室谷さん、今日は岐阜県の海外出願補助金ってやつを詳しく聞きたいんですけど!
はいはい。「中小企業等海外展開支援事業費補助金(海外出願支援事業)」、通称は長いので「岐阜県・海外出願補助金」って呼んでますね。2次募集が7月24日から始まりますよ。
なぜ岐阜県がこんな補助金を出すんですか?海外に出たい中小企業を応援したいってこと?
まさにその通り!中小企業が海外で特許とか商標を取ろうと思うと、言語の壁もあるし、代理人費用もバカにならない。そこで「思い切って海外に出て行け!」って後押しするために、出願費用の半分を県が持ってくれるんです。
でも、特許って国内で取るだけでも大変じゃないですか。海外だとさらに何倍もコストかかるって聞きますけど。
その通り。だからこそこの補助金の価値がある。例えばアメリカで特許を取りたい場合、日本語の明細書を英語に翻訳して、現地の特許弁護士に依頼して…ってやってると、軽く100万円超えることもありますからね。
でも補助率1/2、上限300万円あれば、かなり楽になる。しかもこの補助金、返済不要!「補助金」って名前の通り、もらったお金を返す必要はないんです。
返さなくていいんですね!これはもう、申し込まない手はない!
でもね、条件がいくつかある。そこをしっかり押さえておかないと「あれ、うちは対象外だった!」ってなるので、今日は隅から隅まで解説していきますよ。
岐阜県・海外出願補助金の3大特徴返済不要の給付型
補助金なので原則返済義務なし。採択されたら嬉しいお小遣い(?)です。
特許・商標・意匠・実用新案が対象
海外での権利取得にかかる費用を幅広くカバー。
専門家費用も対象
国内代理人・現地代理人費用、翻訳費用まで補助対象経費に含まれる。
具体的にいくらもらえるか、もう一度ちゃんと聞いてもいいですか?
はいはい。基本は「補助対象経費の1/2以内」。そして1企業あたりの年間上限額は300万円です。
ただしね、これ「案件ごと」にも上限が設定されてるんですよ。そこがちょっとややこしい。
つまり、300万円まるまる1件で使えるわけじゃないってこと?
そう。複数の出願を組み合わせて300万円まで、というイメージ。特許なら1案件あたり上限150万円、商標なら60万円って決まってる。
そっか。じゃあ特許2件と商標1件で300万円ピッタリ、みたいな計算もできるわけですね。
その通り!そこが賢い使い方。でもあくまで補助率1/2なので、例えば特許で300万円かかったら補助額は150万円が上限。残り150万円は自社負担です。
なるほど。ざっくり言うと「かかった費用の半分は県が持ってくれるけど、1社あたり年間300万円まで」ってことですね。
さっきの「案件ごとの上限」、具体的に教えてください。
案件ごとの補助上限額一覧| 出願の種類 | 補助上限額 |
|---|
| 特許 | 150万円 |
| 実用新案 | 60万円 |
| 意匠 | 60万円 |
| 商標 | 60万円 |
| 抜け駆け対策商標 | 30万円 |
そう。「抜け駆け対策商標」っていうのは、海外で勝手に第三者が登録しちゃった商標を取り戻すための出願。費用が比較的安いから上限も抑えられてるんですね。
そうそう。そして「1企業に対する1会計年度内の上限額」が300万円。だから特許2件(150万×2)と商標1件(60万)で360万円かかっても、補助対象になるのは300万円まで。あとは負担率1/2だから、実際の補助額は150万円って計算ですね。
あ、そういうことか。補助額はあくまで「かかった費用の半分」だから、300万円上限でもらうには600万円の出費が必要ってことですね。
その理解で間違いなし!そこを間違えると「思ってたより少なかった…」ってなるので注意。
じゃあ次、申請できる人・できない人の線引きを教えてください。
まず大前提:岐阜県内に事業所を有する中小企業者等であること。ここ外したらアウト。
残念ながら対象外。でも、岐阜に工場や支店があればOK。登記上の本店が岐阜じゃなくても、事業所があればいける。
いけます!個人事業主も「中小企業者」に含まれます。ただし、みなし大企業は除く。
みなし大企業…これがネックになりそうなやつですね。
そう。中小企業の定義は業種によって資本金や従業員数の基準があるんだけど、それとは別に「大企業の子会社/関連会社」は対象外になる。
みなし大企業、5つも条件があるって聞きましたけど。
そう。覚えきれないかもしれないけど、代表的なのは「大企業が発行済株式の1/2以上を所有してる」とか、「大企業の役員が役員総数の1/2以上を占めてる」とか。
うちは中小企業だからセーフ…と思ってたら、実は大企業の子会社だった!ってパターンがありそうですね。
そうそう。特に「資本金が5億円以上の法人に100%株式を保有される」って条件、結構引っかかるケースあるんですよ。一度確認したほうがいい。
対象地域は岐阜県だけど、例えば岐阜に本社があって、海外出願するのは別の県の特許事務所に頼む、ってのはアリ?
もちろんアリ!申請者(岐阜の会社)が直接契約して、直接費用を払えば問題ない。代理人がどこにいようが関係ないです。
あ、そうなんだ。じゃあ東京の特許事務所でも大丈夫?
問題なし。ただし「現地代理人」っていうのは出願先の国の弁理士のこと。国内代理人は日本の特許事務所。両方とも対象経費になります。
でもね、あくまで対象は中小企業者等。個人でもOKだけど「単なる発明家」じゃなくて、事業として海外展開を計画してる人じゃないとダメ。
大きく3つ。①外国特許庁への出願手数料、②国内代理人・現地代理人費用、③翻訳費用。
シンプル!つまり海外出願にかかる費用のほとんどってことですね。
そう。特許明細書の英語翻訳、弁理士の報酬、出願料、全部入る。これは嬉しい。
出願先の国によって全然違う。アメリカなら出願料だけで5〜10万円、翻訳費用が20〜50万円、代理人費用が30〜80万円。合計100万円超えはざら。
でも補助率1/2で上限150万円(特許の場合)なら、かなり助かる!
その通り。ただし注意すべきは「事前に日本国特許庁に出願済み」でないとダメってこと。いきなり海外に出願するのはNG。
「海外出願に直接関係ない費用」はもちろん対象外。例えば出願後の年金維持費とか、中間応答費用(拒絶理由通知への対応)は含まれないと思う。
そこはグレーゾーン。公式の制度詳細には「出願手数料」「代理人費用」「翻訳費用」としか書いてないから、中間対応が含まれるかは確認が必要。もし不安なら、事前に問い合わせてみるのが確実。
対象経費と対象外経費のイメージ- 外国特許庁への出願手数料
- 国内代理人(日本の弁理士)費用
- 現地代理人(外国の弁理士)費用
- 翻訳費用(日本語→英語 etc)
×デメリット
- 出願後の年金・維持費用
- 拒絶理由対応(中間応答)費用
- 出願とは直接関係ない社内人件費
- 複数国同時出願のうち非該当部分
重要な前提条件をもう一つ。「日本に先に出願済み」ってやつ、詳しく教えてください。
これはね、パリ条約の優先権を使うために必要なルール。日本で特許出願した日から1年以内に、同じ発明で外国出願すると「優先日」が日本の出願日になるって制度。
なるほど。で、この補助金を使う場合、その「優先権を主張した外国出願」を年度内(令和9年2月12日まで)に完了しなきゃいけない。
その通り!商標だけは例外で、優先権がなくてもOK。でも特許・実用新案・意匠は必ず優先権の主張が必要。
しかもPCT出願(国際出願)の場合も、日本への国内移行を予定してるものに限る、と。
そうそう。ここがちょっとややこしい。PCT出願って国際段階では「出願した」って扱いだけど、その後日本に移行する予定がないと対象外。ちゃんと日本でも権利化する意思があるかどうかが問われる。
ハーグ出願(意匠の国際出願)も、日本を指定締約国に含む必要があるんですね。
その理解でOK。つまり「この技術は海外でも守りたいし、日本でも守る」って企業にだけ補助金を出すよ、というスタンス。
じゃあ実際にどうやって申請するんですか?書類がめっちゃ難しそうで…。
大丈夫。基本的には「jGrants(Jグランツ)」っていう電子申請システムを使います。最近の補助金はほぼこれ。
jGrants…聞いたことあるけど使ったことないです。
最初に「GビズID」を取得する必要がある。これが一番面倒かもしれない(笑)。でも一度作れば他の補助金でも使い回せるから、作って損はないよ。
実はこの補助金、jGrantsと電子メールの併用が基本。メールだけで申請することもできるけど、まずはjGrantsで申請書を提出して、その後メールで添付書類を送るって流れ。
でもね、これには理由がある。事前に書類をチェックしてもらうため。締切の1週間前までにメールで申請書案を送ると、担当者が「ここの記載が不十分」とかチェックしてくれるんよ。
そうそう。だから絶対にギリギリに提出しないこと。締切8月24日なら、遅くとも8月17日までにはメールで事前確認依頼を出すのが鉄則。
まず申請書の記入漏れ。それから「この出願は要件を満たしているか」って大きなチェック。例えば「日本の出願日から1年以内か」「出願人は中小企業か」とか。
なるほど。あとは添付書類がちゃんと揃ってるか、とか。
そう。特に「先行技術調査の結果」とか「事業計画書」は書き方次第で審査に響くから、プロの目で見てもらえるのはでかい。
申請から補助金受領までの流れ- 1
GビズIDを取得
まだの場合は早めに取得。2〜3週間かかることも。
- 2
募集要領を確認
公式サイトからダウンロード。対象経費・要件を再確認。
- 3
事前確認メールを送る
申請書(Word)と添付書類(PDF)を締切1週間前までに送付。
- 4
jGrantsで正式申請
事前確認完了後、jGrantsから本申請。
- 5
- 6
外国出願(令和9年2月12日まで)
採択後、指定期間内に出願を完了。証拠書類を提出。
- 7
補助金請求・受領
出願完了後、実績報告書を提出。審査を経て補助金が振り込まれる。
結構ステップあるんですね。でも事前確認があるから安心。
令和9年(2027年)2月12日まで。つまり2026年8月に申請して、採択されるのが9〜10月くらいかな。そこから2月12日までに出願手続きを完了させる。
そうそう。だから採択されたらすぐ動き出す必要がある。特許事務所との打ち合わせ、翻訳の手配、現地代理人との契約…全部後回しにできない。
しかも「外国出願に必要な資金能力及び資金計画を有していること」って要件もあるから、事前に予算組んでおかないと。
その通り!「補助金が下りるからそれで支払います」は通じない。いったん自社で全額支払って、後日補助金が払われるのが一般的。
公募から出願完了までのスケジュール(目安)2026年7月24日
公募開始
要領公開。申請受付スタート。
2026年8月24日
募集締切
jGrantsとメール両方で提出。事前確認は1週間前までに。
2026年9〜10月
審査・採択通知
審査委員会で選定。合格者に通知。
2026年10月〜2027年2月
外国出願手続き
特許事務所と連携し、期限内に出願完了。
2027年2月12日
出願期限
この日までに外国出願を完了すること。
2027年3月まで
実績報告・補助金受領
出願完了後、実績報告書を提出。審査後、補助金が振り込まれる。
ちゃんと要件を満たしていれば落ちることは少ないと思うけど、やっぱりライバルはいる。「予算枠」があるから、全員が通るわけじゃない。
じゃあ審査で見られるポイントを押さえて対策しないと。
「先行技術調査等の結果からみて、外国での権利取得の可能性が明らかに否定されない」こと。つまり「この特許、絶対取れないでしょ」って出願は対象外。
なるほど。新しい技術じゃないとダメってことですね。
そういうこと。だから出願する前に、ちゃんと先行技術調査(サーチ)をやっておく必要がある。調査結果を添付書類として出すわけじゃないけど、審査のときに「あ、この出願は他社の特許と被ってるな」って見抜かれる可能性はある。
でもね、明らかに可能性がないって場合以外は大丈夫。「可能性が明らかに否定されない」という表現だから、少しでも可能性があればOK。
「助成を希望する出願に関し、外国で権利が成立した場合等に当該権利を活用した事業展開を計画している」こと。つまり「この特許を取った後、どうやって商売にするの?」って質問にちゃんと答えられるか。
なるほど!「とりあえず特許取っておくか」じゃダメなんですね。
そう。例えば「アメリカでライセンス収入を得る」「中国の工場で自社ブランド製品を製造・販売する」など、具体的な事業計画が必要。
「いつ、どこで、どの製品に、いくらで売る」みたいな具体的な数字と時期を含める。さらに「そのために必要な販路開拓の方法」まで書ければなお良い。
そして3つ目、実はここが結構大きい。「賃上げを実施する企業」と「ワーク・ライフバランス推進企業」には審査で加点があるんです。
そう。つまり「うちの会社はちゃんと従業員の給料上げてます」「育休制度ちゃんとあります」ってアピールできる企業は有利。
おそらく審査で評価される項目として「賃上げ実施状況」や「ワークライフバランス取組状況」の記載欄があるはず。具体的な数値で示すと良い。
うちは昨年、全社員の基本給を3%上げたんですけど、それって加点対象になりますか?
はい。賃上げを実施している事実とその率を明確に書けば加点対象になると思います。あとは「くるみん認定」や「えるぼし認定」を取っていれば強い。
これは申請前に準備できることはやっておいたほうが良さそうですね。
採択された後の話も聞いておきたいです。例えば「フォローアップ調査」って何ですか?
採択されたら、事業完了後5年間の状況調査があります。つまり「あの時補助金で取った海外特許、その後どうなりましたか?」って毎年聞かれる。
そう。でもそんなに重い調査じゃない。年に1回アンケートが来るとか、たまにヒアリングがある程度。ちゃんと事業をやっていれば問題ない。
例えば、特許を取ったけど事業化が遅れてる、って場合はどうなるんですか?
それも正直に報告すればOK。「まだ事業化には至っていないが、3年後の販売開始を目標に準備中」とか。悪意のある虚偽報告でなければ問題ない。
そっか。ちゃんと事業計画通りに進んでいなくても、誠実に報告すればいいんですね。
そう。むしろ「事業化できませんでした」って報告も、理由が納得できれば問題にならないはず。
もう一つ。特許出願と商標出願、同時に申請できますか?
できます!むしろそれが推奨される。1企業あたりの年間上限が300万円だから、特許1件(150万)と商標1件(60万)合わせて210万円分申請する、なんてのもアリ。
じゃあ特許2件(300万)だけ申請するか、特許1件+商標3件(330万)申請するか。後者はオーバーするから300万まで、みたいな調整が必要ですね。
その通り。しかも複数の出願をまとめて申請すると、事務手続きも一括でできるから楽。
あ、でも「優先権主張」の期限に注意しないと。日本の出願日から1年以内っていう縛りがあるから、出願日がバラバラだとそれぞれ期限が違う。
鋭い!そこはちゃんと管理しないとややこしい。特に複数案件を同時に申請する場合は、それぞれの日本の出願日をリストアップして、期限を確認するのが大事。
それから、もし似たような補助金があれば併用できるんですか?
この制度は「同一経費に対する二重補助は禁止」が原則。他の補助金と重複して補助を受けられないケースもあるから、併用する場合は確認が必要。
だいぶ詳しくなりました!最後に、これから申請しようと思ってる人へのアドバイスをお願いします。
まず絶対にやるべきことは事前確認メールを送ること。締切1週間前じゃなくて、できれば2週間前くらいに送るのが理想。
担当者も人間だから、一気に申請が集中するとチェックに時間がかかる。早めに出せば丁寧に見てもらえるし、修正指示があっても対応できる時間がある。
なるほど!確かにギリギリだとパニックになりますもんね。
それから、日本での出願がまだの人は、まず特許庁に出願してからこの補助金に申し込むこと。それが大前提。
あとは「事業計画書」はしっかり書くこと。「海外で特許取っておしまい」じゃなくて、その後のビジネス展開まで具体的に描く。審査の時に必ず見られるから。
この補助金、実はかなり使い勝手が良いですね。返済不要だし、海外出願の負担が半分になる。
そう!中小企業が海外に打って出るための強力な武器。この機会を逃さず活用してほしい。