編集長の佐藤です。運輸業・郵便業の皆さんから、燃料費高騰に対する補助金の問い合わせが増えています。室谷さん、今使える制度を教えてください。
はい。運輸業界の燃料対策には大きく分けて3つの方向性があります。1つ目は電動トラックへの切り替え、2つ目はハイブリッド・天然ガス車の導入、3つ目は運行管理システムによる燃費改善です。さらに水素関連や空港・港湾の特殊車両向けもあります。順に説明していきます。
最も予算規模が大きいのは、**
商用車等の電動化促進事業**です。令和6年度補正予算で、予算総額は2,950,000万円(約295億円)と大規模です。貨物自動車運送事業者などが、BEV(電気自動車)、PHEV(プラグインハイブリッド)、FCV(燃料電池車)、水素内燃機関型トラックを導入する際の車両費用と充電設備の購入・工事費の一部を補助します。補助率は公募要領を参照する必要がありますが、車両総重量2.5トン超が対象で、事業用・自家用ともに対象です。締切は2027年2月28日と長く、計画的に導入を検討できます。
それは心強いですね。ただ、電動トラックはまだ台数が少なく、導入コストが高いと聞きます。
その点、こちらの補助金は車両価格差を補填する形になります。また、同様の制度として、**
令和5年度補正予算_商用車の電動化促進事業(トラック)**もあり、こちらは上限3,160,000万円(316億円)で、事業完了後に月別走行距離などの使用実績報告が必要です。どちらも執行団体は環境優良車普及機構(LEVO)です。
電動化はまだハードルが高いという事業者には、ハイブリッドや天然ガス車の補助はありますか?
あります。
【令和7年度】ハイブリッド及び天然ガストラック・バス導入支援事業(環境配慮型先進トラック・バス導入加速事業)(
id:380)は、環境省が所管し、公益財団法人北海道環境財団が執行します。補助額は、同クラスの標準的燃費基準自動車との価格差の2分の1で、上限は約1,155万円です。1事業者あたりの上限台数は定められていますが、詳細は要確認です。締切は2026年1月30日。
令和8年度の同事業(
id:1871)は、ハイブリッド車(プラグインハイブリッドを除く)と天然ガス車が対象で、ディーゼル車は含まれません。上限額は100,000,000,000万円と非常に大きな数字ですが、これは予算総額ではなく補助単価の積み上げ上限と思われます。詳細は公募要領でご確認ください。
車両を買い替えずに、運用で燃費を改善する補助金はありますか?
はい。
【資源エネルギー庁】令和7年度 運輸部門エネルギー使用合理化・非化石エネルギー転換推進事業費補助金(トラック輸送省エネ化推進事業・車両動態管理システムの導入)(
id:262)が該当します。クラウド型車載器とソフトウェアで構成される車両動態管理システムの導入費用を支援します。補助上限額は1台あたり14万円、1事業者あたり原則30台までですが、非化石トラックや2025年度目標燃費基準達成トラックに搭載する場合は上限が拡大される可能性があります。補助率は定額(1/2以内)で、締切は2025年9月8日です。
環境省の**【令和7年度】二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(再エネ等由来水素を活用した自立・分散型エネルギーシステム構築等事業)**(
id:431)は、最大3億円の補助金で、水素ボイラーや高効率型燃料電池などの設備導入を支援します。補助率は中小企業で2/3、大企業で1/2です。締切は2025年10月31日。
また、同じく環境省の
地域再エネ水素ステーション保守点検等支援事業(
id:434)は、既存の水素ステーションの保守点検や高効率化改修を支援し、上限220万円、補助率2/3(中小企業)です。
水素ステーションの維持費も補助されるのは嬉しいですね。
あります。環境省の産業車両等の脱炭素化促進事業の一環として、空港向けには3つのメニューがあります。
- 空港におけるEV・FCV型車両導入事業(id:367):導入車両価格と同規模のガソリン・ディーゼル車との差額の3分の2を補助。締切2025年11月14日。
- 空港におけるEV・FCV型車両改造事業(id:407):既存車両をEV・FCVに改造する経費の3分の2を補助。締切2025年8月29日。
- 空港における再エネ活用型GPU等導入支援(id:413):固定式・移動式GPU(地上動力装置)の導入経費の2分の1、上限1億5,000万円。締切2025年10月17日。
港湾向けには港湾における脱炭素化促進事業(id:408)があり、陸上電力供給設備やEV型荷役機械の導入、既存機械のEV改造を支援します。上限1億円、補助率はメニューにより異なります。締切2025年8月29日。
最後に、資源エネルギー庁の「資源国脱炭素化」という補助金がいくつかありますが、運輸業に関係ありますか?
直接的に運輸業者の燃料対策というよりは、水素・アンモニア・バイオ燃料などの次世代燃料技術を海外資源国に移転する事業です。例えば、**
令和7年度_資源国脱炭素化・エネルギー転換技術等支援事業費補助金_第3回公募**は上限143,500万円、補助率は事業内容に応じて定額、2/3、1/2です。運輸業者自身が応募するというよりは、燃料サプライヤーや研究機関と連携してプロジェクトを組成するケースが想定されます。
たくさんの制度を紹介していただきました。最後に、どの制度を優先すべきかのアドバイスをいただけますか?
まず、今すぐ使える補助金として、車両動態管理システム(
id:262)は比較的少額で導入でき、燃費改善効果が期待できます。次に、車両を更新するなら、ハイブリッド・天然ガス車(
id:380)か、思い切って電動トラック(
id:905)を検討すると良いでしょう。令和8年度のハイブリッド・天然ガス車向け補助(
id:1871)は公募開始が例年4〜6月なので、今から準備を始めてください。
なるほど。申請の際に気をつけるポイントはありますか?
ありがとうございました。本日紹介した制度は以下の通りです。詳細は各リンクからご確認ください。
これらの補助金をうまく組み合わせることで、燃料費の高騰対策につなげてください。