室谷さん、今日はちょっと気になる補助金を見つけてきたんですけど、「業務用建築物ストックの省CO2改修調査支援事業」って知ってますか?
あー、環境省がバックにいる補助金ですね!正式名称は「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(業務用建築物ストックの省CO2改修調査支援事業)」で、令和7年度補正予算と令和8年度の両方を組み合わせた今回は二次公募・一次公募という形になっています。
ええ!環境省の補助金なんですか。なんか難しそうな名前ですけど、どんな内容なんでしょう?
ざっくり言うと、「うちのビル、ZEB化したいんだけど本当に効果あるの?いくらかかるの?」っていう事前調査の費用を国が半分出してくれる 補助金です。調査だけ先に補助してくれる、っていうのがポイントで、工事そのものは対象外なんですよね。
ZEB化の事前調査を補助してくれるんですか!それは知らなかったです。
そもそもZEBってよく聞くんですけど、正確にはどういう意味なんですか?
ZEBは「Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」の略で、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロとすることを目指した建築物 のことです。環境省ZEBポータルの定義では「先進的な建築設計によるエネルギー負荷の抑制やパッシブ技術の採用による自然エネルギーの積極的な活用、高効率な設備システムの導入等により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギー化を実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、エネルギー自立度を極力高め、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロとすることを目指した建築物」とされています。
つまり建物で使うエネルギーと、太陽光発電などで作るエネルギーを足し引きして、1年間でプラスマイナスゼロになる状態です。ただ、完全にゼロにするのはかなりハードルが高いので、ZEBには4段階のランクがあります。
ZEBランク比較
ZEBランク 省エネ削減率の目安 概要 ZEB(ゼブ) 省エネのみで50%以上 + 創エネ込みで100%以上 一次エネルギー収支がゼロ以下 Nearly ZEB 省エネのみで50%以上 + 創エネ込みで75%以上 ZEBに限りなく近い建築物 ZEB Ready 省エネのみで50%以上(創エネは75%未満) ZEBを見据えた先進建築物 ZEB Oriented 40%以上削減(延べ面積1万m2以上が要件) ZEB Readyを見据えた建築物
なるほど!4段階あるんですね。で、この補助金の対象はどのランクを目指す調査でもいいんですか?
そうですね、ZEB基準の水準の省エネルギー性能、具体的には「再生可能エネルギーを除く設計一次エネルギー消費量が用途に応じて基準一次エネルギー消費量より30%または40%程度以上削減されている状態」を目指すことが求められます。あくまで「調査」なので、実際のZEB達成は求められていません。
調査段階だから、そこまで厳しくないということですね。じゃあ補助額はどのくらいもらえるんですか?次のセクションで詳しく教えてください!
ここが一番気になるところですよね。補助額はどのくらいもらえるんですか?
1施設あたり最大100万円、補助率は対象経費の2分の1 です。これは公募要領に明記されています。ただ施設単位は「建築確認申請単位」に準ずるので、ひとつの建物でも確認申請が別になっていれば別々に申請できます。
1施設で100万円か、調査費としては結構大きいですね!
さらに嬉しいのが、同一事業者が複数の施設について申請できる という点です。施設ごとに独立した申請が必要ですが、同一事業者の累計補助上限額は500万円とされています。5施設まで申請できる計算ですね。
え!複数の施設を持ってたら、最大500万円もらえる可能性があるんですか!
その通りです!例えば学校法人が複数の校舎を持っていたり、医療法人が複数の病院施設を持っている場合なんかは、一気に複数申請できて最大500万円というケースもありえます。
補助内容 詳細 補助対象経費 改修効果調査を行うために必要な費用 補助率 対象経費の2分の1 補助上限額 100万円/施設 同一事業者の累計上限 500万円 補助事業期間 交付決定日〜令和9年2月19日まで
調査費用の半分を出してもらえるなら、かなり使い勝手がよさそうです。次は誰が申請できるのか教えてください!
こういう補助金って、対象者が限られてたりしますよね?誰でも申請できるんですか?
実はかなりいろんな組織が申請できます。公募要領によると申請できるのは「補助対象事業の目的に即した建築物改修を将来的に実施する者(建築主等)であって日本国内で事業を営んでいる者」です。
民間企業 : 業務用建築物を所有する一般企業
個人事業主 : 業務用建築物を所有する個人事業主
独立行政法人・地方独立行政法人
国立大学法人・公立大学法人・学校法人 : 学校施設を持つ教育機関
社会福祉法人 : 福祉施設を運営する法人
医療法人 : 病院・診療所等を運営する医療法人
一般社団法人・財団法人・公益社団法人・公益財団法人
地方公共団体 : 市区町村・都道府県等
そうなんです。国が2050年カーボンニュートラルを目標にしている関係で、できるだけ多くの建築物のZEB化を後押ししたい、という趣旨ですね。ただし注意点があって、「将来的に建築物改修を実施する者(建築主等)」が申請できる、というのが重要です。調査だけして終わり、というのは本旨ではないわけです。
ああ、本当に改修する気がないと申請できないということですね。
さらに大事な条件として、対象建築物において令和11年度までに既存設備等の改修の予定があること が求められています。調査後3年以内に実際の省CO2化改修等に取り組み、報告することも義務付けられています。
基本的に業務用建築物 が対象で、住宅は対象外です。申請できる主な建物用途はこんな感じです。
建物用途 具体的な例 事務所等 事務所、官公署等 ホテル等 ホテル、旅館等 病院等 病院、老人ホーム、福祉ホーム等 物品販売業を営む店舗等 百貨店、マーケット等 学校等 小学校、中学校、高等学校、大学、給食センター等 飲食店等 飲食店、食堂、喫茶店等 集会所等(図書館等) 図書館、博物館等 体育館等 体育館、公会堂、集会場等 映画館等 映画館等
そうなんです。ただし「住宅」「工場」「畜舎」「自動車車庫」「倉庫」「卸売市場」「火葬場」「キャバレー」「パチンコ屋」などは対象外になっています。
改修効果調査を行うために必要な費用 が対象です。調査の内容としては、省エネルギー効果・実現性・経済合理性の観点からの改修手段の検討、WEBプログラムを使った計算結果の作成、概算見積もりの作成、改修スケジュール案の作成、外皮性能(BPI)や一次エネルギー消費量(BEI)の算出などが含まれます。
既存施設の撤去・移設・廃棄・処分費用
補助事業期間外(交付決定前および事業完了後)の支出
官公庁等への申請・届出等に係る経費
本補助金への応募・申請手続きに係る経費
補助事業を行うために必要な経費に該当しないオプション品の購入費・工事費
工事そのものの費用は対象外なんですね。あくまで「調査」の費用だけ。次は実際の申請の流れを教えてください!
まず大前提として、ZEBプランナーの関与が必須 です。ZEBプランナーとは、ZEB化のための省エネルギー計画の策定を支援する専門事業者として環境省が認定した者のことで、原則として申請時点からの関与が求められています。
環境省や国土交通省が関係する制度で、ZEB化に関する省エネルギー計画の策定を支援する専門事業者です。入札等で委託先を選定する場合は、入札者等にZEBプランナーの関与を求めることで申請を認めることも可能です。ただし補助事業開始時までに登録が完了していることが条件です。
申請フロー図
随時審査に変わったっていうのは大きいですね!早めに出せばその分早く採択が決まるってことですよね?
その通りです!採択状況によっては公募期間が短縮される可能性もあると公募要領に書いてあります。令和8年10月22日が締め切りですが、早めに申請した方が安心できます。
審査で何が重視されるんですか?採択されやすくなる方法はありますか?
基本的な審査項目は「本事業の目的に照らした事業内容の妥当性」「当該事業のモデル性や他事業への波及効果」「申請時点において目指すZEBランク」「事業実施体制の妥当性」「資金計画の妥当性・財政的基盤」などです。ただ加点項目もあるんですよ。
審査の際に、特定の条件に当てはまると採点が高くなる(加点される) ということです。特に以下のケースは要注目です。
被災建築物の改修 : 激甚災害での被災建築物を改修する事業は大きく加点
旧耐震建物の改修 : 新耐震基準以前の建物の改修(新耐震基準を満たすもの)を調査する事業は加点
再エネ促進区域内の施設 : 地球温暖化対策推進法に基づく再エネ促進区域内に位置する場合は加点
建築物再エネ利用促進区域内の施設 : 建築物省エネ法に基づく区域内の場合は加点
エコスクール認定校 : 学校で「エコスクール・プラス」の認定を受けている場合は加点
カーボンニュートラル目標の設定 : 2050年以前のカーボンニュートラル達成など目標を設定している場合は加点
デコ活への取り組み : デコ活応援団への参画やデコ活宣言を実施している場合は加点
エコ・ファースト認定 : 環境省のエコ・ファースト認定を受けている場合は加点
旧耐震建物はそれだけで加点されるんですね。昭和56年以前の建物を持っている組織は狙い目かもしれません!
その通りです!あとカーボンニュートラル目標の設定は今の時代、多くの企業や自治体が取り組んでいると思うので、宣言している場合は加点要素として積極的にアピールすべきですね。
申請書の書き方で差がつくわけですね。次は基本情報のまとめをお願いします!
ここまで聞いてきて、概要がわかってきました。基本情報を一覧でまとめてもらえますか?
もちろんです。この補助金の基本情報をまとめるとこうなります。
項目 内容 制度名 業務用建築物ストックの省CO2改修調査支援事業 補助額上限 100万円/施設(同一事業者累計500万円まで) 補助率 対象経費の2分の1 公募期間 令和8年5月1日〜令和8年10月22日 審査方法 随時審査(受付完了後に随時採択) 採択目安 申請から約1ヶ月 事業完了期限 令和9年2月19日 対象 全国の業務用建築物(地方公共団体・民間等) 問い合わせ先 一般社団法人静岡県環境資源協会 省CO2促進事業支援センター 公式URL siz-kankyou.com/2025hco2/stock2
一般社団法人静岡県環境資源協会 省CO2促進事業支援センター(SERA)
所在地: 〒420-0852 静岡市葵区紺屋町12-6
Email: zeb@siz-kankyou.or.jp
TEL: 054-266-4161
FAX: 054-266-4162
問い合わせ先が静岡県環境資源協会なんですね。全国公募なのに静岡なんですか?
はい、これが少し特殊なところで、環境省から実施を委託されている機関がSERAという静岡の団体なんです。でも全国の建築物が対象ですから、どこからでも申請できます。問い合わせはメールが基本なので、距離は関係ないですよ。
この補助金と似たような制度って他にもありますよね?比較してみたいんですが。
環境省の建築物ZEB化・省CO2化関連補助金はいくつかあります。今回の補助金は「調査段階」の支援という点が最大の特徴です。実際の改修工事に対する補助金と性格が大きく異なります。
なるほど、本事業は「調査」に特化しているんですね。まず調査してから、工事の補助金に申請する流れにするのがよさそうですね。
まさにそれがベストプラクティスです!この調査補助金で100万円の補助を受けてZEB化の可能性と効果を明らかにし、その調査結果を元に工事費の補助金に申請する、というステップが理想的ですね。
二段構えで補助金を活用するわけですね!賢い!それじゃあ最後によくある質問をまとめてもらえますか?
申請を検討している人が気になりそうな疑問ってどんなことがありますか?
よくある疑問をまとめてみますね。まず「調査だけして、実際に改修しなくても大丈夫ですか?」という質問ですが、これはNG です。補助事業完了後3年以内に実際の省CO2化改修等に取り組み、報告することが義務付けられています。調査のみで終わることは想定されていません。
それは重要ですね!知らずに「取りあえず調査だけ」と思って申請すると後で困りますね。
もう一つよくある疑問が「他の補助金と併用できますか?」という点です。同一の経費に対して、国から他の補助金を受けていないことが条件になっています。ただし、別の施設や別の経費に対する他補助金の利用は排除されていません。調査費用に対してこの補助金を使い、実際の改修工事費用には別の補助金を使う、というのは問題ありません。
「旧耐震の施設を持っているんだけど、申請できる?」という質問はどうですか?
申請できますし、むしろ加点されるので有利 です!新耐震基準以前(昭和56年以前に建築確認を受けた建物)の改修を調査する事業は審査段階で加点されます。
令和11年度(2029年度)までに改修の予定があることが申請要件です
ZEBプランナーの関与が原則として申請時点から必要です
交付決定前に調査を開始すると補助対象外になります
申請から採択まで約1ヶ月かかるので、スケジュールに余裕を持って準備しましょう
採択状況によって公募期間が短縮される場合があります
令和8年10月22日の締め切りまでまだ時間があるとはいえ、随時採択なので早めに動いた方がいいですよね?
そうですね。特に今回から「受付完了後に随時審査」に変わっているので、早く出せば早く結果が出る可能性があります。またZEBプランナーを探したり、調査の実施計画書を作ったりする準備時間も必要ですから、今から動き出すのが正解です。
今日はありがとうございました!建物のZEB化を検討している事業者の方は、まずこの調査支援補助金から動き出してみると良さそうですね。全国の
補助金一覧 や
省エネ・ZEB関連の補助金 もあわせてチェックしてみてください!