室谷さん、今回のテーマは「経営統合等による産業力強化支援事業(単体枠)」ですね。名前が長くて、なんだか難しそうなんですが……。
確かに名前は堅いですけど、中身は「東京都内に工場を新設・増改築する中小企業を助成してくれる」という、とても太っ腹な制度なんですよ。補助上限は最大3億円。令和8年度の募集で、申請期間は2026年9月1日から2026年9月30日までです。
えっ、3億円!? それはすごい規模ですね。ちょっと聞き逃せないな。でも「経営統合」って言葉があるので、何か会社同士が合併することが前提なんですか?
そこがこの制度のニクいところで、「単体枠」は経営統合をしない会社も対象になってるんです。サプライチェーンへの影響が大きくて、大規模な変革に取り組む都内の中小企業が対象です。つまり、単独で大きな設備投資や工場建設をする会社もいける可能性がある。
ほんとですか?それは期待しちゃいますね。でも3億円と言われると、どのくらいの会社が対象になるのか気になります。
まず基本を押さえましょう。実施しているのは東京都と(公財)東京都中小企業振興公社です。都内に工場を新設・増改築するときの経費の一部を助成する。補助率は2分の1、つまり工事費などの半分を助成してくれるんです。
都内経済を支えているのは、企業の99%を占める中小企業です。でも後継者不足による廃業や都外への転出で、サプライチェーンの要である製造事業者が減っている。そこで経営統合などの大規模な変革を後押しして、都内に工場を残し、サプライチェーン全体の付加価値を高めようという狙いです。
なるほど。大きな会社に囲まれた中小企業が、実はサプライチェーンの要になっているケースは多いですもんね。この制度のキャッチコピーは「都内に工場を新設・増改築する中小企業を支援します」ですよね。まさにドンピシャです。
2025年7月に新規事業として募集が始まったばかりで、注目度が高いのも特徴です。しかも「コーディネーターによる助言や進捗管理などのハンズオン支援」が付くんですよ。
ハンズオン支援って、手取り足取り教えてもらえるってことですよね?お金をもらえる上に、専門家のサポートまで付いてくるのは心強い!
そうなんです。採択後の事業を確実に成功させるための伴走支援があるのは、中小企業にとってありがたいポイントです。
この事業には「単体枠」と「連携枠」があると聞きました。どう違うんですか?
単体枠は、1社だけで大規模な変革に挑むパターンです。直近決算期の営業利益が黒字であることが条件で、助成下限額は5000万円です。一方の連携枠は、経営統合等を行う都内中小企業者向けで、助成上限が最大4億円、助成率が3分の2と手厚くなっています。
連携枠の方が上限も助成率も上なんですね。でも今日の主役は「単体枠」です。単体枠でも最大3億円、補助率2分の1ですから、かなり大きいですよね。
大きいですね。このページは単体枠用の申請フォームです。連携枠で申請するときはフォームが異なるので、混同しないように気をつけてください。募集要項でしっかり確認しましょう。
制度の特徴最大3億円の大型助成
都内の工場建屋の建設費や設備費などが対象。補助率は2分の1。
単体でも申請可能
経営統合を伴わない単独の大規模変革も「単体枠」で対象に。
ハンズオン支援付き
コーディネーターによる助言や進捗管理などのサポートを受けられる。
製造業と情報通信業が対象
都内で実質10年以上事業を行っている中小企業者が応募できる。
この:::figureを見ると、要件がだいぶイメージしやすくなりますね。でもまだ「対象者」の細かい条件が分かっていません。
まず、どんな会社が申請できるんでしょうか。業種の制限はありますか?
対象業種は製造業と情報通信業です。対象地域は東京都になります。これから都内に工場を新設・増改築する計画があることが前提です。
うちは製造業なので該当します!では、会社の規模とかはどうなんですか?大企業でもいいんでしょうか?
あくまで「中小企業者」が対象です。東京都中小企業振興公社が実施しているので、中小企業基本法や中小企業支援法で定められた中小企業者がベースになります。資本金や従業員数の具体的なラインは、公募要領でしっかり確認する必要があります。ここでは従業員数の上限の制約はありませんと記載されていますが、中小企業者としての要件はありますからね。
対象になり得ますが、あくまで「都内で実質的に10年以上事業を行っていること」というハードルがあります。さらに、都内の工場の新設・増改築を実施して、サプライチェーン全体の付加価値向上を図る取組であることが求められます。
10年以上、実質的に都内で事業を続けている必要があるんですね。新しく創業したばかりの会社は難しいと。
はい。あと「助成事業完了後も、引き続き10年以上、都内で営業し続ける事業計画であること」も要件です。つまり、工場を建てて終わりではなく、その後も長期にわたって都内で事業を続ける覚悟があるかが問われます。
単体枠では「経営統合」って関係ないんですよね?契約は必要ないんでしょうか?
連携枠では「基準日以前3年前から助成事業完了日までに、経営統合等に係る契約を締結していること」が要件になっていますが、単体枠では経営統合の契約は必須ではありません。単体枠の要件は「直近決算期の営業利益が黒字であること」「助成金下限額が5000万円であること」「都内で実質的に10年以上事業を行っていること」です。
助成金下限額が5000万円……。つまり、総事業費を出すと補助金が5000万円未満になるような小さな計画ではダメ、ってことですね。逆に言えば、それだけ大きな投資をする会社でないと申請できない、と。
その通りです。補助金が5000万円以上になる規模の事業、つまり単純計算で総事業費が1億円以上(※補助率2分の1の場合)の投資計画が必要です。かなりハードルは高いですけど、それだけの投資を考えている製造業や情報通信業の会社には魅力な制度です。
申請資格の簡易フローチャート都内で工場の新設・増改築を計画していますか?
はい対象業種は製造業または情報通信業か確認
都内で実質10年以上の事業活動があるか確認
直近決算期の営業利益が黒字か確認
助成金下限額の5000万円以上になる計画か確認
なるほど。自分の会社が条件に当てはまるかどうか、事前にチェックできそうです。ちなみに「従業員数の制約なし」って書いてありましたけど、本当にどんなに大きな会社でもいいんですか?
いえ、あくまで「中小企業者」の枠組みの中でです。東京都のサイトにも明確に「都内中小企業者」と書かれています。従業員数の上限が特に設定されていないものの、中小企業者の定義から外れる大企業は対象外です。ご自身の会社の資本金や従業員数が中小企業者の範囲に収まっているか、必ず公募要領で確認してください。
分かりました。では、この制度を利用すると、具体的にいくらもらえるのか気になります。次は補助金額の話を聞かせてください!
補助上限額は300,000,000円、つまり3億円と書いてありました。補助率は2分の1。これはどういう計算になるんですか?
例えば工場の建設費と設備費の合計が6億円かかる場合、その半分の3億円が上限いっぱいまで補助される、というイメージです。助成限度額は最大3億円ですから、3億円を超える分は自己負担になります。
なるほど。総事業費が大きければ大きいほど補助額も大きくなりますが、上限は3億円で頭打ちになると。ということは、上限まで受けるには総事業費が6億円以上必要ってことですね。
その通りです。補助率が2分の1というのは、対象経費の半分を国や都が持ってくれるということです。ただし、補助金の下限額は5000万円です。つまり、小さな工事では申請すらできない。5000万円以上の補助金を受け取る規模の事業計画が必要です。
計算例を教えてもらえますか?たとえば工場の建屋建設費が4億円、設備費が1億円の場合はどうなりますか?
合計で5億円ですね。補助率2分の1ですから、補助額は2.5億円です。ただし、助成の下限額が5000万円なので、これはクリアしています。上限の3億円には届かないので、2.5億円が支給額になります。
なるほど。じゃあ設備費が高い会社ほど得をするわけですね。
ただし、対象になる経費が決まっています。工場建屋の建設費、設備費などです。すべての経費が補助対象になるわけではないので、注意してください。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 補助上限額 | 最大3億円(300,000,000円) |
| 補助率 | 2分の1 |
| 助成下限額 | 5000万円 |
| 対象経費の例 | 工場建屋の建設費、設備費など |
| 助成期間 | 交付決定日の翌月1日から最大3年間 |
その通りです。助成期間が「交付決定日の翌月1日から最大3年間」というのも特徴的ですね。長期間にわたって工事や設備導入ができるので、大きなプロジェクトでも計画的に進められます。
3年間もかけて事業をやっていいんですね。それは大きいなあ。でも補助金だから、後で返済が必要とかはないんですよね?
返済不要の助成金です。ここのポイントは「補助金」ではなく「助成金」というところですね。国庫補助ではなく、東京都の事業です。返済の必要がないので、採択されれば大きな武器になりますよ。
これはぜひとも採択されたい!ところで、この制度はいつからいつまで申請できるんですか?締切が近いと焦りますよね。
令和8年度の募集期間は2026年9月1日から2026年9月30日までです。前年度(令和7年度)は9月1日から10月31日までだったので、ちょっと期間が短くなっています。焦らず、でも計画的に準備しましょう。
補助対象になる経費って、具体的に何があるんでしょうか。「工場建屋の建設費、設備費等」と書いてありましたが。
うーん、実はそこがこの制度の厄介なところで、公式ページを見ても「工場建屋の建設費、設備費 等」としか書かれていないんです。詳細な経費の区分や、どの経費が対象になるかは募集要項を確認する必要があります。
なるほど。一般的な補助金だと「備品費」「役務費」「外注費」みたいに細かく区分されていますよね。この制度も対象経費のリストが公募要領に載っているんでしょうか。
その可能性が高いですね。ただ、ここではっきり言えるのは「工場の新設・増改築に関わる経費」と「設備導入」が対象になるということ。一方、工事に関係しない経費や、日常の運転資金などは対象外になるのが普通です。
対象になりそうな経費のイメージを教えてもらえますか?
まず「工場建屋の建設費」ですね。これは新しい工場を建てる費用や、既存工場を増築・改築する費用です。あとは「設備費」。製造業なら工作機械やライン設備、情報通信業ならサーバーや通信設備などが思い浮かびます。
建物だけじゃなくて、中に入れる機械も対象なんですね。これは助かります!
ただ、ここからが大事なポイントです。「経営統合等による産業力強化支援事業」という名前の通り、ただ設備を買えばいいというわけではありません。サプライチェーン全体の付加価値向上を図る取組であることが条件です。つまり、単なる設備更新ではなく、事業の高度化や新たな価値創造につながる計画である必要があります。
対象経費のイメージ- 工場建屋の建設費(新設・増改築)
- 設備費(生産ライン、サーバー等)
- 事業完了後も10年以上都内で営業する計画の経費
×デメリット
- 日常の運転資金
- 対象外経費の詳細は公募要領で要確認
- 単なる設備更新は採択されにくい可能性
経費の線引きはかなり重要そうですね。これは応募前にしっかり公募要領を読み込まないといけませんね。
では、実際にどうやって申請するのか、手順を教えてください。jGrantsというサイトで申請するんですよね?
はい。jGrants(日本政府の補助金申請ポータルサイト)から電子申請します。まず必要なのがGビズIDです。これは企業が行政サービスを利用するための共通IDですね。まだ持っていない場合は、早めに取得しておきましょう。
GビズID、聞いたことはありますが、取得に時間がかかるんでしたっけ?
場合によっては数週間かかることがあります。ですから、申請を検討しているなら、いますぐ取得手続きを始めるのがおすすめです。申請期間は2026年9月1日から9月30日までなので、逆算して準備を進めましょう。
前年度のスケジュールを参考にすると、本申請の前に事前相談の期間が設けられていました。令和7年度は7月28日から8月末までが事前相談でした。
事前相談があったんですね。これは必須なんでしょうか?
詳細は公募要領を確認してください。ただ、計画の妥当性や要件適合性を事前に確認してもらえるので、非常に有益です。任意であっても活用する価値がありますよ。申請書類をいきなり完成させるのではなく、事前相談で方向性を固めてから書類作成に入るのがスムーズです。
まず事業計画書です。補助対象事業の内容、サプライチェーンへの影響、付加価値向上の具体的な方策、収支計画、資金計画などを記載します。あとは直近決算期の決算書、会社の登記簿謄本などが必要になるでしょう。詳細は募集要項と申請様式を確認してください。
補助金申請の大きな流れ- 1
GビズIDを取得
電子申請に必要な共通ID。発行に時間がかかることもあるので早めに。
- 2
事前相談を利用
計画の方向性や要件適合性を確認。7月〜8月が目安。
- 3
公募要領で要件を確認
対象経費、業種、助成下限額などを細かく確認。
- 4
申請書類を作成
事業計画書や決算書などを準備。採択を意識した内容に。
- 5
jGrantsで電子申請
2026年9月1日〜9月30日に申請。単体枠用のフォームから。
- 6
審査・採択
書類審査を経て採択が決定。交付決定はその後。
jGrantsのポータルサイトにログインして、該当する補助金のページから申請します。この制度の単体枠用の申請フォームが用意されています。連携枠とはフォームが異なるので注意しましょう。
代理申請もできると書いてありましたが、どういうことですか?
jGrantsの「当サイトの代理申請」が「可」になっていますね。これは、申請者本人に代わって、税理士や中小企業診断士などの代理人が申請手続きを行えることを意味します。もし社内に電子申請に慣れた人がいない場合は、専門家に依頼するのも一つの手です。
なるほど。プロに任せられるなら心強いですね。ただ、代理人にもGビズIDの設定が必要だったりするんでしょうか。
そのあたりの技術的な詳細は、jGrantsのヘルプや東京都中小企業振興公社に問い合わせるのが確実です。申請代行のスキームはありますが、権限設定の方法などは事前に確認しておきましょう。
申請期間が終わったら審査に入ります。令和7年度の事例では、2025年11月から2026年1月が審査・採択期間で、2026年2月に交付決定でした。令和8年度も同じような流れになると予想されます。つまり、申請してから採択結果が出るまで数ヶ月かかるということです。
数ヶ月待つんですね。その間に工事を始めたりはできないんでしょうか?
原則として、交付決定前に事業に着手するのは危険です。もし不採択になった場合、投下した費用はすべて自己負担になりますからね。事業の着手時期については公募要領でしっかり確認してください。ただし、交付決定後に3年間の助成期間があるので、採択されてから計画的に進めれば十分です。
スケジュールの目安2026年7月頃
説明動画・事前相談
公募要領を入手し、計画を具体化する
2026年9月1日〜30日
申請受付
jGrantsで電子申請。単体枠用のフォーム
2026年10月以降
審査・採択
書類審査を経て採択が決まる
交付決定後
事業開始
翌月1日から最大3年間の助成期間
なるほど、イメージが掴めてきました。それでは次に、一番気になる「どうやったら採択されるのか」という話を聞きたいです!
まず「サプライチェーン全体の付加価値向上」という制度の趣旨に合致することです。公式の要件に「都内の工場の新設・増改築等を実施することにより、サプライチェーン全体の付加価値向上を図る取組であること」とあります。単なる自社の設備投資ではなく、取引先や業界全体にとって価値があることを示さなければいけません。
確かに、3億円もの助成金を出すわけですから、社会へのインパクトが求められますよね。具体的にどういうことを書けばいいんでしょうか?
例えば、新しい生産ラインを導入することで納期が短縮され、下請け企業も含めたサプライチェーン全体の効率が上がる。あるいは、先端設備を導入して高付加価値製品を生み出し、都内の産業全体の競争力を高める。そういうストーリーを描くことが大切です。
公式の要件の中に「サプライチェーンへの影響が大きい取組や工場建設の取組を優先的に採択予定」とあります。つまり、影響範囲が広い取組や、都内に新しい工場を建てるような計画は有利に働く可能性が高いです。
なるほど。工場の増改築でも、単に建て替えるだけではなく、サプライチェーンへの波及効果をアピールする必要があるんですね。
あと、審査では事業計画の実現可能性も見られます。2025年7月の東京都の発表では、コーディネーターによる助言や進捗管理などのハンズオン支援が用意されています。つまり、採択後も事業を確実に遂行できるかどうか、計画の具体性や実行体制も評価されるということです。
特に、10年以上都内で営業し続けるというのは重要なポイントですよね。会社としてのコミットメントを示す必要がある。
そうですね。この制度は短期的な設備投資支援ではなく、都内産業の未来を作るための投資です。単体枠の要件として「都内で実質的に10年以上事業を行っていること」という実績と、「助成事業完了後も、引き続き10年以上、都内で営業し続ける事業計画であること」という将来の約束、両方が求められます。
やはりプロの目でチェックしてもらうのが近道ですか?
そう思います。不明な点は「(公財)東京都中小企業振興公社 取引振興課」に問い合わせてください。電話は03-5822-7250、メールは
keiei_togo@tokyo-kosha.or.jpです。事前相談で計画の方向性を確認してから申請書類を作成すると、抜け漏れが少なくなりますよ。
丸投げはダメですよ(笑)。補助金の申請は会社の将来を左右する大事なプロジェクトです。専門家の助言を受けながらも、最終的な事業計画は皆さん自身で作り上げてください。そのプロセス自体が、採択後の事業成功にもつながりますからね。
補助金にはよく「落とし穴」がありますよね。この制度で特に注意することは何ですか?
まず、他の補助金との併用です。同じ事業に対して国や都の他の補助金と重複して申請すると、どちらか一方を取り下げなければならなくなります。この制度で補助を受ける経費は、他の補助金の対象と重複しないように気をつけてください。
併用はダメなんですね。特に気をつけないと、うっかり二重申請してしまいそうです。
そうなんです。あとは、助成金は後払いが基本です。事業を実施して、実績報告をして、審査を経てからお金が振り込まれます。つまり、一度は自分で資金を立て替える必要があります。3億円規模の事業なら、資金計画をしっかり立てておかないと、途中で資金ショートする可能性もあります。
申請前に知っておくべきこと- 返済不要の助成金
- 最大3億円という規模感
- コーディネーターのハンズオン支援付き
×デメリット
- 後払いのため資金繰り計画が必要
- 他の補助金と併用できない
- 交付決定前に事業着手すると自己負担のリスク
助成事業完了後も、引き続き10年以上都内で営業し続けることが要件です。もし途中で都外に移転してしまうと、助成金の返還を求められる可能性があります。これは大きなコミットメントですから、経営計画に織り込み済みで申請してください。
10年の縛りは結構大きいですね。でも、それだけ都内に根ざした事業を育てたいという意思表示なんでしょうね。
もう一つ、直近決算期の営業利益が黒字であることが単体枠の要件です。赤字会社は単体枠では申請できません。もし赤字の場合は、連携枠の方が向いているかもしれません。
単独で大規模な変革に挑む会社には、それなりの体力が必要だからでしょう。黒字で安定した経営基盤があることが、3億円規模の助成金を確実に活用できるかどうかの判断材料になっているんですね。
最後に、申請時の細かい注意点があれば教えてください。
まず「単体枠」用の申請フォームを間違えないことです。連携枠と申請フォームが異なります。募集要項を読まずに申請すると、最悪の場合、期間内に修正が間に合わずに締切を逃すことになりかねません。
申請期間が2026年9月1日から9月30日までと、1ヶ月しかありません。令和7年度は9月から10月末までだったので、今回の方が短いんですね。書類の準備に時間がかかることを見越して、早めに動き始めましょう。
1ヶ月と聞くと、もう今から準備しないといけないですね!
一言でいうと、「都内で本格的な工場投資を考えていて、サプライチェーンの中で重要な役割を担っている中小企業」ですね。製造業であれば、新しい製品ラインを都内に作りたい会社。情報通信業であれば、大規模なデータセンターや通信設備を都内に置きたい会社。そういった企業にぴったりです。
まず、小規模な設備更新を考えている会社です。助成下限額が5000万円ですから、補助金ベースで5000万円以上、つまり事業費ベースでおおよそ1億円以上の投資が必要です。数十万円から数百万円単位の設備投資を考えている会社には、まったく向いていません。
たしかに、この制度はかなり大型のプロジェクト向けですよね。
また、都外への移転を検討している会社や、10年以上同じ場所で事業を続けることに抵抗がある会社も向いていません。あくまで都内に根ざして長期的に事業を発展させたいと考えている会社のための制度です。
経営統合を予定している会社の場合は、どうすればいいですか?
その場合は「連携枠」を検討しましょう。連携枠は経営統合等を行う都内中小企業者が対象です。助成上限は最大4億円、助成率は3分の2と、単体枠よりも手厚い条件になっています。
えっ、連携枠の方が条件がいいんですね。上限が4億円で、しかも3分の2も補助してもらえるなんて……。
そうなんです。経営統合という大規模な変革には、より大きな支援を用意しているんですね。ただし、連携枠には「基準日以前3年前から助成事業完了日までに、経営統合等に係る契約を締結し、助成事業完了日時点で当該契約が有効であること」という要件があります。助成下限額は1000万円です。
なるほど。経営統合の予定があるなら連携枠、単独で大型投資するなら単体枠ということですね。自分の会社に合った枠を選ぶことが重要です。
単体枠と連携枠の比較- 最大3億円
- 補助率 2分の1
- 直近決算期が黒字
- 都内で実質10年以上の事業実績
- 助成下限額 5000万円
- 最大4億円
- 補助率 3分の2
- 経営統合等の契約が必要
- 助成下限額 1000万円
- サプライチェーンへの影響が大きい取組
違いが一目瞭然ですね!この図を見ると、自社がどちらの枠に該当するのか判断しやすくなります。
そうですね。どちらの枠にするか迷ったら、まずは事前相談で相談してみるのがおすすめです。
それでは最後に、よくある質問をいくつか確認したいと思います。まず、会社が都内に登記していれば、工場は都内でなくてもいいんですか?
それはダメです。本事業では都内に工場を新設・増改築等することが前提です。都内で工場の建設を行う経費が助成対象になります。本社が都内でも、工場が都外の場合は対象になりません。
なるほど。工場の所在地が重要なんですね。ちなみに、申請は一度に複数の事業を申請できますか?
基本的には、1事業者が申請できるのは1つの事業計画です。この制度では、1つの大きなプロジェクトに対して助成するイメージです。複数の工場を別々に建てる場合も、まとめて1つの事業計画として申請することになるでしょう。
分かりました。あと、採択されたら必ず補助金を受け取れるんですか?
いいえ、そこが注意点です。採択されても、実際に事業を実施して実績報告をし、内容が適正だと認められなければ補助金は交付されません。また、事業計画通りに進まなかった場合は、補助額が減額されることもあります。採択後も気を抜かずに、計画通りに事業を進めることが大切です。
今年のスケジュールを教えてください。前年度と同じだと仮定すると、いつ頃動き始めるのがベストですか?
令和7年度は2025年7月16日に募集開始の発表があり、7月28日から8月末まで事前相談、9月1日から10月31日まで申請受付でした。令和8年度の募集は2026年9月1日から9月30日までです。7月頃に説明資料が公開されると予想されるので、それまでにGビズIDの取得や、大まかな事業計画の検討を始めておくのが良いでしょう。
つまり、もう今からでもGビズIDを取得しておいて損はない、と。
全くその通りです。GビズIDの発行には時間がかかることがありますから、申請を検討しているなら今のうちに取得手続きを進めましょう。「締切間際になってIDがない!」という事態は絶対に避けたいですからね。
(公財)東京都中小企業振興公社 取引振興課です。メールアドレスは
keiei_togo@tokyo-kosha.or.jp、電話番号は03-5822-7250です。事業の詳細や要件については、公社のホームページも確認してください。公式の制度詳細ページには、募集要項や交付要綱、申請様式へのリンクがあります。
これは最終チェックリストとして使えますね!助成金は「返済不要」ですが、要件を満たさないと返還になることもあるので、きちんと確認します。
補助金・助成金申請の基本は「公募要領を読むこと」です。ここで説明した内容も、あくまで公式情報に基づく概要です。応募を検討する際は、必ず最新の公募要領を取り寄せて、詳細な要件や提出書類を確認してください。
すごくよく分かりました!3億円という大きな助成金を受けるには、それなりの覚悟と計画が必要ですね。
そうですね。でも、都内に根ざして大きく成長しようとしている中小企業にとっては、これ以上ない追い風になる制度です。しっかり準備して、ぜひチャレンジしてください!
ありがとうございました!まずはGビズIDの取得から始めてみます。
頑張ってください!分からないことがあれば、遠慮なく東京都中小企業振興公社に問い合わせてみてくださいね。ではまた!