室谷さん、最近よく「リチウム蓄電池リサイクル」って聞くんですけど、これ補助金があるって本当ですか?
ほんとです!環境省が令和7年度の補正予算で30億円を確保した、かなり大型の補助金ですよ。正式名称は「リチウム蓄電池リサイクル設備導入事業(バリューチェーン)第1次公募」といって、廃リチウム蓄電池をリサイクルするための設備を導入する費用の一部を補助してくれる制度です!
えっ、30億円?なんでそんなに大きい補助金なんですか?
背景がすごくて。EVや家庭用蓄電池の普及で、これから使用済みリチウム蓄電池が爆発的に増えることが確定しているんですよね。コバルト・ニッケル・リチウムといった有用金属の多くは海外から輸入しているので、国内でリサイクル体制を作ることが経済安全保障的にも超重要なんです。
そうなんです。この補助金の正式な上位制度は「プラスチック資源・金属資源等のバリューチェーン脱炭素化のための高度化設備導入等促進事業」といって、令和8年度予算額は7,297百万円(約73億円)、令和7年度補正予算額は3,000百万円(30億円)という規模感です。
その補正予算30億円が、今回の第1次公募の財源なんですね。申請期限はいつまでですか?
2026年5月8日(金)12時必着です!jGrantsというシステムからオンラインで申請します。もう締切が近いので、今から動く方は相当急がないといけないですね。
補助率と補助上限額の比較図
30億円の予算規模ってことは、1社当たりの補助額はどのくらいになるんですか?
これが実はかなり手厚い設計になっていて。補助率は中小企業が2分の1(1/2)、大企業等は3分の1(1/3)です。そして1事業当たりの補助上限額については、公募要領には明示的な上限額の記載はなく、令和7年度補正予算30億円の範囲内で、CO2削減効果や費用対効果をもとに採択・配分される仕組みになっています。
| 事業者区分 | 補助率 | 自己負担割合 |
|---|
| 中小企業(中小企業基本法第2条第1項に規定する者) | 1/2 | 1/2 |
| 大企業等(上記以外) | 1/3 | 2/3 |
中小企業だと半額負担でいいんですね!リサイクル設備って高そうだし、それはありがたいですね。
そうなんです。放電装置・熱処理設備・破砕機・分離設備・化学処理設備……と多段階の工程が必要で、設備費がどうしても高額になりやすい。半額補助があれば参入障壁がグッと下がりますよね。参考までに、リチウム蓄電池リサイクルに関連する令和8年度予算での類似事業では、上限額7,297百万円(約73億円)と設定されています。
そっか、補助率もそうですが規模感がすごい。どんな会社が申請できるんでしょうか?
対象法人の範囲はわりと広くて、民間企業(株式会社、合同会社等)、一般社団法人・財団法人、公益社団法人・公益財団法人が申請できます。環境大臣の承認を得た場合はそれ以外の法人も対象になりえます。業種に制限はないので、製造業・廃棄物処理業・非鉄金属精錬業など、リチウム蓄電池リサイクルに関わる事業者であれば基本的に申請を検討できます。
- 補助率: 中小企業1/2、大企業等1/3
- 令和7年度補正予算額: 30億円(3,000百万円)
- 公募期間: 2026年3月31日〜2026年5月8日12時必着
- 執行機関: 公益財団法人廃棄物・3R研究財団(環境省から交付決定を受けた間接補助)
- 申請方法: jGrants(電子申請)
- 対象地域: 日本国内の事業所に設備を設置する事業
公募要領に詳しく書いてあるんですが、リチウム蓄電池のリサイクル工程に必要な設備が対象です。ざっくり分類すると、放電・熱処理などの「事前処理設備」、電池を破砕して部材を分けていく「破砕・分離設備」、有用金属を高純度で抽出する「化学処理設備」、それに付随する搬送設備・発火防止設備も含まれます。
へえ、かなり一連の工程がカバーされているんですね!
そうなんです。さらに対象設備の実施設計費、設備間の配管・配線工事費、運搬・据付け・試運転調整費も補助対象に入ります。ただしいくつか重要な縛りがあって。
- 土地・建屋・基礎工事(杭基礎、底盤等)・道路等の建築土木に係る費用 → 対象外
- 中古品・既存機器の改造 → 補助対象は新品のみ。一度でも稼働した設備はNG
- 既存施設の撤去・移設・廃棄費 → 対象外
- 交付決定前に発注・契約した経費 → 対象外(必ず交付決定後に発注すること)
- 消耗品・ランニングコスト → 対象外
- 他の国庫補助金と重複する経費 → 対象外
新品限定なんですね!しかも交付決定前に発注したらアウトというのは注意が必要ですね。
これは毎年必ずやってしまう人がいるので超重要です!採択が見えてきたからといって早めに発注してしまうと、その経費は全額補助対象外になります。必ず「採択→交付決定→発注」の順番を守ること。
| 補助対象となる経費 | 補助対象外となる経費 |
|---|
| リサイクル設備本体(放電装置・熱処理装置・破砕機・分離装置・化学処理装置等) | 土地・建屋・基礎工事 |
| 付随する搬送設備・発火防止設備・電源供給設備 | 中古品・既存機器の改造 |
| 実施設計費 | 既存施設の撤去・廃棄費 |
| 設備間の配管・配線工事費 | 交付決定前の発注経費 |
| 運搬・据付け・試運転調整費 | ランニングコスト・消耗品費 |
テーブルで整理してもらうとわかりやすいですね。設備の電動機についても何か条件があると聞きましたが。
よくご存じで!対象設備の電動機はトップランナー(IE3: 国際規格)以上を使用することが必須条件になっています。ただしインバータ駆動など除外されている電動機は対象外です。省エネ性能の高い電動機を使ってください、ということですね。
申請を考えている会社が、自分が対象かどうか確認するためのポイントを教えてもらえますか?
チェックポイントを整理しますね。まず法人形態として民間企業・一般社団法人・財団法人・公益社団法人・公益財団法人のいずれかであること。そして事業内容として、日本国内の事業所にリチウム蓄電池のリサイクル設備を設置すること。さらに、有用金属を高純度でリサイクルするための設備であることが技術要件として求められます。
「高純度でリサイクル」というのが技術的なハードルになるんですね。
そうなんです。単に電池を処理するだけじゃなくて、コバルト・ニッケル・リチウムといった有用金属をきちんと回収できる技術水準が求められています。あとGビズIDが必須で、未取得の場合は取得に2〜3週間かかるので要注意です。
- 法人形態: 民間企業・一般社団法人・財団法人・公益社団法人・公益財団法人に該当するか
- 事業内容: 日本国内の事業所でリチウム蓄電池のリサイクル設備を設置する計画があるか
- 技術要件: 有用金属(リチウム・コバルト・ニッケル等)を高純度で回収する技術的計画があるか
- GビズID: 取得済みか(未取得なら2〜3週間前から手続き開始を)
- CO2削減効果: 事業プロセス全体のCO2削減量を定量的に算定できるか
- 設置場所: 応募時点で設置場所(事業所等所在地)が確定しているか
- 重複補助なし: 他の国庫補助金との重複受給に該当しないか
CO2削減効果を定量的に算定、というのは具体的にどういうことですか?
これが申請書類の中でも最重要ポイントで。「リチウム蓄電池CO2削減効果計算書」という専用の様式に、ライフサイクルフロー図と合わせてCO2削減量を計算して提出する必要があります。バージン材(天然鉱石から製錬した場合)のCO2排出量と比較して、リサイクルによってどのくらいCO2を削減できるかを数値で示すんです。
申請から交付までの流れ
補助金は精算払いなんですね!先にお金が出るわけじゃないと。
そうなんですよ。だから設備費の資金調達計画を最初から立てておく必要があります。申請書類の中に「資金調達計画書」というものがあって、金融機関からの融資予定や自己資金の状況を明記する必要があります。日本政策金融公庫の環境・エネルギー対策貸付やグリーンファイナンスを活用して自己負担分を調達するのが現実的なアプローチです。
補助金を当てにした資金計画は危ないということですね。それと、申請から採択まではどのくらいかかるんですか?
公募要領には明確な審査期間の記載がないのですが、一般的にこういった大型補助金は採択通知まで1〜3ヶ月程度かかります。設備の法定耐用年数期間の事業継続も必要なので、長期視点での事業計画が重要です。事業完了期限は原則として令和9年2月末まで(最大2カ年度事業の場合は令和10年2月まで)です。
公募要領に「想定される審査項目」が明記されていて、大きく2つの軸があります。1つ目が「適格性・合理性」、つまり事業計画の確実性と合理的な実現性。2つ目が「事業効果・事業意義」で、循環型社会構築への貢献・CO2削減効果・リサイクル増加量・事業の先進性が評価されます。
本当にそうで。「CO2 1トンを削減するために要する費用」という費用対効果の指標も審査に使われます。つまり安いコストで多くのCO2を削減できる事業が優遇されるんです!
- CO2削減量の定量化が第一: ライフサイクルアセスメント(LCA)の視点を取り入れ、バージン材との比較で削減効果を具体的数値で示す。CO2削減効果計算書は丁寧に作成する
- 有用金属回収率・純度の技術根拠: どの工程でどれだけの金属回収率を達成するか、処理能力の数値的根拠を明示する。「できます」だけでなく「どうやって」が問われる
- 事業継続性と経済合理性の証明: リチウム蓄電池の回収ルートの確保状況、再生素材の販路、採算性の見通しを具体的に記載する
- バリューチェーン全体への貢献: メーカー・リテイラー・ユーザーとの連携体制や回収ネットワークの構築状況を示す
- 加点項目の積極活用: 温室効果ガス削減目標設定・デコ活応援団参画・「高度再資源化事業計画」の認定などが加点対象になる
加点項目も活用できるんですね!デコ活ってなんですか?
環境省が推進している「デコ活(脱炭素につながる新しい豊かな暮らし)」というキャンペーンで、「デコ活応援団」として登録した企業には審査で加点があります。登録自体は無料でできるので、申請する企業は登録しておいて損はないですよ!
それは知らなかった!事前にできる準備って大事ですね。さて、次回の公募に向けた準備についても教えてもらえますか?
えっ、第2次公募もあるんですか!それは知りませんでした。
はい!令和8年度の予算(約73億円)も確保されているので、次回公募のほうが補助金の総額がさらに大きい可能性もあります。今から準備すれば余裕をもって挑戦できますよ。
- GビズIDプライムの取得: 取得に2〜3週間かかるため今すぐ申請を
- CO2削減効果の試算: ライフサイクルアセスメントを先行実施し、削減量の概算を算出
- リチウム蓄電池の回収ルートの調査・構築: 仕入先(排出事業者)との関係構築
- 再生素材の販路確保: 売却先メーカーとの事前交渉・関心表明書の準備
- 廃棄物処理業の許可取得確認: 廃掃法に基づく産業廃棄物処理業の許可が必要な場合は先に手続きを
- デコ活応援団への登録: 加点項目。無料で登録可能
- 専門コンサルタントへの相談: CO2削減効果計算書は専門性が高いため、環境コンサルとの連携を検討
同じバリューチェーン型には他の補助金もあるんですか?
はい、同じ「プラスチック資源・金属資源等のバリューチェーン脱炭素化のための高度化設備導入等促進事業」というスキームの中に4種類の事業があります。
| 補助金名称 | 対象設備 | 詳細 |
|---|
| ①省CO2型プラスチック高度リサイクル設備導入事業 | プラスチックのリサイクル設備 | 詳細を見る |
| ②化石資源由来プラスチック代替・再生可能資源由来素材の省CO2型製造設備導入事業 | バイオプラスチック等の製造設備 | 詳細を見る |
| ③太陽光パネルリサイクル設備導入事業 | 太陽光パネルのリサイクル設備 | 詳細を見る |
| ④リチウム蓄電池リサイクル設備導入事業(本件) | リチウム蓄電池のリサイクル設備 | このページ |
なるほど、全部で4種類あるんですね。それぞれ対象が違うと。
そうです。もし太陽光パネルのリサイクル事業を検討しているなら③、プラスチックなら①や②を見てみてください。複数の設備を組み合わせたリサイクルを検討している場合でも、設備ごとに別々の申請になる点は注意が必要です。
同一事業所内で異なる補助金の対象になる設備を別々に申請することは基本的にNGで、1つの事業スキームに複数設備を導入する場合は設備の所有者ごとに申請が必要です。ただし複数事業所であれば事業所単位で申請できます。詳細は公募要領の「共同実施」のルールをご確認ください。
同一経費への国庫補助金の重複受給はNGです。ただし、補助対象外の経費(建屋の新築など)については、自治体の工場立地補助金で補完することは可能です。また省エネルギー設備投資促進税制やグリーン投資減税といった税制優遇との組み合わせも有効ですし、自己負担分の資金調達には日本政策金融公庫の環境・エネルギー対策貸付を活用するアプローチも検討に値します。
どんな企業がこの補助金に向いているか、具体的なイメージを教えてもらえますか?
4つのパターンが想定されます。まず廃棄物処理業者。既存の金属スクラップ処理ノウハウを活かして、リチウム蓄電池の事前処理(放電・解体・破砕・分離)まで一貫してやれる体制を作りたい中堅企業に向いています。中小企業なら1/2補助で設備投資の自己負担を半額に抑えながら、新規収益事業として参入できます。
次にEV用バッテリー製造メーカー。自社製バッテリーを回収してクローズドループを構築したい場合に、湿式製錬まで含む一貫ラインを補助金で整備できます。コバルト・ニッケルの調達コスト削減にも直結します。3つ目は非鉄金属精錬業者。既存の精錬プラントにリチウム蓄電池専用の化学処理ラインを増設するケースです。大企業でも1/3補助が受けられます。
環境系スタートアップ・ベンチャーですね。自治体と連携した広域回収ネットワークを構築したい企業にも活用余地があります。ただし応募時点で設置場所が確定していること、事業完了後3年間の報告義務があることを踏まえた長期視点での事業計画が求められます。
最後に、この補助金の基本情報をまとめてもらえますか?
| 項目 | 内容 |
|---|
| 制度名 | リチウム蓄電池リサイクル設備導入事業(バリューチェーン)第1次公募 |
| 上位制度 | プラスチック資源・金属資源等のバリューチェーン脱炭素化のための高度化設備導入等促進事業 |
| 所管省庁 | 環境省 |
| 執行機関 | 公益財団法人廃棄物・3R研究財団 |
| 令和7年度補正予算額 | 30億円(3,000百万円) |
| 補助率 | 中小企業 1/2、大企業等 1/3 |
| 公募期間 | 2026年3月31日〜2026年5月8日12時必着 |
| 事業完了期限 | 令和9年2月末(最大2カ年度:令和10年2月) |
| 申請方法 | jGrants(電子申請)、GビズIDプライム必須 |
| 対象地域 | 日本国内 |
| 報告義務 | 事業完了後3年間、毎年度末から30日以内にCO2削減効果等を報告 |
公益財団法人廃棄物・3R研究財団
住所: 〒130-0026 東京都墨田区両国3-25-5 JEI両国ビル8階
担当: 金井、久松、福田、岩瀬
TEL 03-5638-7162 / FAX 03-5638-7165
E-mail: r.koudoka-1@jwrf.or.jp
メールの件名は「プラスチック資源・金属資源等のバリューチェーン脱炭素化のための高度化設備導入等促進事業 補助金に関する問い合わせ」としてください。