室谷さん、今日はすごい制度を持ってきましたね。タイトルからしてインパクトありますよ。「最大1,558,900万円」って…え、1558億円じゃなくて「1,558,900万円」? これ、いくらなんですか?(笑)
佐藤さん、落ち着いてください(笑)。1,558,900万円は、15,589,000,000円、つまり約155億8900万円です。これ、東京都全体の支援金の枠の総額ですね。1つの医療機関が全額もらえるわけじゃなくて、都内の病院に分配される予算総額がこの金額ってことです。
ああ、なるほど! びっくりしましたよ、「1,558,900万円」って書いてあったから、つい桁を読み間違えそうになりました。でも155億円もあれば、かなり手厚い支援になりそうですね。
そうなんです。この制度、実は2つの事業で構成されてるんですよ。「地域医療確保に係る緊急・臨時支援事業」と、令和8年度新設の「急性期医療臨時支援事業」。まずは単価の仕組みから見ていきましょう。
基本は「入院患者1人当たり1日500円」って書いてありますね。これ、どう計算するんですか?
シンプルですよ。たとえば50床の病院で、年間を通じて平均入院患者さんが40人いたとします。すると、40人×365日×500円=年間730万円。これが基本の部分です。もちろん実際の在院患者数に応じて計算されるので、稼働率が高い病院ほど支援額も増える仕組みです。
なるほど。これは「緊急・臨時支援」として、物価高騰対策の色が強いんですね。
その通り。目的を読むと「急激な物価高騰等を踏まえ、緊急的な措置として地域差による都内の物価を考慮した支援金を給付」とあります。光熱費や医療材料費の高騰で病院経営が圧迫されているのを、この支援金でカバーしようというわけです。
そしてもう1つが、令和8年度新設の「急性期医療臨時支援事業」。こっちは救急車の受入件数に応じて単価が変わるんですよね?
そう! ここがポイントです。令和7年度の救急車受入件数に応じて、入院患者1人当たり1日あたりの金額が変わるんです。具体的にはこんな感じ。
急性期医療臨時支援事業 1日あたりの加算額| 令和7年度救急車受入件数 | 基準額(1人1日) |
|---|
| 1,000件未満 | 60円 |
| 1,000件以上3,000件未満 | 80円 |
| 3,000件以上 | 100円 |
つまり、救急車をたくさん受け入れている病院ほど、1人1日あたりの加算額が上がる。年間3,000件以上の救急車を受け入れている病院なら、基本の500円に上乗せで100円、合計600円になる計算です。
えっ、じゃあ50床で平均入院40人の病院が年間3,000件以上の救急対応してたら、40人×365日×600円=876万円! 基本だけの730万円と比べて100万円以上違う!
その通り。特に救急医療をがんばっている病院ほど手厚くなる設計ですね。「急性期医療臨時支援事業」は、まさに急性期病院の負担を軽減するための新設事業ですから。
マジですか。これは対象になる病院はぜひ両方とも申請したいですよね。でも、この2つって併用できるんですよね?
もちろんです。両方の要件を満たしていれば、両方申請できます。むしろ「地域医療確保に係る緊急・臨時支援事業」は全病院対象で、「急性期医療臨時支援事業」はさらに急性期病院に限定されるので、多くの病院は両方受ける形になるでしょう。
じゃあ次は対象者です。どんな病院なら申請できるんですか?
まず大前提が、「医療法に基づく東京都内の病院の開設者」であること。しかも、東京都知事が適当と認めるものという条件がついています。ただし、いくつか除外される法人があるので要注意です。
国が運営する病院(国立病院機構など)、独立行政法人、国立健康危機管理研究機構、国立大学法人、東京都自体が運営する病院、地方独立行政法人、そして他の地方公共団体が運営する病院は対象外です。つまり、民間の病院や医療法人がメインターゲットですね。
ああ、都立病院は対象外ってことか。確かに、都が都立病院に支援金を出すのはおかしいですもんね(笑)。
その通り。あともう1つ大事なのが、暴力団排除条項。暴力団や暴力団員等が関与する法人は対象外です。これはどの自治体の補助金でも共通ですが、しっかり確認しておきましょう。
では、急性期医療臨時支援事業にはさらにハードルがあるんですね?
そうです。共通要件に加えて、「各四半期の初日において、特定の入院料を算定していること」という条件があります。具体的にはこんな入院料です。
急性期医療臨時支援事業の追加要件(入院料の種類)急性期病院A一般入院料/急性期病院B一般入院料
急性期医療を行う病院
その他急性期医療に相当する入院料として知事が認めるもの
個別判断となる場合あり
けっこう幅広いですね。急性期一般入院料1~6までカバーされてる。これなら多くの急性期病院が対象になりそうです。
そうですね。ただ、「各四半期の初日」に算定していることが要件なので、たとえば年度途中で病棟の区分を変更した場合、該当する四半期だけ対象になる可能性もあります。詳しい判断は都に確認したほうがいいでしょう。
個人事業主の医院、たとえば有床診療所はどうなんですか?
ここは注意点です。制度の対象は「病院」のみで、診療所は含まれていません。医療法上の「病院」とは、20床以上の入院施設を持つ医療機関のこと。ですから、有床診療所(19床以下)は対象外です。あくまで東京都内の病院開設者が対象です。
なるほど。じゃあ個人の開業医で小さなクリニックをやってる人はダメだけど、法人化した医療法人で病院を運営していればOKと。
支援金の使途は自由なんですか? たとえば、光熱費に使うとか、職員の給与に充てるとか。
この支援金の目的を思い出してください。「急激な物価高騰等を踏まえ」とあり、使途は基本的に「資金繰りを改善したい」というニーズに応えるものです。つまり、使途は特に限定されていないと考えていいでしょう。一般財源のように使えます。
おお、それは助かりますね。光熱費の高騰で経費が膨らんでいる病院は多いですから、そこに直接充てられるのは大きい。
ええ。ただし、あくまで「物価高騰等への緊急的な支援」という位置づけですから、たとえばこの支援金を使って新しい医療機器を購入するといった設備投資には本来の趣旨からは外れるかもしれません。とはいえ、交付要綱を読む限り、使途制限の明記はありません。あくまで病院の運営資金全般に充当できるというのが実務的な理解でしょう。
でも、この支援金って後払いですよね? 実際にお金が入るのは申請してから数ヶ月後だと、資金繰りが苦しいときにすぐ使えないんじゃ…。
そこがミソなんです。この制度、ちゃんと考えられていて、第4四半期だけ概算払の仕組みがあるんです。通常は実績報告を提出してから交付決定・支払いという流れですが、第4四半期は先にお金をもらって、後から実績報告で精算する形が認められています。
スケジュールを見ると、第4四半期は「3月下旬に交付決定・支払(概算払)」とあり、その後「4月上旬に実績報告書提出」という流れ。つまり、年度末の3月に支援金の一部を先に受け取って、4月になってから実際の入院患者数で精算するんです。
なるほど! 年度末って資金がカツカツになりがちだから、そこで概算払でお金が入るのは大きいですね。
そう。特に3月は決算期で支出が集中する病院も多いので、この概算払はありがたい設計です。ただし、第4四半期の実績報告書の提出期限は非常に短いと東京都も注意喚起しています。事前に準備しておかないと、うっかり期限を過ぎてしまう危険があります。
では、実際に申請する手順を教えてください。まず何をすればいいんですか?
申請方法は2通りあります。Jグランツ(電子申請)と書面申請。東京都はJグランツを推奨していますが、どちらでも大丈夫です。ただ、GビズIDの取得など準備が必要なので、早めに動きましょう。
補助金申請の流れ(Jグランツの場合)- 1
GビズID(プライム)を取得
発行に2~3週間かかるので要注意
- 2
- 3
交付申請兼実績報告書を作成
第1四半期の実績をまとめる
- 4
必要書類を添付して電子申請
振込先口座確認書類・印鑑証明書等
- 5
都から交付決定通知を待つ
8月下旬~9月上旬に決定・支払い
- 6
第2四半期以降も同様に申請
四半期ごとに申請サイクルを繰り返す
まず「GビズID(プライム)」が必要なんですね。これ、聞いたことありますけど、取得に時間がかかるって本当ですか?
本当です。取得に2~3週間ほどかかると明記されています。申請受付開始は7月6日からなので、それまでにGビズIDを取得しておかないと、電子申請ができません。早めに動きましょう。
ということは、今すぐ準備したほうがいいってことですね。6月中に申請すれば7月6日の公開に間に合う。
その通り。もしGビズIDをまだ持っていないなら、今すぐ取得手続きを始めることをおすすめします。書面申請ならGビズIDは不要ですが、東京都は「この機会にJグランツに登録してほしい」と推奨しています。今後の他の補助金でも使えるので、ぜひ取得しておきましょう。
国のサイト「GビズID」のページからオンラインで申請できます。ただし、この申請に関する問い合わせは、東京都ではなく国(GビズIDのサポート窓口)に直接してください。都では回答できないとのことです。
では、実際にJグランツで申請するときの流れを教えてください。
まず、以下のURLから該当する申請ページにアクセスします。
あ、URLが2つあるんですね。事業ごとに申請ページが分かれている?
そうです。両方申請するなら上のURLから。片方だけなら別ページから。間違えないようにしましょう。
主に3つ。①記入済みの交付申請兼実績報告書、②振込先口座が確認できる書類(通帳の写しやネットバンキングの口座情報の写し)、③印鑑証明書(個人事業主の場合は印鑑登録証明書)です。これらをJグランツ上で添付して送信します。
交付申請兼実績報告書を印刷して、必要書類とともに東京都庁に郵送します。送り先は「東京都新宿区西新宿2-8-1 東京都庁第一本庁舎28階 保健医療局医療政策部医療政策課地域医療対策担当 松林宛」です。書面の場合も、申請受付期間は同じく7月6日から7月29日まで。締切厳守です。
この制度、四半期ごとに申請するんですね。年間のスケジュールを教えてください。
東京都の公表しているスケジュールをまとめるとこんな感じです。
令和8年度 申請スケジュール(予定)7月6日
Jグランツ申請フォーム公開
7月6日~29日
第1四半期 交付申請兼実績報告書 受付
8月下旬~9月上旬
第1四半期 交付決定・支払い
10月1日~23日
第2四半期 交付申請兼実績報告書 受付
11月下旬~12月上旬
第2四半期 交付決定・支払い
1月下旬
第3四半期・第4四半期 申請締切の目安
2月下旬~3月上旬
第3四半期 交付決定・支払い
3月下旬
第4四半期 交付決定・支払い(概算払)
4月上旬
第4四半期 実績報告書 提出締切
5月中旬~下旬
第4四半期 確定額支払い
なるほど。第1四半期の申請は7月に集中していますが、その後も継続して申請が必要なんですね。
そうです。注意してほしいのは、第1四半期の申請期間が7月6日~29日と約3週間しかないこと。しかも、この期間に交付申請書と実績報告書を同時に提出する形式なので、第1四半期(4月~6月)の実績をまとめる作業が必要です。
つまり、4月から6月までの入院患者数を集計して、申請書類を作らないといけない。これはけっこう大変そうですね。
そして、先ほども触れましたが、第4四半期が特に要注意です。3月下旬に概算払でお金を受け取ったら、4月上旬には実績報告書を提出しなくてはいけません。期間が非常に短いので、事前に書類の準備をしておかないと間に合いません。
4月~3月までの年間の入院患者データを、四半期ごとに整理しておくことです。特に第4四半期は1月~3月のデータですが、3月分が確定するのは3月末。そこから4月上旬に報告書を提出するのは、ほぼリアルタイムの作業になります。日々のデータ管理を徹底しておきましょう。
審査のポイントを教えてください。どんなところがチェックされるんですか?
まず大前提として、この支援金は「補助金」ではなく「支援金」という位置づけです。厳しい審査で落とされるというよりは、応募資格を満たしていれば原則として給付されるタイプのものと考えていいでしょう。
なるほど。要するに、資格を満たしていて、書類を正しく期限内に出せば、基本的に大丈夫と。
そうです。ただし、急性期医療臨時支援事業の追加要件を満たしているかどうかはしっかり確認しましょう。特に「各四半期の初日において特定の入院料を算定していること」という条件は、病棟の届出状況によって該当・非該当が分かれます。自分の病院の入院料の種類を確認しておいてください。
あと、実績報告が大事なんですね。入院患者数や救急車受入件数の記録はどうやって証明するんですか?
交付申請兼実績報告書に記入する数字の根拠として、診療録や看護記録、救急車受入台帳などの内部資料を保管しておく必要があります。都から確認を求められる可能性もあるので、正確な記録が必須です。
特に救急車受入件数は、令和7年度(2025年度)の実績が必要ですよね。令和8年度の申請なのに、前年度のデータを使うんですね。
そうなんです。急性期医療臨時支援事業の加算額は、令和7年度の救急車受入件数に応じて決まります。つまり、今からでも令和7年度の救急車受入件数を集計して、どの区分に該当するか把握しておくといいでしょう。
ここからは、読者の方からよくありそうな質問をピックアップして答えていきますね。
この制度単体での併用制限の記載はありませんが、国や東京都の他の補助金との併用については、公募要領をよく確認してください。特に同じ経費に対して重複して支援を受けることはできません。今回は支援金の使途が特定されていないので、実質的には他の補助金と併用可能なケースが多いでしょう。
各四半期ごとに申請受付期間が設定されています。第1四半期の申請期間(7月6日~29日)を過ぎても、第2四半期(10月1日~23日)から申請することは可能です。ただし、第1四半期分の支援金はもらえません。遡っての申請は不可です。できるだけ第1四半期から申請するのが得策です。
「入院患者1人当たり1日500円」というのは、その日の在院患者数に応じて計算します。たとえば、第1四半期(4月1日~6月30日)の各日ごとに在院患者数を把握し、その合計に500円を掛けます。正確な計算には、日々の患者数の記録が必要です。
この支援金は法人税や所得税の課税対象となる可能性があります。具体的な税務処理については、税理士や会計士に相談することをおすすめします。東京都は税務についての案内はしていませんので、専門家のアドバイスを受けてください。
東京都保健医療局の担当部署に速やかに連絡しましょう。交付決定後の変更は、手続きが必要になる可能性があります。問い合わせ先は**東京都保健医療局医療政策部医療政策課地域医療対策担当(TEL:03-5320-4446)**です。メールでの問い合わせが推奨されています。
なるほど。この支援金の特徴は、基本の500円に加えて、急性期病院なら救急車受入件数に応じて1人1日60~100円が上乗せされる点ですね。
そうです。特に救急医療を担っている病院ほど手厚くなる設計。そして、使途が制限されていないので、光熱費や人件費など、病院運営のさまざまな費用に充てられます。資金繰りが厳しい都内の病院は、ぜひ活用してください。
室谷さん、ありがとうございました! 都内の病院関係者の方、ぜひこの制度を活用して、厳しい経営環境を乗り切ってくださいね。
はい。特に令和8年度から始まった急性期医療臨時支援事業は、救急医療を支える病院にとって大きな味方です。申請の準備はお早めに!