室谷さん、トラックを電気自動車(EV)にしたいんだけど、国から補助金が出るって聞いたんです。それって本当ですか?
本当です!(笑)令和7年度補正予算で「商用車等の電動化促進事業」という補助金が用意されています。予算規模が約175億円という、かなり大型の補助金ですよ。
175億円!?それはすごい規模ですね。どんなトラックが対象なんですか?
BEV(電気自動車)、PHEV(プラグインハイブリッド)、FCV(燃料電池自動車)、水素内燃機関型自動車の4種類が対象です。普通のディーゼルやガソリン車は対象外なので、そこはまず押さえておいてください。
バンも含まれます。公募要領には「トラック(バンを含む。)」と明記されているので、配送に使う小型バンなんかも対象になりますよ。
補助対象車両の重量区分チャート
車両の重量でも条件が変わると聞いたんですが、どういう仕組みですか?
車両総重量(GVW)が2.5トンを境に条件が変わります。2.5トン超の車両は事業用・自家用ともに補助対象になるんです。
2.5トン以下は事業用のみが対象です。マイカー感覚で業務にトラックを使っている方は対象外になるので注意が必要ですね。
- GVW 2.5トン超: 事業用・自家用ともに補助対象
- GVW 2.5トン以下: 事業用のみ補助対象
- 対象車種: BEV・PHEV・FCV・水素内燃機関型自動車(4種類)
- バンも対象: バン型トラックを含む
ということは、うちみたいに宅配業務でバンを使っている会社なら、事業用であれば対象になるってことですよね?
そうです。ただし、事前に機構のホームページで対象車両リストを確認してください。予め事前登録を受けたトラックのみが補助対象になるので、自分が購入したい車両が登録されているかどうかを必ず確認する必要があります。
事前登録、ですか。それって申請前に何か手続きが必要なんですか?
車両を製造するメーカー側が事前登録を行う仕組みになっていて、申請者が自分で登録するわけじゃないんです。ただし、どの車種が登録されているかを必ず確認してから購入・申請してくださいね。次のセクションで補助対象者についてもっと詳しく説明しましょうか?
補助金を申請できるのはどんな事業者なんでしょうか?
大きく8つのカテゴリーがあります。貨物自動車運送事業者が中心ですが、自家用商用車を業務に使う事業者や、リース・レンタル業者なんかも対象になりますよ。
はい、地方自治体も申請できます。あと、複数の事業者でコンソーシアム(共同事業体)を組んで申請することも可能です。
| 申請可能な事業者の種類 | 具体例 |
|---|
| 貨物自動車運送事業者 | 運送会社、宅配事業者 |
| 自家用商用車の業務使用者 | GVW2.5トン超の自家用トラック利用企業 |
| リース・レンタル事業者 | ファイナンスリース会社等 |
| 地方公共団体 | 都道府県・市区町村 |
| 子会社に車両を貸与する親会社 | 分社化した物流子会社を持つ企業 |
| 充電設備所有者 | トラックと一体導入する設備オーナー |
| コンソーシアム | 複数事業者の共同事業体 |
| その他 | 環境大臣承認を得た者 |
結構幅広いですね!ただ、CO2をたくさん出している大企業は何か追加条件があるとか?
鋭いですね。令和4年度のCO2排出量が20万トン以上の多排出事業者は、GXリーグへの参加、またはCO2削減目標の設定・公表と、第三者検証を経た毎年の実績報告が必要になります。達成できない場合はJクレジット等を調達するか、未達理由を公表するかのどちらかが必要です。
なるほど、大企業はそれだけ厳しく見られるわけですね。では、実際にどうやって申請すればいいのか、流れを教えてもらえますか?
申請フロー図
基本的な流れは5ステップです。最初に交付申請を出して、機構から交付決定をもらってから車両を購入・登録、最後に補助金を受け取るという流れです。
電子申請ってできますか?jGrantsとか使えますか?
はい、jGrantsから申請できます。ただし、jGrants申請にはgBizIDの取得が必要で、取得まで2〜3週間かかります。申請を考えているなら、早めにgBizIDを取っておくことをおすすめします。
そうか、余裕を持って動かないといけないですね。電子メール申請も使えると書いてありましたが、どちらがいいですか?
jGrantsか電子メール申請なら押印が省略できてラクです。郵送や持参でも申請できますが、電子のほうがスムーズですね。申請先メールアドレスは下記をご確認ください。
令和8年4月24日(金)から令和9年1月15日(金)までです。予算総額は約175億円で、国庫債務負担行為分の約20億円も含まれています。
- 受付期間: 2026年4月24日(金)〜2027年1月15日(金)
- 予算額: 約175億円(国庫債務負担行為分 約20億円含む)
- 予算残額が2割程度になったら申し込み順の審査から一斉審査に変更
- 割賦・ローン払いの購入形態は補助対象外
- 充電設備は交付決定後でないと発注できない
実際どれくらいもらえるんですか?金額を教えてください!
車両の補助額は機構のホームページに掲載されている「補助対象車両一覧」に記載された基準額が上限です。ただし、値引きがある場合は値引き額に応じて補助額が減額されます。
そうなんです。この計算式が少しユニークで、減額の割合が車両種別によって違います。
| 車両種別 | 値引き額に乗じる率 |
|---|
| BEV(電気自動車) | 値引き額 × 2/3 |
| PHEV(プラグインハイブリッド) | 値引き額 × 1/2 |
| FCV(燃料電池自動車) | 値引き額 × 3/4 |
| 水素内燃機関型自動車 | 値引き額 × 3/4 |
なるほど!値引きが大きいほど補助額が減るということですね。交渉次第で変わってくる。
正確に言うと、基準額から上記の計算で算出した金額を差し引いた額が補助額になります。値引きゼロの場合は基準額まるごともらえます。
充電設備等は、設備費と工事費の合計額が補助対象です。補助上限額は機器の種別ごとに設定されていて、急速充電器、普通充電器、V2H・外部給電器については経済産業省のクリーンエネルギー自動車向け補助金の交付対象機器である必要があります。対象機器の一覧は機構のホームページで確認できます。
大事な点が2つあります。まず、「導入車両台数≧充電設備設置口数」のルールがあって、トラック1台に対して充電設備1口以上の比率が必要です。2社以上からの見積書(競争見積)も原則必要になります。次のセクションで対象経費について詳しく見ていきましょう。
どんな経費に補助が出て、どんなものがダメなんでしょうか?
車両本体と充電設備関連が中心ですね。充電設備については工事費もかなり広くカバーされています。
| 対象経費(充電設備等) | 対象外経費の例 |
|---|
| 本工事費 | 既存施設の撤去費 |
| 付帯工事費 | 廃材の運搬・処分費 |
| 機械器具費 | CO2削減に寄与しない周辺機器 |
| 測量・試験費 | オプション品等 |
| 設備費 | 割賦・ローン購入分 |
| 業務費・事務費 | 他の補助金対象経費との重複分 |
ローン払いは対象外なんですか!それは気をつけないといけないですね。
そうなんです。完了実績申請日までに決済が完了していない手形や割賦・ローンは補助対象になりません。キャッシュで一括購入か、申請前に決済が完了する方法で調達する必要があります。
あと、他の補助金と重複して受けることはできないんでしょうか?
原則として国の他の補助金との重複受給はできません。ただし、他の補助金規程等に関連の記載がある場合はそれに従ってください。経産省のEV充電インフラ補助金とは調整が必要なケースがあるので、事前に機構に確認することをおすすめします。
補助金をもらってから、すぐに売却したり廃車にしたりするのはNGなんですか?
処分制限期間内の売却や廃車は原則として補助金の返還が必要です。期間は用途によって違います。
| 区分 | 処分制限期間 |
|---|
| 運送事業用・貸自動車業用(最大積載量2トン超) | 4年 |
| 運送事業用・貸自動車業用(最大積載量2トン以下) | 3年 |
| 一般用トラック | 5年 |
| 充電設備等 | 設置完了日から6年 |
4〜6年は保有し続けないといけないわけですね。長期的な計画が必要ですね。
そうなんです。ただし、申請時点で処分制限期間内に使用者の変更が予定されていて計画が示されている場合は、財産処分の対象とならない可能性もあります。事前に機構に相談するのが確実です。
新車新規登録日以降、四半期ごとに走行距離と稼働日数を報告する義務があります。翌年度以降は半期ごとの報告になります。補助金をもらっておしまいじゃなくて、ちゃんと使い続けているかを継続的に確認される仕組みです。
審査では何を見られるんでしょうか?どうすれば採択されやすいですか?
最大のポイントは非化石エネルギー自動車の導入計画ですね。単に「電気トラックを買いたい」ではなく、「2030年度に自社トラック全体の何パーセントを非化石燃料車にする」という計画を数値で示す必要があります。
GVW8トン以下の車両については、2030年度に非化石エネルギー自動車の使用割合が5%以上であることが審査基準になっています。「意欲的な目標」とされているので、5%ぎりぎりより高い目標を掲げたほうが審査で有利になる可能性がありますよ。
- 導入計画の数値目標を高く設定する: 2030年度の非化石エネルギー車比率を5%超の意欲的な水準に
- 充電設備との一体申請を検討: トラックのみより充電設備も合わせて申請するほうが事業計画として説得力がある
- 書類を完全に揃える: 添付書類の不備は即不採択。公募要領の提出書類チェックリストを使って漏れをなくす
あります!(笑)公募要領に「申請に必要な添付書類のないものは審査対象外として不採択となります」と明記されています。書類を揃えることが最低条件です。機構のホームページに「提出資料総括表」がありますから、それを使ってチェックすることを強くおすすめします。
なるほど、基本的なところをしっかりやることが大事ですね。次に複数年度申請についても聞かせてください。
1年で全部終わらない場合はどうすればいいんですか?
複数年度(2年度以内)にわたる申請も可能です。ただし、事前に機構の承認が必要で、各年度ごとに補助金の交付申請を行う必要があります。
国庫債務負担行為というのも見たんですが、これは何ですか?
通常の補助金は単年度会計が原則で、年度をまたいだ事業はできないんですが、国庫債務負担行為を使うと当年度内に終わらない事業でも申請できる仕組みです。
令和9年4月1日から12月17日までに新車新規登録される車両が対象です。ただし対象は限定されていて、地方公共団体や公営企業が使用する車両、燃料電池自動車、水素内燃機関型自動車、塵芥車、冷凍・冷蔵架装車など、納車まで長期間を要する車両に限られます。この場合、補助金の支払いは令和9年度になります。
申請書類ってどんなものが必要ですか?全部教えてもらえますか?
機構のホームページに「提出資料総括表」が公開されているので、まずそれをダウンロードして確認するのが一番確実です。主な書類を挙げると…
リース申請の場合は少しルールが違って、ファイナンスリース事業者が代表事業者になって共同申請する形になります。リース料から補助金相当分が減額されていること、法定耐用年数以上のリース契約内容であることを証明する書類も必要です。
最後に、申請者として申し込み後に気をつけることはありますか?
車両や充電設備に不具合が生じた場合、15日以上運行・稼働できない見込みの故障・事故は速やかに機構に報告する義務があります。また、補助金で取得した財産にはステッカーを貼ることも義務付けられています。細かいですが、こういった義務を怠ると交付決定が取消されることもあるので注意してください。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 補助金名 | 令和7年度補正予算 商用車等の電動化促進事業 |
| 所管省庁 | 環境省 |
| 実施機関 | 一般財団法人環境優良車普及機構(LEVO) |
| 予算規模 | 約175億円 |
| 受付期間 | 2026年4月24日(金)〜2027年1月15日(金) |
| 申請方法 | jGrants / 電子メール / 郵便 / 持参 |
| 対象地域 | 全国 |
| 対象車種 | BEV・PHEV・FCV・水素内燃機関型トラック(バン含む) |
| jGrants URL | 補助金ポータル |
| 公式サイト | LEVO 令和7年度補正予算ページ |
なりません。新車の新規登録が条件です。中古車や既に登録済みの車両は対象外です。
購入前に申請しないといけないですか?それとも購入後でもいいですか?
車両のみの申請なら購入後でも申請できます(単年度申請・購入後)。ただし充電設備は必ず交付決定後でないと発注できないので注意してください。
gBizIDは国の行政サービスに使う事業者向けIDです。
gBizIDのサイトから申請できますが、取得まで2〜3週間かかります。jGrantsで申請する場合は必須ですから、早めに取得しておきましょう。
令和6年度補正予算の事業で複数年度申請をした事業者は、今回の事業で2年目の申請ができますか?
できます。令和6年度補正での複数年度申請者が2年目(令和8年度)に申請する場合は、2027年1月15日まで、充電設備の設置完了は2026年12月25日までが期限です。
このEVトラック補助金、同じシリーズや似たような補助金が他にもあるんですか?
あります!環境省・経済産業省でいくつか展開されていて、車両の種類や用途によって使い分けが必要です。整理しましょう。
そうなんです。環境省がLEVO(環境優良車普及機構)を通じて展開しているシリーズで、トラック・建設機械・タクシー・バスと商用車全般をカバーしています。タクシー・バス向けは今回は受付が終了していますが、次回公募に備えて確認しておくといいですね。
ターゲットは少し違いますね。冷凍冷蔵ルートを持つ物流事業者や食品会社なら、EVトラック補助金と合わせて冷蔵庫・冷凍庫の設備更新にも活用できます。これらの補助金を組み合わせてトータルコストを下げる戦略も有効ですよ。
トラックと充電設備は本補助金で一体申請が最も効率的。フォークリフト等の電動建設機械は商用車等の電動化促進事業(建設機械)を確認。冷凍冷蔵設備は対象が異なるので並行申請可能(事前に機構に確認推奨)。
なるほど、それぞれの用途で使い分けるわけですね。ではこの補助金全体のまとめをお願いします!
全体を通して、この補助金のポイントを教えてください。
約175億円という大型予算で、申請実績を見ると令和8年1月14日時点で申請車両台数が3,488台、補助金申請額が191億2,400万円に達していて、もうすでに補助金残額は約103億円ちょっとまで減っています。早めに動くことが大切ですよ。
えっ、もう3,000台以上申請されているんですか!?
そうなんです。仮に現在の消化ペースが続けば、2027年1月の受付終了前に予算が尽きる可能性もあります。導入を検討しているなら早めに動くのが得策ですね。
gBizIDを先に取っておくことと、事前登録車両リストを確認することが大事ですね。
その通りです!あとは2030年度に向けた非化石エネルギー車の導入比率目標を具体的な数値で計画書にまとめること。これが審査の核心です。ぜひ前向きに検討してみてください。
- gBizID: jGrantsで申請する場合は必須。取得に2〜3週間かかるため今すぐ申請
- 対象車両リスト: LEVOホームページで事前登録済み車両を確認してから購入・発注
- 充電設備の発注タイミング: 交付決定通知を受け取った後でないと発注不可
- 予算残額: 2026年1月時点で約103億円。予算残額が2割以下になると審査方式が変わる