室谷さん、今日は「東京都若者世代職場定着促進助成金」について教えてください!まず気になるのが、いくらもらえるかってところですよね。補助額、上限126万円と聞いたんですが、これって全額もらえるケースがあるんですか?
そうですね、補助率はなんと100%!つまり、条件を満たせば全額補助されるんです。ただし、単純に「126万円ポンと出る」わけじゃなくて、いくつかの加算を組み合わせて最大126万円になる仕組みです。基本部分と加算部分、しっかり見ていきましょう!
そうですね。この助成金の基本は、 「都の就職支援事業」を利用して採用した若者1人につき20万円 です。ただし、1年度に申請できるのは最大3人まで。つまり基本だけで最大 60万円 ですね。
えっ、じゃあ3人雇えば60万円。そこからどうやって126万円になるんですか?
そこに「加算」が4つあるんです。退職金制度の整備、結婚・育児支援制度、介護支援制度、そして賃上げ。それぞれに加算額が設定されていて、全部揃えると60万円+加算36万円+賃上げ加算最大36万円=合計126万円になる計算です。
まず退職金制度整備加算。支援期間中に新たに退職金制度をつくって労働基準監督署に届け出るか、中小企業退職金共済(中退共)に加入すると 10万円。
次に結婚・育児支援制度整備加算。結婚や妊娠・出産、育児に関する休暇や一時金の制度を新たに作ると、また 10万円。これ、1事業主につき1回だけなんですけどね。
そう。そして今回新設された介護支援制度整備加算。介護に関する休暇制度を整備すると、さらに 10万円。これも1回限りです。そして最後が賃上げ加算。対象労働者の時給を60円以上上げると、1人あたり12万円、3人なら36万円が上乗せされます!
すごい!基本60万円+退職金10万+育児10万+介護10万+賃上げ36万=126万円。ピッタリですね!
助成金の構成基本部分
対象労働者1人20万円×最大3人=最大60万円
退職金制度整備加算
新たに退職金制度を整備し届出/中退共加入で+10万円
結婚・育児支援制度整備加算
結婚・妊娠・出産・育児に関する休暇・一時金制度を整備し届出で+10万円
介護支援制度整備加算(新設)
介護に関する休暇制度を整備し届出で+10万円
賃上げ加算
対象労働者の時間単価を60円以上賃上げで1人12万円×最大3人=最大36万円
介護支援加算が新設されたんですね。これ、事業主にとっては「うちもやってみようかな」ってきっかけになりそうです。
そうなんです。しかも、これらの加算を受けた企業は、別の東京都の融資制度で信用保証料の補助も受けられる可能性があるんですよ。後でまた触れますね。
お金がいつ入るかも大事ですよね。申請してからすぐもらえるんですか?
いや、ここが注意ポイント。この助成金は後払い方式です。まず交付申請をして承認されたら「支援期間」が始まります。その期間(3か月)に実際に取組を実施し、終わった後に実績報告を出す。審査を通ってようやく支払いが確定するんです。
つまり、最初は自分で人件費や制度導入コストを立て替える必要があると。
そうです。資金繰りに余裕があるかどうか、事前に確認しておきましょう。
ここからは申請資格の話。まず、どんな会社が対象になるんですか?
大前提として「中小企業事業主」であること。そして「東京労働局管内に雇用保険適用事業所がある」こと。要は東京に拠点があって、雇用保険に入っている事業所が必要です。
いや、めちゃくちゃ広いんですよ。農業、林業、漁業、建設業、製造業、情報通信業、運輸業、卸売・小売業、金融・保険業、不動産業、学術研究、宿泊業、飲食サービス、教育、医療、福祉…ざっと挙げるとこんな感じ。実質ほとんどの業種がカバーされてると思っていいです。
なります!「中小企業事業主」には個人事業主も含まれます。ただし、雇用保険の適用事業所が必要なので、従業員を雇っていて雇用保険に加入していることが条件です。一人親方やフリーランス単独では難しいです。
この助成金の一番の特徴が、都の就職支援事業を利用して採用した人じゃないとダメってことですよね。
そうです。これが結構なハードル。具体的には、次の3つの事業のいずれかを利用して採用した若者でないと対象になりません。
- ものづくり産業人材確保支援事業
- 成長産業人材雇用支援事業
- キャリアチェンジ再就職支援事業
これらの事業は、東京都が公益財団法人東京しごと財団などに委託して実施しています。つまり、この事業に参加している求職者を、その事業を通じて紹介してもらって正規雇用する必要があるんです。
普通にハローワークで募集してもダメってことですか?
残念ながらダメです。あくまで上記の事業経由で採用した人だけが対象。この点は非常に重要なので、まずは自分がこれらの事業を利用できるかどうか、東京しごと財団のサイトなどで確認してみてください。
採用する若者の条件も細かいですね。年齢制限とかありますか?
はい。対象労働者は、令和6年4月1日以降に正規雇用として採用された人で、かつ上記の事業の利用者であることが条件。年齢制限は事業によって異なりますが、例えば「ものづくり産業人材確保支援事業」は34歳以下が対象です。
さらに、支援期間(3か月)を通じて都内の事業所に継続して勤務し、在籍していることも要件です。途中で辞めちゃうと助成金はもらえません。
なるほど。結構厳しいですね。でもその分、本気で若者の定着を図りたい企業には嬉しい制度だと思います。
お金をもらうためには、何をしないといけないんですか?
まず、採用した対象労働者に対して、支援期間(3か月)中に以下の3つを必ず実施する必要があります。
- 指導育成計画(3年間)の策定
- チューター(指導担当者)の選任と指導
- 指導育成計画に基づく研修の実施
これらはあくまで基本。これだけでも基本部分の助成金は受け取れます。
先ほど言った4つの加算ごとに、追加の取組が必要です。
退職金制度整備加算では、支援期間中に新たに退職金制度を整備し、就業規則等を労働基準監督署へ届け出るか、中退共に事業主として加入する。
結婚・育児支援制度整備加算では、結婚や妊娠・出産・育児に関する休暇や一時金制度を新たに作って届け出る。
介護支援制度整備加算(新設)では、介護に関する休暇制度を新たに整備して届け出る。
賃上げ加算では、対象労働者の時間単価を60円以上上げる。しかも、上げた後の時給が東京都の最低賃金を60円以上上回っている必要があります。
どれも「新たに」ってところがポイントですね。既存の制度ではダメで、支援期間中に新しく導入する必要があると。
その通りです。既存の制度の拡充や改定でも認められるケースがあるかもしれませんが、基本的には新設が前提。公募要領や手引きをしっかり確認してください。
本当に多いですよ。交付申請時だけで、事業実施計画書兼交付申請書、誓約書、同意書、口座振替依頼書…さらに加算ごとに別紙が必要です。実績報告時には、指導育成計画書、チューター選任・指導報告書、研修実施報告書、賃上げの場合は賃金支払実績確認表など。
めまいがしてきました(笑)。でも、ちゃんと準備すれば確実にもらえるってことですよね。
書類不備で受け付けてもらえないケースも多いので、セルフチェックリストを活用して、漏れなく準備するのが鉄則です。
今回取り上げるのは「令和8年度第4回申請受付」ですよね。具体的な日程を教えてください。
- 交付申請受付期間:令和8年8月1日(土) 8時30分 ~ 8月31日(月) 17時15分
- 支援期間:令和8年10月1日(木) ~ 令和8年12月31日(木)
- 実績報告受付期間:令和9年1月1日(金) 8時30分 ~ 1月25日(月) 17時15分
えっ、8月1日スタートって土曜日からなんですね!しかも8時30分から受付。朝早い!
そうなんです。しかも、この支援期間中にきちんと取組を完了させないとダメ。例えば、退職金制度を整備するなら、支援期間内に整備して届け出まで終わらせないと加算がもらえません。
電子申請(Jグランツ)か、郵送申請の2つです。電子申請を選んだ場合、その後の実績報告や変更届もすべて電子申請で行う必要があります。郵送で提出した場合は、実績報告も郵送か窓口持参。混在はできません。
電子申請にはGビズIDプライムが必要なんですよね?
そう。法人共通認証基盤(GビズID)のプライムアカウントが必要です。初めての方は申請から発行まで時間がかかるので、余裕をもって準備しましょう。デジタル庁の審査があるので、場合によっては2週間くらい見ておいたほうが安心です。
レターパックなど送達記録が残る方法で送ってください。メール便や宅配便は信書扱いできないのでNG。消印有効ですが、料金不足の場合は受け付けてもらえません。書類不備があると受付期間内に再提出できないリスクもあるので、念入りに確認しましょう。
交付申請から支払いまでの流れ- 1
1. 事前準備
GビズIDプライム取得(電子申請の場合)/公募要領・手引きを熟読
- 2
2. 都の就職支援事業で採用
対象事業を通じて若者を正規雇用(R6.4.1以降)
- 3
3. 交付申請
申請期間内に必要書類を提出(電子 or 郵送)
- 4
- 5
5. 支援期間(3か月)
指導育成計画・チューター指導・研修実施/加算の取組を実行
- 6
6. 実績報告
支援期間終了後、所定の期間内に実績報告書類を提出
- 7
7. 審査・支払い
実績審査後、助成金が指定口座に振り込まれる
ステップがはっきりしてますね。特に「3か月の支援期間」を逃さないようにしないと。
そう。支援期間中に十分な取組ができなかったり、労働者が辞めてしまったりすると助成金がもらえません。計画はしっかり立てておきましょう。
この助成金は採択率の概念があまりなくて(※提示にないので具体的数字は言えませんが)、要件さえ満たしていれば基本的に通るはずです。ただし、書類不備があると受付してくれません。特に、セルフチェックリストを使って自分で確認する仕組みが組み込まれています。
セルフチェックリストって、郵送用と電子申請用で別なんですか?
そうです。郵送用と電子用で様式が違います。交付申請時と実績報告時でもそれぞれ異なるので、必ず該当するバージョンをダウンロードしましょう。
もう一つ大事なのは、加算を取るための事前準備。退職金制度や介護支援制度を「新たに整備」する場合、支援期間(3か月)の中で就業規則を変更し、労働基準監督署に届け出るまで完了させる必要があります。これ、結構時間がかかるんですよ。
制度設計から届出まで3か月でやるのは、けっこうタイトですね。
なので、支援期間が始まる前に素案を作っておくなど、事前準備を進めておくのが攻略のポイントです。もちろん交付申請時点ではまだ導入していなくてもOKですが、支援期間中に確実に完了できる計画を立てましょう。
賃上げ加算の「時間単価を60円以上」って、最低賃金との関係がややこしいですね。
単純に60円上げればいいわけじゃなくて、上げた後の時給が東京都の最低賃金を60円以上上回っている必要があります。つまり、もし現在の最低賃金が1,200円だとすると、対象労働者の賃金を1,260円以上に引き上げないといけない。上げ幅が60円未満だと加算はもらえません。
そう。東京都の最低賃金は毎年10月頃に改定されることが多いので、支援期間が10月~12月の第4回では、改定後の最低賃金を基準に計算する必要があります。手引きの最新版を必ず確認してください。
問い合わせ先は 東京都正規雇用化推進窓口 です。電話番号は 03-6205-6730。平日の8時30分~17時15分まで受け付けています。ただし、FAXやメールでの問い合わせは受け付けていないので注意。
この助成金を受け取ると、他の制度も使えるようになるって聞いたんですが。
はい。加算の交付決定を受けた企業は、**東京都中小企業制度融資「働き方改革支援」**の対象になり、信用保証料の2/3が補助されます。さらに、女性活躍推進の取組をしていると「女性活躍推進融資」も使えて、利率優遇も受けられる可能性があります。
助成金をもらって、融資の条件も良くなる。一石二鳥ですね。
ただし、国や他の自治体の同様の助成金との併給は、重複する経費については認められない可能性が高いです。必ず公募要領で確認してください。特に、同じ労働者に対する人件費の補助などは注意が必要です。
あくまで「この助成金独自の要件」を満たすための経費として計上する必要があると。
そういうことです。併用する場合は、経費の按分や整理をしっかり行いましょう。
採用した若者が支援期間中に辞めちゃったら、どうなるんですか?
残念ながら、その労働者に対する助成金はもらえません。対象労働者は支援期間終了の日まで在籍している必要があります。もし辞めてしまったら、撤回届や中止承認申請書を提出しなければならないケースもあります。
あ、撤回届の提出期限が過ぎていると、年度内の申請回数にカウントされるって書いてありましたね。
そうです。撤回届提出期限後は対象労働者の変更・追加はできません。 しかも、期限内に事業計画を中止した場合でも「年度内の申請回数にカウントされ、交付したものとみなす」とあるので、むやみに申請して中止するのは避けたいところです。
たとえば第1回で失敗しても、第4回に再チャレンジできますか?
できますが、1年度につき1事業所3人までという上限があります。第1回で2人分申請して採択された場合、第4回で残り1人分だけ追加申請することは可能です。ただし、第1回で満額の3人分まで申請してしまうと、第4回では追加できません。上限は年度単位ですからね。
退職金加算は1事業主あたり1回だけって書いてありましたが、じゃあ3年後にまた別の労働者で申請するときにも加算はもらえないんですか?
その通り。退職金制度整備加算、結婚・育児支援制度整備加算、介護支援制度整備加算は、それぞれ事業主として1回だけ。制度を新たに整備した時点で1回しか加算を受けられません。賃上げ加算は毎回の申請ごとに要件を満たせばもらえる可能性がありますが、基本部分の上限(1年度3人まで)に引っかかるので注意。
申請書類の様式ってどこからダウンロードするんですか?
「TOKYOはたらくネット」というサイトから全部ダウンロードできます。URLは https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/seiki-koyo/kigyou/wakamonosedai/。手引きも同じページにあります。申請の際は必ず最新版の手引きを確認してくださいね。
私は電子申請をおすすめします。理由は、書類の到着確認や不備の連絡が早いこと、そして郵送の場合は消印や料金不足のリスクがあるから。ただし、GビズIDプライムが必要なので、初めての方は早めに取得を。どうしても間に合わない場合は郵送申請で、レターパックを使いましょう。
最後に、この助成金に興味があるけどまだ迷っている事業者に向けて、一言お願いします。
この助成金は、若者の職場定着に本気で取り組む中小企業にとって、とても手厚い制度です。126万円という金額は、小さな会社にとっては大きいですよね。しかも、退職金や育児支援制度を整備することで、長期的な人材確保にもつながります。
ただし、都の就職支援事業を利用して採用するという前提があるので、まずはそこから始めないといけない。準備は早めに、ですね。
そうです。まずは東京しごと財団のサイトで事業内容をチェックして、自社が利用できるか確認してみてください。そして、スケジュールに余裕を持ってGビズIDを取得し、書類の準備を進めましょう。わからないことは、遠慮なく03-6205-6730に電話してください!
室谷さん、本日はありがとうございました!皆さんもぜひチャレンジしてみてくださいね。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 制度名 | 東京都若者世代職場定着促進助成金(令和8年度第4回申請受付) |
| 実施機関 | 東京都産業労働局 雇用就業部 |
| 補助上限額 | 最大126万円 |
| 補助率 | 100% |
| 対象地域 | 東京都(東京労働局管内に雇用保険適用事業所があること) |
| 対象業種 | 農業、林業、漁業、建設業、製造業、情報通信業、運輸業、卸売・小売業、金融・保険業、不動産業、学術研究、宿泊業、飲食サービス、教育、医療、福祉など幅広い |
| 対象者 | 中小企業事業主(個人事業主含む) |
| 募集期間(第4回) | 令和8年8月1日(土) 8:30 ~ 令和8年8月31日(月) 17:15 |
| 支援期間(第4回) | 令和8年10月1日(木) ~ 令和8年12月31日(木) |
| 実績報告期間(第4回) | 令和9年1月1日(金) 8:30 ~ 令和9年1月25日(月) 17:15 |
| 申請方法 | 電子申請(Jグランツ)または郵送申請 |
| 問い合わせ先 | 東京都正規雇用化推進窓口 03-6205-6730(平日8:30~17:15) |
| 公式サイト | TOKYOはたらくネット https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/seiki-koyo/kigyou/wakamonosedai/ |