室谷さん、うちの会社も従業員のスキルアップを本格的にやりたいんですけど、人材育成って補助金や助成金で支援してもらえるんですか?
めっちゃあります!ざっくり言うと、国の制度だけでも20件以上、兵庫県や神戸市・姫路市などの地元制度も含めると100件超えるくらいのバリエーションがあって。
ですよね。だから大事なのは「どのカテゴリが自分に合うか」を先に整理することなんです。人材育成系の補助金って、大きく分けると3つの方向性があって。
はい。「OJT・社内訓練」「外部研修・資格取得」「採用・定着・働き方改革」この3つです。それぞれで使える補助金が全然違ってくるんですよ。
| カテゴリ | 対象となる取り組み | 代表的な補助金 |
|---|
| OJT・社内訓練 | 社内での技術継承・若年者育成 | 建設業人材育成補助金・人材開発支援助成金 |
| 外部研修・資格取得 | 外部セミナー・資格試験費用 | 小規模事業者持続化補助金・ものづくり補助金 |
| 採用・定着・働き方改革 | 労働時間短縮・テレワーク・インターバル導入 | 働き方改革推進支援助成金(各コース) |
なるほど。この3つで全然申請先も変わってくるんですね。
そうなんです。で、兵庫県の場合は特に建設業・製造業向けの独自制度が充実していて、それ以外の業種も国の制度を組み合わせることで十分カバーできるんですよ。
人材育成補助金の種類と補助額比較図
まず国の制度から教えてもらえますか?全国どこでも使えるものですよね?
そうです。国の制度は兵庫県内のどこの企業でも申請できて、採択数も多いので「まずここを狙う」のが鉄則です。特に中小企業が使いやすいのを7本ピックアップしますね。
働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)
600万円!?インターバル制度って、夜遅く終わった翌日の朝早い出社をなくす制度ですよね?
そうです。9時間以上のインターバルを就業規則に入れるだけでも対象になるんですよ。中小企業なら4/5補助になるケースも多くて、実質20%の自己負担で労務管理ツールや就業規則作成費が出る。
普通に「労務管理のシステム入れたい」って思ってる会社には刺さりますね。
働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)
次も同じシリーズで
労働時間短縮・年休促進支援コース。残業削減や有給取得促進に取り組む中小企業向けです。こちらは補助率3/4で、成果目標を設定してそれを達成すると助成金が出る仕組みです。
成果目標って、例えば「残業時間を月○時間減らす」みたいな感じですか?
まさに。例えば「月60時間以上の残業をゼロにする」「新たに有給5日以上取得させる」などが成果目標になります。達成したら就業規則の改訂費用やタイムレコーダー購入費用が出るんです。
使いやすそう。でも「達成」できなかったら出ないんですよね?
そうですね。だから申請前に「本当に達成できる目標か」を社労士さんと相談しながら設定するのが重要で。無理な目標立てちゃうと丸損になります。
働き方改革推進支援助成金(団体推進コース)
団体向けで使えるのが
団体推進コース。商工会や業種別協会などの事業主団体が、傘下の企業をまとめてサポートする事業に対して出ます。
上限500万円で、業界全体の労働環境改善に取り組む際に活用できます。
そうです。個社で動くより業界団体経由で動く方が採択率も上がりやすいし、事務負担も分担できる。兵庫県の神戸商工会議所や各地域の商工会も積極的に活用しているケースがあります。
中小企業支援事業補助金(地域の人事部支援事業)
あ、「地域の人事部」って面白い名前の補助金がありますね?
これは面白い制度で、中小企業が単独では持てない「人事部機能」を地域の支援機関が代わりに担う事業に補助するものです。
地域の人事部支援事業は上限
1,300万円で補助率1/3〜2/3。
地域のコンサル会社や商工会が「人事支援サービスをやります」という形で申請するんです。だから中小企業オーナーが直接申請するものじゃなくて、こういうサービスを提供している支援機関を探して活用する感じですね。
なるほど。間接的に恩恵を受けられる制度なんですね。
人材開発支援助成金
厚生労働省の人材開発支援助成金も外せないです。これは従業員に職業訓練を実施した場合に、訓練費用と訓練中の賃金を助成してくれる制度で。
社内研修やセミナーに社員を送り出す費用が出るんですか?
そうです。複数のコースがあって、特定訓練コース・一般訓練コース・教育訓練休暇付与コースなど。賃金助成も出るので、実質的に「社員を研修に出しても売上落ちにくい」設計になってます。
賃金も出るのは大きいですね。社員を外部研修に出すと人手が減るのが怖いっていう中小企業さんには刺さりそう。
未踏的な地方の若手人材発掘育成支援事業費補助金
ちょっとニッチですが、
未踏的な地方の若手人材発掘育成という補助金もあります。地方の若手を対象に高度なIT・デジタルスキルを育成する取り組みへの補助で、規模は
10/10補助(実質全額)のケースもあります。
全額補助!?それはすごい。どんな会社が使えますか?
主に教育機関や研修事業者が対象で、「兵庫県内の若手エンジニアを育てるプログラム」を企画・運営できる企業や団体ですね。ITスクールや専門学校が活用するケースが多いです。
地域戦略人材確保等実証事業
あと
地域戦略人材確保等実証事業も注目です。地域の中堅・中核企業が戦略的に人材を確保・育成するための取り組みに対して補助するもので、上限4億円のかなり大型の制度です。
そうですね(笑)。これは中堅企業や地域の基幹的な企業が対象になるので、中小には向かない。ただ将来的に企業規模が成長したら使える候補として覚えておく価値はあります。
兵庫県独自補助金の申請フロー図
国の制度はわかりました。兵庫県独自の補助金ってどういうものがあるんですか?
兵庫県は産業構造的に製造業・建設業が強いので、その業種向けの独自制度が充実しています。いくつかピックアップしますね。
建設業若年者入職促進・人材育成事業補助金
まさに兵庫県独自の制度で、建設業の若手育成に特化した補助金があります。定時制高校生や若年未就業者を期間雇用して技術訓練する企業に対して、1名あたり上限50万円、補助率1/2で支援してくれます。
定時制高校生を雇いながら技術を教える、という取り組みですね。
そうです。建設現場で人手不足が深刻な中、将来の職人を育てる取り組みへの支援なんです。兵庫県内に本店があって建設業許可を5年以上持っている企業が対象です。問い合わせは兵庫県庁 土木部 契約管理課 建設業班(078-341-7711)で。
建設業の人手不足って深刻ですからね。こういう制度があるのはありがたい。
兵庫県版テレワーク関連支援
テレワーク関連も兵庫県内で使える制度があります。
テレワーク促進助成金は上限250万円で、従業員数30人以上の企業なら補助率1/2、30人未満なら2/3で、テレワーク環境の整備を支援してくれます。
テレワーク環境って、パソコンやVPNの設定費用が出るんですか?
機器購入費・クラウドサービス導入費・セキュリティ整備費などが対象になるんですよ。テレワーク導入って「やりたいけど初期コストが怖い」って会社が多いので、こういう補助は助かりますよね。
たしかに。テレワーク導入できれば優秀な人材を採用しやすくなりますし、人材育成の観点でも大事ですよね。
そのとおりで。人材育成って「育てる」だけじゃなくて「定着させる」ことも重要で、テレワーク・フレックスなど働き方を整えることが結果的に離職防止になるんですよ。
兵庫県・海外展開支援事業補助金
海外展開を見据えた人材育成ですね。グローバル人材の育成にも使えるわけか。
そうです。輸出やインバウンド対応を強化したい企業が、社員に知的財産・英語ビジネス研修を受けさせる費用の一部として活用できます。
じゃあ横断で比較してみましょう。よく使われる制度をまとめると…
| 制度名 | 上限額 | 補助率 | 主な対象 | 所管 |
|---|
| 働き方改革推進支援助成金(インターバルコース) | 600万円 | 3/4〜4/5 | 中小企業 | 厚生労働省 |
| 働き方改革推進支援助成金(時短・年休コース) | 成果目標ごと | 3/4〜4/5 | 中小企業 | 厚生労働省 |
| 働き方改革推進支援助成金(団体推進コース) | 500万円 | 定額 | 事業主団体 | 厚生労働省 |
| 中小企業支援事業補助金(地域の人事部) | 1,300万円 | 1/3〜2/3 | 支援機関 | 経済産業省 |
| テレワーク促進助成金 | 250万円 | 1/2〜2/3 | 中小企業 | 都道府県 |
| 建設業若年者入職促進補助金 | 50万円/名 | 1/2 | 建設業者 | 兵庫県 |
| NUROの海外展開支援補助金 | 300万円 | 1/2以内 | 中小企業 | 兵庫県NIRO |
| 人材開発支援助成金(訓練費・賃金) | コースにより | 訓練費1/2〜3/4 | 全業種 | 厚生労働省 |
すごい。制度の数と金額のバリエーションがわかりやすい!
この表を見て「うちは製造業で社内OJTをやりたい」なら人材開発支援助成金、「残業を減らしてシステム入れたい」なら働き方改革推進支援助成金、という感じで絞り込んでいくといいですよ。
- Step 1: 目的の明確化(何のための人材育成か)
- Step 2: 制度の絞り込み(厚生労働省系 or 経済産業省系 or 県独自)
- Step 3: 要件確認(従業員数・業種・資本金額など)
- Step 4: 支援機関への相談(神戸商工会議所・ひょうごEC)
- Step 5: GビズID取得(jGrants等の電子申請に必須)
- Step 6: 申請書類作成・提出
そうなんです。これ結構見落とされがちで。GビズIDの発行まで2〜3週間かかることがあるんですよ。「公募が始まった!よし申請しよう」って動いてもIDがないと電子申請できないので、常に先行して取得しておくのが鉄則です。
あと働き方改革推進支援助成金は成果目標の設定が肝で、「絶対達成できる目標」にしないと補助金が出ません。月の時間外労働を「60時間→45時間に下げる」みたいな具体的な数値目標を先に社労士と詰めておく、というのが採択率を上げるコツです。
- 人件費(役員報酬は対象外のことが多い)
- すでに購入済みの設備・ソフトウェア
- 申請前に着手した取り組みの費用
- 消費税(補助対象外の場合が多い)
申請前に着手したら対象外、っていうのは要注意ですね。
ほんとここが一番多い失敗なんです。「補助金が採択される前に機器を買ってしまった」というケースが後を絶たなくて。必ず採択通知を受けてから発注・契約・購入に進むことが絶対ルールです。
3つお伝えします。まず「制度の目的に沿った事業計画」を作ること。例えば働き方改革の助成金なら「残業削減→離職防止→採用コスト低減→利益率向上」という因果関係を具体的に書くと審査官に刺さります。
ただ「研修費用を出してほしい」じゃなくて、会社全体の改善につながるストーリーが必要なんですね。
そうです。2つ目は「加点要件の活用」です。多くの補助金に加点項目があって、例えば「賃上げ計画あり」「DX推進の取り組みあり」などに該当すると優先採択されるケースがあります。
賃上げ計画を示すと有利になるんですか。最近よく見る加点ですね。
令和6年度以降はほぼ全ての補助金・助成金で賃上げ要件が強化されているんです。3つ目は「複数の制度を組み合わせる」こと。例えばテレワーク助成金で環境整備しながら、同時期に人材開発支援助成金でリモートワークスキル研修をやる、という併用が可能な場合があります。
同じコストに2つの補助金をかける「二重受給」はNGですが、別々のコストに異なる補助金を充てるのはOKのケースが多いです。ただ制度ごとに確認が必要なので、支援機関やコンサルタントに相談するのが確実ですね。
まず自社の「人材育成の課題」を言語化する(採用・育成・定着どれが弱いか)
課題に合った補助金カテゴリを選ぶ(OJT・外部研修・働き方改革のどれか)
兵庫県・神戸商工会議所・ひょうごECのセミナーに参加して最新情報を入手
GビズIDを事前取得(2〜3週間かかる。今すぐやるべき)
社労士・中小企業診断士と申請書類を作成し、採択通知後に経費を使う
今日かなりボリュームある情報をいただきましたが、結論として「まず何からやればいいか」を教えてもらえますか?
中小企業経営者さんにお伝えしたいのは、「働き方改革推進支援助成金のどれか1つを今年使う」を目標にすることです。勤務間インターバルコースか労働時間短縮コース、どちらかは絶対に使える制度があるはずで。
厚生労働省の助成金は補助金と違って「要件を満たせば出る」という仕組みなので、採択率という概念がほぼなくて。条件さえクリアすれば確実にもらえるんです。そこが経済産業省系の「競争型補助金」との一番の違いです。
確実にもらえるのはいいですね。制度の紹介だけじゃなくて、そのあたりの違いも教えていただけて助かりました!
「助成金」は要件達成型、「補助金」は競争型、って覚えておくと申請の計画が立てやすいですよ。ぜひ神戸商工会議所や兵庫労働局に相談して、今年度中に1件は活用してみてください!
- 兵庫労働局(厚生労働省系助成金の相談) TEL 078-367-9000
- 神戸商工会議所(中小企業向け補助金全般) TEL 078-303-5802
- 新産業創造研究機構(NIRO)(技術・海外展開関連) TEL 078-306-6800
- よろず支援拠点 兵庫(無料相談) TEL 078-302-8973
兵庫県内のほかの補助金・助成金もまとめてチェックしたい方は、
兵庫県の補助金・助成金一覧もあわせてご覧ください。製造業・IT・医療など業種別の制度も掲載しています。