれば、省CO2改修の設備導入等が対象
この制度で書かれているのは「設備導入等に係る費用」です。グリーンリース契約等に基づき、省エネ化・省CO2化を図るために必要な設備の導入にかかる費用、というイメージですね。
設備導入、ですか。具体的にどんな設備が対象かは、どこを見れば分かりますか?
公募要領で確認してください。ここでは「設備導入等に係る費用」という記載しかなく、個別の設備名までは断定できません。
なるほど。空調や照明、給湯設備などは、一般的に省エネ改修でよく入れ替える設備ですが、この制度で対象になるかどうかは、やはり要確認ですね。
そうですね。あくまで「省CO2改修支援」ですから、CO2削減につながる改修であることが前提になるでしょう。どんな設備が対象になるかは、公募要領で確認するのが確実です。
逆に、これは対象外だろうな、というケースはありますか?
まず、グリーンリース契約等を結んでいない改修は制度の趣旨から外れます。
あと、共用部を対象にするのにテナントの床面積割合が30%未満の場合も、共用部は対象外になります。
テナントが少ないビルは、共用部の改修では使えない、と。
ええ。あと、新築や空きビルも対象外です。既存のテナントビルで、オーナーとテナントが協働して取り組む、というのが大前提ですから。
内装が省CO2化につながるかどうか、ですよね。設備導入等に該当するかどうかは、ケースバイケースで判断されると思います。ここは公募要領でご確認ください。
対象になるケース・対象外になりやすいケース- テナントビルの省CO2改修をオーナーとテナントが協力して行う
- テナント専用部と共用部を合わせて上限4,000万円まで申請できる
- グリーンリース契約等に基づく設備導入等の費用が対象
×デメリット
- グリーンリース契約等を結んでいない改修は対象外
- 共用部を対象にするならテナント床面積割合30%以上が必要
- 新築や空きビルは対象外
申請の流れを教えてください。何から始めればいいですか?
まず、電子申請に必要なGビズIDを取得しましょう。まだ持っていない場合は、早めに準備してください。
そうです。この補助金は、jGrantsポータルから申請します。GビズIDでログインする形ですね。
公募要領と申請様式を確認します。この制度の公式ページに公募要領や交付要綱、申請様式のリンクがまとまっていますから、まずはそこを見てください。
必要書類のリストも、公募要領に載っている感じですか?
はい。対象経費の範囲や、グリーンリース契約等の確認方法も、そこで確認することになります。ここを飛ばして申請すると、あとで「対象外だった」となりかねません。
jGrantsから電子申請できます。しかも、代理申請も可能とされています。
代理申請OKなんですね。行政書士とか、専門家に頼めるってことですか?
代理人が申請できるかどうかは、その代理人の資格や要件を公募要領で確認してもらえればと思います。ただ、ポータル上は「当サイトの代理申請 可」と明記されています。
なるほど。それなら、書類作成に不安があっても、専門家に頼む道があるのは心強いですね。
そうですね。特にグリーンリース契約等の内容は、初めてだと「これで合ってるのかな?」と迷う部分ですから、相談しながら進めるのも手です。
令和8年8月21日から令和8年9月30日までです。募集期間が約1か月ちょっとですから、準備は早めに始めましょう。
補助金申請の流れ- 1
GビズIDを取得
電子申請に必要。まだの場合は早めに準備します。
- 2
公募要領・申請様式を確認
対象経費や必要書類、条件をチェック。
- 3
必要書類を準備
グリーンリース契約等の内容が分かる書類など。
- 4
jGrantsから電子申請
募集期間内に送信します。代理申請も可能です。
- 5
- 6
事業実施・実績報告
改修工事後、実績報告を提出して補助金が交付されます。
待ってください。採択されたら、まず交付申請をします。そして交付決定を受けてから工事に着手する、という流れが一般的です。
交付決定前に工事を始めちゃうと、補助対象にならない可能性もある、と。
そういうことです。補助金は「あとから交付」のケースが多いので、資金繰りも考えておかないといけませんね。
実績報告を提出します。そこで事業の結果や費用の実績が審査されて、補助金額が確定し、交付されます。
なるほど。申請から交付まで、段取りを踏む必要があるんですね。
そうですね。ただ、この制度の詳しいスケジュール感(審査にどれくらいかかるか等)は、公募要領で確認してください。
公募スケジュールのイメージ令和8年8月21日
申請受付開始
jGrantsで受け付け開始。事前準備を済ませておきましょう。
令和8年9月30日
申請締切
期限厳守で提出。ギリギリは避けたいところです。
令和8年10月以降
審査
書類審査を経て、採択が決定します。
採択後
交付申請・交付決定
交付決定後に事業を実施します。
事業完了後
実績報告
工事完了後、実績報告を提出して補助金が交付されます。
まず間違いなく見られるのは、「グリーンリース契約等」を本当に結んでいるか、です。
そうですね。この制度は、オーナーとテナントが協働して省CO2化を図ることが目的です。契約や覚書の中身が、実際の改修と紐づいているかが大事になってきます。
つまり、書類として存在するだけじゃなくて、本当に双方が取り組む内容になっているか、と。
ええ。ですから、これからグリーンリース契約等を結ぶ場合は、改修する設備や、省CO2効果の目標、費用負担のルールなどをできるだけ具体的に盛り込むと良いでしょう。
はい、公募要領または執行団体への問い合わせで確認してください。ここで「この項目を書けばいい」と断言はできません。
共用部を対象にするなら、テナントの床面積割合30%以上という数字をしっかり確認することです。
はい。延床面積とテナント部分の面積が分かる図面や資料を求められる可能性が高いです。申請前に、自社ビルの数字を正確に計算しておきましょう。
申請書類に補助額の計算を記載する場合は、3分の1の計算や、4,000万円の上限を超えていないかの確認を丁寧にやりましょう。ここで間違えると、確認に時間がかかったり、修正が必要になったりします。
数字の間違いは、せっかくの申請が無駄にならないように、しっかり確認します。
テナントビルを所有していて、共用部や共用設備をまとめて改修したいオーナーにピッタリです。上限が4,000万円と大きいので、それなりに規模の大きい改修ほどメリットが出ます。
テナント側からでも、オーナーにグリーンリース契約等を持ちかけて、一緒に申請することは考えられます。特に専用部の改修はテナントが主体的に進められるでしょう。
なるほど。オーナーとテナントの関係が大事なんですね。
そう。この制度は「協働」がキーワードです。日頃からコミュニケーションが取れているビルほど、話がスムーズに進むでしょう。
グリーンリース契約等を結ぶのが難しいテナントビルは、まずそこがハードルになります。
テナントの入れ替わりが激しいビルとか、難しそうですね。
そうですね。あと、改修費がそれほど大きくない場合は、申請の手間を考えると、費用対効果をよく検討したほうがいいかもしれません。
申し込み自体はできるかもしれませんが、補助率3分の1、上限4,000万円という制度設計からすると、やはりある程度規模の大きい改修で力を発揮する制度だと思います。
なるほど。まずは自分のビルで何を改修したいのか、どのくらい費用がかかりそうか、を整理してから、この制度が合っているか判断するのが良さそうですね。
募集期間は、令和8年8月21日から令和8年9月30日まで、でしたよね。
そうです。ちなみに、この事業の実施機関は「建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業」です。問い合わせ先は、一般社団法人静岡県環境資源協会 省CO2促進事業支援センターです。
最後に、全体の基本情報をまとめて表にしてもらえますか?
もちろんです。ここまでの情報を整理すると、こうなります。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 制度名 | 【令和7年度補正予算・令和8年度】二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(テナントビルの省CO2改修支援事業(令和7年度補正三次公募・令和8年度二次公募)) |
| 実施機関 | 建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業 |
| 補助率 | 3分の1 |
| 補助上限額 | 4,000万円(テナント専用部+共用部または共用設備の合算) |
| 対象地域 | 全国 |
| 募集期間 | 令和8年8月21日〜令和8年9月30日 |
| 対象となる建物 | テナントが入居する既存の建物 |
| 主な条件 | ビルオーナーとテナントがグリーンリース契約等を結び、協働して省CO2化を図ること |
| 共用部の追加条件 | テナントの床面積割合がビル全体の延床面積の30%以上 |
| 対象業種 | 農業、林業、建設業、製造業、情報通信業、運輸業、卸売業・小売業、金融業・保険業、不動産業、宿泊業・飲食サービス業、医療・福祉、教育など多数 |
| 従業員数 | 制約なし |
| 申請方法 | jGrantsポータルから電子申請(代理申請可) |
| 問い合わせ先 | 一般社団法人静岡県環境資源協会 省CO2促進事業支援センター E-mail:center@siz-kankyou.or.jp |
| 公式URL | https://www.jgrants-portal.go.jp/subsidy/a0WJ200000CDdtvMAD |
これを見れば、制度の全体像がひと目で分かりますね!
特に大事なのは、グリーンリース契約等を結ぶこと、既存のテナントビルであること、共用部なら30%ルールがあること。この3つを頭に置いておいてください。
改修を検討している方は、まず公募要領をチェック、ですね!
ぜひ、余裕を持って準備してください。申請期間は令和8年8月21日から9月30日までですから、今から動き始めるのがベストですよ!