室谷さん、今日のテーマは二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金……ですよね?名前だけで息切れしそうです(笑)。
確かに長いですよね(笑)。正式名称は「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(新築建築物のZEB普及促進支援事業/既存建築物のZEB化普及促進支援事業)」で、実施事業の名前は「建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業」です。
つまり、建物のZEB化を支援する補助金ってことですね。ZEBって「ゼブ」と読むんですっけ?
そうです。「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル」の略で、年間の一次エネルギー消費量が正味でゼロになる建物のことです。省エネと省CO2性の高いシステムや設備機器の導入にかかる費用の一部を国が補助してくれます。
一次エネルギー消費量が正味でゼロ……って、電気を一切使わない建物ってことですか?
そこが誤解されがちなところですが、使わないのではなく、省エネで使う量をぐっと減らして、残りのエネルギーを再生可能エネルギーなどで賄って、年間トータルで実質ゼロにしよう、という考え方ですね。
なるほど。つまり「使う量」と「創る量」をイコールに近づけるわけですね。この補助金は、そのための設備導入を手助けしてくれると。
その通りです。対象は地方公共団体所有施設と民間の業務用建築物。オフィスや店舗、病院、学校、倉庫など幅広く使えます。
新築と既存で支援の枠が分かれているのもポイントですね。
はい。「新築建築物のZEB普及促進支援事業」と「既存建築物のZEB化普及促進支援事業」の2本立てです。新しく建てる場合と、すでにある建物を改修する場合で、補助率の考え方が違ってきます。
この制度の特徴新築と既存の2本立て
新築建築物向けと既存建築物向けで補助率が異なる
対象は全国・全業種に近い
地方公共団体から民間事業者まで幅広く申請可能
補助上限は3億円
条件を満たすと5億円まで引き上がる
問い合わせ先あり
一般社団法人静岡県環境資源協会が執行団体
なるほど、全体像はつかめました。じゃあ次は、気になるお金の話を詳しく聞きたいです!
基本は3億円です。ただし、地方公共団体が所有する施設で、延べ面積2,000㎡以上の既存建築物、または延べ面積10,000㎡以上の病院の新築建築物の場合は、上限が5億円に引き上がります。
3億円でも十分大きいのに、条件付きで5億円ですか。病院の新築ってそれだけ設備投資が大きいってことですよね。
そうですね。大規模な建築物ほど工事費も大きくなりますから、上限を引き上げて対応している形です。あくまで上限なので、全員がもらえるわけではないですが、規模の大きいプロジェクトも申請しやすくなっています。
補助率は「1/6~2/3」とありますが、これもけっこう幅がありますね。
まず新築建築物から見ていきましょう。事務所などの「事務所等」と、それ以外の用途で補助率が変わります。
そうです。事務所等の場合、最も高い『ZEB』ランクで4分の1。Nearly ZEBだと5分の1、ZEB Readyだと6分の1です。一方、事務所等以外の建物だと、『ZEB』で2分の1、Nearly ZEBで3分の1、ZEB Readyで4分の1、ZEB Orientedで4分の1になります。
同じZEBを目指すにしても、事務所かどうかで倍ぐらい違いますね。ZEBのランクによって補助率が変わるのも特徴的です。
さらに面積による条件もあります。延べ面積2,000㎡未満の建築物はZEB Readyが対象外。延べ面積10,000㎡以上の建築物は地方公共団体のみ対象です。ZEB Orientedは延べ面積10,000㎡以上の建築物のみ対象で、しかも事務所等の場合は対象外。かなり細かく条件が設定されています。
「対象外」がたくさんあって混乱しますね(笑)。このあたりは公募要領でしっかり確認しないといけなさそうです。
既存の方が全体に手厚いですね。事務所等で『ZEB』が3分の1、Nearly ZEBが3分の1、ZEB Readyも3分の1です。ただし、延べ面積2,000㎡未満の建築物のNearly ZEBは4分の1になります。
事務所等以外はさらに手厚くて、『ZEB』が3分の2、Nearly ZEBが3分の2、ZEB Readyが3分の2、ZEB Orientedが2分の1です。ただし、延べ面積2,000㎡未満の建築物のNearly ZEBは2分の1に下がります。
改修の方が補助率が高いんですね。新築よりも既存の省エネ改修を後押ししたい、という国の意図が感じられます。
そう読み取れますね。既存建築物のZEB Readyも、延べ面積2,000㎡未満だと対象外ですし、延べ面積2,000㎡以上だと地方公共団体のみ対象。ZEB Orientedも延べ面積10,000㎡以上のみ対象です。新築と同じような面積条件がかかってきます。
| 区分 | 用途 | ZEBランク | 補助率 |
|---|
| 新築 | 事務所等 | 『ZEB』 | 4分の1 |
| 新築 | 事務所等 | Nearly ZEB | 5分の1 |
| 新築 | 事務所等 | ZEB Ready | 6分の1 |
| 新築 | 事務所等 | ZEB Oriented | 対象外 |
| 新築 | 事務所等以外 | 『ZEB』 | 2分の1 |
| 新築 | 事務所等以外 | Nearly ZEB | 3分の1 |
| 新築 | 事務所等以外 | ZEB Ready | 4分の1 |
| 新築 | 事務所等以外 | ZEB Oriented | 4分の1 |
| 既存 | 事務所等 | 『ZEB』 | 3分の1 |
| 既存 | 事務所等 | Nearly ZEB | 3分の1(2,000㎡未満は4分の1) |
| 既存 | 事務所等 | ZEB Ready | 3分の1 |
| 既存 | 事務所等 | ZEB Oriented | 対象外 |
| 既存 | 事務所等以外 | 『ZEB』 | 3分の2 |
| 既存 | 事務所等以外 | Nearly ZEB | 3分の2(2,000㎡未満は2分の1) |
| 既存 | 事務所等以外 | ZEB Ready | 3分の2 |
| 既存 | 事務所等以外 | ZEB Oriented | 2分の1 |
なるほど、表にすると一目瞭然ですね。補助率の範囲で言うと、一番低いところで1/6、一番高いところで2/3。つまり工事費の6分の1から3分の2までを国が負担してくれる可能性があるわけですね。これは大きい!
大きいですよ。ただし、どのランクで申請するかは、建物の仕様や延べ面積によって決まってきます。「ZEB Oriented」が対象になるのは延べ面積10,000㎡以上の建物だけ、という点も忘れずにチェックしておいてください。
申請できるのはどんな事業者ですか?「うちは新聞販売店だからダメかも……」みたいな不安があるんですけど。
大丈夫です(笑)。対象業種がめちゃくちゃ広いんです。農業、林業から始まって、漁業、鉱業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、情報通信業、運輸業、卸売業・小売業、金融業・保険業、不動産業、学術研究・専門技術サービス業、宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス業・娯楽業、教育・学習支援業、医療・福祉……。
あります(笑)。複合サービス事業、サービス業、公務、さらには「分類不能の産業」まで入っています。これだけ並ぶと、逆に対象外を見つけるのが難しいくらいですね。
「分類不能の産業」まで対象って、すごい懐の深さです。
そして従業員数の上限もありません。基本情報を見ると「従業員数の制約なし」とあります。つまり、小規模な事業者でも大企業でも、建物のZEB化に取り組むのであれば申請を検討できるんです。
待ってください。業種の制限は緩いですが、建物の延べ面積や用途による条件はしっかりあります。さっきも触れたように、ZEB Readyは延べ面積2,000㎡未満の建築物だと対象外です。
ざっくり言うと、中小規模のオフィスビルや店舗だと2,000㎡を下回ることも多いので、注意が必要です。一方、延べ面積10,000㎡以上の建築物は地方公共団体のみが対象。つまり民間の大規模建築物は対象外になるケースがあります。
はい。加えて、ZEB Orientedは延べ面積10,000㎡以上の建築物のみ対象で、しかも事務所等の用途だと対象外。つまり、大きな病院や大学、物流倉庫などが主な想定になります。このあたりの線引きは複雑なので、自社の建物がどの区分に当てはまるのかを最初に整理するのが大事です。
申請対象になるかのざっくり確認建物は延べ面積2,000㎡以上ある?
はいZEB Ready以上で申請可能
面積や用途でランクを確認
いいえZEB Readyは対象外
『ZEB』かNearly ZEBで検討
2,000㎡を境に選べるランクが変わってくるんですね。じゃあ次は、補助金の使途について確認したいです。
この補助金で、どんな設備を買えるんですか?太陽光パネルとか、省エネ空調とか……。
ここは慎重に言わないといけないんですが、公式の制度詳細には「省エネ・省CO2性の高いシステムや設備機器等の導入にかかる費用」と書かれています。具体的な設備の種類までは、今回の提示情報には明記されていません。
あれ、そうなんですか?じゃあ具体的に何が対象かはどこで分かるんですか?
公募要領ですね。jGrantsのページには「公募要領」「交付要綱」「申請様式」のリンクがあるので、そこで対象経費のリストを確認する必要があります。私の方で「高効率空調が対象です」と断言すると、事実と違う可能性があるので、必ず要領でチェックしてください。
なるほど、正確を期すなら「要領で確認が必須」ですね。逆に、対象外になるものはありますか?
これも公募要領に記載があるはずです。一般的に補助金では、建物本体の建設費や土地の取得費、通常の維持管理費などが対象外になるケースが多いですが、この制度でどうなっているかは要領で確認するのが確実です。
経費の考え方(あくまで基本的な整理)- 省エネ・省CO2性の高いシステムや設備機器の導入費用が対象
- 新築・既存の両方で活用できる
- 補助率1/6~2/3と手厚い
×デメリット
- 具体的な対象設備は公募要領で確認が必要
- 延べ面積や用途によって対象外のランクがある
- 事業終了期限までに事業を完了させる必要がある
要領を読まないことには始まらない、と。ちなみに「設備整備・IT導入をしたい」「エコ・SDGs活動支援がほしい」というニーズにマッチする、とも書いてありました。
そうですね。省エネ設備の導入はそのまま「設備整備」ですし、脱炭素経営を進める意味で「エコ・SDGs活動」にもつながります。補助金をきっかけに、ZEB化を事業計画に組み込む企業も増えています。
今回の対象は、令和7年度補正予算三次公募・令和8年度二次公募で、募集期間は2026年8月21日から2026年9月30日までです。ただし、環境省の報道発表では2026年6月22日から同年7月17日までという公募期間も案内されています。これは公募の回次によって期間が異なるためです。
同じ制度なのに、期間が違うんですね。混乱しやすいポイントです。
なので、必ず自分が応募する回次の公募要領で締切を確認してください。今回の記事で扱っている「三次公募・二次公募」であれば、2026年9月30日が締切になります。
事業終了期限が設定されています。単年度事業は令和9年1月31日、複数年度事業は令和9年2月20日です。工事の規模によっては数か月かかるので、採択された後もこの期限を意識した工程づくりが必要です。
jGrantsのページには「当サイトの代理申請 可」と書いてありますから、ポータル経由での申請を想定していると考えて良いです。ただ、GビズIDの取得が必要かどうかといった細かい手順は、提示情報には明記されていません。公募要領で確認してください。
申請までの大まかな流れ- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
採択後に事業実施
単年度は令和9年1月31日までに完了
流れはシンプルですね。ただ、申請書類を作る前に、検討すべきことがたくさんありそうです。
そうですね。特にZEBランクの設定は、建物の設計や改修計画と密接に関わります。新築なのか既存なのか、事務所等なのかそうでないのか、延べ面積はどのくらいか。この3つを最初に整理すると、補助率の候補が見えてきます。
補助金は応募すれば全員通るわけじゃないですよね。何を重視して審査されるんですか?
審査基準の詳細は公募要領に記載されているので、まずそれを読むのが大前提です。その上で、私が重要だと思うのは次の3点です。
1点目は、建物の条件とZEBランクが合っているかです。延べ面積2,000㎡未満なのにZEB Readyで申請しても対象外です。10,000㎡以上なのに民間事業者が申請しても対象外です。こうした「そもそも対象外」を避けるだけでも、無駄な手間が省けます。
確かに、条件を読み間違えると最初から不合格ですもんね。
2点目は、事業完了までのスケジュールが現実的かです。単年度事業は令和9年1月31日、複数年度事業も令和9年2月20日が終了期限です。この期間内に設備の導入や工事を完了できる計画を立てましょう。
申請して終わりじゃなくて、ちゃんと事業を遂行できるかも見られるんですね。
3点目は、
執行団体に問い合わせて確認することです。この制度の問い合わせ先は、一般社団法人静岡県環境資源協会 省CO2促進事業支援センターです。E-mailは
zeb@siz-kankyou.or.jp と明記されています。
特に、対象経費の解釈や申請様式の書き方などは、自己判断で進めてしまうと後で修正が大変です。事前に確認しておくことで、ケアレスミスを減らせます。メールの件名に法人名と事業名を入れるなどのマナーも、環境省の報道発表で推奨されていますよ。
事前準備が大事ってことですね。最後に、スケジュール感とよくある質問をまとめてほしいです。
「単年度事業」と「複数年度事業」の違いがよく分からないです。工事が2年にまたがる場合は複数年度事業になるんですか?
その理解で概ね合っています。単年度事業はその年度内に完了する事業、複数年度事業は翌年度以降にまたがって実施する事業です。それぞれ事業終了期限が違います。単年度事業は令和9年1月31日、複数年度事業は令和9年2月20日です。
複数年度の方が少しだけ期限が後ろなんですね。大規模改修の場合は複数年度事業を選択する余地もある、ということでしょうか。
ただし、どちらの事業で申請できるかは、補助金の仕組みや建物の状況によって変わります。「うちは複数年度でいきたいから」と自由に選べるわけではない可能性もあるので、ここも公募要領で確認が必要です。
jGrantsから申請するって話でしたけど、具体的な操作方法はどこに載ってるんですか?
公募要領に申請方法が書かれています。jGrantsのポータルサイトには「申請の流れ」「よくあるご質問」のメニューもありますから、そちらも参考になります。ただし、今回の提示情報にはGビズIDの取得手順やログイン方法の詳細は含まれていません。ですから、操作面で不安があれば、執行団体の静岡県環境資源協会に問い合わせるのが確実です。
なるほど、分からないことは聞くのが一番ですね。では最後に、基本情報をまとめますね。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 制度名 | 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(新築建築物のZEB普及促進支援事業/既存建築物のZEB化普及促進支援事業) |
| 実施機関 | 建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業 |
| 補助金額 | 上限3億円(地方公共団体の延べ面積2,000㎡以上の既存建築物または10,000㎡以上の病院の新築建築物は5億円) |
| 補助率 | 1/6~2/3(ZEBランク、新築・既存により異なる) |
| 募集期間 | 2026年8月21日 ~ 2026年9月30日 |
| 対象地域 | 全国 |
| 対象業種 | 農業、林業、漁業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、情報通信業、運輸業、卸売業・小売業、金融業・保険業、不動産業、学術研究・専門技術サービス業、宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス業・娯楽業、教育・学習支援業、医療・福祉、複合サービス事業、サービス業、公務、分類不能の産業 |
| 公式URL | https://www.jgrants-portal.go.jp/subsidy/a0WJ200000CDdtRMAT |
| 問い合わせ先 | 一般社団法人静岡県環境資源協会 省CO2促進事業支援センター(zeb@siz-kankyou.or.jp) |
室谷さん、今日はありがとうございました!制度名は長いですが、中身は「建物の省エネ化を応援してくれる太っ腹な補助金」だと分かりました。
そうですね。ZEB化は初期コストが課題になりがちですが、補助率1/6〜2/3というのはかなり大きい支援です。まずは公募要領を読んで、自社の建物がどのランクで申請できるかを見極めてみてください!
締切は2026年9月30日ですね。余裕を持って準備したいと思います!