室谷さん、最近うちの母が特養への入所を検討しているんですが、費用が思ったより高くて…介護保険でカバーされるのは介護サービスだけで、食費とか居住費は全部自己負担なんですよね?
そうなんです!実はそこが多くの方が見落としがちなポイントで、食費・居住費は原則として全額自己負担なんですが、「介護保険負担限度額認定」という制度を使うと大幅に軽減できるんですよ。
えっ、そんな制度があるんですか!全然知らなかった!
知らないまま入所してしまって、毎月数万円多く払い続けている方も実際にいます。申請すれば「介護保険負担限度額認定証」が交付されて、それを施設に提示するだけで軽減が適用されるんです。
申請するだけで安くなるなら絶対やるべきですね。具体的にどんな制度なのか、詳しく教えてもらえますか?
もちろんです!対象者・金額・申請方法の順で丁寧に解説しますね。
利用者負担段階と要件フロー図
まず、誰が対象になるのかを教えてください。うちの母の場合、自分が対象かどうかが一番気になるところで。
対象になる基本条件は2つあります。1つ目は世帯全員が市町村民税非課税であること。2つ目が預貯金額が段階ごとの基準以下であること。この両方を満たす方が対象です。
世帯全員が非課税、というのはどういうことですか?例えばお母さんと別居してる息子さんがいたら、その息子さんの収入も関係するんですか?
いい質問です!住民票上の世帯が別であれば息子さんの収入は関係ありません。ただ、別世帯に配偶者がいる場合は、その配偶者も市町村民税非課税であることが必要なんです。つまり老夫婦で一方が施設に入所していても、在宅の配偶者が非課税でないといけない。
なるほど!配偶者だけは別世帯でも見られるんですね。
そういうことです。で、この制度には「利用者負担段階」というものがあって、第1段階〜第4段階に分かれています。第1段階が最も軽減幅が大きくて、第4段階は軽減なし。自分がどの段階に当てはまるかで、いくら安くなるかが変わります。
| 段階 | 所得要件 | 預貯金要件(単身) | 預貯金要件(夫婦) |
|---|
| 第1段階 | 生活保護受給者 or 老齢福祉年金受給者で全員非課税 | 1,000万円以下 | 2,000万円以下 |
| 第2段階 | 全員非課税、年金収入等合計80万9千円以下 | 650万円以下 | 1,650万円以下 |
| 第3段階① | 全員非課税、年金収入等合計80万9千円超120万円以下 | 550万円以下 | 1,550万円以下 |
| 第3段階② | 全員非課税、年金収入等合計120万円超 | 500万円以下 | 1,500万円以下 |
| 第4段階 | 上記以外 | 軽減なし | 軽減なし |
第2段階なら預貯金が650万円以下でOKなんですね。意外と幅広いですね!
そうなんです。ただ「預貯金等」には現金・有価証券・投資信託も含まれるので注意が必要です。通帳の残高だけじゃなく、全ての金融資産を合算して判定されます。
それは知らないと漏れそうですね。では実際にいくら安くなるのか、次に教えてもらえますか?
食費・居住費の負担限度額比較表
金額の話が一番気になるところですよね!第1段階だとどのくらい安くなるんですか?
かなり安くなりますよ!まず食費から見ていくと、第1段階では1日300円まで下がります。一方、軽減なしの場合の食費は施設によって異なりますが、多くの施設で1,500〜1,800円/日程度なので、月にすると3〜4万円以上の差が出ることもあります。
さらに居住費も軽減されます。施設の部屋タイプによっても変わるので、まとめると以下の通りです。
| 段階 | ユニット型個室 | ユニット型個室的多床室 | 従来型個室(特養等) | 多床室 |
|---|
| 第1段階 | 880円/日 | 550円/日 | 380円/日 | 0円/日 |
| 第2段階 | 880円/日 | 550円/日 | 480円/日 | 430円/日 |
| 第3段階① | 1,370円/日 | 1,370円/日 | 880円/日 | 430円/日 |
| 第3段階② | 1,370円/日 | 1,370円/日 | 880円/日 | 430円/日 |
そうなんです。特養の多床室に入所している第1段階の方なら、居住費が実質タダになります。食費も1日300円なので、月30日換算で食費9,000円、居住費0円の合計約9,000円だけ。軽減前と比べると月に5〜6万円変わってくることもある!
それは本当に大きな差ですね。申請しないと損しますね。
まさに!で、短期入所(ショートステイ)を利用する場合も対象なので、在宅で暮らしていてショートステイを定期利用されている方も要チェックです。
ショートステイも対象なんですか!それも知らなかった。じゃあ申請方法を教えてもらえますか?
申請先は、お住まいの区の区役所福祉課または支所区民福祉課の窓口です。名古屋市にお住まいの方は16区それぞれに窓口があります。申請は随時受け付けていて、特定の時期に申請しないといけないということはありません。
できますよ!マイナンバーカードがあればスマートフォンやパソコンから「電子申請サービス(Graffer)」を使って申請できます。ただし通帳が1人につき5冊を超える場合は、窓口での手続きが必要なので注意してください。
4本人および配偶者の全ての預貯金通帳の写し(申請日から2か月以内の記帳が必要。銀行名・支店・口座番号・名義が分かる部分と最終残高が分かる部分の両方)
6有価証券・投資信託がある場合は評価額が分かる書類
通帳の写しが「2か月以内の記帳」というのが気になりますね。
そうなんです、これが落とし穴になりやすくて。古い記帳では受け付けてもらえないので、申請前に必ず最新の記帳をしておく必要があります。ATMや窓口で記帳してから申請してください。
申請して認定されたら、どうやって軽減が適用されるんですか?
認定されると「介護保険負担限度額認定証」が郵送されてきます。この認定証を施設に持参して提示するだけで、自動的に軽減後の金額が適用されます。毎月手続きは不要です。
負担限度額認定証には有効期間があります(通常は毎年8月1日〜翌年7月31日)。期間が終了したら自動更新ではないため、引き続き利用したい場合は毎年更新申請が必要です。施設から案内が来ることもありますが、自分でも忘れずに確認しましょう。
更新が必要なんですね、うっかり期限切れにならないよう気をつけないと。
更新忘れは意外と多いです。施設スタッフに「認定証が切れていますよ」と教えてもらえることもありますが、自己管理が基本です。
世帯に課税の人がいると対象外になっちゃうんですよね。でも、例えばご夫婦でどちらかが施設に入って、在宅の配偶者の生活が苦しくなるケースってありませんか?
するどいです!そういうケースのために「特例減額措置」という仕組みがあります。課税世帯でも条件を満たせば軽減が適用されるんです。
主な条件として、高齢者夫婦世帯等で一方が施設に入所していて、食費・居住費を負担した結果として在宅の配偶者等の世帯員が生計困難に陥る場合が対象です。具体的には、世帯の年間収入から施設の費用を引いた額が80万9千円以下、全世帯員の預貯金合計が450万円以下などの要件を満たす必要があります。
なるほど、入所費用を払ったら在宅側が生活苦になるような場合は救済してもらえるんですね。
そうです。詳しい要件は名古屋市の介護保険課(052-972-2594)に問い合わせるか、区役所の窓口で相談してみてください。
「世帯の課税状況」「年金収入等の合計額」「預貯金額」の3つを正確に把握するのは難しいことも。区役所の窓口では、持参した書類をもとに段階の確認をしてもらえます。まず気軽に相談しに行くのがおすすめです。
対象かどうか自分で判断できなくても大丈夫です。申請書類を持っていって「自分は対象になりますか?」と聞けば教えてもらえます。
申請してから認定証が届くまでどのくらいかかりますか?
申請後、審査・発行に数週間かかることが多いです。施設入所が決まったらできるだけ早めに申請するのがポイントです。
もし施設に入所してから申請した場合、申請前に支払ってしまった分は戻ってきますか?
月をまたいで遡及適用できる範囲は自治体によって異なりますが、基本的に認定証が発行された月以降からの適用となることが多いです。なので、施設入所が決まったらすぐに申請するのが大原則!
そうなんです。施設のケアマネジャーや相談員も申請の案内をしてくれることが多いですが、自分からも積極的に確認しましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 制度名 | 介護保険負担限度額認定(居住費・食費の軽減) |
| 対象者 | 市町村民税非課税世帯で預貯金が基準以下の介護保険被保険者 |
| 軽減内容 | 施設の食費・居住費(滞在費)が段階に応じた限度額まで軽減 |
| 対象施設 | 特養・老健・介護医療院・地域密着型介護老人福祉施設・短期入所サービス |
| 申請先 | 各区福祉課・支所区民福祉課または電子申請 |
| 申請期間 | 随時 |
| 問い合わせ | 名古屋市健康福祉局介護保険課給付担当 TEL:052-972-2594 |
| 公式URL | 介護・障害情報提供システム(名古屋市) |
名古屋市や国が「給付金の受け取りにATMを操作してください」と連絡することは絶対にありません。電話・メール・ハガキで個人情報や口座番号を求められた場合は、すぐに名古屋市(052-972-2594)または警察(#9110)に相談してください。
最後に、よくある疑問をまとめて答えてもらえますか?
まず「老人保健施設(老健)に入っているが対象か?」という疑問があると思うんですが。
対象です!介護老人保健施設(老健)は対象施設に含まれています。特養だけじゃなく、老健・介護医療院・地域密着型介護老人福祉施設・短期入所サービスも全て対象です。
「グループホームは対象になりますか?」という質問は?
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)は残念ながら対象外です。この制度が対象とするのは、介護保険施設と短期入所サービスに限られます。
「去年は申請していたが今年も必要ですか?」という人も多そうですね。
毎年更新が必要です!認定証の有効期間は通常8月1日から翌年7月31日までの1年間。更新申請を忘れると軽減が止まってしまうので要注意です。
「配偶者が亡くなって1人になったら手続きは必要?」という場合は?
状況が変わった場合は、新しい状況で再申請する必要があります。配偶者の有無によって預貯金の判定基準が変わるため(夫婦→単身になる)、担当窓口に連絡して手続きを確認してください。
丁寧に教えていただきありがとうございました!費用で施設入所をためらっている方に、ぜひ知ってほしい制度ですね。
そうなんです!申請するだけで毎月の負担が大きく変わる制度なので、介護施設の利用を検討されている方はまず窓口に相談してみてください。
介護費用の軽減といえば、他にも関連する制度ってありますよね?
ありますよ!例えば
高額介護サービス費は、1か月に支払った介護サービス費の自己負担が一定額を超えた場合に超過分が戻ってくる制度です。負担限度額認定と組み合わせて使うことで、さらに負担を減らせます。
制度を組み合わせることで、かなり自己負担を抑えられるんですね!知識があるかどうかで大違いだ。
ケアマネジャーや区役所の窓口に相談すれば、使える制度を一緒に整理してもらえます。遠慮せずにどんどん相談してください!