室谷さん、「中東情勢による原材料価格高騰に伴う経営基盤安定化緊急対策事業」……名前だけで息切れしそうなんですけど(笑)。まず、これは何のためにあるお金なんですか?
シンプルに言うと、中東情勢の影響で原材料の価格が上がってしまい、経営にダメージを受けている都内の中小企業を緊急支援するための助成金です。原材料費の縮減や価格転嫁などに向けた取組をする会社に、かかった経費の一部を助成します。
いやあ、原料が高騰して利益が圧迫されている会社に「何とかするための取組費」を出す、と。これはまさに緊急対策って感じですね。
そうです。正式名称は【第2回】中東情勢による原材料価格高騰に伴う経営基盤安定化緊急対策事業。今回は第2回の募集なんですね。
なるほど、第2回だから正式名称に【第2回】って入っているんですね。じゃあ第1回から期間を空けて、また募集しているという理解でいいですか?
はい、名称に【第2回】と付いているのがその証拠です。とはいえ、今回の記事で紹介するのはあくまで第2回の公募ですから、内容を確認するときは「第2回の公募要領を見る」ようにしてください。過去回の情報と混ざると危ないですよ。
ところで、これ「助成金」と書かれていますけど、補助金とは違うんですか?返さなくていいお金ですよね?
まず結論から言うと、返済義務のないお金です。貸付とは違いますから、「後で返す」という心配はありません。東京都や公社の資料では「助成金」、国が運営するjGrantsのポータルでは「補助上限額」「補助率」といった表記が使われているので、両方の呼び方を見かけると思います。
ああ、たしかに。申請ポータルと事業主体で呼び方が違うと「あれ?」ってなりますよね。心配ご無用ってことで(笑)。
そうそう、呼び方はともかく、もらえるお金の性質は同じです。申請して採択されて、取組を実施した結果を報告して、認められた金額が支払われるという流れですね。
制度の特徴をひとまとめ原材料高騰の影響を受けた都内中小企業が対象
営業利益率の減少か営業損失の計上が条件
助成率は5分の4以内、上限2,000万円
対象経費のうち5分の4まで助成対象
価格転嫁や原材料費縮減の取組を支援
設備導入から販路開拓まで経費は8区分
申請は電子申請ポータルから
令和8年9月1日14時から9月30日16時まで受付
じゃあ、どんな期間の費用が対象になるんですか?今すでに機械を発注しちゃった、みたいな場合でも大丈夫ですか?
ここは重要なポイントです。公式の制度詳細では、助成対象期間は交付決定日から最大1年間とされています。つまり、いつからいつまでの支出が対象になるかは「交付決定日」が起点になります。
ということは、交付決定前に契約や支払いを済ませてしまうと対象外になる可能性もあるってことですよね。
まさにそこは特に注意してほしいところです。対象になる経費の期間や、着工・発注のタイミングの扱いは、私から勝手に断言できません。必ず公募要領で確認してください。不安なら公社の事務局に電話で直接聞くのが一番確実ですよ。
じゃあ気になるお金の話です。いくらもらえるんですか?率と上限を教えてください!
数字ははっきりしています。助成率は助成対象経費の5分の4以内、助成限度額の上限は2,000万円です。これは大きいですよ。例えば、対象になる経費が500万円かかったら、その5分の4にあたる400万円が助成される計算です。
えっ、400万円!?自己負担は100万円でいいってことですよね。それは手厚い……。じゃあもっと大きな設備投資だったらどうなりますか?
例えば対象経費が3,000万円だとします。単純に5分の4をかけると2,400万円になりますが、上限が2,000万円なので、もらえるのは2,000万円まで。残りは自社負担になります。上限を意識した計画づくりが大事です。以下の表にまとめました。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 助成率 | 助成対象経費の5分の4以内 |
| 助成限度額 | 2,000万円 |
| 助成対象期間 | 交付決定日から最大1年間 |
| 申請受付期間 | 令和8年9月1日(火)14時~9月30日(水)16時 |
| 交付決定日 | 令和8年12月25日予定 |
| 早期交付決定 | 助成金交付申請額が100万円以下の申請は令和8年11月30日予定 |
ここで細かいツッコミなんですけど、「5分の4以内」って書いてありますよね。「以内」だと「5分の4まで」という意味ですか?
いい質問です。「5分の4を超えない範囲で助成します」という意味です。たとえば、全部が対象経費として認められれば5分の4に近い金額を受け取れますが、対象外の経費が混ざっていると、実質の助成率は下がります。
ああ、なるほど。申請したお金の全額が「対象経費」と認められるとは限らないわけですね。
そうです。あくまで「助成対象経費」の5分の4以内です。実際にどの費目が対象になるかは、公募要領に沿って判定されます。「うちは全部対象でしょ」と決めつけずに、要領の経費区分を細かくチェックするのが近道です。
それと、さっきの表に「100万円以下の申請は11月30日」とありました。これはどういうことですか?
公式の説明によると、助成金交付申請額が100万円以下の申請は、令和8年11月30日に交付決定される予定です。通常の交付決定日は令和8年12月25日予定ですが、少額の申請は先に決めてもらえるんですね。
例えば、対象経費が100万円かかる計画だったら、助成申請額は80万円になりますよね?そうすると100万円以下だから早く決まる、と。
その計算で合っています。助成申請額が100万円以下かどうかが分岐点です。100万円を少しでも超える申請は12月25日の扱いになりますから、スケジュールを読んで計画してください。
じゃあ、誰でも申請できるわけじゃないですよね。具体的な条件を教えてください。
対象は「中東情勢等の影響に伴う原材料費の高騰により、以下のいずれかに該当する都内中小企業等」です。要件は3つあって、1つ目が直近決算期の営業利益率が前期と比較して減少していること。2つ目が次期決算期の営業利益率が前期と比較して減少することを見込んでいること。3つ目が直近決算期において営業損失を計上していることです。
なるほど。つまり「もう利益率が落ちた」か「これから落ちる見込みがある」か「すでに営業損失を出している」か。このどれかに該当すればいいんですね。
そうです。「売上高が減った」ではなく、あくまで営業利益率が判断材料になるのがポイントです。原材料費の高騰は、売上が変わらなくても利益率をじわじわ下げますから、その影響をしっかり示せるかが大事です。
私は個人事業主なんですが、こういうのって法人じゃないとダメですか?
実は、公式の記載では「都内中小企業等」という表現で、その「等」にどこまで含まれるか、つまり個人事業主の扱いや法人の資本金の基準については、公募要領できっちり確認する必要があります。ここで勝手に「個人事業主は大丈夫です」とは言えないのが正直なところです。
ああ、やっぱり個人事業主の扱いはグレーゾーンなんですね。これは要領を読まないとダメだ。
ただ、対象地域は東京都ですから、都内に事業所があることが大前提です。公社のサイトに募集要項が掲載されますので、自分が「中小企業等」の定義に入るか、まずそこで確認してください。不明点は事務局へ電話するのが一番です。
対象業種を見たら、本当にたくさん並んでいました。製造業とか建設業は分かるんですけど、ここまで多いと逆に「本当にうちも対象?」と疑っちゃいます。
公式の対象業種は、農業・林業、漁業、鉱業・採石業・砂利採取業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、情報通信業、運輸業・郵便業、卸売業・小売業、金融業・保険業、不動産業・物品賃貸業、学術研究・専門・技術サービス業、宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス業・娯楽業、教育・学習支援業、医療・福祉、複合サービス事業、サービス業(他に分類されないもの)です。ほぼ全業種と言っていいくらいの広さです。
えっ、医療や福祉まで入ってるんですね。意外すぎます。
そうなんですよ。原材料高騰といっても、影響を受けるのは工場だけではありません。たとえば食材を扱う飲食店も、燃油を使う運送業も、材料を使う医療・福祉の現場も対象になり得る。この幅広さが今回の制度の特徴ですね。対象業種に該当するかは、この一覧で自分の業種を確認してみてください。
従業員数で足切りされたりしないんですか?従業員が3人の会社でも申請できます?
jGrantsの公式ページには「従業員数の制約なし」と明記されています。なので、従業員数だけで門前払いになるわけではないと考えていいでしょう。ただし「中小企業等」としての定義や、規模による細かい条件は公募要領で確認してくださいね。
申請資格をざっくりチェック原材料費高騰の影響で、直近か次期の営業利益率が減っている、または営業損失を計上している?
はい都内に事業所がある
対象業種に該当する
原材料費の縮減や価格転嫁に向けた取組を計画できる
じゃあ次は経費の話です。何に使えるか、具体的に教えてもらえますか?
公式に「助成対象経費」として挙げられているのは、原材料・副資材費、機械装置・工具器具費、機器・システム改良費、委託・外注費、設備等導入費、専門家指導費、販路開拓経費、その他経費の8区分です。
原材料・副資材費がそのまま対象になるのは珍しいんじゃないですか?普通、材料を買うだけでは対象外ってこともありますよね。
そうですね。この制度は原材料費そのものを対象経費にしているのが特徴的です。中東情勢による値上がりを回避するための取組、例えば原材料の使用量を減らすとか、ロスを削減するといった対策に直接つながる支出がイメージされています。
対象になりやすい経費・申し込み時の注意- 原材料・副資材費
- 機械装置・工具器具費
- 機器・システム改良費
- 委託・外注費
- 設備等導入費
- 専門家指導費
- 販路開拓経費
- その他経費
×デメリット
- この8区分に入っていれば何でも対象、ではない
- 購入時期と助成対象期間の関係を要確認
- 区分ごとの要件は公募要領で最終確認が必要
具体的にどんな取組が想定されているんですか?頭の中でイメージが湧かないんですよね。
公式ページや公社のリリースで示されている取組イメージを紹介すると、建設現場での塗料の使用量を減らす機器の導入、不良品を早期に発見して原材料の歩留まりを向上させる検査装置の導入、プラスチックから紙容器への切り替えのための機器の改良、インクの在庫ロスを削減する発注管理システムの構築などがあります。
ああ、なるほど!値上がりした材料を「ただ買う」のではなく、「使う量を減らす」「ムダをなくす」「別の材料に切り替える」ための投資が想定されているんですね。
その理解でバッチリです。原材料費の縮減だけでなく、価格転嫁に向けた取組も制度のキャッチコピーにうたわれています。設備整備・IT導入や販路拡大・海外展開を考えている会社にとっては、ぴったりの制度と言えます。
逆に「これは対象にならないよ」という経費はあるんでしょうか。
公式情報には「対象外経費」のリストが明記されていません。ですから、私の方から○○は絶対にダメです、と勝手に列挙するのは危険です。ただ、助成対象経費の8区分に挙がっていても、取組内容と直接関係ない支出や、助成対象期間外の支出は認められない可能性が高いと考えるべきでしょう。
なるほど。じゃあ「うちの場合はどうなの?」は、公募要領か事務局に聞くのが確実なんですね。
その通りです。あと、他の助成金との併用についても、公式ページには併用の可否まで明記されていません。ほかの事業と組み合わせたい場合は、それぞれの要領を照らし合わせて事務局に確認してください。「併用できますよ」と勝手に請け合うことはできないので、そこは正直にお伝えしておきます。
それでは申請の流れを知りたいです。まず、いつ申し込めるんですか?
今回の第2回は、令和8年9月1日(火)14時から9月30日(水)16時までが申請受付期間です。9月頭に始まって、9月末で締め切りという、1ヶ月勝負の短期決戦ですよ。
えっ、もうすぐじゃないですか!1ヶ月間しかないんですね。これは書類を準備する時間も考えると、今から動き始めないとヤバいですね。
本当にそうです。しかも14時開始、16時締め切りと時刻まで決まっています。特に締切の9月30日16時は絶対に外せません。ギリギリにシステムへアクセスしようとすると何が起きるか分からないので、できるだけ早めに申請を完了させるのが鉄則です。
申請はどこからやるんですか?役所に書類を持っていくタイプですか?
電子申請かぁ……。私はこういうの初めてで、アカウントも持っていないんですけど、どうすればいいですか?
申請までの流れ- 1
公募要領と申請様式を入手
公社サイトやjGrantsで第2回の要領を確認
- 2
GビズIDを用意
電子申請に必要。未取得ならすぐに手続き
- 3
事業計画と経費を整理
対象経費の5分の4・上限2,000万円で計算
- 4
jGrantsから電子申請
9月1日14時〜9月30日16時までに提出
- 5
審査を経て交付決定
12月25日予定。申請額100万円以下は11月30日予定
交付決定日は令和8年12月25日予定です。ただし、助成金交付申請額が100万円以下の申請は令和8年11月30日予定です。決定後は、交付決定日から最大1年間が助成対象期間になります。
つまり、12月に決定が下りて、そこから1年以内に実施した取組が対象になる、と。4月開始の事業年度とはちょっとずれるんですね。
そうなんですよ。12月25日決定なら、そこから翌年12月くらいまでの1年間の支出が対象になってきます。自社の事業計画とこの期間が合っているか、先にシミュレーションしておくといいですね。
第2回のスケジュール(予定)令和8年7月17日
公社がリリースを発表
制度の周知や募集案内が始まる
令和8年9月1日
申請受付開始
14時から受付開始
令和8年9月30日
申請受付締切
16時までに電子申請を完了
令和8年11月30日
早期交付決定
助成申請額100万円以下の申請が対象
令和8年12月25日
交付決定
全体の交付決定日(予定)
交付決定日から最大1年間
助成対象期間
この期間に実施した取組が対象
ここからは審査のコツです。どういうポイントで見られると思いますか?
あくまで私の考え方ですが、この制度の目的は「中東情勢による原材料価格高騰の影響を回避する取組」への助成です。つまり、原材料費が上がった事実と、それを何とかするための取組が、しっかり結びついているかを説明できるかが大事になってきます。
「原材料が高い、助けて」ではなくて、「原材料が高いから、こんなふうに乗り切る」という未来の計画を見せるわけですね。
そうです。たとえば検査装置を入れて歩留まりを上げるなら、材料費がどれくらい節約できるのか。発注管理システムを入れるなら、在庫ロスがどれだけ減るのか。数字で効果を語れると、説得力がグッと上がります。
申請書類を作るうえで、一番つまずきやすいポイントはどこだと思いますか?
やはり「経費の区分け」でしょう。助成対象経費には原材料・副資材費、機械装置・工具器具費、機器・システム改良費、委託・外注費、設備等導入費、専門家指導費、販路開拓経費、その他経費と8つありますが、見積書や請求書をどの区分に計上するかで、審査のスムーズさが変わります。
見積書をもらったら「この機械はどの区分だろう?」から始まるんですね。
そういう意味では、経費の見積もりを取る段階から「これはどの費目に該当するのか」を意識しておくといいです。「その他経費」に何でも入れてしまうと、後で確認のやり取りが発生するかもしれませんからね。不明点は事前に事務局へ確認するのが確実です。
実施は公益財団法人東京都中小企業振興公社です。問い合わせ先は「中東情勢による原材料価格高騰に伴う経営基盤安定化緊急対策事業 事務局」で、TEL:03-5244-4260になります。内容を正確に伝えるために、事前に公募要領を読んでから聞くのがおすすめです。
うちは売上は去年とあまり変わらないんです。でも材料費が上がって、利益率はじわじわ下がっています。これって対象になりますか?
公式の要件は「売上高の減少」ではなく「営業利益率の減少」です。直近決算期の営業利益率が前期と比較して減少しているか、次期決算期の減少が見込まれるか、あるいは直近決算期で営業損失を計上しているか。この3つのどれかに該当すれば、対象の可能性が出てきます。
じゃあ「売上は変わらないけど利益率が下がった」という、まさに原材料高騰の影響をモロに受けたパターンが対象になり得るんですね!
こればかりは実際の決算書を見ながらの判断になりますから、「可能性がある」としか言えませんが、検討する価値は大いにあると思います。
第1回の存在は知っていたんですが、気づいたら終わっていました。第2回は申し込めるんですか?
今回の記事で紹介しているのは第2回の募集ですから、第2回として受け付けが行われます。名称にも【第2回】とあります。ただし、第1回と第2回で要件がまったく同じとは限りません。応募する際は第2回の公募要領を読み込んでください。もし第1回の資料のまま書類を作っていると、要件のズレに気づかない危険があります。
ここまで手厚いと「応募者が殺到して抽選になるのでは?」と心配になるんですけど……。
公式ページには、募集枠や予算上限、採択予定件数までは明記されていません。だから「必ず採択される」とは絶対に言えません。ただ、募集期間が9月1日から9月30日までの1ヶ月間であることからも、準備期間が短いぶん、早めに公募要領をチェックした者勝ちな側面はあると思います。
なるほど。これは「情報を早く掴んだ人が有利」なタイプですね。今すぐ行動します!
最後に、今回の制度の基本情報を整理してほしいです。
では、重要なところを最終確認しましょう。助成率は助成対象経費の5分の4以内、上限2,000万円。申請受付は令和8年9月1日14時から9月30日16時まで。交付決定は12月25日予定で、申請額100万円以下は11月30日予定です。
対象は「原材料高騰で営業利益率が下がっている、または営業損失を出している都内中小企業等」で、経費は原材料費・設備導入・システム改良・委託外注・販路開拓など8区分。これで間違いないですね。
完璧です。ここまで理解できていれば、あとは公募要領で細部を確認するだけです。まずは公社のサイトで第2回の要領をダウンロードして、自分の会社がどの要件に当てはまるかチェックしてみてください。
室谷さん、今日はありがとうございました!名前は長いけど、中身は事業者にかなり頼もしい制度だと分かりました。
名前は長いですが、それだけ「緊急度が高い」というメッセージでもありますからね。原材料高騰で経営が圧迫されているなら、ぜひ第2回の申請にチャレンジしてみてください。私も応援しています!