海外展開を考えたとき、知っておきたい補助金とは?

佐藤

佐藤

編集長

室谷さん、今日は「INPIT外国出願補助金」について教えてください。名前からして、海外に特許とかを出すときの補助金ですよね?
室谷

室谷

代表取締役

そうですね。外国で発明や商標などの権利を取ろうとするとき、その出願にかかるお金の一部を国が助けてくれる制度です。ざっくり言うと、海外展開を本気で考えている中小企業にとっては、かなり心強い味方になりますよ。
佐藤

佐藤

編集長

なるほど。でも、海外で特許を取るって、なんだかハードルが高そうなイメージがあります。実際、どんな人が対象なんですか?
室谷

室谷

代表取締役

まず、この補助金の実施主体はINPIT=独立行政法人工業所有権情報・研修館です。特許庁の関連団体ですね。対象は「中小企業者」と「試験研究機関等」。つまり、中小企業やスタートアップ、大学なんかも対象になってきます。漁業や建設業、製造業、情報通信業、サービス業など、業種の幅はすごく広いんですよ。
佐藤

佐藤

編集長

え、うちみたいな飲食店でもいいんですか? と思ったら、対象業種に「宿泊業、飲食サービス業」も入っていますね。意外と広い。
室谷

室谷

代表取締役

そうなんです。飲食店でも、海外で店舗展開するならロゴや店名を商標登録したいですよね。あれって国ごとに出願が必要なんですが、その費用を助けてくれるのがこの補助金なんです。
佐藤

佐藤

編集長

それはありがたい。でも、補助金って書類が大変だったり、条件が細かかったりするイメージがあって……。今日はしっかり仕組みを理解したいです。
室谷

室谷

代表取締役

いいですね。それじゃあ、ラジオ感覚でゆったりいきましょう。最初に大枠をつかんで、そのあと細かい条件を一緒に確認していきましょう。

この補助金の大きな特徴は?

佐藤

佐藤

編集長

まず、この補助金の特徴を3つくらいに絞って言うなら、どんな感じですか?
室谷

室谷

代表取締役

1つ目は、海外での特許・実用新案・意匠・商標の出願費用が補助対象になること。2つ目は、補助率が2分の1、つまり出費の半分が戻ってくること。3つ目は、1社につき上限300万円まで、という規模感ですね。
佐藤

佐藤

編集長

上限300万円は大きいですね。具体的な仕組みを図で見せてもらえますか?
INPIT外国出願補助金の特徴
海外の権利取得を支援
特許・実用新案・意匠・商標を外国で出願する費用が対象
補助率は2分の1
かかった経費の半分を国が負担
上限は300万円
1社あたり年間300万円が上限
中小企業と試験研究機関
幅広い業種の中小企業や大学などが申請可能
室谷

室谷

代表取締役

しかも、この補助金の面白いところは「PCT国際出願」や「マドプロ」「ハーグ」といった国際的な出願ルートにも対応しているんです。
佐藤

佐藤

編集長

PCTって何だっけ? と、頭が止まりそうになりました(笑)。やさしく教えてもらえますか?
室谷

室谷

代表取締役

かんたんに言うと、特許をまとめて世界中に出願できる「入り口」みたいな制度です。いっぺんに複数の国を指定しておくと、あとから「どの国で本格的に権利化するか」を決められる。マドプロは商標、ハーグは意匠の国際出願システムです。
佐藤

佐藤

編集長

つまり、国ごとにバラバラに出願するより、まとめて手続きする方法もあるんですね。
室谷

室谷

代表取締役

そうです。もちろん、国ごとに直接出願する「パリルート」でも対象になります。要するに「海外で権利を取りに行く」という行為そのものを支援してくれるわけです。

いくらもらえる? 補助額と補助率の詳細をチェック!

佐藤

佐藤

編集長

じゃあ、ここからはお金の話を詳しくお願いします。まずは基本の金額から。
室谷

室谷

代表取締役

基本は3点セットで覚えてください。補助率は2分の1、年間の上限は300万円、そして1回の公募で1社1申請まで。この3つが柱になります。
佐藤

佐藤

編集長

補助率2分の1はうれしいけど、上限300万円ということは、全部で600万円分の出願費用がかかれば上限に達する計算ですね。
室谷

室谷

代表取締役

そのとおりです。ただし、出願の種類によって「1出願あたりの上限額」が細かく決められているんです。そこを表にしてみました。
佐藤

佐藤

編集長

1出願あたりの上限もあるんですね。これを表で見せてください。
室谷

室谷

代表取締役

どうぞ。
出願の種類1出願あたりの補助上限額
特許出願150万円以内
実用新案出願・意匠出願・商標出願60万円以内
商標の冒認対策出願30万円以内
佐藤

佐藤

編集長

なるほど。特許は150万円まで。では、複数国に出願したらどうなるんですか?
室谷

室谷

代表取締役

良い質問です。ここ、ちょっとトリッキーなんですが、特許の場合は「1出願」という考え方があって、複数の国・地域に出願する場合も「1出願」としてカウントされます。
佐藤

佐藤

編集長

えっ、そうなんですか?
室谷

室谷

代表取締役

ただし、金額の計算が特殊で、特許の場合は「150万円×指定国数」と、出願にかかった実費のどちらか低い方が上限になります。だから、たくさん国を指定して出願するなら、それだけ金額の枠が広がっていくイメージです。
佐藤

佐藤

編集長

なるほど。「1出願の括り」と「指定国数を掛けた上限」の組み合わせなんですね。ややこしいけど、多国出願する人には有利な仕組みですね。
室谷

室谷

代表取締役

一方、実用新案・意匠・商標の場合は、1出願あたり60万円という枠が基本です。商標の冒認対策出願は30万円までと、さらに細かいルールがあります。
佐藤

佐藤

編集長

商標の冒認対策出願。これ、どういう場面で使うんですか?
室谷

室谷

代表取締役

自分の会社の商標を海外で勝手に先に登録されてしまう「冒認出願」を防ぐための出願です。知らない間に現地の業者に名前を取られてしまうケースがあるんですよ。そういうトラブル対策もこの補助金の対象になるんですね。

「中間手続補助」って何?

佐藤

佐藤

編集長

そういえば、調べていたら「中間手続補助」という言葉も出てきたんですが、これは何ですか?
室谷

室谷

代表取締役

出願した後の話です。外国で特許を出願すると、現地の特許庁から「ここが違いますよ」と拒絶理由通知が来ることがあります。それに対して反論したり、出願審査請求をしたりする手続きの費用を補助するのが「中間手続補助」です。
佐藤

佐藤

編集長

出願だけじゃなくて、その後の手続きも見てくれるんですね。
室谷

室谷

代表取締役

ええ。令和8年度(2026年度)から、この中間手続補助が用意されているんです。出願手続補助の採択を受けた事業者が対象になるので、まずは出願手続の補助に応募するのが入口になります。
佐藤

佐藤

編集長

なるほど。じゃあ、この補助金に採択されて出願して、それから拒絶理由通知が来たら、中間手続補助に進めるわけですね。
室谷

室谷

代表取締役

その流れでOKです。中間手続補助の交付申請受付期間は、令和8年(2026年)4月1日10時から12月14日17時まで。出願手続補助とは別のスケジュールになっていますから、頭の片隅に入れておいてください。

年間上限300万円はどうやって数えるの?

佐藤

佐藤

編集長

ここで確認ですが、「年間上限300万円」というのは、たとえば第4回だけで使えるんですか?
室谷

室谷

代表取締役

そこが重要なポイントで、1年度の間に複数回公募がありますが、トータルでの上限が300万円です。たとえば第1回で200万円の補助を受けたら、同じ年度の第4回では残り100万円まで、ということになります。
佐藤

佐藤

編集長

ああ、なるほど。年間で300万円の枠なんですね。1回で全部使わなくても、何回かに分けて戦略的に使うこともできると。
室谷

室谷

代表取締役

そうですね。ただ、1社(者)1申請というルールがありますから、同じ回に複数の案件を出したい場合は、まとめて1つの申請にしなくちゃいけません。ここはよく注意してください。
佐藤

佐藤

編集長

まとめて申請すれば、複数案件分を1回で申請できるんですね。
室谷

室谷

代表取締役

そうです。複数案件を申請したいなら、申請フォームで案件をまとめる必要があります。ぱらぱらと別々に出そうとするとNGです。

誰が申請できるの? 対象者と資格を徹底確認!

佐藤

佐藤

編集長

次は対象者の条件です。さっき「中小企業者と試験研究機関等」と聞きましたが、具体的にどんな人が当てはまるんですか?
室谷

室谷

代表取締役

これはね、公式には「中小企業者及び試験研究機関等」としか書かれていないんですが、詳しい要件は公募要領に載っています。ただ、一般的な中小企業の枠組みから言うと、まずは資本金と従業員数の基準をチェックするのが基本です。
佐藤

佐藤

編集長

やっぱり資本金と従業員数の縛りがあるんですね。具体的な数字を教えてください。
室谷

室谷

代表取締役

代表的なところで言うと、製造業、建設業、運輸業は資本金3億円以下かつ従業員300人以下。卸売業は資本金1億円以下かつ従業員100人以下。小売業は資本金5,000万円以下かつ従業員50人以下という基準です。
佐藤

佐藤

編集長

うちは製造業で従業員80人くらいだから、余裕で中小企業の範囲ですね。
室谷

室谷

代表取締役

そうですね。サービス業でも、ソフトウェア業や情報処理サービス業は資本金3億円以下かつ従業員300人以下と比較的幅が広いです。ただ、その他のサービス業だと資本金5,000万円以下かつ従業員100人以下という基準になる場合もありますから、自社の業種区分をしっかり確認しましょう。
佐藤

佐藤

編集長

自分がどの業種区分に当てはまるか、ちゃんと調べないといけないんですね。

個人事業主やスタートアップは対象?

佐藤

佐藤

編集長

個人事業主でも対象になりますか?
室谷

室谷

代表取締役

中小企業者の枠組みには個人事業主も含まれます。開業届を出している個人事業主であれば、対象になるかどうかを検討できると思います。ただ、詳しい確認は公募要領を見てください。
佐藤

佐藤

編集長

スタートアップはどうですか?
室谷

室谷

代表取締役

ここは面白いところで、通常の中小企業の資本金基準とは別に「創業特定法人」という枠があります。資本金3億円以下の法人で、設立から10年を経過していない法人がこの枠に該当します。つまり、設立間もないベンチャー企業でも、資本金が大きいからといって諦めなくていいわけです。
佐藤

佐藤

編集長

なるほど。 VCからたくさん資金調達していて資本金が大きいスタートアップでも、創業10年以内なら対象になる可能性がある。いい話ですね。
室谷

室谷

代表取締役

ええ。あと大学の研究職員や高等専門学校、独立行政法人など、試験研究機関等も対象です。さらに「実施権者等」という枠もあって、中小企業や試験研究機関の出願人から実施権の設定を受けて、出願経費の一部または全部を負担する人も対象になります。

みなし大企業は対象外?

佐藤

佐藤

編集長

逆に、対象にならないケースはありますか?
室谷

室谷

代表取締役

大事なのが「みなし大企業」です。中小企業でも、発行済み株式の総数の2分の1以上を同じ大企業が所有している場合、あるいは3分の2以上を複数の大企業が所有している場合は、実質的に大企業とみなされて対象外になります。
佐藤

佐藤

編集長

あー、親会社が大企業だと、子会社は中小企業でも対象外になっちゃうんですね。
室谷

室谷

代表取締役

そうです。これはほかの補助金でもよくあるルールですが、頭に入れておいて損はないです。もし自分の会社がこの「みなし大企業」に当たるかどうか微妙だったら、事務局に問い合わせるのが確実です。

対象になる経費・ならない経費は? 費用の線引きを学ぼう

佐藤

佐藤

編集長

補助金で一番気になるのは、どのお金が対象になるかですよね。外国出願って、どんな費用がかかるんですか?
室谷

室谷

代表取締役

大きく分けると、外国特許庁に払うお金、弁理士さんに払うお金、翻訳会社に払うお金、銀行の送金手数料、このあたりが柱になります。
佐藤

佐藤

編集長

具体的に見せてもらえますか?
補助対象経費と対象外経費
メリット
  • 外国特許庁等への庁費用(出願、国内移行手続、審査請求など)
  • 国内代理人(弁理士)費用と現地代理人費用
  • 出願書類の翻訳費用
  • 銀行振込手数料・送金手数料(按分も可)
×デメリット
  • 補助金の申請書類・報告書類の作成費用
  • 印紙税や海外のVAT・サービス税
  • 日本国特許庁に納める費用
  • 先行技術調査費用
  • 登録料・登録税
  • 消費税(補助対象経費から除外して算定)
佐藤

佐藤

編集長

補助金の申請書類を作るための費用は対象外なんですね。そこは自己負担になるわけか。
室谷

室谷

代表取締役

そうですね。あと、気をつけたいのが「消費税」です。補助対象経費から消費税はあらかじめ除外して算定するのがルールですから、見積もりを組むときに税抜き金額で考える必要があります。
佐藤

佐藤

編集長

税抜きで考えるのはいつもの補助金と一緒ですね。外貨で支払う場合はどうなるんですか?
室谷

室谷

代表取締役

外貨の場合は、支払日における市場レートで円に換算して計算します。為替のタイミングによって実質の金額が動く可能性があるので、その点も頭に入れておいてくださいね。

「登録料」が対象外なのはなぜ?

佐藤

佐藤

編集長

登録料が対象外なのはなぜですか? 権利を取るための費用なのに、ちょっと意外でした。
室谷

室谷

代表取締役

この補助金はあくまで「外国における権利化に要する経費の一部」を支援するもの。ただ、実際の公募要領では、登録料や登録税は補助対象外とされています。つまり「権利を登録して終わり」ではなく、出願段階の活動を重点的に後押しする設計になっているんですね。
佐藤

佐藤

編集長

なるほど。出願した後の登録費用は、自分で持ってください、ということか。これは重要ポイントですね。
室谷

室谷

代表取締役

あと、日本国特許庁に納める費用も対象外です。マドプロの本国官庁費用や優先権証明書の発行料などは含まれないので、注意してください。
佐藤

佐藤

編集長

なるほど。国際出願でも、日本側でかかるお金は対象外なんですね。

「出願コメント費用」って何?

佐藤

佐藤

編集長

対象経費の一覧に「出願コメント費用」という見慣れない項目があったんですが、これは何ですか?
室谷

室谷

代表取締役

海外の特許事務所に出す「コメント」みたいな書類の作成費用のことですね。PCT出願のときに、出願人の意見をまとめたコメントを提出することがあります。その作成にかかる費用を指しているケースが多いです。
佐藤

佐藤

編集長

弁理士さんが書類を準備するのに必要な費用ということですね。
室谷

室谷

代表取締役

そう捉えておいてOKです。手続補正書の庁費用や出願審査請求に必要な庁費用も対象になりますから、出願から審査までの一連の流れでかかる費用が幅広く対象になる、というのがこの補助金の特徴と言えます。

申請の流れはどうなっている? ステップを詳しく解説!

佐藤

佐藤

編集長

じゃあ、ここからは実際にどうやって申請するのかを教えてください。まず、申請方法は何ですか?
室谷

室谷

代表取締役

政府補助金電子申請システム「jGrants」による電子申請のみです。書類を郵送したり窓口に持っていったりするのではなく、オンラインで完結します。
佐藤

佐藤

編集長

電子申請ですか。最近の補助金はだいたいそうですよね。まず何から始めればいいですか?
室谷

室谷

代表取締役

最初の関門が、GビズIDプライムアカウントの取得です。これは国が運営する法人向けのIDで、取得に約1〜2週間かかるんですね。だから、公募が始まってからあわてても遅い。締切の2〜3週間前にはアカウントを用意しておきたいところです。
佐藤

佐藤

編集長

えっ、1〜2週間もかかるんですか。それは本当に要注意ですね。
室谷

室谷

代表取締役

そうなんです。しかも、取得するだけじゃなくて、電子証明書を登録するなどの手続きもあります。慣れていないと時間がかかるので、早めに準備するのが鉄則です。

申請してから採択までの流れは?

佐藤

佐藤

編集長

GビズIDを用意したあとはどうなりますか?
室谷

室谷

代表取締役

流れを図にすると、こんな感じです。
補助金申請の流れ
  1. 1
    GビズIDプライムを取得
    約1〜2週間かかるので早めに準備
  2. 2
    公募要領と様式を確認
    INPITのHPで第4回の要領を入手
  3. 3
    申請書類を作成
    出願予定の内容・経費・スケジュールを整理
  4. 4
    jGrantsで電子申請
    9月28日17時までに提出
  5. 5
    書類審査・採否決定
    事務局が必要書類の修正等を依頼することも
  6. 6
    交付決定
    採択後に出願手続を開始
  7. 7
    実績報告
    支払い完了後30日以内に報告
  8. 8
    精算払請求
    補助額確定後に請求書を提出し振込
佐藤

佐藤

編集長

申請して終わりじゃなくて、採択後に出願して、実績を報告して、お金を受け取る、という流れなんですね。
室谷

室谷

代表取締役

そう、ここも大切な点で、この補助金は基本的に「後払い」です。自分でいったん出願費用を支払って、そのあとで実績報告をして、補助金を受け取る。だから一時的な資金の立て替えが必要になります。
佐藤

佐藤

編集長

資金繰りの計画をちゃんと立てておかないとですね。

申請後の連絡で気をつけることは?

室谷

室谷

代表取締役

あと、これは本当に重要な注意点なんですが、応募申請した後、事務局が提出書類を確認して、「ここが足りないので直してください」という連絡をすることがあるんです。
佐藤

佐藤

編集長

えっ、申請して終わりじゃないんですね。
室谷

室谷

代表取締役

そうなんです。不備や不足書類の修正・追加提出をお願いされることがあります。そして、公募期間が終了する直前だと、修正に対応する時間が十分に確保できない恐れがあります。
佐藤

佐藤

編集長

つまり、締切ギリギリに出すと、直してくださいと言われても直す時間がない、と。
室谷

室谷

代表取締役

そのとおり。だからこそ、早めの応募申請が強く推奨されているんです。INPITの公式サイトにも、早目の応募申請にご協力くださいと明記されています。
佐藤

佐藤

編集長

なるほど。補助金の申請は早めに出すのが正義なんですね。あと、システムエラーも起きるって本当ですか?
室谷

室谷

代表取締役

実際のページにも書いてありますが、応募締切直前は申請が混み合い、システムエラーが表示されることがあります。9月28日17時ちょうどに駆け込む、なんていうのは一番危険なパターンですね。時間に余裕を持って申請しましょう。

いつまでに申し込む? 令和8年度・第4回のスケジュール

佐藤

佐藤

編集長

今回の第4回はいつからいつまでですか?
室谷

室谷

代表取締役

今回、メインで解説しているのは令和8年度・第4回公募ですね。募集期間は2026年9月7日10時から2026年9月28日17時までです。約3週間ですから、案外短いですよ。
佐藤

佐藤

編集長

3週間! 書類を集めることを考えると、GビズIDの取得を含めて準備はもう始めておくべきですね。
室谷

室谷

代表取締役

そうなんです。特に、出願したい国や出願ルートを検討するだけでも時間がかかりますからね。募集期間の前に、弁理士さんと相談して出願戦略を固めておくのが理想です。

令和8年度の公募スケジュール全体は?

佐藤

佐藤

編集長

第4回以外にも公募があったんですか?
室谷

室谷

代表取締役

令和8年度は、今回の第4回のほかにも複数回の公募が行われています。公式の新着情報を見ると、第1回、第2回、第3回と受付があったようです。第4回は令和8年度の最後の公募の可能性が高いですね。
佐藤

佐藤

編集長

じゃあ、この機会を逃すと、次はいつになるか分からない?
室谷

室谷

代表取締役

そこは確実なことは言えないので、必ず公式情報を確認してください。ただ、令和8年度の流れを見ると、第1回が令和7年12月1日開始、第2回が令和8年3月2日開始、第3回が令和8年6月8日開始、そして今回の第4回が9月7日開始となっています。今回のがダメなら年末か来年まで待つ可能性もある、と意識しておいたほうがいいでしょう。
令和8年度の公募スケジュール
  1. 2025年12月
    第1回公募
    令和8年度の受付開始
  2. 2026年3月
    第2回公募
    受付終了
  3. 2026年6月
    第3回公募
    受付終了
  4. 2026年9月7日〜9月28日
    第4回公募
    今回解説中の公募。10時〜17時受付
  5. 2026年4月〜12月
    中間手続補助
    出願手続補助の採択者が対象
佐藤

佐藤

編集長

なるほど、年間を通して複数回のチャンスがあるけど、どの回に出願するかも戦略ですね。
室谷

室谷

代表取締役

そうですね。出願準備が整っていれば、今回の第4回に応募するのがベストです。

申請のポイントと、審査で見られるのはどこ?

佐藤

佐藤

編集長

実際に審査するとき、何が見られているんでしょう? そこが知りたいです。
室谷

室谷

代表取締役

この補助金は、INPITの事務局が提出書類を確認して審査する流れです。書類の完成度はもちろん、出願の内容自体が「国際的な知的財産戦略」に沿っているかどうかが問われるでしょうね。
佐藤

佐藤

編集長

どういうことですか?
室谷

室谷

代表取締役

たとえば、海外に出願する理由がちゃんと説明できているか。つまり、どの国でどういうビジネスをしたいのか、そのためにどの権利を取るのか、というストーリーが明確かどうかです。
佐藤

佐藤

編集長

なるほど。ただ「うちの会社が海外で出願したいんです」だけじゃ弱いと。
室谷

室谷

代表取締役

あとは、申請書類の不備がないこと。ここはもう、本当に大切です。提出後に修正を求められると、採択までに時間がかかってしまったり、場合によっては間に合わなかったりする可能性もありますから。

申請書類を作るときのコツは?

佐藤

佐藤

編集長

書類を作るときのコツを教えてください。室谷さんがこれまで見てきた中で、こんな工夫が効いたというものはありますか?
室谷

室谷

代表取締役

そうですね。具体的な他社事例はちょっと出せませんが、一般的なポイントはあります。まず、出願する権利の内容と事業戦略の関係を明確にすること。そして、予定している出願国ごとに、なぜその国が必要なのかを具体的に書くことです。
佐藤

佐藤

編集長

「なぜこの国なのか」の理由を説明できるかどうかですよね。
室谷

室谷

代表取締役

そう。あとは、経費の見積もりが合理的であることも大事です。出願ルートを決めて、だいたいいくらかかるかを弁理士さんに見積もりしてもらって、正確な数字を出す。ざっくりした見積もりだと、後で実績報告するときにズレが出てきますからね。
佐藤

佐藤

編集長

1週間前を目安にするのはいいですね。修正依頼が来ても対応できる。
室谷

室谷

代表取締役

そう。実際にINPITも「公募期間終了の直前だと対応時間が確保できない恐れがある」と注意を呼びかけています。この業界、締切駆け込みは絶対にやめたほうがいいです。システムエラーのリスクもありますからね。

申請する前に確認したい注意点と併用ルール

佐藤

佐藤

編集長

他の補助金と併用できるんですか? この補助金のほかにも、海外展開を支援する制度があると聞きますが。
室谷

室谷

代表取締役

ここは注意が必要です。実は、ほかの助成事業の補助対象出願として申請・採択されている出願は、この補助金に応募できないというルールがあります。
佐藤

佐藤

編集長

あれ、併用NGなんですか?
室谷

室谷

代表取締役

完全に併用禁止というわけではなく、特定の出願が二重に助成されている状態を防ぐためのルールですね。同じ出願について、別の補助金をもらうことはできない、ということです。
佐藤

佐藤

編集長

なるほど。出願単位で見たとき、同じ出願を複数の補助金に申請するのはダメ、と。
室谷

室谷

代表取締役

そう解釈するのが自然です。もし併用できるかどうか迷ったら、事務局に問い合わせて確認するのが確実ですよ。

経済安全保障に関する注意点

佐藤

佐藤

編集長

あと、経済安全保障という言葉も出てきましたよね。これはどういうことですか?
室谷

室谷

代表取締役

経済安全保障推進法に定める「特許出願の非公開」制度に該当する発明を含む出願については、この補助金の応募申請ができません。つまり、国が特許出願の内容を秘密にしておくべきだと指定するような発明は、補助金の対象外というわけです。
佐藤

佐藤

編集長

特定の技術分野で輸出管理されるような案件は、補助金も使えない可能性があるんですね。
室谷

室谷

代表取締役

かなり限定的なケースですが、自社の技術が対象になるかどうか不安な場合は、事前に確認しておきましょう。

採択後の義務は?

佐藤

佐藤

編集長

採択された後には、何か義務があるんですか?
室谷

室谷

代表取締役

3つ覚えておいてください。1つ目は、補助事業完了後5年間、証拠書類を整理・保存する義務。2つ目は、権利化状況報告書の提出義務。3つ目は、経費の配分変更や事業の中止をする場合、事前にINPITの承認が必要ということです。
佐藤

佐藤

編集長

補助金をもらって終わりじゃなくて、その後もずっと報告義務が続くんですね。
室谷

室谷

代表取締役

そう。補助対象出願すべてについて、審査結果や登録状況を報告することが求められます。ここを忘れると面倒なことになりかねないので、しっかり管理できる体制が必要です。

海外展開を目指すなら、まず知財戦略から考えよう

佐藤

佐藤

編集長

話を聞いていると、この補助金を使うには「海外で何をしたいか」をちゃんと考えていないといけないですね。
室谷

室谷

代表取締役

まさにそのとおり。この補助金の目的は、単にお金を出すことではなくて、外国における権利取得を促進して、国際的な知的財産戦略の構築を支援することです。
佐藤

佐藤

編集長

だから、出願する権利とビジネス戦略が結びついていないと、審査を通りにくいんですね。
室谷

室谷

代表取締役

そう。逆に言うと、海外展開を本気で考えている中小企業にとっては、とても心強い制度ですよ。特許・実用新案・意匠・商標、どの権利でも対象になりますから、自社のビジネスに合わせて選べます。

日本で登録済みの商標を海外でも取る場合、どうする?

佐藤

佐藤

編集長

たとえば、うちが日本で登録済みの商標を海外でも出願したい場合、どういうルートになるんですか?
室谷

室谷

代表取締役

商標の国際出願には「マドリッド協定議定書」に基づくマドプロというルートがあります。これは、日本の特許庁を経由して、複数の国にまとめて商標登録の出願ができる仕組みです。対応する日本の商標出願がある場合に、このルートが使えます。
佐藤

佐藤

編集長

マドプロなら、いっぺんに複数国を指定できるんですね。
室谷

室谷

代表取締役

そうです。もちろん、パリルートと言って、各国の特許庁に直接出願する方法もあります。どちらのルートでも、この補助金の対象になり得ます。
佐藤

佐藤

編集長

どのルートが自分に合っているかは、弁理士さんに相談するのが早いですか?
室谷

室谷

代表取締役

そうですね。国によって出願の仕組みや費用が違いますし、商標の区分も複雑なので、専門家のサポートを受けるのがおすすめです。

補助金の申請と出願手続きは誰がやるの?

佐藤

佐藤

編集長

補助金の申請手続きって、自社でやらなきゃいけないんですか? 専門家に頼むことはできますか?
室谷

室谷

代表取締役

jGrantsでの電子申請は、自社で行うことが原則です。ただし、申請書類の作成や出願戦略の相談は、弁理士さんなどの専門家に依頼することができます。
佐藤

佐藤

編集長

弁理士さんに申請代行まで頼めるんですか?
室谷

室谷

代表取締役

民間の事務所によっては、補助金申請のサポートサービスを提供しているところもあります。ただ、この補助金の申請は、あくまで「自社の出願予定」を正確に書くことが大事なので、まずは自社の計画を固めるのが先決ですよ。
佐藤

佐藤

編集長

確かに、誰に頼むにしても、自社の海外戦略が曖昧なら話になりませんね。

申請の前にチェック! よくある質問と回答

佐藤

佐藤

編集長

ここからは、よくある質問にサクッと答えてもらえますか?
室谷

室谷

代表取締役

どうぞ、何でも聞いてください。

Q1. 補助金は返済が必要ですか?

佐藤

佐藤

編集長

まずこれ。補助金って返さなくていいんですよね?
室谷

室谷

代表取締役

補助金なので、原則として返済は不要です。ただし、採択後に報告義務を果たさなかったり、経費の使い方がルールに反していたりすると、返還を求められる可能性はあります。
佐藤

佐藤

編集長

返さなくていいけど、ルールを守らないと返せと言われる、と。あくまでちゃんと手続きをしましょう、ということですね。

Q2. 特許と商標をまとめて申請できますか?

佐藤

佐藤

編集長

特許出願と商標出願を同時に国内で出していて、海外でも両方取りたい場合、一つの申請書にまとめられますか?
室谷

室谷

代表取締役

1社1申請というルールがあるので、1回の申請で複数案件をまとめて申請することができます。ただし、それぞれの出願について、対象経費やスケジュールをきちんと明記する必要があります。まとめ方の詳細は公募要領を確認してくださいね。

Q3. 出願前に費用を払ってしまったらどうなりますか?

佐藤

佐藤

編集長

これは私がひっかかりそうな質問です。弁理士さんに見積もりをもらって、出願しちゃった後でも申請できますか?
室谷

室谷

代表取締役

ここは要注意です。補助対象経費は、交付決定後に契約(発注)を行い、補助事業実施期間内に検収および支払いが完了したものに限られます。つまり、交付決定前に発注したり支払ったりした費用は、たとえ内容が合っていても補助対象にならない可能性が高いです。
佐藤

佐藤

編集長

えっ、じゃあ先に出願しちゃったらもうダメなんですか?
室谷

室谷

代表取締役

そのとおり。この補助金は「これから出願する」という案件に対して交付されるものです。もう出願してしまったものは対象外になる可能性があるので、必ず交付決定後に発注してください。

Q4. 問い合わせ先はどこですか?

佐藤

佐藤

編集長

最後に、困ったときの問い合わせ先を教えてください。
室谷

室谷

代表取締役

INPIT外国出願補助金事務局です。電話は03-3502-5424。受付時間は10時から17時までで、土日祝日と12月29日から1月3日はお休みです。
室谷

室谷

代表取締役

メールアドレスは、公式サイトに「★」を「@」に変えて送信してくださいと書かれていることがあるので、間違えないようにしてくださいね。「お間違いのないよう十分ご注意ください」と公式でもかなり強調されています。

まとめ:海外出願を考えたら、まずはスケジュールを確認しよう

佐藤

佐藤

編集長

今日の話を整理して、最後にポイントをまとめてもらえますか?
室谷

室谷

代表取締役

もちろん。まず、INPIT外国出願補助金は、海外での特許・実用新案・意匠・商標の出願費用を支援する制度です。補助率は2分の1、年間上限は300万円。今回の第4回公募の締切は2026年9月28日17時です。
佐藤

佐藤

編集長

申請はjGrantsで、GビズIDプライムが必要でしたよね。
室谷

室谷

代表取締役

そうです。GビズIDの取得に1〜2週間かかるので、まだ持っていない人はいますぐ始めるのがいい。そして、書類は早めに出す。この2点が本当に大事です。
佐藤

佐藤

編集長

全体像がつかめました。海外展開を考えている事業者にとっては、本当に心強い制度ですね。室谷さん、今日はありがとうございました!
室谷

室谷

代表取締役

こちらこそ。ぜひ、この補助金をうまく活用して、海外での権利取得を目指してください。もし不明な点があれば、遠慮なく問い合わせ先に連絡してみてくださいね。
佐藤

佐藤

編集長

ありがとうございました!