室谷さん、今回のテーマ、タイトルがすごく長いんですけど(笑)。「令和8年度 天然ガス利用設備による強靱性向上対策事業費補助金」って、まず何をする制度なんですか?
簡単に言うと、災害で電力供給が止まっても動く「停電対応型」の天然ガス設備を導入する事業者を補助する制度です。対象は**停電対応可能なガスコージェネレーションシステム(CGS)**と、**停電対応可能なガスヒートポンプエアコン(GHP)**の2種類ですね。
停電に対応できる設備かあ。つまり電気が止まっても、ガスで空調や発電ができるってことですよね?
その通りです。目的は災害時におけるエネルギー供給の強靱性向上ですから、いざというときに避難スペースで空調や照明、電気コンセントが使える状態を確保したい、というのが狙いです。
なるほど。じゃあ、普通のガス設備をちょっと入れ替える、という話ではないんですね。
そこが大事なポイントです。あくまで「停電対応型」であることが前提。そして、単に設備を導入するだけでなく、避難所など災害時に役立つ建物に設置することが要件になっています。
3つ挙げるとしたら、まず対象設備が停電対応型のCGSとGHPに絞られていること。次に対象が事業を営む法人 であること。そして、設置先が防災計画で指定される建物や避難所など、災害時に役立つ建物であること、ですね。
特に建物の要件はけっこう細かいので、次の章でじっくり見ていきましょう。
この補助金の3つの特徴 停電対応型の設備が対象
停電対応可能なガスコージェネレーションシステム(CGS)とガスヒートポンプエアコン(GHP)
事業を営む法人が対象
対象業種が広く、従業員数の制約もなし
災害時に役立つ建物への設置が必要
防災計画で指定される建物や避難所等が対象
ここからは申請資格の話ですね。まず、個人事業主でも申請できますか?
交付対象要件の(1)に「事業を営む法人を対象とする」とあります。つまり法人が対象で、個人事業主は対象外、という読み方になります。
あ、そうなんですね。じゃあ、業種の制限はありますか?
対象業種のリストを見ると、農業・林業、漁業、鉱業・採石業・砂利採取業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、情報通信業、運輸業・郵便業、卸売業・小売業、金融業・保険業、不動産業・物品賃貸業、学術研究・専門・技術サービス業、宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス業・娯楽業、教育・学習支援業、医療・福祉、公務に、分類不能の産業まで載っています。
えっ、そんなに多いんですか?これ、ほぼ全部じゃないですか(笑)。
本当に幅広いですよね。従業員数の制約も「制約なし」とされています。ですから、まず「法人であること」と「災害時に役立つ建物に設置できること」の2点が最初の関門になります。
では、建物の要件を詳しく教えてください。ここが難関だと聞いてるんですが。
対象になる建物は大きく2つに分かれます。まず(ア)公共性の高い建物です。これは「国や地方公共団体が定める防災計画において指定される建物」と「国や地方公共団体、社会福祉法人、医療法人、学校法人が所有及び運営する建物」になります。
市の防災計画で避難所に指定されてる公民館とか、学校とか、そういうイメージですね。
そうです。もう1つは(イ)災害時に避難所等として活用され、避難所としての機能が高い建物です。避難所や屋内の避難場所、協定による屋外避難場所に併設された建物、帰宅困難者受入建物、災害時帰宅支援ステーション、一斉帰宅抑制事業者の建物、協定による物資提供を住民等に行う建物、などが並んでいます。
うわ、種類が多い…。自社の建物がどれに当てはまるか、まず調べるところから始まりそうですね。
(イ)の建物には、さらに細かい条件があるそうですね。
はい。aからfまでの建物は、次の①から③をすべて満たす必要があります。①は地方公共団体との協定、または協定に準じる取組みがあること。これは「見込みを含む」とされています。
協定の見込みでもOKなんですね。そこはハードルが下がりますね。
②は設備ごとの要件です。停電対応CGSを設置する場合は単機発電能力25kW以上 の機器。停電対応GHPのみの場合は室外機2台以上かつ冷房能力合計112kW以上 の機器が必要です。③は、系統電力の停電時に、補助対象設備から空調・照明・電気コンセントの3つのうち2つ以上を避難スペースに供給できることです。
「停電したら本当に使えるか」まで考えた設置計画が必要ってことですね。
そうです。ここを満たせないと対象外ですから、設計の段階で確認しておきたいですね。なお、(ウ)として「その他審査委員会が認めた建物」という道もありますが、あくまで審査委員会の判断次第です。
では、気になるお金の話です。上限額はいくらですか?
設備の種類とガスの供給方式で3パターンあります。停電対応CGSの場合、中圧ガス供給なら上限240,000,000円 。低圧ガス供給なら上限60,000,000円 です。停電対応GHPの場合は、上限66,000,000円 です。
240,000,000円って…2億4千万!?マジですか。すごい金額ですね。
大きいですよね(笑)。ただし、これはあくまで上限です。実際にいくらもらえるかは、次の補助率との関係で決まります。
設備の種類 ガス供給方式 補助上限額 停電対応CGS 中圧ガス供給 240,000,000円 停電対応CGS 低圧ガス供給 60,000,000円 停電対応GHP 記載なし 66,000,000円
補助率は「補助対象経費の1/3以内」ですよね。計算例を教えてもらえますか?
例えば補助対象経費が30,000,000円なら、その1/3にあたる10,000,000円まで補助される計算です。補助額は「補助対象経費 × 1/3」をもとに、上限額と照らし合わせて決まると思ってください。
じゃあ、CGSで低圧ガス供給の場合、補助対象経費が180,000,000円なら、1/3で60,000,000円。上限もちょうど60,000,000円だから、そのまま?
ナイス計算です!まさにその通りです。逆に、180,000,000円を超える経費をかけても、低圧ガス供給のCGSなら補助上限は60,000,000円で頭打ちです。中圧ガス供給なら上限240,000,000円ですから、経費が720,000,000円を超える規模でないと上限に達しない計算になります。
なるほど。金額の大きい案件ほど、上限額のチェックが大事になってくるんですね。
補助金ですから返済は不要です。ただし、申請したらすぐお金がもらえるわけではありません。審査を経て交付決定を受けてから設備を導入し、その後の手続きを経て補助金が交付されるのが一般的な流れです。
あ、待って。「一般的な」って言い切っちゃうと私が書きそうになるところですが(笑)、この制度で支払いがどのタイミングなのかは、どこで確認できますか?
鋭いですね。交付規程と公募要領で確認してください。都市ガス振興センターのホームページに掲載されていますから、申請前に必ず目を通すようにしましょう。
次は設備の話です。具体的に何が補助対象になるんですか?
交付対象要件の(4)に、対象設備は(ア)及び(イ)とし、(ウ)を合わせて設置すること、とあります。(ア)停電対応可能なガスコージェネレーションシステム、(イ)停電対応可能なガスヒートポンプエアコン、そして(ウ)運転状況を確認するために必要な専用の計測装置です。
計測装置もセットで必須なんですね。見落としがちじゃないですか?
そうなんです。「(ウ)を合わせて設置すること」と明記されていますから、CGSやGHPだけで見積もりを組んでしまうと、あとで計測装置ぶんが漏れてしまうかもしれません。最初から3点セットで計画しましょう。
はい。補助対象設備は建物と同一敷地内に設置すること。さらに、補助対象設備が災害時に寄与する屋内空間の床面積を明確にすること、とされています。申請書類の中で説明できるようにしておかないといけません。
設備を置くだけじゃなく、「ここのスペースに供給します」というのを明確に示す必要があるんですね。
そして燃料の条件も重要です。天然ガスを主原料とするガスを燃料とした設備を導入して使用すること。さらに、そのガスは中圧導管または耐震性を向上させた低圧導管により供給を受けること、が要件になっています。
逆に「これは対象外だな」というケースはありますか?
まず「停電対応可能」ではない、通常のCGSやGHPは対象外です。あくまで停電対応型であることが大前提。また、ガスの供給方式が中圧導管でも耐震性を向上させた低圧導管でもない場合は、要件を満たしません。
なるほど。停電対応型はコストもかかりそうですし、そこを補助してもらえるのがこの制度の意味ですもんね。
そういうことです。対象経費の範囲の細かい線引きは公募要領で必ず確認してください。ここだけは私が勝手に判断できない部分です。
対象になる設備と注意したいポイント 停電対応可能なガスコージェネレーションシステム(CGS) 停電対応可能なガスヒートポンプエアコン(GHP) 運転状況を確認する専用の計測装置(合わせて設置が必須) × デメリット
停電対応でない設備は対象外 中圧導管・耐震性向上低圧導管以外の供給は対象外 災害時に寄与する屋内空間の床面積の明確化が必要
補助金申請システム「jGrants (ジェイグランツ)」からです。公式ページには「ログインして申請する」とあります。また、経済産業省の公募ページには、jGrantsを利用するには「GビズID 」の取得が必要、と明記されています。
GビズID、まだ持ってないんですよね…。どうやって準備すればいいですか?
GビズIDは行政のオンラインサービスで使う共通IDです。持っていない場合は早めに取得手続きを進めましょう。募集期間は2026年8月4日から8月24日までと限られていますから、手続きに時間を取られないようにしたいですね。
この補助金、コンサルタントに代行してもらうことはできますか?
公式ページに「当サイトの代理申請 不可」とあります。つまり、申請者本人がjGrantsにログインして申請する形です。誰かに丸投げ、というわけにはいかないので注意してください。
では、申請の流れを最初から最後まで教えてください。
まずは都市ガス振興センターのホームページで、交付規程・公募説明資料・申請様式を確認します。次に、同センターのホームページで公募説明動画が公開されていますから、それを視聴するのがおすすめです。
その後、GビズIDを準備し、必要書類をそろえて、募集期間内にjGrantsから申請します。申請後は審査委員会の審査を経て、交付決定という流れになります。
なるほど、流れが見えました。ステップで図にしてもらえますか?
補助金申請の流れ 1 公募資料を確認
都市ガス振興センターHPで交付規程・公募説明資料・申請様式を入手
2 3 GビズIDを準備
jGrantsにログインするために必要
4 申請書類をそろえる
対象設備・建物・床面積の要件を整理
5 jGrantsで申請
2026年8月4日〜8月24日の期間中に
6
何より大事なのは、交付対象要件をすべて満たしていることです。特に建物の要件は複雑なので、防災計画上の位置づけや地方公共団体との協定の有無、災害時に寄与する屋内空間の床面積の明確化、このあたりがきちんと説明できているかが見られるでしょう。
そうですね。要件を満たしていることが審査で伝わるように、申請書類は丁寧に仕上げてください。記入漏れや数字の間違いがないか、提出前のダブルチェックもおすすめします。
申請前に、もう一度確認したい項目を整理してもらえますか?
1つ目は、事業を営む法人であること。2つ目は、中圧導管または耐震性を向上させた低圧導管からガスの供給を受けていること。3つ目は、天然ガスを主原料とするガスを燃料とした設備であること。この3つは基本中の基本です。
4つ目は、防災計画で指定される建物や避難所等に該当すること。5つ目は、地方公共団体との協定または協定に準じる取組みがあること。見込みを含みます。6つ目は、CGSなら単機発電能力25kW以上、GHPのみなら室外機2台以上かつ冷房能力合計112kW以上。7つ目は、停電時に空調・照明・電気コンセントのうち2つ以上を避難スペースに供給できることです。
多い…!でも、一つずつクリアしていけばいいんですね。このチェック項目、図にまとめてもらえますか?
申請前に確認したい7項目
①事業を営む法人か ②中圧導管または耐震性向上低圧導管の供給か ③天然ガスを主原料とするガス燃料の設備か ④防災計画指定建物・避難所等に該当するか ⑤地方公共団体との協定等があるか(見込み可) ⑥CGSは単機発電能力25kW以上/GHPのみは室外機2台以上かつ冷房能力合計112kW以上 ⑦停電時に空調・照明・コンセントのうち2つ以上を避難スペースに供給できるか
ここで改めてスケジュールを確認したいです。募集期間はいつですか?
2026年8月4日から2026年8月24日まで です。対象地域は全国。この期間内にjGrantsから申請する必要があります。
約3週間ですね。夏の暑い時期で、しかもお盆もありますから、なんとなく短く感じます。
そうなんです。実質の作業期間はもっと短いと考えたほうがいい。公募説明資料を読み込む時間も含めて、今から動き始めてください。
ところで、問い合わせ先が「一般社団法人 都市ガス振興センター」になっていますが、なぜですか?
この補助金は、経済産業省が執行団体を先に公募し、採択された団体が交付事務を行う仕組みになっています。令和8年4月13日から5月15日まで執行団体の公募があり、6月2日に一般社団法人都市ガス振興センターが採択されました。
あ!だから公式ページにも「交付規程、公募説明資料および申請様式は都市ガス振興センターホームページに掲載」って書いてあるんですね。
その通りです。公募説明動画も同センターのホームページで公開されています。問い合わせ先も同センターの電話番号03-6435-7692 になっていますから、間違えないようにしてください。
令和8年度(2026年度)の動き 2026年4月13日
執行団体の公募開始
経済産業省が公募を開始
2026年5月15日
執行団体の公募締切
正午必着
2026年6月2日
執行団体を決定
一般社団法人都市ガス振興センターを採択
2026年8月4日
申請受付開始
補助金申請システムjGrantsで受付
2026年8月24日
申請締切
この日までに申請が必要
「うちの建物は対象になる?」という疑問が残ったら、どこに聞けばいいですか?
一般社団法人 都市ガス振興センター、電話03-6435-7692 です。建物の要件や協定の有無はケースバイケースですから、迷ったら早めに電話で確認するのが一番確実です。
申請書類の準備は募集期間前から始めますから、問い合わせも早めにするのがおすすめです。公募説明資料に目を通して、疑問点を書き出してから聞くとスムーズですよ。
「災害時に避難所として機能する建物に、停電対応型の天然ガス設備を導入したい法人」を後押しする制度、です。補助率は補助対象経費の1/3以内、上限は240,000,000円までと大きいので、該当しそうな法人はぜひ検討してみてください。
なるほど!まずは都市ガス振興センターのホームページで公募説明資料をチェック、ですね。今日はありがとうございました!
1 制度名:令和8年度 天然ガス利用設備による強靱性向上対策事業費補助金 2 補助率:補助対象経費の1/3以内 3 上限額:停電対応CGS 中圧ガス供給240,000,000円/低圧ガス供給60,000,000円、停電対応GHP 66,000,000円 4 募集期間:2026年8月4日〜8月24日(対象地域:全国) 5 対象:事業を営む法人/防災計画指定建物・避難所等への設置 6 問い合わせ:一般社団法人都市ガス振興センター 03-6435-7692