室谷さん、最近「うちもSDGs対応しないとまずいかな」って言ってる経営者の方と話す機会が増えてまして。長野県って、エコやSDGs関係の補助金ってどのくらいあるんですか?
めちゃくちゃあるんですよ(笑)。国と長野県を合わせると、常時100件以上はエコ・SDGs系の補助金が動いてます。令和8年度(2026年度)は特に厚くて、環境省・経済産業省の両方から新規公募が相次いでます。
100件以上!それは多いですね。全部チェックするのは大変すぎる…。
そうですね。だから今日は「長野県の事業者さんが実際に使いやすいもの」に絞って解説していきます。大きく分けると、①省エネ設備への投資、②再生可能エネルギー導入、③ZEB(ゼロエネルギービル)化、④EV・電動車両、⑤資源循環、の5カテゴリになります。それぞれで国の制度と長野県独自の制度が両方あるので、うまく組み合わせるのが鉄則です。
補助金の併用は制度ごとにルールが違うので要確認なんですが、国の補助金で建物の省エネ改修をして、長野県の補助金で設備更新する、という使い方は一般的に可能なケースが多いです。ただし「重複して同一経費に2つの補助を当てる」のはNGですから、窓口に必ず確認してください。
まず長野県オリジナルの補助金から聞かせてください。2026年に使えるものはどれですか?
長野県で今一番注目なのが、**2026年3月16日から受付開始した「エネルギーコスト削減促進事業補助金」**です。国の重点支援地方交付金を活用した県独自の制度で、省エネ設備や再エネ設備の導入費を補助します。
2コースあって、基本コースは補助率2分の1以内、上限500万円です。社会福祉施設や医療機関は3分の2以内に上がります。もう一段上の促進コースになると補助率4分の3以内で、上限は1,500万円まで行きます。
2つ必要で、1つ目が「事業活動温暖化対策計画書」を提出すること、2つ目が「長野県SDGs推進企業登録制度」への登録です。SDGs推進企業に登録すると補助率がグッと上がる仕組みなので、まだ未登録の方はこの機会に登録してから申請するのが賢いですよ。
省エネ設備は空調・換気・LED照明・冷蔵冷凍・エネルギー管理設備・窓の断熱改修など。再エネ設備は太陽光発電システムで、出力1kWあたり4万円以内(50kW未満に限る)という計算です。申請受付は2026年9月30日までですが、予算額に達し次第終了するので早めが肝心ですよ。
交付決定日から令和9年1月8日(2027年1月8日)までに事業完了が必要です。問い合わせ先は業種によって変わるんですが、ゼロカーボン推進課(TEL 026-235-7022)が窓口を案内してくれます。
長野県エネルギーコスト削減促進事業補助金 ポイント
- 基本コース: 補助率1/2以内、上限500万円(社会福祉施設等は2/3以内)
- 促進コース: 補助率3/4以内、上限1,500万円(SDGs推進企業登録が条件)
- 対象: 省エネ設備(空調・LED等)、再エネ設備(太陽光等)
- 申請期間: 令和8年3月16日〜令和8年9月30日(予算消化次第終了)
- 問い合わせ: 長野県環境部ゼロカーボン推進課(026-235-7022)
長野らしい補助金ってありますか?観光業が多いので…
ありますよ(笑)。「山小屋エネルギーコスト削減促進事業補助金」という、まさに長野らしい補助金があります。山岳の山小屋を営む事業者が空調・照明・発電設備など高効率な環境対応設備に更新・新設する費用を補助します。基本コースが1/2以内、促進コースが3/4以内という構造はエネルギーコスト削減促進補助と同じです。申請期間は2026年3月16日から9月30日まで。北アルプスや南アルプスなどを擁する長野県ならではの制度ですよね。
あと地味に活用しやすいのが「省エネ診断促進事業補助金」です。一般財団法人省エネルギーセンターや環境共創イニシアチブが実施する省エネ診断の料金を補助してくれます。補助率は10/10(全額)で、診断費用の自己負担がゼロになるんです。
それは使いやすい!まず自社の省エネ状況を把握してから、設備補助に進む流れですね。
そういう設計です。「まず診断して、削減余地を把握してから設備更新の補助を申請する」が最強コンボです。診断で「エアコンを入れ替えると年間○○万円節約できる」という試算が出たら、補助金申請の説得力も増しますし。
長野市の企業さん向けには「長野市温室効果ガス排出量見える化・削減支援事業補助金」もあります。温室効果ガス排出量を可視化するクラウドサービスの導入費を補助する制度で、新規導入は年額利用料の2分の1(上限7.5万円)補助されます。脱炭素経営の第一歩として使いやすいですよ。
長野県で使えるエコSDGs補助金カテゴリ比較表
国の補助金もかなり種類があるってことでしたよね。何から始めればいいかしら。
事業規模と目的で絞るといいです。「オフィスや工場の省エネ改修をしたい」「建物を新築・建て替えたい」「太陽光を入れたい」「EVを導入したい」の4ルートで、それぞれ主力補助金があります。
SHIFT事業(脱炭素技術等による工場・事業場の省CO2化加速事業)が定番です。工場や事業場のCO2排出削減に向けた設備更新を支援する制度で、A類型(標準事業)とB類型(大規模電化・燃料転換事業)の2種類があります。
SHIFT事業は毎回公募されていて、製造業や物流業など「エネルギー消費量が多い事業場」ほど優先されやすいです。申請のコツは、CO2削減量の目標を具体的に設定すること。「省エネ設備を入れるとこのくらい削減できます」という試算が丁寧なほど採択されやすくなります。詳しくは
SHIFT事業の詳細ページをご覧ください。
ZEBって最近よく聞くんですが、どういう意味ですか?
ネット・ゼロ・エネルギー・ビルの略です。高断熱・高効率設備+再エネで、年間の一次エネルギー消費量をゼロにする建物ですね。「ZEBランク」があって、ZEB、Nearly ZEB、ZEB Ready、ZEB Orientedの4段階あります。
両方あります!新築向けは「LCCO2削減型の先導的な新築ZEB支援事業」で補助上限5億円、補助率は1/3〜3/5(ZEBランクによる)という大型制度です。既存建物の改修向けは「民間建築物等における省CO2改修支援事業」が補助上限3,500万円、補助率1/3で使えます。環境省の「業務用建築物の脱炭素改修加速化事業」も令和8年度から動いていて、選択肢が増えてます。
新築で5億円って、かなり大規模な建物まで対応できますね。
事業所の建て替えを検討している企業さんには、ZEB補助との組み合わせを前提に設計段階から計画するのをおすすめします。
ZEB支援事業の詳細も参考にしてみてください。
「太陽光を入れたい」という場合はどれが使えますか?
「ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業」が使いやすいです。補助上限3,000万円で、自家消費型の太陽光発電設備と蓄電池のセット導入を支援します。蓄電池と一緒に入れることで「ストレージパリティ」、つまり電力の自給自足に近い形を実現できる、というコンセプトの制度です。
太陽光だけじゃなくて蓄電池もセットで補助が出るんですね。
それが最大の特徴です。あと「民間企業等による再エネの導入及び地域共生加速化事業」(環境省・令和8年度)も長野県の事業者が活用できます。再エネ設備導入コストの補助に加えて、地域住民との共生を図りながら再エネ事業を展開する取り組みが対象です。詳細は
太陽光・再エネ補助金ページも確認してみてください。
EVに切り替えたい事業者さんにはどの補助金ですか?
経済産業省の「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」が令和7年度補正で手厚くなってます。電気自動車(EV)・燃料電池自動車(FCV)などの購入費を補助する制度です。商用車(トラック)向けには環境省の「商用車等の電動化促進事業」も動いていて、配送・物流業の方には両方チェックしてほしいです。長野県は山岳地帯が多く「EVは山で使えるか?」と心配する方も多いですが、充電インフラは急速に整備されていますし、補助金で車両コストの差額を縮めるのが現実的です。
長野はドライブルートが長いのでEVの航続距離が気になりますよね(笑)。
ですよね。最新のEVだと400〜600km走れるものも増えてきましたし、法人用途なら充電インフラを社内整備することも多いですから、そこまで心配しなくても大丈夫になってきてます。詳しくは
EV補助金詳細ページもご参照ください。
SDGsで「廃棄物削減」や「資源循環」を推進したい場合はどうですか?
経済産業省の「脱炭素成長型経済構造移行推進対策費補助金(自律型資源循環システム強靱化促進事業)」があります。補助上限200億円という国内最大級規模で、サーキュラーエコノミー(循環経済)への移行を支援します。ただしこれは大企業・コンソーシアム向けが多いです。中小企業向けは「先進的な資源循環投資促進事業」(環境省・令和8年度)のほうが申請しやすいケースがあります。プラスチック代替資材の導入は農業生産者向けに専用の補助もあります。
| カテゴリ | 代表制度 | 補助率 | 上限額 | 対象 |
|---|
| 省エネ設備(長野県) | エネルギーコスト削減促進事業 | 1/2〜3/4 | 500〜1,500万円 | 県内事業者全般 |
| 省エネ診断(長野県) | 省エネ診断促進事業補助金 | 10/10 | 数万円 | 中小規模事業者 |
| 工場・事業場省CO2 | SHIFT事業 | 1/3〜1/2 | 上限なし | 法人全般 |
| ZEB(新築) | LCCO2削減型新築ZEB支援 | 1/3〜3/5 | 5億円 | 建築物所有者 |
| ZEB(改修) | 省CO2改修支援事業 | 1/3 | 3,500万円 | 既存建物所有者 |
| 太陽光・蓄電池 | ストレージパリティ達成支援 | 参照 | 3,000万円 | 法人全般 |
| EV・電動車両 | クリーンEV導入促進 | 補助額定額 | 上限なし | 法人・個人 |
| 資源循環 | 自律型資源循環強靱化 | 参照 | 200億円 | 産官学連携 |
| 農業省エネ | みどりの食料システム戦略推進 | 1/2以内 | - | 農業者 |
補助金申請フロー・長野県エコSDGs
一番多いのが「GビズIDを取ってない」問題です。jGrants(補助金申請システム)を使う国の補助金はGビズIDの取得が前提で、取得に2〜3週間かかるんです。「公募開始してから申請しよう」と思っていると間に合わなくなります。
それは盲点ですね! 先に取っておいたほうがいいんですね。
絶対そうです。中小企業の方はプライムアカウントじゃなくてエントリーアカウントでも大丈夫なことが多いので、まず申請しておいてください。
1GビズIDを事前に取得(早ければ早いほど良い。取得まで2〜3週間)
2長野県SDGs推進企業に登録(促進コース申請の条件)
3省エネ診断を受けて「削減できるCO2量・削減コスト」を数値化
4国・県の補助金の中から自社に合うものを2〜3本に絞る
5各補助金の交付申請書を作成・提出(書類は早めに準備)
6交付決定後に事業開始(先に着工すると採択されても補助の対象外に!)
「先に着工すると対象外」っていうのは要注意ですね。
これで損してる人、めちゃくちゃ多いです。「申請と並行してもう工事始めちゃいました」という方が結構いて、残念ながら全額自己負担になってしまうんですよ。補助金は必ず「交付決定後に着工」が原則です。
- 交付決定前に工事・機器購入に着手する → 全額自己負担になる
- 複数の補助金で同一の経費に重複申請する → 不正受給になる
- 申請書の事業計画と実際の施工内容を変更する → 取り消し・返還になる可能性あり
CO2削減量の根拠を丁寧に書くことです。「この設備に変えると現状比XX%のCO2削減、年間XX万円の電気代削減」という試算を入れると説得力が増します。省エネ診断の結果を添付できると最強ですね。あと「長野県SDGs推進企業の登録証」は加点項目になることが多いので、未登録なら登録しておく価値があります。
「エコとSDGsって違うんですか?」という質問が来そうなんですが。
SDGsは17の目標がある国連の枠組みで、エコ(環境保護)はその中の目標13「気候変動対策」や目標7「クリーンエネルギー」などに対応します。補助金の世界では「エコ・SDGs系」という括りで環境配慮・脱炭素化・資源循環に関わる補助金を指すことが多いです。長野県の場合、2050ゼロカーボンという独自目標を掲げていて、それに向けた補助金体系が充実しています。
長野県は全国でも早くからゼロカーボン宣言をしている県のひとつで、「長野県ゼロカーボン戦略」という計画を持っています。だから補助金の種類が多く、しかも補助率が上乗せされる「促進コース」的な設計が多いんです。長野県でエコ・SDGs系に取り組む事業者は、全国平均より手厚い支援が受けられるともいえます。
それはすごい!長野で事業してる人にはチャンスですね。
そうです。あと「SDGs推進企業登録制度」は無料で登録できて、登録するだけで補助率が上がる制度の恩恵を受けやすくなります。登録していない事業者さんは今すぐ登録することをおすすめします。ほんとに損してる方が多いんで(笑)。
無料で登録できて補助率が上がるなら、やらない理由ないですね!
ですよね。長野県産業振興機構や、各地の商工会議所に相談すれば登録の手続きも教えてもらえます。補助金申請サポートをしてくれるところも多いので、一人で抱え込まずに専門家を使うのも賢い方法です。
いや〜、今日はエコ・SDGs補助金の全体像がよく分かりました!国と県を組み合わせて、GビズIDを先に取って、省エネ診断を活用するのが基本戦略ですね。
そうです。あとは「自社にとって何が一番リターンが大きいか」を考えることです。電気代が高い工場なら省エネ設備が最優先、建物を建て替えるタイミングならZEB化補助の活用、配送車両が多いなら電動化補助、という順番で考えてください。長野県は補助の選択肢が多いので、うまく使えば初期投資を大幅に抑えながら脱炭素経営に転換できますよ!