NEDOが「日系企業のITサービス、ソフトウェアとキーテクノロジー製品の国際競争ポジションに関する情報収集」の公募を出しているんですね。えっ、これ補助金じゃなくて委託調査なんですか?
そうなんですよ!(笑)この公募、普通の補助金と全然違うんです。NEDOイノベーション戦略センターが、日本のIT産業がグローバル市場でどのくらいのシェアを持っているかを外部機関に調べてもらう、委託型の調査事業なんです。受注できれば、NEDOと委託契約を結んでお金をもらいながら調査できる。
なるほど!じゃあシンクタンクや大学が応募する感じですか?一般の企業には関係ない?
基本的にはそうです。IT産業の市場分析ができる調査研究機関、シンクタンク、大学、コンサルティングファームあたりが対象。一般のIT企業が申請してお金をもらって自社事業を進める、というタイプではないんですよね。「お金をもらって調査を実施する側」に回れるというのが特徴です。
公募要領に明記されていて、予算規模は2,000万円以内です。NEDO成果報告書「2023年度 日系企業のモノとITサービス、ソフトウェアの国際競争ポジションに関する情報収集」の継続調査という位置づけで、かなり本格的な調査事業ですよ。
2,000万円!(笑)これはそれなりの体制が必要ですね。
調査チームの人件費、海外出張費、データベース購入費など、かなりの費用がかかりますから。実際に世界各国のIT企業のシェアデータを集めるとなると、専門のデータベースへのアクセス費だけでも相当な金額になります。
NEDO調査 対象製品群と調査スコープ
具体的にどういうものを調査するんですか?ITサービスって言っても幅が広い気がして。
仕様書を読むと、大きく2つの製品群に分かれています。製品群IがITサービス・ソフトウェア全般、製品群IIがキーテクノロジー製品(ハードウェア寄り)です。
ITサービス・ソフトウェアの方は、BtoBだとAI関連、クラウド、プラットフォーム、アプリケーション。BtoCだとEC、コンテンツ配信、コミュニケーションサービス。さらに業種特化型として製造業向け、金融業向け、医療・ヘルステックなど。今回から次世代空モビリティ(AAM)という分野も新たに追加されているんです!
そうそう!空飛ぶクルマ系ですよね。ますます重要になっている分野だから追加されたんでしょう。で、キーテクノロジー製品の方は半導体、ストレージ、小型モーター、電池、LED関連、素材など。いわゆるサプライチェーンの川上から川下まで見る感じです。
調査内容も具体的で、直近5年間(2021年〜2025年)の世界市場規模と企業国籍区分別のシェア推移を製品ごとにデータシートとしてまとめる必要があります。企業国籍の区分けは、日系・米国系・欧州系・中国系・台湾系・韓国系・その他外国資本の7つ。どの製品で日本がどのくらいのポジションにあるか、ビジュアルにも見やすくバブルチャートで整理することが求められています。
政府がこの調査結果を使って産業政策を立案するってことですね。
まさにそうです。NEDOのイノベーション戦略——いわゆる「Innovation Outlook」——の策定に使われるデータです。国が半導体やAIにどれだけ投資するか、どこを重点分野にするか、そういう政策判断の基礎データになるわけです。社会的にものすごく重要な調査なんですよ。
公募要領では「企業(団体等を含む)、大学等」と記載されています。ただし実態としては、過去の類似調査実績が事実上の必須条件になります。
| 応募者タイプ | 適合度 | ポイント |
|---|
| 大手シンクタンク | ★★★★★ | IT産業調査実績+海外調査ネットワークが強み |
| 調査研究機関 | ★★★★★ | NEDO委託実績があれば特に有利 |
| 大学・研究機関 | ★★★★☆ | IT分野の専門性と産業界連携が評価される |
| IT専門コンサル | ★★★☆☆ | 調査方法論の妥当性を明示できるか次第 |
| IT業界団体 | ★★★☆☆ | 会員企業ネットワークによる1次データ収集力が鍵 |
| 一般IT企業 | ★☆☆☆☆ | 自社事業への活用はNG、受託調査能力が問われる |
「自分たちがAIツールを作りたいから資金がほしい」という使い方はできないですからね。NEDOが求めているのは、客観的な市場データを集めて分析する専門能力です。自社製品への利害関係がない立場の方が信頼性が高い。
公募要領の審査基準を見ると、大きく3つのポイントがあります。
審査では以下の観点を総合的に評価します。
- 専門性と実績: IT産業・製品分野の過去調査実績、NEDO等の政府系委託調査の実績
- 調査体制の妥当性: 海外調査パートナーとの連携、データベースへのアクセス体制、チームの専門性
- 調査方法論の明確さ: どのデータソースから何をどう収集するか、品質管理の方法、スケジュールの妥当性
海外調査能力が必須ってことですよね。日本だけのデータじゃないわけだから。
そうですね。アメリカのGAFAMがどのくらいのシェアを持っているか、中国のBAT(バイドゥ・アリババ・テンセント)がどこまで伸びているか、そういう海外データが要るわけです。海外現地でのヒアリングができるパートナーや、海外の有料データベースへのアクセス権があると強いですね。
NEDO委託調査事業 応募から成果報告までの流れ
まず大事なのがGビズIDの取得です。Jグランツで電子申請するのにGビズIDプライムアカウントかメンバーアカウントが必要で、取得に2週間以上かかる場合があります。
1NEDO公式HPで公募要領・仕様書を確認
公募要領(12ページ)と仕様書(4ページ)をダウンロード。調査スコープ、成果物の要件、予算規模を把握する
2GビズIDの取得(未取得の場合)
Jグランツでの電子申請に必須。GビズIDプライムアカウントまたはメンバーアカウントが必要。2週間以上かかるため余裕を持って申請すること
3提案書の作成
調査方法論、実施体制、スケジュール、過去の調査実績を盛り込んだ提案書を作成。別添1(提案書)、別添2(提案者情報)等の所定様式に従う
4Jグランツで電子申請
応募期限は2026年5月7日(木)正午まで。持参・郵送・FAX・メールは原則不可。提出期限を過ぎた提案は受け付けない
5審査・採択・NEDOとの委託契約締結
採択後はNEDOとの委託契約を締結し、契約内容に基づいて調査を実施する
6調査実施・成果報告書の提出
事業期間はNEDOが指定する日から2027年3月31日まで。期限内に成果報告書を提出する
2026年5月7日正午締切って、もう間近じゃないですか!!
そうなんですよ!実は当初の締切は2026年4月24日正午だったんですが、2026年4月24日に期間延長が発表されて、2026年5月7日正午まで延長されました。既に提案書を提出済みの方も、期間内なら再提出可能です。
期間延長があったということは、応募者が少なかったのかな?
それはわかりませんが(笑)、延長されたことで応募の機会が増えたのは確かです。公募開始から説明会(2026年4月8日開催)を経て提案書を仕上げるには、ある程度時間がかかりますからね。
説明会はもう終わりましたが、問い合わせはできるんですか?
はい、NEDOイノベーション戦略センター マクロ分析ユニット(担当・平野氏)にメールで問い合わせできます。メールアドレスはNEDO公式ページで確認してください(スパム対策で[*]を@に変える形式で記載されています)。
受託できたとして、2,000万円の委託費でどんな経費が使えるんですか?
| 経費カテゴリー | 対象となるもの | 注意点 |
|---|
| 人件費 | 調査研究員・PM・データアナリストの人件費 | 直接従事する人員分のみ |
| 調査費 | 海外文献・データベース購入費、ヒアリング調査費、アンケート費用 | 調査目的に直接関連するもの |
| 旅費 | 国内出張旅費、海外出張旅費(現地調査) | 実費精算、計画的に計上 |
| その他経費 | 報告書印刷費、翻訳費用、会議室利用料 | 過大な一般管理費は不可 |
調査に直接関係しない設備投資や、懇親会などの交際費はダメです。あと、過大な一般管理費の計上も認められません。受託した調査業務に実際に費やした費用を適切に計上する必要があります。
- 調査に直接関連しない設備投資は対象外
- 懇親会・接待等の交際費は不可
- 一般管理費の過大計上はNEDOによる監査対象になる
- 採択後に受託機関の既存事業へ費用を流用することは禁止
- 安全保障貿易管理(海外への技術漏洩防止)の規制を遵守すること
NEDO委託事業は公的な研究資金ですから、不正使用や研究活動の不正行為(ねつ造・改ざん・盗用)に対する制裁は非常に厳格です。最悪の場合、最大3年間のNEDO委託契約締結・補助金交付の停止や委託費の全額返還も。公募要領の契約約款に明記されています。
採択されるために提案書で何を特にアピールすべきですか?
3つあります。まず「独自のデータソースや調査ネットワーク」。海外IT企業へのヒアリングチャネル、有料データベースへのアクセス権、業界団体との連携関係があれば、他社にない調査リソースとして強力なアピールになります。
「過去の類似調査実績の具体的提示」です。NEDOや経産省からの委託調査実績、IT産業に関する公表レポートを具体的に列挙する。件数・規模・調査対象を明示して、「うちはこれだけやってきた」と見せることです。
「グローバルな視点の証明」です。この調査は「国際競争ポジション」がテーマですから、海外市場に精通していることが必須。海外拠点があるか、海外の研究機関・企業とのパートナーシップがあるか、英語・中国語など多言語での情報収集能力があるか——これを具体的に示してください。
- 独自性のある調査リソース: 他社が持っていないデータソースや海外ネットワークを明記
- 過去の政府系委託実績: NEDO・経産省・総務省等の委託調査件数・規模を具体的に記載
- 調査チームの専門性: メンバーの経歴・専門領域・論文実績を記載
- 海外調査体制: 海外拠点・パートナー機関・外国語能力を明示
- 調査方法論の妥当性: データ収集の手順、品質管理の方法を詳細に記述
- スケジュールの現実性: 2027年3月31日の成果報告までの詳細スケジュールを提示
別添1の提案書様式が公募要領に掲載されていますが、調査方法論や体制図、スケジュール表など、かなりしっかりした内容が求められます。準備期間として最低でも2週間は見ておいた方がいいですね。GビズIDの取得期間も合わせると、実質的な準備期間は限られています。
NEDOってほかにも同じような公募をやっているんですか?
はい、NEDOは毎年いくつも公募を出しています。本調査と同じNEDO関連の公募で、シンクタンク・研究機関が応募できるものがありますよ。
NEDOって多岐にわたってやっているんですね。調査系だけじゃなくて研究開発系もある。
そうですね。今回の66704はあくまでも「情報収集・調査分析」がテーマ。技術開発そのものを行うわけではないんですが、調査で得た知見がNEDOの技術開発プロジェクト——例えば半導体やAI関連——のロードマップ策定に直結します。政策の一番上流にある重要なポジションなんです。
受託できれば、NEDOや経産省との太いパイプもできそうですね。
まさにそれが受託の一番大きなメリットかもしれません。委託調査を通じてNEDOのネットワークに入れるし、調査結果が政策に反映されれば知名度や実績として積み上がる。次の公募でも有利になる好循環ができます。
Q&Aをまとめてもらえますか?こういう特殊な公募って、いろんな疑問が出てきそうで。
| 質問 | 回答 |
|---|
| 一般のIT企業でも応募できる? | 法人であれば応募自体は可能。ただし本事業は調査・分析の専門性が前提で、自社事業への資金活用はできない |
| 委託費の上限は? | 公募要領に明記。2,000万円以内 |
| 海外調査は必須? | 「国際競争ポジション」の調査なので事実上必須。海外データ収集体制が評価される |
| 個人(フリーランス)でも応募できる? | 法人格が必要なため、個人事業主やフリーランス単独での応募は困難 |
| 成果物の著作権はNEDOに帰属する? | 委託契約の条件による。詳細はNEDO公募要領の契約約款を確認すること |
| 補助金との違いは? | 補助金は事業者が自社事業に活用する資金。本事業はNEDOのために調査を実施して委託費を受け取る形 |
そうです。ただ、個人研究者が大学の組織として参加するとか、シンクタンクに所属してチームとして関与するという形なら可能ですよ。2,000万円規模の調査を個人で回すのは現実的でもないですし。
公募要領によると、採択・不採択の通知はJグランツ上で行われます。具体的な日程は要領に記載されていますが、2026年度中(2027年3月31日まで)に調査を完了させるスケジュールで動いています。審査に時間をかけすぎると調査期間が短くなるので、採択後は速やかに契約・着手できる準備をしておくことをおすすめします。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 正式名称 | 2026年度 日系企業のITサービス、ソフトウェアとキーテクノロジー製品の国際競争ポジションに関する情報収集 |
| 実施機関 | 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)イノベーション戦略センター |
| 事業区分 | 委託調査事業(補助金ではなく委託契約) |
| 委託費規模 | 2,000万円以内 |
| 事業期間 | NEDOが指定する日から2027年3月31日まで |
| 公募期間 | 2026年4月1日〜2026年5月7日(木)正午まで(延長後) |
| 対象者 | 企業(団体等を含む)、大学等(IT産業の調査・分析実績を有する機関) |
| 対象地域 | 全国 |
| 申請方法 | Jグランツによる電子申請のみ(GビズIDプライムまたはメンバーアカウント必須) |
| 問い合わせ | NEDOイノベーション戦略センター マクロ分析ユニット(担当・平野氏) |
| 公式ページ | NEDO公式公募ページ |
- 担当機関: NEDOイノベーション戦略センター マクロ分析ユニット(担当・平野氏)
- メールアドレス: NEDO公式ページ内に記載(スパム対策のため[*]を@に変換して使用)
- 公式ページ: NEDO公式公募ページ
ちゃんと理解しました!これはシンクタンクや研究機関向けの、特殊なタイプの公募なんですね。
そうです。「補助金をもらって自社事業を展開する」ではなく、「NEDOのために調査する対価として委託費を受け取る」スキームです。IT産業の国際競争分析ができる専門機関には、NEDO委託実績を積み上げる絶好のチャンスになります。次のNEDO公募やほかの省庁の委託調査にも繋がりますから、ぜひ積極的に検討してみてください!
2026年5月7日(木)正午が最終締切です。GビズIDの取得に時間がかかる場合があるため、余裕を持って準備を開始してください。Jグランツでの電子申請以外は原則受け付けないため、提出直前のトラブルがないよう余裕をもって提出することを強くおすすめします。
ありがとうございました!ITサービスの国際競争力というテーマ、日本のIT産業の未来を考える上でも重要な調査ですね。
そうですよ。日本のIT企業が世界でどのくらいのシェアを持っているか、これを正確に把握することが産業政策の出発点になります。この調査が、日本のデジタル戦略をしっかりした根拠に基づいて進めることに繋がるわけです。
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