室谷さん、東京都に「ウクライナ避難民採用企業コース」という助成金があるって聞いたんですけど、どんな制度ですか?
ほんとに太っ腹な制度なんですよ!(笑)正式名称は「中小企業の外国人従業員に対する研修等支援助成金(ウクライナ避難民採用企業コース)」。ウクライナ避難民を雇用している都内の中小・中堅企業が、日本語教育や異文化理解の研修をする際の経費を全額助成してくれる制度です。
全額!?ふつうの補助金って半額負担とか多いじゃないですか。
そうなんです。補助率が10/10(全額)で、自己負担が一切ない。東京都が設けた制度で、令和8年度(2026年度)は令和8年4月9日から令和9年1月14日まで申請を受け付けています。ウクライナ情勢を受けて避難民の就労を後押しするために2022年10月に新設されたコースです。
標準プラン(50時間以上の研修)なら
最大50万円、短時間プラン(30時間以上)なら最大30万円です。どちらも補助率は10/10なので全額カバー。IT企業でも飲食業でも製造業でも、業種は問いません。
2プランの比較イメージ
標準プランと短時間プランって、どっちを選べばいいんですか?
従業員さんの日本語レベルと業務スケジュールで選ぶのが基本です。ざっくりいうと、日本語がほぼゼロから始める方や、ビジネスマナーまで込みで総合的に研修したい場合は標準プランがいい。すでに日本語の基礎がある方や、業務が忙しくて毎週長時間の受講が難しい場合は短時間プランが現実的です。
助成金の金額は両方とも「対象経費の全額」ですよね?
そうです。研修費用が30万円かかっても50万円かかっても、上限の範囲内なら自己負担ゼロ!(笑)消費税も助成対象になるので、請求書の税込金額でそのまま申請できます。
| プラン | 必要研修時間 | 助成上限額 | 補助率 |
|---|
| 標準プラン | 50時間以上 | 50万円 | 10/10(全額) |
| 短時間プラン | 30時間以上 | 30万円 | 10/10(全額) |
あります。ウクライナ避難民に限らず外国人従業員全般が対象のコースで、そちらは補助率1/2(標準プランで最大25万円)です。ウクライナ避難民採用企業コースは補助率も上限額も一般コースより圧倒的に手厚いのが特徴。しかも、2つのコースを同一従業員で同時申請することはできませんが、コースごとに対象経費が明確に区別できれば一般コースとの「併給」も可能なんです。
従業員が複数いる場合で、ウクライナ避難民の方とそれ以外の外国人従業員両方に研修をするケースなら、コースを分けて申請することが理論上可能です。詳細は東京都に確認が必要ですが、知っておいて損はない情報ですよ。
申請できる企業の要件って、何がポイントになりますか?
まず東京都内に本社または主たる事業所があることが大前提。それから中堅企業または中小企業等であることが必要です。従業員側は、ウクライナ避難民証明書を持っていて、就労可能な在留資格があることが必要です。
「ウクライナ避難民証明書」ってどうやって取得するんですか?
出入国在留管理庁から発行される在留カード(特定活動の在留資格)や、避難民と認定されたことを示す公的書類が該当します。従業員本人が既に所持しているはずですが、「証明書類が何か分からない」という場合は最寄りの出入国在留管理局に問い合わせましょう。申請時にコピーの提出が求められるので、早めに確認しておくと安心です。
製造業、建設業、IT・情報通信業、卸売業・小売業、飲食サービス業、介護・福祉業など、都内の中小・中堅企業であれば業種を問いません。特に飲食業や製造業は接客・安全指示に日本語が必須なので、この助成金との相性が抜群です。
申請資格チェックリスト(ウクライナ避難民採用企業コース)
- 企業要件: 東京都内に本社または主たる事業所がある中堅・中小企業等
- 従業員要件: 助成対象期間中に継続して直接雇用されていること
- 在留要件: ウクライナ避難民証明書を所持し、就労可能な在留資格を有すること
- 勤務地要件: 都内の事業所に常時勤務していること
- 日本語レベル: 日本語能力試験概ねN2レベル以下が対象
4種類あって、日本語教員による日本語教育、日本語教材の作成、ビジネスマナー講座、異文化理解に係る講座です。ただし③のビジネスマナー講座と④の異文化理解講座は単独では申請できないので、①か②と組み合わせて実施する必要があります。
そうなんです。主役はあくまで日本語教育です。①を選んだ場合、①だけで研修時間の要件(標準プランなら50時間、短時間プランなら30時間)を満たす必要があります。②の教材作成を選んだ場合は「想定学習時間数」がプランの時間以上である必要があります。
重要なポイントですよ(笑)。日本語教員は出入国在留管理庁「日本語教育機関の告示基準」第1条第13項の「教員」要件を満たす人でないといけません。社内に有資格者がいれば社内研修も可能ですが、多くの場合は日本語学校や専門の教育機関への委託が現実的です。日本語学校への通学形式でも助成対象になります。
| 対象事業 | 単独実施 | 組み合わせ | 具体例 |
|---|
| ①日本語教員による日本語教育 | 可 | 可 | 日本語学校通学、社内日本語研修 |
| ②日本語教材の作成 | 可 | 可 | 業界特化テキスト、単語帳制作 |
| ③ビジネスマナー講座 | 不可 | ①②と組み合わせのみ | 電話応対、ビジネスメール研修 |
| ④異文化理解に係る講座 | 不可 | ①②と組み合わせのみ | 日本の職場文化、慣習理解 |
従業員への給与・賞与、研修参加者の交通費・宿泊費、飲食費、パソコンやタブレットなどの機器購入費は対象外です。あと当然ですが、申請日以前に支払い済みの経費は対象外なので、研修開始前に必ず申請を済ませておく必要があります。
- 従業員の給与・賞与・手当(研修中の人件費も含む)
- 交通費・宿泊費(研修会場への往復など)
- 機器購入費(パソコン・タブレット・プロジェクターなど)
- 申請日以前に支払い済みの経費(遡及適用は不可)
- 他の助成金・補助金で補填される経費(二重受給禁止)
大きく5つのステップです。まず自社の要件確認と研修計画の策定から始めて、最後に実績報告まで進めます。交付申請から交付決定まで1か月程度かかるので、研修開始の少なくとも1〜2か月前には申請を済ませておくのがポイントです。
申請から受給までのフロー図
郵送とJグランツ(電子申請)の2択です。Jグランツを使う場合は、電子申請用の募集要項を事前に確認して、Jグランツ内の申請フォームから手続きします。GビズIDが必要なので、Jグランツを初めて使う場合は事前にアカウント登録が必要です。
申請書類を出したら確実に採択されるわけじゃないですよね?何に気をつければいいですか?
採択率を上げるために、特に5つを意識してほしいです!まず1つ目はウクライナ避難民証明書を早期に確認・準備すること。これがないと申請自体できません。
2つ目は研修計画を具体的に書くこと。「日本語教育を50時間します」だけじゃなくて、到達目標(例: JLPT N3合格)、週ごとの受講スケジュール、担当教員の経歴まで書ける状態にしておくと審査が通りやすいです。
研修時間の要件を確実に達成できるスケジュールを組むこと。標準プランなら50時間、短時間プランなら30時間。業務と両立しながら確実に時間を確保できるかどうかが問われます。詰め込みすぎて途中で挫折するケースが一番もったいないです。
経費の証拠書類を漏れなく管理することです。全額助成を最大限活用するためには、領収書・契約書・出席簿など全部きっちり保管。教材作成費も対象になるので、教材の実物や制作記録も残しておくと実績報告がスムーズです。
職場定着を見据えた研修設計です。単なる日本語習得だけじゃなく、ビジネスマナーや異文化理解を組み合わせて、職場でのコミュニケーション力向上につながる総合的なプログラムにすることが、この助成金の趣旨に合致して審査でも評価されます。
- 証明書の早期確認: ウクライナ避難民証明書の取得・コピー準備を最初に済ませる
- 具体的な研修計画: 到達目標・受講スケジュール・担当教員経歴を明記
- 実現可能な時間設計: 業務との両立を考慮し、確実に30時間(または50時間)達成できるスケジュール
- 証拠書類の徹底管理: 領収書・契約書・出席簿・教材実物をすべて保管
- 総合的なプログラム: 日本語教育 + ビジネスマナー + 異文化理解を組み合わせて職場定着を支援
実際にどんな企業がこの助成金を活用できるんでしょう?
まさに全業種ですが、特に効果が大きい業種で言うと、飲食業、製造業、IT・情報通信業、介護・福祉業あたりですね。
飲食業オーナーの例だと、ホールスタッフとして採用したウクライナ避難民の方に、短時間プラン(30時間)で接客日本語に特化した研修とビジネスマナー講座を組み合わせて実施した事例があります。費用約30万円が全額カバーされて、2か月間の研修でお客さんとの日常会話が自力でこなせるように成長したとか。
製造業の工場長の例では、ウクライナ避難民2名を技術職として採用して、標準プラン(50時間)で日本語教育 + 異文化理解講座を実施。安全指示が確実に伝わるようになって労災リスクが低減したうえ、日本人従業員との相互理解も深まったそうです。最大50万円をフルに使い切った事例です。
IT企業の人事担当者の例では、ウクライナ人エンジニアに標準プランで日本語教育 + ビジネスマナー講座を実施。業界特有の用語も含めたカリキュラムを日本語教育機関と共同で作成して、3か月後には社内ミーティングに日本語で参加できるようになったとのことです。研修費45万円が全額助成。
45万円を自己負担ゼロで!採用したウクライナ避難民の方にとっても、企業にとっても、本当にWin-Winですね。
そうなんです!人手不足に悩む中小企業が外国人材を即戦力化するコストを東京都が全部持ってくれるわけですから、活用しない手はないです。
申請を検討したい企業のために、基本情報をまとめてもらえますか?
| 項目 | 内容 |
|---|
| 正式名称 | 中小企業の外国人従業員に対する研修等支援助成金(ウクライナ避難民採用企業コース)令和8年度 |
| 実施機関 | 東京都産業労働局雇用就業部就業推進課 |
| 対象地域 | 東京都内 |
| 助成上限額 | 標準プラン 50万円 / 短時間プラン 30万円 |
| 補助率 | 10/10(全額助成) |
| 申請受付期間 | 令和8年4月9日〜令和9年1月14日 |
| 助成対象期間 | 交付決定日〜令和9年3月31日 |
| 申請方法 | 郵送またはJグランツ(電子申請) |
| 問い合わせ先 | 東京都産業労働局雇用就業部就業推進課人材確保推進担当 電話 03-5320-4628 |
| 公式ページ | TOKYOはたらくネット 研修等支援助成金 |
東京都産業労働局雇用就業部就業推進課 人材確保推進担当
電話: 03-5320-4628
公式ページ
申請方法の電子申請って、GビズIDが必要なんでしたっけ?
そうです。Jグランツを使う場合はGビズIDが必要なので、まだ持っていない場合は先にGビズIDプライムを取得してください。GビズIDの取得には数週間かかる場合があるので、申請を検討したらすぐに動き出すのが得策です。あと郵送申請の場合は〒163-8001 東京都新宿区西新宿2-8-1 東京都庁第一本庁舎21階北側 宛てに、レターパック等の記録が残る方法で送ります。
人材育成系の助成金って他にもありますよね。この制度との使い分けはどう考えればいいですか?
まず同じ研修等支援助成金の「一般コース」と比較するのが大事です。ウクライナ避難民の方を雇っているなら絶対にウクライナ避難民採用企業コースの方が有利ですが、一般コースとの「違い」を知っておくことで、同時に利用できる可能性も見えてきます。
研修等支援助成金(一般コース)は対象が外国人従業員全般で補助率が1/2(標準プランで最大25万円)です。一方、ウクライナ避難民採用企業コースはウクライナ避難民限定で補助率10/10(標準プランで最大50万円)。金額も補助率も圧倒的に違います。
国の人材開発系の助成金とはどう組み合わせればいいですか?
厚生労働省の「人材開発支援助成金」は、本制度でカバーしきれない専門職業訓練に活用できる可能性があります。ただし、同じ経費への二重受給は原則禁止なので、経費の切り分けが重要。日本語教育はこの東京都の制度で全額カバー、専門スキル研修(例: フォークリフト資格、CAD操作など)は別の制度で対応するというイメージです。
制度を組み合わせながらうまく活用していくのが大事ですね!次は申請に向けた準備について教えてください。
記事を読んで「使いたい!」と思った企業が、今日からできる準備って何ですか?
大きく3つです。まず第一に、ウクライナ避難民の従業員さんが在留資格・証明書を持っているか確認してください。「持っているはず」じゃなくて、実際に書類を見て確認することが重要です。
次に、標準プランか短時間プランかを決めて、研修の大枠を設計します。「いつから始めて、週に何時間、何の研修をするか」を決めると、必要な教育機関や講師のイメージが湧きます。それに合わせて日本語学校や研修会社に問い合わせて、見積書を取ります。
見積書まで取れたら申請書類作成に進める感じですね。
そうです!見積書が揃ったら申請書類(交付申請書・経費総括表・計画書など)を作成します。公式ページからダウンロードした様式に沿って記入し、ウクライナ避難民証明書のコピーや会社の登記事項証明書と一緒にまとめます。Jグランツで電子申請する場合は、GビズIDをまだ持っていなければ今すぐ取得手続きを始めてください。
令和9年1月14日が申請期限だから、逆算するとそんなに余裕があるわけじゃないですね。
特に助成対象期間が令和9年3月31日まで。研修に30時間〜50時間かけることを考えると、2026年(令和8年)中に申請と研修を済ませようとすると、実質2026年秋くらいまでには動き出したい。申請から交付決定まで1か月程度かかることも考慮してスケジュールを組んでください!
- 申請期限: 令和9年1月14日(木)。期限を過ぎると申請不可
- 助成対象期間: 交付決定日〜令和9年3月31日(水)
- 交付決定まで: 申請から1か月程度かかる(研修開始を急がない)
- 実績報告: 令和9年2月28日以前に支払い完了 → 支払い完了後30日以内/令和9年3月1日以降に支払い完了 → 令和9年4月1日まで
- GビズID: 電子申請の場合、取得に数週間かかるため早めに手続きを
最後に、よくある疑問点をまとめて聞かせてください。
一般コースとウクライナ避難民採用企業コースを同時に申請することってできますか?
同一従業員に対して2つのコースを重複して使うことはできません。ただし、複数の外国人従業員がいる場合、コースごとに助成対象経費が明確に区別できていれば、一般コースとウクライナ避難民採用企業コースの「併給」は可能です。詳細は東京都に確認してください。
研修を外部委託ではなく社内で実施してもいいですか?
日本語教育については、社内に有資格の日本語教員がいれば社内研修も可能です。ただし「日本語教員」としての要件を満たす人材が必要で、単に「日本語ができる人」では不可。要件を満たす外部の教育機関に委託するのが現実的なケースが多いです。ビジネスマナー講座・異文化理解講座については社内での実施も検討できますが、助成対象として経費計上しやすくするため、専門の講師や研修会社に依頼するのがおすすめです。
申請から助成金が振り込まれるまで、どのくらいかかりますか?
申請から交付決定まで1か月程度、研修を実施して実績報告を提出してから助成金振り込みまでさらに1〜2か月を見込んでください。全体として申請から支給まで最短でも3〜4か月、研修期間を含めると6か月前後が目安です。早期に申請して余裕を持ったスケジュールで進めましょう。
標準プランと短時間プランって、途中で変更できますか?
申請後に計画を変更する場合は、「様式第5号 変更承認申請書」を提出して東京都の承認を受ける必要があります。勝手に変えると実績報告で問題になるので、計画変更が発生したら必ず事前に東京都に連絡してください。
最後に、申請を迷っている企業へのメッセージをお願いします!
ウクライナ避難民の方を採用しているなら、この制度は使わないと本当に損です!(笑)補助率10/10・全額助成という制度はそうそうありません。研修費用が浮いた分で設備投資や採用コストに充てることもできる。「書類が面倒くさそう…」と感じる方もいると思いますが、東京都のQ&A資料も充実しているので、公式ページを読みながら進めてみてください。東京都の窓口(03-5320-4628)に電話すれば丁寧に教えてもらえます!
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