室谷さん、今日は「ソーシャルボンド」とか「ソーシャルローン」の補助金ですよね。ちょっと聞き慣れない言葉なんですが…。
そうなんですよ、佐藤さん。これは東京都が令和8年度に実施する「SDGsファイナンス支援事業補助金」のソーシャルボンド/ソーシャルローン版ですね。簡単に言うと、社会課題の解決にお金を集めるための債券や融資、それがソーシャルボンドやソーシャルローンなんです。
なるほど!「SDGsファイナンス」って言葉はよく聞くけど、具体的にどんなことを支援してくれるんですか?
この補助金の目的は、ソーシャルボンドを発行しようとする事業者に対して、発行支援を行う事業にかかる経費を補助することなんですね。発行支援って何かというと、外部レビューってやつです。
ああ、第三者にちゃんと社会課題解決に使われるかチェックしてもらう、あれですね!
そうですそうです!ソーシャルボンドって、ただ「社会のために使います」って言うだけじゃ信用がない。そこで、ちゃんとした評価機関がレビューを付与する必要があるんです。この補助金は、その評価機関に対して支援費用を補助するんですよ。
えっ、評価機関向けの補助金なんですか?てっきり発行する企業向けかと思ってました(笑)。
そうなんです(笑)。応募資格を見ると、金融庁公表の「ESG評価・データ提供機関に係る行動規範」への受け入れ表明をしていること、そしてソーシャルボンドの外部レビュー実績があること、この2つが必要。つまり、評価機関しか応募できないんです。
なるほどー。でも、評価機関が補助金をもらって、その分サービスを安く提供できるなら、発行する企業も助かるってことですね。
まさにその通り!発行コストが下がれば、もっと多くの企業がソーシャルボンドを発行しやすくなって、SDGsファイナンス全体が促進される、という狙いです。
応募資格をもう少し詳しく知りたいんですけど、どんな評価機関が対象になるんですか?
先ほど言った2つの要件を全部満たす必要があります。まず、金融庁公表の「ESG評価・データ提供機関に係る行動規範」への受け入れ表明。これはホームページで表明していればOKなケースが多いですね。
そしてもう一つは、ソーシャルボンドについての外部レビューの付与実績。これはけっこうハードルが高そうですね。
そうですね。まったくの新規参入だと難しいかもしれません。でも、グリーンボンドのレビュー実績がある評価機関なら、この制度にチャレンジする価値はあると思います。
対象地域は全国と書いてありますけど、地理条件もあるんですか?
ここがちょっと大事なポイントで、補助事業による支援対象となるソーシャルボンドを発行する「支援対象事業者」は、東京都内に事務所または事業所がある企業等なんですよ。
あっ、つまり評価機関は全国どこでもいいけど、その評価機関が支援する発行体(ボンドを発行する企業)は東京都内に拠点が必要ってことですね。
その理解でバッチリです!しかも対象業種が「学術研究、専門・技術サービス業」と指定されています。評価機関の業種としては、まさにこの区分に当てはまると思います。
学術研究って、大学とか研究機関も含まれるんですかね?
ええ、含まれる可能性は高いです。ただ、詳しい業種分類は公募要領で確認してくださいね。この補助金では従業員数の制約はありませんので、小さな評価機関でも応募は可能です。
気になるお金の話ですよ!上限額はどれくらいなんですか?
補助金額の上限は300万円です!補助率は、基本的には補助対象経費の**6割(10分の6)**なんですが、ここにすごく面白い特例があるんですよ。
支援対象となるソーシャルボンドが個人向けに発行される場合、なんと補助率が**10割(10分の10)**になるんです!つまり、全額補助ですよ!
マジですか!個人投資家向けに発行すると、自己負担ゼロで評価機関の費用がまかなえるってこと?すごいですね(笑)。
その通り。ただし、千円未満の端数は切り捨てになります。例えば、補助対象経費が500万円だった場合、基本的な6割だと300万円(上限)ですが、個人向けなら全額の500万円…ただし上限が300万円なので、結局300万円が最大ですね。
あ、上限は300万円で変わらないんですね。でも、自己負担割合がゼロになるのは大きい。
はい。計算してみましょう。通常の場合、仮に経費が300万円だと、補助金は300万円×6/10=180万円、自己負担120万円。ところが個人向けなら、300万円×10/10=300万円、自己負担ゼロ。差は歴然です。
個人向けソーシャルボンドって、どんなものがあるんですか?
例えば、地域の社会課題解決プロジェクトに投資する少額債券とか、自治体が発行する個人向けソーシャルボンドなどですね。この補助金では、そういった個人向け発行を強く後押ししているわけです。
補助率・補助上限まとめ| 項目 | 基本ケース | 個人向け発行ケース |
|---|
| 補助率 | 6/10(60%) | 10/10(100%) |
| 上限額 | 300万円 | 300万円 |
| 端数処理 | 千円未満切り捨て | 千円未満切り捨て |
| 補助対象経費の例 | 外部レビュー費用 | 外部レビュー費用 |
これで一目瞭然ですね!個人向け発行なら全額補助、ただし上限は300万円。うまく使えばかなりお得です。
そうなんです。補助金のキャッチコピーにも「SDGsファイナンス補助金 東京都 ソーシャルボンド」とありますが、個人向けを強く意識した設計ですね。
では、補助対象になる経費と、ならない経費について教えてください。
この補助金の目的は「ソーシャルボンドを発行しようとする事業者等に対して発行支援(外部レビューの付与)を行う事業に要する経費」です。つまり、外部レビューを付与するための費用 が対象になります。
具体的には、評価機関がやる「レビュー報告書作成費」とか、そのための調査費とかですか?
その通りです。評価機関がソーシャルボンドのフレームワークを評価し、外部レビューを発行するために必要な経費ですね。例えば、評価担当者の人件費(ただし、直接従事した部分のみ)、外部専門家への委託費、データ収集のための調査費、レビュー報告書の印刷費、などが考えられます。
なるほど。じゃあ、評価機関の間接費とか、広告宣伝費は対象外?
おそらく対象外でしょう。詳しくは「SDGsファイナンス促進支援事業補助金(ソーシャルファイナンス)交付要綱.pdf」に記載がありますので、必ず確認してください。この補助金の申請には様式がたくさんありますからね。
そういえば、公式ページに何十種類もの申請様式が載ってましたね!「交付申請書」「経費内訳」「要件確認シート」「資金調達等支援計画書」…全部で20近くありましたよ。
多いですよね(笑)。でも、これらをしっかり準備することが、通るかどうかの鍵になります。
主な補助対象経費と非対象経費- 外部レビュー付与のための直接人件費
- 外部専門家への委託費(評価委託)
- データ収集・分析のための調査費
- レビュー報告書の印刷・製本費
- 個人向け発行の場合は全額対象
×デメリット
- 評価機関の一般的な間接費(光熱費等)
- 広告宣伝費、販売促進費
- ソーシャルボンド発行後のモニタリング費用(別途)
- 法人税等の税金
- 補助事業と直接関係ない経費
はっきり分かれましたね。直接のレビュー業務にかかる費用が主体で、それ以外は対象外。個人向けの場合は例外的に全額補助になるけど、上限は一緒ってのがポイントです。
そうですね。上限300万円と補助率6/10(個人向けは10/10)という数字をしっかり頭に入れておきましょう。
ここからは実践編。いつからいつまで申請できるんですか?
募集期間は2026年7月1日から2027年3月19日までです。結構長い期間ありますね。
え、7月から翌年3月まで?9ヶ月近くありますね。余裕で準備できそうです。
ただ、注意したいのは、この補助金は先着順ではなく審査があるということ。そして、補助金の予算には上限がありますから、早めに申請したほうが有利なケースもあります。
jGrants(Jグランツ)という電子申請システムを使います。ただし、当サイト(jGrants)の代理申請は不可と書いてあります。つまり、申請者自身が直接ログインして申請する必要があります。
なるほど。まずはGビズID(gBizID)を取得しないといけないですね。
そうです!GビズIDはデジタル庁が運営する共通認証システム。jGrantsを使うには必須です。取得には2週間くらい見ておいたほうがいいので、余裕を持って準備しましょう。
補助金申請の流れ- 1
GビズIDの取得
gBizID公式HPから申請。事前に発行(約2週間)
- 2
公募要領・交付要綱の確認
「交付要綱.pdf」で要件・対象経費をチェック
- 3
申請書類の作成
様式第1~第3等、必要書類をダウンロードして記入
- 4
jGrantsにログイン
取得したGビズIDでjGrantsポータルにログイン
- 5
電子申請
画面の指示に従い、申請書類をアップロードして送信
- 6
審査・交付決定
東京都が審査。補助金交付決定通知書が届く
- 7
事業実施・報告
外部レビュー事業を実施し、完了実績報告書を提出
- 8
補助金請求・受領
交付額確定後、精算払請求書を提出して入金
この流れの中で、特に書類作成が肝心です。様式だけでも大量にあるので、間違いなく記入しましょう。
jGrants上で審査が行われますが、具体的な審査期間は公募要領に記載されていないので、余裕を持って申請することをおすすめします。2027年3月19日が最終締切ですが、早期申請で審査に回ってもらうのが得策です。
公募スケジュールのイメージ2026年7月1日
公募開始
申請受付スタート。同時に公募要領公開
2026年7月~8月
申請準備・書類作成
GビズID取得、申請書類作成
2026年9月~2027年2月
申請・審査
随時申請。審査は順次実施?
2027年3月19日
募集締切
この日までに申請書を提出必須
2027年3月以降
事業実施
交付決定後、外部レビュー事業を実施
~未定
完了実績報告
事業完了後、速やかに報告書を提出
このタイムラインで特に注意したいのは、募集締切は2027年3月19日ですが、その後にも事業実施期間があるということ。補助金の交付決定を受けてから実際に事業を行い、完了報告を提出する必要があります。
つまり、2027年3月19日までに申請すればいいんだけど、事業自体はその後も実施できるってこと?
その通りです。ただし、補助事業の完了日程は交付要綱で定められていますから、遅くとも年度内(令和8年度中)には完了させる必要があるでしょう。具体的な期限は公募要領で確認してください。
この補助金を通すためのコツってありますか?やっぱり書類の出来が重要?
そうですね。やはり応募資格を満たしていることが大前提です。金融庁の行動規範への受け入れ表明、そして外部レビューの実績。この2つがないと門前払いです。
難しいかもしれません。でも、もしグリーンボンドの実績があれば、ソーシャルボンドの実績としてカウントされるかどうかは東京都に確認してみる価値はあると思います。問合せ先は東京都産業労働局の国際金融都市推進課です。
電話番号は03-5320-6274ですね。書いておきます。
あと、地理条件も重要です。支援対象となるソーシャルボンドを発行する事業者が、東京都内に事業所を持つ企業等でないといけません。つまり、評価機関は都内の発行体を支援する計画を立てる必要があります。
地方の発行体を支援する場合でも、その発行体が都内に支店や事務所を持っていればOKなんですか?
「都内に事務所又は事業所を有する企業等」とありますから、本社が地方でも都内に拠点があれば対象になる可能性は高いです。ただ、このあたりは事前に確認したほうが確実ですね。
特に計画書の具体性は重要です。資金調達等支援計画書(様式第2)には、どのようなソーシャルボンドを、どのようなスケジュールで、どのような方法で支援するのか、具体的に記載する必要があります。
抽象的な「社会課題解決」ではなく、具体的なプロジェクト名や資金使途まで書けってことですね。
そうです。また、経費内訳書(様式第1別紙1)では、人件費の単価や時間数、委託費の内容を詳細に書く必要があります。適当に書くと後で修正を求められる可能性も。
一番多いのは、書類の不備ですね。様式が最新版かどうか、記入漏れはないか、押印や日付は合っているか。jGrants上で送信する前に、必ずダブルチェックしましょう。
公表についての注意もありましたね。「名称、代表者名、補助内容等が公表される場合がある」と。
そう。補助金を受けたら、会社名や代表者名、補助内容が東京都のホームページなどで公表される可能性があります。それが嫌な場合は応募しないほうがいいでしょう。でも、多くの補助金では似たような条件がありますから、それほど珍しいことではありません。
ここまで色々聞いてきましたが、最後に基本情報を表にまとめてください。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 正式名称 | 令和8年度SDGsファイナンスに係る補助金 |
| 通称 | SDGsファイナンス支援事業補助金(ソーシャルボンド/ソーシャルローン) |
| 補助上限額 | 300万円 |
| 補助率 | 対象経費の6/10(個人向け発行は10/10) |
| 募集期間 | 2026-07-01 ~ 2027-03-19 |
| 対象地域 | 全国(ただし発行体は都内拠点が必要) |
| 対象業種 | 学術研究、専門・技術サービス業 |
| 応募資格 | 金融庁行動規範への受け入れ表明+ソーシャルボンド外部レビュー実績 |
| 実施機関 | 東京都産業労働局総務部国際金融都市推進課 |
| 申請方法 | jGrantsによる電子申請(代理申請不可) |
| 公式URL | jGrantsポータル(https://www.jgrants-portal.go.jp/subsidy/a0WJ200000CDdA6MAL) |
はい、東京都庁第一本庁舎20階南、産業労働局の国際金融都市推進課。電話03-5320-6274です。直接行く場合は新宿西口から徒歩10分くらいですね。
ちなみに、この補助金と似た制度はあるんですか?グリーンボンドとかも東京都でやってるみたいですが。
同じ東京都のSDGsファイナンス促進支援事業補助金の中には、グリーンボンド/ローン、ブルーボンド/ローン、トランジションボンド/ローン、個人向けSDGs預金などがあります。それぞれ別の補助金として存在していますが、今回はソーシャルボンド/ソーシャルローンに特化しています。
そうなんです。今回の「使ってよい事実」には、ソーシャルボンド/ソーシャルローンに関する情報しかないので、比較はできません。気になる方は、東京都の公式ページを直接ご確認ください。
最後に、読者からよく聞かれそうな質問をいくつかピックアップしておきましょう。
応募資格は「評価機関」であればよく、法人か個人事業主かの区別は明記されていません。ただし、対象業種が「学術研究、専門・技術サービス業」ですから、個人事業主で評価機関として登録している方も該当する可能性があります。ただ、金融庁の行動規範への受け入れ表明や実績要件があるので、一般的な個人事業主にはハードルが高いでしょう。
基本的には**後払い(精算払い)**です。事業を実施して、完了実績報告書を提出し、その後に交付額が確定してから請求・入金となります。したがって、事業実施中の資金繰りには注意が必要です。
申請時に「個人投資家向けソーシャルボンドにかかる確認書」(様式第1別紙2)を提出する必要があります。この確認書で、発行対象が個人投資家向けであることを証明します。
可能です。募集期間内であれば、修正して再申請することができます。ただし、同じ内容で何度も申請しても通過しないでしょうから、指摘された点をしっかり直してから再申請しましょう。
ソーシャルボンドの発行を後押しすることで、社会課題解決への資金循環を促進する、まさにSDGsの理念にぴったりの制度ですね。評価機関にとっては新たなビジネスチャンス、発行体にとってはコスト軽減、社会にとっては資金が社会問題解決に使われる。三方良しの補助金です!
室谷さん、今日は本当に詳しく教えていただきありがとうございました!読者の皆さんも、ぜひこの補助金を活用して、ソーシャルボンドの普及に貢献してくださいね。
ありがとうございました!申請を検討される方は、まずは公募要領をダウンロードして、要件をしっかり確認してください。わからないことがあれば、東京都の国際金融都市推進課に問い合わせるのが確実です(笑)。