室谷さん、今日のテーマは東京都の「令和8年度外国実用新案出願費用助成事業(第2回)」です。名前が長すぎて、一息で読むと噛みます。
はは、そうですね。でも中身はとてもシンプルです。外国に実用新案を出願するときの費用を、東京都が1/2以内で助成してくれる。上限は60万円です。
まず一番基本から教えてください。これは、何をしてくれる制度なんですか?
東京都内の中小企業者などが外国に実用新案を出願するときに払うお金の一部を助成する制度です。目的は、中小企業者等の国際競争力の向上と経営基盤の強化、そして東京の産業を活性化すること。海外での知的財産侵害訴訟リスクへの対策として、早期に権利化できる実用新案を活用しようとする事業者を後押しする、という位置づけです。
「訴訟リスクへの対策」という言葉が出てくるのが意外です。攻めというより、守りのニュアンスを感じます。
そうなんです。海外で製品を展開すると、まねされたり、逆に権利を主張されたりする場面が出てきます。だから早めに権利を押さえておこう、という発想ですね。
でも、東京都がわざわざ外国出願の費用を出すって、ちょっと不思議じゃないですか?
そこは制度の目的にきちんと書かれています。優れた技術等を持っていて、海外での侵害訴訟リスクに備えたい東京都内の中小企業者等を支援することで、東京の産業を活性化する。これがこの制度の狙いです。
東京の会社が海外で稼げるようになることが、東京にとってもプラスになる、と。
そういうことです。しかも対象は製造業だけではありません。業種の指定がかなり細かくて、農業、林業、漁業、鉱業・採石業・砂利採取業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、情報通信業、運輸業・郵便業、卸売業・小売業、金融業・保険業、不動産業・物品賃貸業、学術研究・専門・技術サービス業、宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス業・娯楽業、教育・学習支援業、医療・福祉、複合サービス事業、サービス業、分類不能の産業まで並んでいます。
入っています。ここまで来ると、業種で門前払いされる感じはかなり薄いですね。とはいえ最終的な該当判断は公募要領で要確認です。
ここで素朴な疑問なんですけど、普通は「特許」と言いますよね。なんで実用新案なんですか?
制度の説明では、早期に権利化できる実用新案を活用しようとする事業者を対象にしています。スピード感を持って権利を押さえたい場面を想定しているんですね。
はい。だからこれから海外で展開したい技術や製品がある会社に向いています。なお、この記事で扱うのは東京都のこの制度で、窓口は東京都知的財産総合センターです。
了解です! じゃあ次は、いちばん気になる金額の話をお願いします。
この助成金の特徴外国実用新案の出願費用が対象
外国出願手数料・代理人費用・翻訳料などを助成
助成率1/2以内・上限60万円
対象経費の半分、最大60万円
東京都内の中小企業者等
会社・個人事業者・中小企業団体・一般社団財団法人
1年度1社1出願に限る
同じ年度に複数の出願は申請できない
助成対象期間は2年8か月
令和8年4月1日〜令和10年11月30日
ここが一番気になるところです。ズバリ、いくらもらえるんですか?
助成率は1/2以内、助成限度額は60万円です。この2つは必ずセットで覚えてください。
「以内」がつくのが引っかかります。必ず半分もらえるわけではない、と?
そうですね。対象経費の半分が上限、という考え方です。そこにさらに60万円という天井がかさなります。
なるほど。経費が大きくなるほど、60万円の壁にぶつかるわけですね。
そのとおりです。まずは基本情報を表で整理しておきましょう。
数字が並んでいても、まだ実感がわかないんですよ。具体的なイメージをください。
たとえば対象経費が100万円かかったとします。1/2なので50万円。これは上限60万円の範囲内なので、助成額は50万円という計算になります。
ふむふむ。じゃあ、対象経費が200万円だったらどうなりますか?
1/2だと100万円ですが、上限が60万円ですので、助成は60万円で頭打ちになります。ここが要注意ポイントですね。
なるほど! 大きな出願をまとめてやるより、設計のしかたで結果が変わりそうですね。
そうですね。対象経費の積み上げを見ながら、どこまでを今回の申請に含めるかを考えるのが実務的です。
さっき表に「助成対象期間」ってありましたけど、これは何を指すんですか?
助成の対象になる出願の期間です。令和8年4月1日から令和10年11月30日まで、つまり2年8か月あります。
2年8か月って、けっこう長い! 申請したらすぐ出願しないといけないのかと思っていました。
そこは柔軟です。ただし、この期間の中に実際の出願が収まっている必要があります。期間の外に出してしまうと対象になりません。
そうならないように、スケジュールは余裕を持って組み立ててください。
次は「自分が対象かどうか」をはっきりさせたいです。
ここは一番大事なところなので、じっくりいきましょう。
まず「東京都内の中小企業者」という部分。本社が東京なら大丈夫ですか?
申込資格は、東京都内の中小企業者、中小企業団体、一般社団・財団法人です。このうち中小企業者には会社と個人事業者が含まれます。
はい。ただし1年度1社1出願という条件がついています。同じ年度に何件も出すことはできません。
そこは要注意ですね。まとめて出したいときは、どれを申請するか選ぶ必要があると。
申込資格としては、会社および個人事業者、中小企業団体、一般社団・財団法人が並記されています。基本の枠組みは同じで、1年度1社1出願という制限も共通です。
一般社団・財団法人でも申請できるのは、ちょっと意外でした。
そうですね。ただ、どの場合でも東京都内であることが前提になります。所在地の確認は忘れずに。
公式の掲載情報を見ると、対象業種として漁業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、情報通信業、複合サービス事業、サービス業、農業・林業、鉱業・採石業・砂利採取業、運輸業・郵便業、卸売業・小売業、金融業・保険業、不動産業・物品賃貸業、学術研究・専門・技術サービス業、宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス業・娯楽業、教育・学習支援業、医療・福祉が挙がっています。
かなり広いですね! 自分の業種がどこに入るか迷ったらどうすればいいんですか?
分類の判断は素人目だと難しいので、東京都知的財産総合センターに確認するのが確実です。
掲載情報では従業員数300名以下という条件が示されています。ここもあわせて確認しておいてください。
あなたは対象になりそう?東京都内の中小企業者等ですか?
はい申込資格を満たす可能性が高い
業種と従業員数の条件も確認
第2回は令和8年10月16日17時まで
じゃあ、どんな費用が対象になるのか教えてください。
ここが申請書を書くうえで、いちばん実務的なところです。
外国出願手数料、代理人費用、翻訳料、先行技術調査費用、国際調査手数料、国際予備審査手数料、そして「等」とされています。
翻訳料が入っているのは大きいですね。外国出願は翻訳が高いというイメージがあります。
そうなんです。代理人費用も見逃せません。このあたりが積み上がって、気づけば数十万円という単位になりがちです。
最後の「等」が気になります。どこまで含まれるんですか?
公式の掲載情報では、その「等」の中身が細かく列挙されているわけではありません。ですので、自分の経費が入るかどうか迷ったら、公募要領で要確認にしてください。
なるほど。勝手に「たぶん入るだろう」で進めるのは危ないですね。
危ないです。特に名称が近い別の費用は、判断が分かれるところです。問い合わせ先に遠慮なく聞いてください。
公式の掲載情報では、対象外の経費が細かく示されているわけではありません。だからこそ「自己判断しない」が原則です。
はい。でも、対象外っぽいものの例すら分からないと、質問のしようがない気もします。
そこは、自分の出願にかかる費用の内訳を一度書き出してから、一つずつ確認するのが早いです。整理してから聞けば、回答も具体的になります。
なるほど! 手元を整理してから問い合わせる、ですね。
この助成金のメリットと注意点- 外国出願の費用負担を1/2以内で軽減できる
- 上限60万円で代理人費用や翻訳料も対象
- 助成対象期間が2年8か月あり出願時期に幅がある
- 個人事業主や一般社団・財団法人でも申請できる
×デメリット
- 第2回の受付は令和8年10月1日〜10月16日と短い
- jGrantsでの申請と書類提出の両方が必要
- 1年度1社1出願の制限がある
- 対象外経費や「等」の範囲は公募要領で要確認
令和8年10月1日から令和8年10月16日までです。締切は10月16日の17時ちょうどです。
そうなんです。しかも今回は第2回で、第1回は令和8年5月8日から令和8年5月22日まででした。1年に2回チャンスがある形です。
あ、じゃあ第1回を逃した人も、第2回に間に合う可能性があるんですね。
そういうことです。ただし受付期間が短いので、書類をそろえる作業は受付開始前から進めておくのが安全です。
公式に示されている受付期間は、第1回が令和8年5月8日(金)から5月22日(金)17時まで、第2回が令和8年10月1日(木)から10月16日(金)17時までです。助成率1/2以内、助成限度額60万円という枠組みは、この事業の助成内容として案内されています。
そう理解しておけば大丈夫です。ただし、年度内の公募内容は公募要領で要確認をお願いします。
第1回と第2回の受付期間| 項目 | 第1回 | 第2回 |
|---|
| 受付開始 | 令和8年5月8日(金) | 令和8年10月1日(木) |
| 受付終了 | 令和8年5月22日(金) | 令和8年10月16日(金) |
| 締切時刻 | 17時まで | 17時まで |
jGrantsでの交付申請と、申請書類の提出の両方です。両方の手続きを申請受付期間内に完了できない場合、申請を正式に受理してもらえません。
郵送なら到着日、電子なら送信完了の時刻が基準になります。前日に慌てないように、遅くとも1週間前には準備を終えておきたいところです。
大前提として、jGrantsでの交付申請と申請書類の提出、この2つが必要です。どちらか片方だけでは正式に受理されません。
jGrantsって、補助金のポータルサイトですよね。何か準備は必要ですか?
電子申請になりますので、GビズIDの取得が必要です。発行までに日数がかかることがあるので、ここも早めに動いてください。
ID取得から始まるんですね。具体的な手順を図で見たいです!
第2回の申請の流れ- 1
GビズIDを取得
jGrantsの電子申請に必要。発行に日数がかかるため早めに
- 2
公募要領と様式を入手
対象経費・要件・提出書類を確認
- 3
- 4
jGrantsで交付申請
受付期間内に電子申請を完了させる
- 5
申請書類を提出
jGrants申請と書類提出の両方が必要
- 6
受付期間内に両方完了
令和8年10月16日17時までに終える
6ステップですね。最後の「両方完了」が図でわかると、抜け漏れが防げそうです。
そうなんです。片方だけで終わっているケースは本当にもったいないので、チェックリストにして管理してください。
一番多いのは締切の勘違いです。令和8年10月16日の17時までに、jGrantsの申請と書類提出の両方を終える必要があります。
17時は勤務時間の終わりと同時なので、当日のトラブルは致命的ですね。
そうですね。あとは助成対象期間との関係です。令和8年4月1日から令和10年11月30日までの間に、実際の出願が完了している必要があります。
申請して満足、ではなくて、その後の出願までセットで考えると。
はい。押さえるべきところは、実はそんなに多くありません。
基本は、制度の目的に沿っているかどうかです。海外での知的財産侵害訴訟リスクへの対策として、早期に権利化できる実用新案を活用しようとする東京都内の中小企業者等を支援する、という趣旨に合っているか。
つまり「海外で事業をやるつもりがある」という意思が伝わる必要がある、と。
はい。国際競争力の向上、経営基盤の強化、東京の産業の活性化につながるか、という視点で読まれると考えて準備しましょう。
まず受付期間が短いので、公募要領を早く読むこと。次に、対象経費の内訳を書き出して整理すること。そして、迷った点を問い合わせ先に確認することです。
問い合わせって、どのタイミングでするのがいいんでしょうか?
受付が始まる前に、自分の経費内訳を持って聞くのが理想です。外から見ても判断できない部分を、早い段階でつぶせます。
そうですね。質問を整理しておくと、回答も具体的になります。
ここまでで、だいぶ整理できました。最後に確認させてください。
jGrantsのページと、東京都知的財産総合センターのページです。問い合わせ先は東京都知的財産総合センター、住所は東京都台東区台東1-3-5 反町商事ビル1階です。
令和8年度のスケジュール令和8年4月1日
助成対象期間スタート
この日以降の出願が助成対象
令和8年5月8日〜5月22日
第1回の受付
5月22日17時まで
令和8年10月1日
第2回の受付開始
jGrantsでの申請と書類提出がスタート
令和8年10月16日
第2回の締切
17時までに両方の手続きを完了
令和10年11月30日
助成対象期間の終わり
ここまでに出願を完了させる
最後に、これだけは確認して、というポイントを3つ挙げてもらえますか?
1つ目は、東京都内の中小企業者等で、1年度1社1出願であること。2つ目は、助成対象期間が令和8年4月1日から令和10年11月30日までであること。3つ目は、令和8年10月16日17時までに、jGrantsの申請と書類提出の両方を終えることです。
あとは、対象経費の範囲や業種の該当可否など、迷うところは公募要領で要確認。これが最短ルートです。