室谷さん、今日は東京都の「SDGsファイナンス支援事業補助金」について教えてください。グリーンボンドとかグリーンローンって聞くと、なんだかすごく難しそうで…。
確かに初めて聞くと「グリーンボンドって何?」ってなりますよね(笑)。でもこの補助金、実はグリーンボンド等を発行しようとする事業者を支援するためのものなんです。つまり「外部レビュー」っていうお墨付きをもらう費用を都が助けてくれる制度です。
まさにそうです。金融商品としての信頼性を高めるために、第三者機関が「このボンドは本当に環境に良い事業に使われますよ」と認証するんです。その証人費用がバカにならないので、東京都が一部を負担してくれるわけ。
なるほど!それでSDGsファイナンスの促進を図るっていう目的なんだ。
グリーンボンドって、普通の債券とどこが違うんですか?
グリーンボンドは、調達した資金の使途が環境改善プロジェクトに限定されている債券です。例えば再生可能エネルギー設備とか、省エネ改修とかね。一方グリーンローンは、同じく環境事業専用の融資。どちらも「本当に環境に良いお金の使い方をする」って約束するから、投資家からの信頼を得やすいんですよ。
そうなんです!しかもこの補助金、申請できるのは国からも補助金をもらった事業者だけ。ちょっとハードルは高いですが、その分しっかりした制度設計になってます。
これは「2050東京戦略」の一環なんです。具体的には戦略12「国際金融都市・東京のプレゼンスを確立」っていう目標に向けて、グリーンファイナンスの市場を育てたいんですよ。
はい。都内に事務所や事業所がある企業が対象で、東京都として「ここでグリーンボンドを発行すれば支援があるよ」とアピールしている感じです。
気になるのはやっぱり金額ですよね。いくらまで補助されるんですか?
基本は上限200万円、補助率は**補助対象経費の10分の2(2割)です。ただし、個人投資家向けに発行する場合は補助率が10分の7(7割)**に跳ね上がる特例があります。
じゃあ例えば外部レビュー費用が100万円かかったら、20万円補助されるってこと?
その通りです。ただし千円未満は切り捨てになるので注意。100万円×0.2=20万円ピッタリなら大丈夫ですが、端数は切り捨てられます。
なるほど。上限200万円だから、1,000万円以上の費用がかかっても補助は200万円までってことですね。
ここがポイントで、個人投資家向けに発行されるグリーンボンド等なら補助率が**10分の7(7割)**になります。つまり自己負担は3割で済むんです。
えっ、それってかなり手厚いですね!なぜ個人向けだけ優遇されるんですか?
都は「SDGsファイナンスの担い手として個人の参画機会を拡大したい」と考えているんです。一般投資家がグリーンボンドを買いやすくすることで、環境投資が広がる狙いですね。
数字がいろいろ出てきて混乱しそうなので、表でまとめてもらえますか?
もちろん。基本パターンと個人投資家向けパターン、2パターンです。
| 発行形態 | 補助率 | 補助上限額 | 計算例(経費500万円の場合) |
|---|
| 一般向け | 2/10(2割) | 200万円 | 500万×0.2=100万円(上限内) |
| 個人投資家向け | 7/10(7割) | 200万円 | 500万×0.7=350万円 → 上限200万円が適用 |
なるほど。個人投資家向けの場合は、補助率は高いけど上限は同じ200万円なんですね。
そう。だから個人向けの場合は、経費が約286万円を超えると上限に引っかかります。286万×0.7=200.2万で上限200万になる計算です。
では、誰がこの補助金の申請者になれるんでしょうか?
まず大前提として、環境省が実施する補助金の交付決定を受けていることが絶対条件です。具体的には「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(グリーンファイナンス拡大に向けた市場基盤整備支援事業(脱炭素関連部門))」または「地域環境保全対策費補助金(グリーンファイナンス拡大に向けた市場基盤整備支援事業(環境保全対策関連部門))」のどちらかの交付決定を受けた者。
難しい名前ですね…(笑)。つまり国の補助金をもらった事業者だけが、さらに東京都の補助金も狙えるってこと?
その理解で合ってます。国と都の二段構えで支援する仕組みなんです。
これは東京都の補助金ですから、東京に拠点がないとダメですよね?
その通り。補助事業の支援対象となるグリーンボンド等を発行する事業者は、都内に事務所又は事業所を有する企業等でなければなりません。
つまり、申請者(支援者)自体の所在地ではなく、支援を受ける発行体(グリーンボンドを発行する企業)が都内にある必要があるってこと?
鋭い!その解釈で正しいです。補助金の申請者は環境省補助金の交付決定を受けた「支援者」ですが、その支援先となる発行企業が都内に拠点を持っている必要があります。
はい、jGrantsの情報では対象業種は「学術研究、専門・技術サービス業」とされています。でもこれはあくまで支援者側の業種かもしれません。実際には環境省補助金の交付決定を受けていれば、幅広い事業者が該当する可能性があります。
ちょっとわかりにくいですね。具体的にどんな事業者が申請できるんでしょう?
典型的には、グリーンボンド等の発行を支援するコンサルタント会社や評価機関などが想定されています。つまり「外部レビューを提供する側」が申請者になります。
jGrantsには「従業員数の制約なし」と明記されています。大企業も中小企業も関係なく応募できます。
それはいいですね。規模に関わらずチャンスがあると。
基本的には、グリーンボンド等のフレームワークを策定する際に受ける、評価機関による外部レビュー費用です。
外部レビューって、第三者機関に環境基準を満たしているか評価してもらう費用ですね。
- 環境認証機関への審査料
- 外部レビュー報告書の作成費用
- フレームワーク適合性評価のためのコンサルティング費用
なるほど。つまり発行に先立って必要になる「お墨付きをもらうための費用」が補助されるんですね。
逆に、以下のような費用は対象外になる可能性が高いです。
- グリーンボンド発行後の運用管理費用
- 投資家向け説明会の開催費用
- 内部の人件費(自社スタッフの作業時間)
自社の人件費は対象外なんですね。あくまで外部に支払うレビュー費用だけってことか。
はい。ただし公募要領で必ず確認してください。補助対象経費の範囲は年度によって微妙に変わることもあります。
補助対象経費のポイント- 外部レビュー費用(評価機関への審査料など)が対象
- 国補助金と併用することで自己負担を大幅軽減可能
- 個人投資家向けなら7割補助で手厚い
×デメリット
- 自社の人件費は対象外
- 発行後の費用は対象外
- 事前に環境省補助金の交付決定が必要(二段階の申請)
では実際の申請手順を教えてください。まず何から始めればいいですか?
最初にやるべきは環境省補助金の申請です。この東京都の補助金は「環境省補助金の交付決定を受けた者」が対象なので、まず国に申し込みます。
令和8年度の場合、環境省の公募は2026年5月15日から始まっています。交付規程を確認して、一般社団法人環境パートナーシップ会議に申請します。
なるほど。まず国に申し込んで承認をもらってから、都に申し込む流れなんですね。
環境省から交付決定をもらったら、次は東京都の補助金に申し込みます。募集期間は2026年7月1日から2027年3月19日まで。
結構長い期間ありますね。でも締切はしっかりあるから注意が必要ですね。
申請には多くの書類が必要です。jGrantsに掲載されている様式を使います。
- 【様式第1】補助金交付申請書
- 【様式第1別紙1】経費内訳
- 【様式第1別紙2】補助金相当額の充当に関する誓約書
- 【様式第1別紙3】個人投資家向け用確認書(該当する場合)
- 【様式第1別紙4】支援対象事業者の要件確認書
結構たくさんありますね…。でもちゃんと書式が用意されているから、それに沿って書けばいいんですね。
申請方法は、jGrants(Jグランツ)による電子申請か、郵送のどちらかです。電子申請ならGビズIDが必要なので、事前に取得しておきましょう。
デジタル庁のサイトで申請できます。代表者や担当者の本人確認書類が必要ですので、1週間程度余裕を持って準備してください。
提出後、東京都で審査が行われます。問題がなければ交付決定通知が届きます。その後、グリーンボンド等の発行支援事業を実施し、完了後に実績報告書を提出します。
基本的にはそうです。事業完了後に実績報告をして、確定した補助額が後日振り込まれます。ただし、必要に応じて概算払いや精算払いができる場合もあるので、都に相談してみてください。
補助金申請の流れ- 1
環境省補助金に応募
令和8年度は5月15日から公募開始。交付決定を受けることが前提。
- 2
GビズIDを取得
電子申請に必要。事前に1週間程度で発行。
- 3
都の補助金申請書類を作成
jGrantsから様式をダウンロード。経費内訳等を準備。
- 4
電子申請または郵送
2026年7月1日~2027年3月19日までに提出。
- 5
- 6
事業実施・実績報告
外部レビューを実施し、完了後報告書を提出。
- 7
審査ではどんなところがチェックされるんでしょう?採用されやすくするコツはありますか?
まず大前提として、環境省補助金の交付決定を受けていることが絶対条件なので、これがクリアできているかが第一関門です。あとは支援対象事業者が都内に拠点があること。
審査で最も重視されるのは、書類の記入漏れや計算ミスがないかどうか。特に経費内訳と補助率の計算は正確に。
例えば「千円未満切り捨て」を見落として、端数をそのまま申請してしまうケース。また、個人投資家向けかどうかの区分を間違えると、補助率が大きく変わってしまいます。
もしグリーンボンド等を個人投資家向けに発行するなら、【様式第1別紙3】の提出が必要です。この書類を忘れると通常の2割しかもらえないので、必ずチェック。
発行する債券が個人投資家向けであることを証明する書類です。募集要項や販売計画などが求められるかもしれません。詳細は交付要綱で確認してください。
この補助金の最大の魅力は、国補助金と併用できることです。東京都の補助率2割に国の補助率3割を合わせると、自己負担は5割になります。個人投資家向けなら自己負担なしになるケースもあるんです。
ただし上限額がありますから、全てが無料になるわけではありませんが、うまく使えば事業者の負担を大幅に減らせます。
スケジュールをもう一度整理しておきましょう。いつまでに何をすればいいか教えてください。
はい。令和8年度(2026年度)のスケジュールは次の通りです。
- 2026年5月15日(金):環境省補助金の公募開始
- 2026年5月27日(水):環境省補助金のオンライン説明会(参加申込は5月22日まで)
- 2026年7月1日(水):東京都補助金の募集開始
- 2027年3月19日(金):東京都補助金の募集締切
つまり、まず5月に国に申し込んで、7月から都に申し込む流れですね。
都の締切は2027年3月19日と年度末間近です。ただし事業完了までには時間がかかるので、余裕を持って申請しましょう。ギリギリに申請すると書類不備があったとき再提出が間に合わないリスクがあります。
確かに。余裕をもって7月~8月には申請したいですね。
困ったときの問い合わせ先はこちらです。
東京都産業労働局総務部国際金融都市推進課 国際金融都市推進担当
ここまでの話で疑問が解決したところもあると思いますが、まだ気になる点をいくつか質問させてください。
対象業種が「学術研究、専門・技術サービス業」となっていますので、個人事業主でも該当する事業を行っていれば可能です。ただし環境省補助金の交付決定が必要ですので、そちらの応募資格も満たす必要があります。
補助金をもらったら名前が公表されると聞きましたが…。
はい、備考に「補助金の交付を受けた者は、名称、代表者名、補助内容等が公表される場合がある」と明記されています。特に大企業や有名企業ではない限り気にしなくていいかもしれませんが、公表を避けたい事業者は注意が必要です。
jGrantsの電子申請が推奨されているようですが、郵送でもいいんですか?
どちらでも可能です。郵送の場合は〒163-8001 東京都新宿区西新宿二丁目8番1号 東京都庁第一本庁舎20階南 宛に送付します。ただし電子申請の方が処理が早く、書類の状態も確認しやすいのでおすすめです。
この補助金は環境省補助金との併用が前提ですが、他の東京都の補助金との併用については公募要領で確認が必要です。基本的に同じ経費に対して複数の都補助金を重複して受けることはできません。
申請してから結果が出るまでどれくらいかかりますか?
具体的な審査期間は公表されていませんが、一般的な補助金では1~2ヶ月程度かかることが多いです。余裕を持って申請しましょう。
最後にこの補助金の基本情報を表でまとめてください。
室谷さん、今日は詳しく教えてくださってありがとうございました。グリーンボンド発行を検討している事業者にとって、とても有益な情報だと思います。
いえいえ、こちらこそ。この補助金を活用して、ぜひ都内からグリーンファイナンスを広げていってほしいですね。
それでは皆さん、補助金申請の際はぜひこの記事を参考にしてください!