山口県 人材育成・人材確保 補助金カテゴリ比較
室谷さん、山口県で人材採用や社員研修に使える補助金って、実際どのくらいあるんですか?
これがけっこう多くて、国の制度だけで常時20件以上、山口県や市町村の独自制度を加えると100件超になります。ただ、「人材育成」というくくりでいっても、内容がバラバラで——研修費用の補助なのか、採用コスト支援なのか、賃上げ連動の助成金なのかで、使える制度がまったく変わってくる。
多くの経営者がそう思ってますよ。大きく4つのカテゴリに分けると見通しが立ちます。①研修・スキルアップ費用の補助、②採用・定着コストの支援、③賃上げと連動した助成金、④外国人材の受け入れ支援——この4軸を押さえておくと制度を選びやすくなります。
なるほど。山口県って、ものづくり県のイメージが強いですけど、そのあたりでなにか特色がありますか?
ありますね! 山口県は石油・化学・機械・金属の重化学工業が集積していて、全国で唯一、複数のコンビナートを持つ「工業県」として知られています。だから理系の専門人材の確保を特に手厚く支援しているのが特徴で、奨学金返還補助制度なんかは理工系大学院生をターゲットにした、他県にあまりない独自制度なんです。
理工系の大学院修士課程の学生や薬学部生が山口県内の製造業・情報サービス業に就職すると、奨学金の返還額を最大6年間補助してもらえる制度です。県内への優秀な人材の定着を促進するために山口県が独自に設けていて、企業側ではなく求職者側への支援ですが、採用のアピール材料として使えます。
企業がリクルートの武器として使えるってことですね!
そういうことです。「うちに来てくれたら奨学金返還の補助制度があります」って話せるので、採用競争力が上がりますよ。
じゃあ、もう少し詳しく教えてください。まず研修費用の補助から見ていくと、どんな制度がありますか?
山口県で今一番注目してほしいのが、令和8年度の「デジタル人材等育成支援補助金」です。県の独自制度で、AI・RPA・IoT・ビッグデータなどのデジタル技術の研修を従業員に受けさせた場合に、1人当たり最大3万円、1社当たり最大15万円を補助してくれます。補助率は費用の10分の3(30%)以内。
3万円/人って、研修費全額じゃないですけど…かなり助かる金額ですよね。
特に中小企業でDXを進めようとしているときに、社員2〜3人にまとめて研修受けさせながら15万円戻ってくるのは大きいです。受付期間は令和8年度予算の範囲内で随時なので、早めに動くのがコツ。
はい、「山口市中小企業人材育成応援補助金」ですね。山口市内に主たる事業所がある中小企業が対象で、業務上必要な研修・資格試験の受験料を費用の2分の1以内補助してくれます。国・県の制度と一緒に使える場合もあるので、重ね打ちを意識して動くと効率的です。
防府市も「防府市中小企業人材育成応援補助金」を令和8年度から実施しています。内容は山口市とほぼ同様で、リスキリングやスキルアップのための研修費を支援する制度です。こうした市区町村の制度は申請窓口も近くて使いやすいので、積極的に活用してほしいですね。
国の制度はどんなものがありますか? 有名どころで言うと?
人材育成系で国の制度として真っ先に押さえるべきは「人材開発支援助成金」(厚生労働省)ですね。従業員に職業訓練を実施した場合に、訓練費用の一部と訓練期間中の賃金の一部を助成してくれます。コースが多岐にわたって——人材育成支援コース、教育訓練休暇等付与コース、人への投資促進コース、事業展開等リスキリング支援コース——といった形で、企業の状況に合わせて選べる。
コースによりますが、訓練費用の45〜75%、賃金助成は1人1時間当たり760〜960円程度です。中小企業の場合は助成率が高くなるケースが多くて、訓練経費の60〜75%が戻ってくる計算になります。
大きいです。100万円の研修を実施したとして、最大75万円戻ってくる可能性があるわけですから。ただ、支給申請の手続きが煩雑なので、社会保険労務士に相談しながら進めるのをおすすめします。厚生労働省の公式ページで各コースの詳細を確認するのが確実です。
はい! 「キャリアアップ助成金」も重要ですよ。非正規労働者を正規雇用に転換したり、処遇を改善したりすると助成が出る制度です。正社員化コースで1人当たり50〜80万円(加算で増額あり)。山口県みたいに製造業が多い地域では、パートや契約社員を正社員化するタイミングに活用する会社が多いです。
賃上げ支援の王道は
業務改善助成金ですね。事業場内最低賃金を30円以上引き上げて、生産性向上のための設備投資をすると、設備投資費用の3/4〜4/5が助成される制度です。上限は最大600万円。令和7年度の制度では補助率が3/4〜4/5と高くて、機械設備からPOSシステム、PCまで幅広い設備が対象です。
600万円で補助率4/5って、実質ほぼ全額ですよね。
そうなんです(笑)。ただし「賃上げが先」なので、先に賃上げの計画を立ててから申請する流れになります。GビズIDも事前に取得しておく必要があるので、思い立ったら早めに動くのが鉄則です。
経済産業省が推進する「
地域の人事部支援事業」も面白い制度です。地域の複数の中小企業を束ね、地方公共団体・金融機関・教育機関と連携して「地域の人事部」を構築する取り組みを支援するもので、
令和7年度版は補助上限が1,300万円(補助事業者1社当たり)と大きいです。山口のような地方の中小企業にとって、人事部機能を地域全体でシェアする発想は非常に使えます。
へえ、地域全体で人事部を持てるってことですか! なんか画期的ですね。
そうですよね。中小企業単体では人事採用担当者を雇えない規模でも、地域の複数社がチームを組めばプロの人事機能を持てるという発想です。山口県商工会議所や山口しごとセンターと連携してこういう動きを作れると強いですね。
山口県ならではの支援制度、もっと詳しく知りたいです!
大きく3つ紹介しますね。まず「山口県県外キャリア人材確保応援事業補助金」。県外で活躍しているキャリア人材を採用するための費用——転職フェアへの出展料など——を補助する制度です。令和8年度は県外転職フェア出展料の支援事業が予算上限に達して受付終了になったくらい人気です。
それは動きが速い(笑)。次年度はもっと早く申請しないといけないですね。
そうなんですよ! こういう人気制度は「令和X年度の補正予算で追加募集があるかも」と情報アンテナを張っておくことが大事です。山口県産業人材課のページを定期的に確認することを強くおすすめします。
正式名称は「高度産業人材確保事業奨学金返還補助制度」で、理工系大学院修士課程の1年生または薬学部5年生が対象です。卒業後に山口県内の製造業や情報サービス業に就職して最大6年間就業することで、その期間に応じて奨学金返還額を補助してもらえます。2026年度の募集人員は25名程度、募集期間は2026年5月7日から9月30日まで。
企業が直接申請する制度じゃなくて、学生側が申請するんですね。
そうです。でも企業にとっては「山口県のこの制度を使って就職しないか?」と候補者に提案できる材料になるんです。特にコンビナート系の製造業では、化学・機械・電気系の大学院生を採りたいニーズが強いので、この制度を採用活動に組み込む企業が増えています。
「山口県外国人材確保定着支援補助金」が2025年から動いています。外国人材の確保および定着に新たに取り組む県内中小企業等に対して、取り組みに要する費用の一部を助成する制度です。申請は山口県外国人材確保定着強化協議会(受託・山口県中小企業団体中央会)が窓口になっています。
山口県って、インドネシアとベトナムに外国人材受入れサポートデスクを設置したんですよね?
そうです! 2025年9月にベトナム、同年12月にインドネシアに窓口を開設しました。これは県がその国の人材確保をアクティブに動いているサインで、外国人材の受け入れを検討している企業は今がタイミングとして良いですね。コンビナート周辺の工場で特定技能や技能実習の採用を考えている企業は要チェックです。
| 制度名 | 対象 | 補助率・金額 | 申請窓口 |
|---|
| デジタル人材等育成支援補助金(山口県) | 中小企業 | 10分の3以内 最大15万円/社 | 山口県産業人材課 |
| 山口市中小企業人材育成応援補助金 | 山口市内中小企業 | 1/2以内 | 山口市ふるさと産業振興課 |
| 業務改善助成金(厚生労働省) | 中小企業 | 3/4〜4/5 最大600万円 | 山口労働局 |
| 人材開発支援助成金(厚生労働省) | 事業者 | 45〜75% | 山口労働局 |
| キャリアアップ助成金(厚生労働省) | 事業者 | 1人50〜80万円 | 山口労働局 |
| 県外キャリア人材確保応援事業補助金 | 山口県内企業 | 転職フェア出展料等 | 山口県産業人材課 |
| 外国人材確保定着支援補助金(山口県) | 山口県内中小企業 | 経費の一部 | 山口県中小企業団体中央会 |
| 奨学金返還補助制度(山口県) | 理工系大学院生等 | 奨学金返還額の一部(最大6年) | 山口県産業人材課 |
| 地域の人事部支援事業(経産省) | 中小企業支援法人等 | 上限1,300万円/社 | 中小企業庁 |
| リスキリングキャリアアップ補助金(経産省) | 民間支援事業者 | 1/2〜定額等 | 経済産業省 |
| 大規模成長投資補助金(経産省) | 中堅・中小企業 | 1/3以内 最大50億円 | 中小企業庁 |
| AKATSUKIプロジェクト(経産省) | 若手IT人材育成事業者 | 2/3〜全額 最大3,000万円 | 経済産業省 |
これだけ並べると、制度の多さがよく分かりますね。どれを優先すればいいですか?
企業規模と課題によって変わりますけど、まず「今すぐ使える」制度から入るのがいいです。社員に研修を受けさせたい → デジタル人材育成支援補助金または人材開発支援助成金(厚労省)。賃金を上げながら設備投資もしたい →
業務改善助成金。採用費用を圧縮したい → 県外キャリア人材確保応援事業補助金。外国人材を採りたい → 外国人材確保定着支援補助金。この目的で考えると選びやすいですよ。
山口県 人材育成補助金 申請の流れ
制度を選ぶ(研修・採用・賃上げ・外国人材の4軸で絞る)
要件確認(対象業種・企業規模・地域・申請期間を確認)
事前申請(多くの制度は研修実施前や採用前に事前認定が必要)
- 事前認定が先: 山口市・防府市の人材育成応援補助金は、研修実施前の事前認定申請が必須。「研修終わってから申請」では受け付けてもらえない
- GビズIDの事前取得: 国の制度(業務改善助成金など)はGビズIDが必要。申請の2〜4週間前には取得しておくこと
「終わってから申請しようとする」ことです(笑)。特に研修費用の補助系は、研修を実施する前に認定や申請が必要な制度がほとんどで、後から「やっぱり使いたかった」では使えないんです。あと保存しなければいけない書類——出勤簿、賃金台帳、研修の受講証明書——がかなりあるので、事前に担当者を決めておくことが大事ですね。
- 山口県産業人材課: デジタル人材育成補助金・キャリア人材確保事業・奨学金返還補助制度
- 山口しごとセンター: 外国人材雇用アドバイザー(無料相談)・採用支援全般
- 山口労働局: 業務改善助成金・人材開発支援助成金・キャリアアップ助成金
- 山口県中小企業団体中央会: 外国人材確保定着支援補助金の申請受付
- やまぐち産業振興財団: DX・ITに関する補助金・DX専門家派遣支援
各制度の担当窓口が分かれているのが少し面倒ですが、迷ったらまず「山口しごとセンター」か「やまぐち産業振興財団」に電話するのが早いですよ。「こういうことに使いたいんですが」と話せば、適切な制度と窓口を案内してもらえます。
最後に、山口県の中小企業が人材確保で最初に動くべきことって何でしょう?
3つ挙げるとしたら——①GビズIDをまず取得する、②今年度(令和8年度)のデジタル人材育成補助金の申請をすぐに山口県産業人材課に問い合わせる、③
業務改善助成金の活用で賃上げと設備投資を同時に進める計画を立てる——この順番で動いてほしいです。山口県はものづくりへの県の投資が厚く、情報感度を上げておくだけで使えない制度がどんどん減っていきます(笑)。
なるほど。「まず情報を掴む」が一丁目一番地ですね! 人材関係の補助金って広そうで掴みどころがなかったですが、今日でかなり整理できました。ありがとうございます。