室谷さん、今日のお題は島根県の補助金ですね。名前がとにかく長い!
室谷: そう、正式には「中小企業等海外展開支援事業費補助金(海外出願支援事業)」の島根県版、令和8年度の第6回公募です。身も蓋もなく言うと、外国に出願するときのお金を半分持ってあげるという制度ですね。
佐藤: 半分! それはでかい。
室谷: 補助率は1/2以内、1企業あたりの上限は300万円です。返済不要のお金ですから、海外で権利を取るつもりなら見逃せません。
佐藤: 返済不要の300万円って、聞くだけで背筋が伸びる(笑)。
室谷: ただ「出願するなら誰でも」ではありません。日本で出願済みであること、島根に事業所があること、など条件がきっちりあります。そこは順番に潰していきましょう。
対象は中小企業だけなんですか?
室谷: 基本は中小企業者、または中小企業者が2/3以上を占めるグループです。加えて「みなし大企業」に当てはまると対象外になります。
佐藤: みなし大企業……初めて聞きました。
室谷: 大企業にがっつり株を持たれている会社のことですね。たとえば発行済株式の2分の1以上を同一の大企業が持っていたり、3分の2以上を複数の大企業が持っていたり。役員の2分の1以上が大企業の役員や職員を兼ねているケースも入ります。
佐藤: なるほど、資本関係で線が引かれるわけですね。
室谷: そう。あとは資本金5億円以上の法人に100%株を持たれている場合や、確定申告済みの直近3年の課税所得の年平均が15億円を超える場合も外れます。このあたりは自分の会社が該当するか、公募要領で必ず確認してください。
出願費用の半分が返ってくる以外に、いいところってあります?
室谷: 出願の種類ごとに上限が分かれているので、商標だけ、特許だけ、という使い方がしやすいのが特徴です。あと島根県の案内では、賃上げ企業やワーク・ライフ・バランス推進企業への加点措置も用意されています。
佐藤: 加点! それは知らなかった。
室谷: 賃上げのほうは、申請後の1事業年度または1年の期間で、給与総額か一人あたりの平均受給額が2.5%以上増えたかどうかで判断されます。希望する場合は「従業員への賃金引上げ計画の表明書」を出す決まりです。
佐藤: じゃあ、出すだけ出しておくほうが得ですね。
室谷: 加点の細かい配点までは公募要領で要確認ですが、要件を満たすなら出しておかない手はないですね。
佐藤: ふむふむ、覚えておきます。
この制度の3つの特徴補助率1/2以内
外国出願にかかる費用の半額を助成。返済不要
種類ごとに上限が分かれる
1企業300万円。特許150万円、実用新案・意匠・商標60万円、抜け駆け対策商標30万円
島根県内の事業所が前提
島根県内に事業所を有する中小企業者等が対象
金額のところ、もう一段くわしくお願いします。
室谷: 補助率は1/2以内。つまり対象経費の半分まで、それ以上は出ません。1企業あたりの上限は300万円で、これは複数案件を申請した場合の合計上限です。
佐藤: じゃあ4件出しても300万円が頭打ち。
室谷: そういうことです。で、その300万円の内側に、案件ごとの上限が何層か入っているイメージです。
佐藤: 二重の天井があるんですね。
室谷: まさに。だから「300万円もらえる」と聞いて、特許を何件も出せば全部カバーしてもらえる、という話ではないんですよ。
| 区分 | 1案件あたりの上限 |
|---|
| 特許 | 150万円 |
| 実用新案 | 60万円 |
| 意匠 | 60万円 |
| 商標 | 60万円 |
| 抜け駆け対策商標 | 30万円 |
| 1企業あたり(複数案件の場合) | 300万円 |
なるほど、特許が一番大きい。
室谷: 特許は150万円、実用新案・意匠・商標はそれぞれ60万円、抜け駆け対策商標は30万円です。ここは数字がはっきり決まっています。
佐藤: 抜け駆け対策商標って、聞き慣れない言葉です。
室谷: 日本で既に出願または登録済みの商標が、海外で第三者に無断で出願・登録されてしまう、あの「抜け駆け」への対策を目的にした商標出願のことです。対策目的の出願は上限が別立てで30万円になっています。
佐藤: なるほど、守りの出願にも枠があると。
たとえば特許を1件、外国で出願して費用が200万円かかったら?
室谷: 補助率が1/2以内なので、シンプルに考えると100万円。特許の案件上限150万円の内側なので、枠はまだ残っています。
佐藤: じゃあ費用が400万円かかったら?
室谷: 1/2だと200万円ですが、特許の案件上限が150万円なので、そこが天井になります。
佐藤: なるほど、1/2と案件上限の小さいほうが効くわけだ。
室谷: そういう理解で大丈夫です。複数案件を出して、合計が300万円を超える場合も、企業としての上限は300万円です。
佐藤: わかりやすい! 数字が3つ出てきたけど、順番に当てはめればいいんですね。
案件の種類ごとの上限の考え方- 1案件あたり150万円が上限
- 1企業あたり300万円の内側でカウント
経費はどこまで見てもらえるんですか?
室谷: 対象は大きく3つです。ひとつめが外国特許庁への出願手数料。ふたつめが、それに要する国内代理人・現地代理人の費用。みっつめが、それに要する翻訳費用です。
佐藤: 出願料、代理人、翻訳。この3つですね。
室谷: そう。島根県の案内でも「出願料、国内・現地代理人費用、翻訳費 等」と書かれています。
佐藤: 代理人費用が入るのはありがたい。現地の代理人って高いですからね。
室谷: ですよね。ここが対象に入っているかどうかで、体感の負担がかなり変わります。
逆に、これはダメ、というのはあります?
室谷: 手数料・代理人費用・翻訳費という3本柱の外側は、基本的に「等」の範囲を超えるものは対象外と考えたほうが安全です。あと、日本国特許庁に出願していないものは、内容が類似していても対象外と明記されています。
佐藤: それは盲点でした。海外だけ出願しようとしてもダメなんですね。
室谷: ダメです。応募の時点で日本に出願済みであることがスタートラインです。商標については優先権がない外国出願も可、という緩和がありますが、それも日本での出願が前提です。
佐藤: 先に日本、が合言葉ですね。
室谷: そう覚えてください。あと、事業終了後に外国特許庁で審査請求が必要なものは期日までに必ず行う、中間対応が生じたら原則として応答する、という義務もあります。ここはお金の話ではありませんが、後で効いてきます。
対象経費のイメージ- 外国特許庁への出願手数料
- 国内代理人・現地代理人の費用
- 出願に要する翻訳費用
×デメリット
- 日本国特許庁に出願していないものは対象外
- 出願の3本柱を超える費用は公募要領で要確認
- 採択後の審査請求・中間対応は義務
応募できるのは誰でしょう?
室谷: まず地理条件。島根県内に事業所を有する中小企業者等であることです。ただし地域団体商標の外国出願については、商工会議所、商工会、NPO法人等も対象になります。
佐藤: 県外からは無理、と。
室谷: 島根県の公募なので、そこは動きません。あとjGrantsの条件欄には従業員数の上限300名以下という記載もあります。中小企業者の定義に関わる部分なので、自社が当てはまるか公募要領で要確認してください。
佐藤: 手元で判断に迷ったら要確認、ですね。
室谷: はい。迷ったら問い合わせるのが一番早いですよ。
島根県の案内だと、応募資格が(1)から(7)まであるんですよね。
室谷: そのとおりです。(1)島根県内に事業所を有する中小企業者等、(2)知的財産を戦略的に活用して経営の向上を目指す意欲があること、(3)外国で権利が成立した場合に当該権利を活用した事業展開を計画していること、(4)国や財団が行う事業実施後の状況調査に協力すること。
佐藤: 3番目は、抜け駆け対策商標の場合は読み替えがあるんでしたっけ?
室谷: はい、抜け駆け対策商標出願の場合は、外国における抜け駆け出願対策の意思を有していること、に置き換わります。続けて(5)産業財産権に係る外国出願に必要な資金能力及び資金計画を有していること、(6)補助事業に必要な書類の提出について、出願業務を依頼する弁理士等の協力が得られる中小企業者、(7)経済産業省におけるEBPMに関する取組に協力すること、です。
佐藤: (6)が意外と重いですね。弁理士さんの協力なしでは書類が出せない。
室谷: そう、実務ではそこが最初の関門になることが多いです。先に弁理士さんと段取りを相談しておくのがおすすめです。
応募資格とは別に、案件側の条件もあるんですよね?
室谷: あります。申請書提出時点で、日本国特許庁に既に特許・実用新案(PCT出願を含む)、意匠、商標の出願を行っていて、これから外国特許庁へ出願予定であること。ここが大前提です。
佐藤: 出願の方法にも決まりがある?
室谷: パリ条約等に基づいて優先権等を主張して外国特許庁へ出願する方法、特許協力条約に基づく方法、マドリッド協定議定書に基づく方法、優先権の主張を伴うハーグ協定に基づく意匠のハーグ出願。このいずれかです。
佐藤: 全部聞いたことある単語だけど、どれを選ぶかで書類も変わる。
室谷: そうですね。それに加えて、令和9年2月26日までに外国特許庁への出願と、代理人等への振込が完了する見込みであること。先行技術調査等から外国での権利取得の可能性が明らかに否定されないと判断される出願であることも必要です。
佐藤: スケジュールがかなり具体的! 逆算が大事だ。
応募できるかの簡易チェック島根県内に事業所があり、日本で出願済み?
はいみなし大企業に該当しないか確認
弁理士等の協力体制を確認
第6回公募は令和8年10月30日17時まで
いいえ要件を満たす出願が先
まず日本国特許庁への出願を検討
申請ってどう進めるんですか?
室谷: 一番大事なところから言います。jGrants上に入力しただけでは、申請受付となりません。交付申請書および添付書類を、必ず郵送で公益財団法人しまね産業振興財団宛てに提出する必要があります。
佐藤: えっ、オンラインで完結しないんですか!
室谷: しないんです。機密内容を含む書類は郵送のみの受付だからですね。jGrantsは併用、という位置づけです。
佐藤: うっかりオンラインだけで終わらせたら、締切を過ぎてた……という悲劇が起きそう(笑)。
室谷: 笑い事じゃないんですよ、これ本当に怖いところです。しかも複数案件で申請する場合は、案件の数だけ申し込む必要があります。
どんな様式を使うんですか?
室谷: 間接補助金交付申請書の 様式第1-1(特許、実用新案、意匠、及び商標)または 様式第1-2(抜け駆け対策商標)に記入して、添付書類一式と一緒に財団へ提出します。
佐藤: つまり、普通の出願か、抜け駆け対策商標かで様式が分かれると。
室谷: そういうことです。jGrants側にも、様式第1-1(特許、実用新案、意匠及び商標(抜け駆け対策商標以外)の申請用)のファイルや、記入例、よくある質問、申請者手引きといった資料が並んでいます。
佐藤: 記入例があるのは助かる。
室谷: 記入例は商標用と特許・意匠用が用意されているので、まずそこを眺めると心理的なハードルが下がりますよ。
何か事前にやっておくべきことは?
室谷: GビズIDです。jGrantsを使うには認証システム「GビズID」の取得が必要で、取得には2〜3週間程度の審査期間がかかるとされています。
佐藤: 2〜3週間! 締切前に気づいたら間に合わないやつだ。
室谷: だから「公募開始前からの取得」が案内されています。第6回は令和8年10月30日17時までですから、逆算すると今すぐ動く話です。
佐藤: 逆算、逆算。メモしました。
海外出願支援事業の申請フロー- 1
GビズIDを取得
審査に2〜3週間程度。公募開始前からの取得が案内されている
- 2
案件と要件を確認
日本国特許庁への出願済みか、みなし大企業に該当しないか等
- 3
弁理士等と書類の段取り
書類提出への協力が得られることが要件
- 4
様式第1-1または1-2を作成
抜け駆け対策商標は様式第1-2
- 5
jGrantsに入力
ただしこれだけでは受付にならない
- 6
交付申請書と添付書類を郵送
しまね産業振興財団宛てに必ず郵送
審査って何を見られるんですか?
室谷: 島根県の案内で明確に書かれているのは、賃上げ企業とワーク・ライフ・バランス推進企業に対する加点措置です。ここは狙って取りにいけます。
佐藤: 賃上げの判定はどうやるんですか?
室谷: 申請後の1事業年度または1年の期間で、給与総額、または一人あたりの平均受給額が2.5%以上増加したか、で判断されます。希望する場合は「従業員への賃金引上げ計画の表明書」を提出することで受領とされています。
佐藤: 表明書を出すのを忘れたら、加点されない?
室谷: そういう扱いなので、賃上げするつもりなら書類をセットで出しましょう。ワーク・ライフ・バランス推進企業側の具体的な要件や配点は、公募要領で要確認です。
加点以外だと、どんなところが勝負ですか?
室谷: 島根県の応募資格に「知的財産を戦略的に活用し、経営の向上を目指す意欲があること」があります。要は、出願して終わりではなく、その権利で稼ぐ筋書きがあるかどうかです。
佐藤: 権利を取ること自体が目的になっていないか、と。
室谷: まさにそこです。加えて「外国で権利が成立した場合等に、当該権利を活用した事業展開を計画していること」も要件に入っています。計画の中身を書類で見せる必要があります。
佐藤: なるほど。じゃあ申請書は「出願の話」より「事業の話」を厚めに書いたほうがいい?
室谷: 最低限そこは整理してから書きましょう。あと忘れがちなのが、採択されたら企業名・所在地等が公表される点と、事業完了後5年間の状況調査(フォローアップ調査、ヒアリング等)が行われる点です。
佐藤: 5年! 長い付き合いになるんですね。
室谷: そのつもりでいましょう。
書類づくり、誰かに頼んでもいいんですか?
室谷: ここは非常に大事です。島根県の案内には、本公募や本事業における各種申請書類の作成等を、行政書士または行政書士法人以外の者が、他人の依頼を受けて報酬を得て代理することは行政書士法第19条のとおりできないと明記されています。
佐藤: へえ、そこまで書いてあるんだ。士業の線引きがあるんですね。
室谷: ですから、頼み先を選ぶときはこの点を意識してください。弁理士等の協力が得られることが要件にも入っているので、出願まわりの段取りと申請書類の段取りを、最初に分けて考えておくのが安全です。
佐藤: ふむ、最初の設計がすべてですね。
室谷: そう。ここでつまずくと、締切前日に大慌てになりますから。
締切の話をもう一度、整理してください。
室谷: 第6回公募は、財団の案内では令和8年10月1日から10月30日の17時までです。jGrantsの掲載では開始が令和8年9月30日となっているので、そこは公募要領で要確認という扱いにしておきましょう。
佐藤: 1日の違いか。でも締切は同じ?
室谷: 締切は10月30日17時です。そして、予算の上限に達し次第、公募を締め切ります。ここが本当の意味での締切です。
佐藤: 予算が埋まったら早く終わる、と。じゃあ締切当日に出すのは危ない。
室谷: ですね。そしてその後に第7回公募が令和8年11月2日から11月30日の17時まで予定されています。
佐藤: 回数が多い! 島根県は年間で何回もやっているんですね。
| 回 | 期間 |
|---|
| 第1回 | 令和8年5月11日〜5月25日17時(終了) |
| 第2回 | 令和8年6月1日〜6月30日17時(終了) |
| 第3回 | 令和8年7月1日〜7月31日17時(終了) |
| 第4回 | 令和8年8月3日〜8月31日17時(終了) |
| 第5回 | 令和8年9月1日〜9月30日17時(終了) |
| 第6回 | 令和8年10月1日〜10月30日17時(公募中) |
| 第7回 | 令和8年11月2日〜11月30日17時 |
第1回から第5回はもう終わってる!
室谷: そうなんです。つまり今から動くなら第6回か第7回です。公募スケジュールは変更される場合がある、と案内されているので、最新の情報は財団のページで確認してください。
佐藤: なるほど。あと、出願そのものの期限もありましたよね。
室谷: 令和9年2月26日までに外国特許庁への出願と、代理人等への振込が完了する見込みであることが必要です。公募に間に合わせるだけでなく、その先の出願まで見通しておく必要があります。
佐藤: 二段構えの締切だ。
室谷: そういうことです。
令和8年度の公募スケジュール令和8年5月11日〜9月30日
第1回〜第5回
すべて終了
令和8年10月1日〜10月30日17時
第6回公募
今回の対象。予算上限に達し次第終了
令和8年11月2日〜11月30日17時
第7回公募
予定として案内されている
令和9年2月26日まで
外国出願・振込の完了見込み
案件の要件として必要
郵送先と問い合わせ先も教えてください。
室谷: 提出先は公益財団法人しまね産業振興財団、新事業支援課 技術支援グループ、担当は杉原さんです。住所は〒690-0816 島根県松江市北陵町1番地 テクノアークしまね。
佐藤: 電話とメールは?
室谷: 電話が0852-60-5112、FAXが0852-60-5106、メールは
sat@joho-shimane.or.jpです。
佐藤: ありがとうございます。控えます。
室谷: 令和8年度の第6回は10月30日17時までですから、書類の郵送は余裕を持って。郵送は当日消印ではなく「届いているか」が大事なタイプの締切ですからね。
佐藤: そこ、本当に大事。早めに送ります。
最後に、情報の出どころも教えてください。
室谷: 公式URLはjGrantsのページ、そしてしまね産業振興財団のサイトにある「令和8年度『中小企業等海外展開支援事業費補助金(海外出願支援事業)』公募のご案内」です。jGrants側からは交付要綱、実施要領、実施要領別紙、よくある質問、申請者手引き、申請様式もダウンロードできます。
佐藤: 資料が結構そろっている。
室谷: そうですね。要件と申請様式は詳細欄の公募要領と財団のページで確認してください、と案内されています。ここが一次情報です。
日本でまだ出願していない人は、今回はあきらめるしかないんですか?
室谷: 第6回には間に合いませんが、要件そのものは「応募時に日本国特許庁へ出願済みであること」です。だから先に日本で出願して、次の回を狙う、という順番になります。
佐藤: 順番を飛ばせないんですね。
室谷: 飛ばせません。しかも商標は優先権がない外国出願も可、といった緩和はありますが、日本での出願がベースにあることは変わりません。
佐藤: なるほど。じゃあ第7回に間に合わせるには、日本出願を急ぐ必要がある。
室谷: そういう判断になります。スケジュールは予算に達し次第終了なので、そこも頭に入れておいてください。
申請すると、情報の扱いってどうなるんですか?
室谷: 申請時、事業実施期間中、事業報告提出時などに提供した情報は、審査、管理、確定、精算といった一連の業務のために利用されます。加工して生じた派生的な情報も含まれます。
佐藤: ふむ。
室谷: さらに、効果的な政策立案や政策の効果検証のために、経済産業省、その業務委託先、独立行政法人、大学その他の研究機関・施設等機関に提供・利活用される場合があります。ただし政策の効果検証目的のみの利活用や守秘義務等の遵守に係る誓約書を提出した機関・研究者に限る、という条件が付いています。
佐藤: なるほど、EBPMにつながる話ですね。
室谷: そう。そして申請・利用・報告等を行うことにより、このデータ利活用および効果検証への協力に同意したものとみなされます。ここは要件の(7)にも入っているEBPM協力とセットで理解しておきましょう。
採択されたら、それで終わり?
室谷: 終わりじゃないんです。まず企業名・所在地等が公表されます。そして事業完了後5年間の状況調査、フォローアップ調査やヒアリングが行われます。
佐藤: 5年は長いなあ。
室谷: さらに、事業終了後に外国特許庁で審査請求が必要なものは期日までに必ず行うこと、中間対応が生じたものは原則として応答することも決まっています。
佐藤: 権利を取るところまでがセットなんですね。
室谷: そのとおりです。だからこそ「取ってどう使うか」の事業展開計画まで含めて、最初から絵を描いておくのが、結果的に申請書も強くなります。
では最後に、今から動く人の動き方を整理してもらえますか?
室谷: まず自社が「みなし大企業」に当たらないか、島根県内に事業所があるかを確認。次に日本国特許庁への出願が済んでいるかを確認します。済んでいなければ、まずそこからです。
佐藤: 順番は日本が先、島根県内が前提、と。
室谷: そのうえで、出願業務を依頼する弁理士等の協力が得られるかを確認し、様式と記入例を見て書類を組み立てます。並行してGビズIDの取得を進める。これが2〜3週間かかるので、最初に着手したいところです。
佐藤: そしてjGrants入力プラス郵送。
室谷: はい。ここまで来たら、賃上げの表明書など加点に関わる書類もセットで出しておく。締切は令和8年10月30日17時、ただし予算の上限に達し次第終了です。
結局、どんな会社に向いているんでしょう?
室谷: 海外で権利を取って事業を広げたい、しかも出願費用の半分というまとまった額を軽くしたい、という会社ですね。1企業300万円、特許なら1案件150万円という枠は、出願の種類を選んで計画的に使えます。
佐藤: 逆に、向かないのは?
室谷: 日本での出願がまだの人、みなし大企業に該当する会社、島根県外にしか事業所がない会社は、この制度の対象外です。そこは無理に背伸びせず、要件を満たしてから挑むのが正解です。
佐藤: 素直に要件を満たすのが一番の攻略法か。
室谷: そう。奇策より、要件を一つずつクリアしていくのがこの手の補助金の鉄則です。