室谷さん、今日は「ディープテック・スタートアップ支援基金/ディープテック・スタートアップ支援事業第10回公募」というテーマです。名前がながーいですね(笑)。そもそもディープテックって、どういう技術のことを指すんですか?
いい質問です。ディープテックとは、技術の確立や事業化・社会実装までに長期の研究開発と大規模な資金が必要で、リスクが高いものの、国や世界全体で解決すべき経済社会課題の解決にもつながる革新的な技術を指します。NEDOの公募ページにもそう書かれていますよ。
なるほど。「リスクは高いけど社会課題を解決できる可能性がある」技術をやっているスタートアップを応援する制度なんですね。
そうです。実施するのは国立研究開発法人のNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)。プロジェクトコードはP23019で、扱いは「研究(委託、共同研究、補助)」です。
NEDOといえば、あの大きな研究開発法人ですよね。正直、中小企業向けの補助金ばかり見ている私には、ちょっと別世界な気もします…。
確かに、一般的な補助金よりは研究開発寄りです。ただ、今回の公募は「ディープテック・スタートアップ」を対象にしていますから、大学発ベンチャーや研究者が立ち上げた企業などがメインターゲットですね。
では、今回の第10回公募は、いつ締め切りなんですか?
ここが大事なポイントです。jGrantsの基本情報では、募集期間は2026年9月3日から2026年9月8日まで。つまり、応募受付が約6日間しかないんです。
えっ、6日!? 9月3日から9月8日って…。普通の補助金なら1ヶ月くらいあるイメージですけど、かなり短いですね。
そうなんです。ただし、これは今回の第10回公募の受付期間であって、NEDO自体は「通年で公募し、年4回程度」応募の機会を設けると説明しています。長期の支援制度なので、1回逃すとまた次が来る可能性はあります。
とはいえ、6日で書類を仕上げるのは無理がある…。事前準備がめちゃくちゃ大事そうだ。
ですから「まずは下調べをして、書類作成に必要な材料を集めておく」ことが攻略の第一歩になりますね。
この制度の特徴を3つにまとめると研究開発に特化した支援
技術確立・事業化まで時間と資金がかかるディープテック・スタートアップを支援
年4回程度の通年公募
第10回公募は2026年9月3日〜9月8日に受付
3つのフェーズで構成
STS・PCA・DMPの段階に分かれ、研究開発の進み具合に合わせて選ぶ
気になるのは金額です。今回の第10回公募って、上限はどこまで出るんですか?
実はここがクセモノでして。jGrantsの基本情報には、**補助金額の上限は「—」、補助率の記載は「なし」**となっているんです。
マジですか!? 上限も補助率も書いてないって、どうやって判断すればいいんですか?
まず、この制度自体が「1つの公募で1パターンの補助金」ではありません。NEDOの公募ページでは、STSフェーズ・PCAフェーズ・DMPフェーズという3つの段階に分かれていて、それぞれ支援内容も金額も異なると説明されています。
なるほど。だから「単純に上限○○万円」とは書けないわけですね。
はい。NEDOが2025年度の公募予告で示している数字をもとに、表に整理してみましょう。あくまで2025年度予告時点の「予定」ですから、第10回公募の確定値は公募要領を確認する必要があります。
| フェーズ | 支援内容 | 助成金の額(2025年度予告時点の予定) | 助成率(同) |
|---|
| STSフェーズ(実用化研究開発・前期) | 要素技術の研究開発や試作品の開発、事業化可能性調査 | 3億円以内または5億円以内 / 事業期間1.5〜2年程度 | 3分の2以下 |
| PCAフェーズ(実用化研究開発・後期) | 試作品の開発や初期の生産技術開発、主要市場獲得に向けた事業化可能性調査 | 5億円以内または10億円以内 / 事業期間1.5〜2年程度 | 3分の2以下 |
| DMPフェーズ(量産化実証) | 量産技術の確立・実証、生産設備・検査設備の設計・製作・購入・導入・運用 | 25億円以内 / 事業期間1.5〜2年程度 | 3分の2以下または2分の1以下 |
おお…、桁が違いますね。STSでも3億円以内か5億円以内って…。中小企業向けの補助金だと100万円単位が多いので、ビックリです(笑)。
桁は大きいですけど、その分、事業期間も長いんです。予告によると、NEDOは事業全体で1件あたりの助成金額の上限を30億円、事業期間の上限を6年とする予定だとしています。
30億円まで見込める可能性がある、と。ただし「予定」なんですね。
そう。「公募の詳細は、公募開始時に公募要領でご確認ください」というのがNEDOの公式スタンスです。第10回公募の要領が公開されたら、まずそこを読む。
実際にはどのくらいの金額が動いているんですか?具体的な実績があればイメージしやすいんですけど。
NEDOが公表している第8回公募の結果を見ると、応募100件に対して採択15件でした。そして、その15件に対する補助金の交付予定額は、合計で約73.1億円。内訳はDTSU事業が約65.1億円です。
15件で73.1億円…。1件あたりにすると4億円超えの計算になりますね。やっぱり事業規模が大きいんですね。
しかも、フェーズごとに見ると面白いんです。第8回公募ではSTSフェーズに56件、PCAフェーズに35件、DMPフェーズに9件の応募がありました。採択はSTSに10件、PCAに5件、DMPは0件です。
DMPは0件…。量産化実証はお金も大きいから、審査シビアなんですかね。
金額規模が大きい分、審査も慎重になるのだと思います。だからこそ「どのフェーズから応募するか」の見極めがすごく大切になってきますね。
応募できるのはどんな人ですか?私のような個人事業主でもいけるんでしょうか?
まずNEDOの公募ページでは、対象者を「企業(団体等を含む)」としています。ですから、法人だけでなく団体等も想定されている形ですね。
個人事業主は…「企業」って表現に含まれるかどうか、ちょっと微妙な気がします。
その解釈は公募要領で確認していただくのが確実です。ただ、jGrantsの基本情報では、対象業種に「学術研究、専門・技術サービス業」とありますから、研究者が個人で事業を始めたケースなどは視野に入っているのかもしれません。
研究開発型のスタートアップと言っても、法人成りしているかどうかや、登記からどのくらい経っているかで扱いが変わりそうですね。
そうですね。もし該当しそうかどうか迷うなら、後ほどご紹介する「事前相談」を活用するのがいいと思います。NEDO自身も、申請前の事前相談を積極的に実施すると明言していますから。
対象業種が「学術研究、専門・技術サービス業」って聞いて、意外と狭いなと思ったんですけど、どういう会社なら当てはまるんですか?
この制度が想定しているのは、大学や研究機関の研究成果をベースに事業化を目指すような企業です。NEDOの説明でも「技術の確立や事業化・社会実装までに長期の研究開発と大規模な資金を要する革新的な技術の研究開発に取り組むディープテック・スタートアップ」を対象としています。
つまり、いわゆるソフトウェアの開発だけ、マーケティングだけ、みたいな会社というよりは、しっかり「研究開発」をやっている会社がメインなんですね。
しかも、事業概要には「VC等との協調」や「ステージゲート審査の活用」を制度上盛り込むとあります。要するに、VCなどから資金調達をしながら、長期スパンで研究開発を進めていく企業を想定した制度なんです。
あ、ここで「事業会社との連携」という言葉が出てきましたね。どういう意味ですか?
NEDOの2025年度予告では、フェーズごとに求める書類が違うとされています。STSフェーズとPCAフェーズでは、大手企業などの事業会社と連携することに係る**関心表明書(LOI)**の提出を求める予定。
簡単に言うと「この事業会社と一緒にやりますよ」という意思表明の書類です。DMPフェーズになると、さらに踏み込んで**覚書(MOU)**の提出を求める予定とされています。
フェーズが上がるほど、取引先との関係も具体化していないといけないわけですね。これは簡単に書けない書類だ…。
3つのフェーズを比較してみた| 項目 | STS | PCA | DMP |
|---|
| 支援ステージ | 実用化研究開発(前期) | 実用化研究開発(後期) | 量産化実証 |
| 主な内容 | 要素技術や試作品の開発 | 試作品開発・初期の生産技術開発 | 量産技術の確立・実証 |
| 助成金額(2025年度予告) | 3億円以内または5億円以内 | 5億円以内または10億円以内 | 25億円以内 |
| 助成率(同) | 3分の2以下 | 3分の2以下 | 3分の2以下または2分の1以下 |
| 連携の書類 | LOIを求める予定 | LOIを求める予定 | MOUを求める予定 |
では、お金はどんなことに使えるんですか?ここが一番具体的に知りたいポイントです。
まずSTSフェーズ。これは「実用化研究開発(前期)」で、要素技術の研究開発や試作品の開発に加えて、事業化に向けた技術開発の方向性を決めるための事業化可能性調査を支援するものです。
要するに、まだ世の中に出ていない基礎的な技術を、事業にできるかどうか試す段階ですね。
そうです。「この技術で本当に事業が成り立つのか」を調べる費用も含まれているのがポイントです。研究だけやって終わり、ではなく、ちゃんと事業の目線を持つように設計されています。
次のPCAフェーズは、どんなことが対象になるんですか?
PCAは「実用化研究開発(後期)」です。試作品の開発や初期の生産技術開発に加えて、主要市場獲得に向けた事業化可能性調査を支援します。
STSとの違いは、より市場に近い段階ということですか?
そう言えますね。STSで技術の方向性を見極めたら、PCAでもっと具体的な試作品を作って、「この市場で売っていける」と証明する段階です。NEDOの言葉を借りると、試作品開発で主要市場の獲得を目指す、というイメージですね。
そして一番大きな金額のDMP。これは量産化実証でしたっけ。
はい。DMPでは、量産技術の確立・実証に係る研究開発や、そのために必要な生産設備・検査設備等の設計・製作・購入・導入・運用を通じて、商用化に至るために必要な量産化実証を支援します。
実験室レベルでうまくいっても、実際に工場で量産できるかは別問題ですからね。設備を買うところまで見てくれるのは心強いですね。
ただ、ここまで来ると助成率も「3分の2以下または2分の1以下」と、フェーズによって変わるとされています。第10回公募の詳細は要領を確認してください。
支援対象のイメージと注意点- STSでは要素技術研究と事業化可能性調査の両方が対象になり得る
- PCAでは試作品開発と市場調査をセットで進められる
- DMPでは量産設備の設計・製作・購入・導入・運用まで視野に入る
×デメリット
- そもそもディープテック・スタートアップ向けで、一般的な事業立ち上げにはマッチしない可能性がある
- フェーズごとに求める書類(LOIやMOU)が変わる予定
- 実際にどの経費まで認められるかは、第10回公募の要領で確認する必要がある
ここまで聞くと「設備費が対象」とか「人件費が対象」とか、もっと細かい経費リストがあると思ったんですけど…。
鋭いですね。残念ながら、提示された情報の中には、品目別の経費リストは含まれていませんでした。NEDOも「公募の詳細は、公募開始時に公募要領でご確認ください」としています。
やっぱり、具体的な経費の線引きは要領を読まないとわからないんですね。
ただ、DMPフェーズの説明では「生産設備・検査設備等の設計・製作・購入・導入・運用」と明記されていますから、設備投資系は射程に入っていると読めます。STSやPCAでも「試作品の開発」とありますから、外注加工費や材料費などが想定されるでしょう。
ここは詰めすぎず、「要領を確認してから判断する」が正解ですね。
応募方法はどうなってるんですか?紙で出すんですか?
今回、基本情報として示されているのは、jGrants(政府補助金の電子申請ポータル)のURLです。ですから、電子申請の流れになると考えられます。
jGrantsを使うなら、まずGビズIDが必要ですよね。
はい。公的な電子申請では、GビズIDを使ってログインするのが一般的です。GビズIDの取得には時間がかかるケースもあるので、まだ持っていない場合は、9月3日の受付開始を待たずに先に用意しておくのが安全です。
第10回公募は9月3日開始、9月8日締切ですからね。今から動かないと間に合わない…。
そういう意味では、この記事を読んでいる時点が「最初の一歩」ですよ。まずは公募要領を探して目を通しましょう。
第10回公募・応募までの基本ステップ- 1
GビズIDを準備
電子申請に必要なGビズIDを持っていなければ取得申請を進める
- 2
公募要領を確認
NEDOの公募ページやjGrantsから要領を入手し、要件・締切時刻・経費を確認
- 3
フェーズを選ぶ
STS・PCA・DMPのうち、自社の研究開発ステージに合うものを選ぶ
- 4
事業計画と書類を準備
LOIやMOUが必要かどうかを要領で確認し、関係者と調整する
- 5
電子申請を送信
記入漏れがないか確認し、募集期間の2026年9月3日〜9月8日の間に提出
- 6
審査・採択を待つ
外部有識者による審査を経て実施予定先が決定される
ステップで見ると、6日間の受付期間に申し込むには、その前にフェーズ選びと事業計画を終わらせておく必要がありますね。
まさにそこが肝心です。「募集が始まったら考えよう」では遅い。受付開始前に、要領で要求される書類のリストアップまで終えているのが理想です。
判明している部分だけ整理すると、こうなります。締切時刻や採択結果の公表時期は、公募要領でご確認ください。
第10回公募スケジュール(判明分)今すぐ
GビズIDと要領の確認
未取得のGビズIDを申請し、第10回公募の要領公開を待つ
2026年9月3日
受付開始
この日から電子申請の受付が始まる
2026年9月8日
応募締切
期限までに申請を完了させる。締切時刻は要領で確認
締切後
NEDOで審査
外部有識者による書面審査、採択審査委員会、NEDO内の審査が行われる
採択決定後
事業開始
実施予定先の決定後、交付決定を経て研究開発や実証事業に着手
審査は誰がやるんですか?やっぱり厳しいんでしょうね…。
NEDOの公表資料では、第8回公募の際に「外部有識者による書面審査、採択審査委員会及びNEDOにおいて厳正な審査を行い、実施予定先を決定いたしました」とあります。
外部有識者による書面審査と、採択審査委員会と、NEDO自身の審査。三段構えなんですね。
しかも、この制度は「ステージゲート審査」を活用する点が特徴です。STSからPCAへ、PCAからDMPへと次のフェーズに進む際にも、改めて審査があるということです。
つまり、いったん採択されれば終わりではなく、節目ごとに成果を見せていく必要があると。ハードルは高そうですが、その分、長期的に伴走してくれる制度なんですね。
先ほど第8回の数字が出ましたけど、もう一度整理しておきたいです。応募は100件、採択は15件でしたよね?
はい。内訳は、フェーズ全体で見るとSTSフェーズに56件、PCAフェーズに35件、DMPフェーズに9件。採択はSTSに10件、PCAに5件、DMPは0件です。
一番応募が多いSTSでさえ、56件中10件ですから…。簡単には通らないですね。
補助金の交付予定額は15件の合計で約73.1億円。うちDTSU事業で約65.1億円です。この規模感を見ると、いかに本気の研究開発案件が求められているかが伝わってきますね。
事前相談は大事そうですね。どうやって申し込むんですか?
NEDOは第8回の結果発表の中で「申請者が抱える課題や事業計画、進捗状況に適した支援内容を選択できるよう、申請前の事前相談を積極的に実施する」と述べています。
具体的な申し込み方法はどこを見ればいいんでしょう?
問い合わせ先は、NEDOスタートアップ支援部のDTSU事務局です。電話は
044-520-5173、メールは
dtsu@nedo.go.jpとなっています。
電話でもいいんですね。ただ、NEDOのページには「原則メールにて問い合わせ」と書いてあるみたいですが。
よく気がつきましたね。公式には「原則メール」と明記されていますから、まずはメールで連絡するのが無難です。担当者名やプロジェクト名(P23019)を伝えると、スムーズかもしれません。
NEDOの資料に「VC等との協調」という言葉が出てきました。VCから資金を調達していないと応募できないんでしょうか?
制度上、ステージゲート審査やVC等との協調を「組み込む」とされていますので、事業を成長させる仕組みとして重視されていることは間違いありません。ただ、だからといって「VC調達が絶対条件」とまでは資料からは断言できません。
そうなります。STSやPCAの予告では、事業会社との連携に係る関心表明書(LOI)の提出を求める予定とされていますから、まずは「技術の研究開発」だけでなく「事業としてどう広げるか」の説明ができる状態を目指しましょう。
もし採択されたら、どのくらいの期間、事業を続けることになるんですか?
2025年度予告では、各フェーズの事業期間を「1.5〜2年程度(ただし同一フェーズ内で最長4年)」とする予定です。そして、ステージゲート審査を経てフェーズを移行する場合でも、事業全体で1件あたりの事業期間の上限を6年とする予定だとされています。
単発の1年プロジェクトではなく、複数年にわたって研究開発を進められる。だからこそ、大きな金額の支援ができるんですね。
はい。逆に言えば、毎年成果報告やステージゲート審査があるわけですから、事業計画は「腰を据えてやり遂げる」覚悟で作る必要があります。
最後に、問い合わせ先をもう一度まとめておいてください。
NEDOスタートアップ支援部のDTSU事務局、電話
044-520-5173、メール
dtsu@nedo.go.jpです。繰り返しますが、NEDOのページには「原則メール」とありますので、ご注意を。
メールで問い合わせる際に、伝えておくとよいことはありますか?
プロジェクトコードはP23019です。問い合わせの件名や本文に事業名と公募回次(第10回公募)を入れておくと、先方も内容を特定しやすいと思いますよ。
ここまでの話を聞いて、「よし、やるぞ」と思った人が最初にやるべきことは何ですか?
まずは公式情報の確認です。jGrantsに掲載されている第10回公募のページと、NEDOの公募ページを見てください。その上で、公募要領が公開されていれば、最優先で読み込みましょう。
①募集期間(2026年9月3日〜9月8日)に間に合うか、②自社がSTS・PCA・DMPのどの段階に当てはまるか、③LOIやMOUなどの提出書類に対応できるか、の3点ですね。
そこを確認してから、GビズIDの準備と事前相談の申し込み、と。
完璧です。その順番で進めれば、受付期間が短くても焦らずに書類を仕上げられますよ。
この制度、とにかく「事前準備が命」ってことですね。最後に、基本情報を表でまとめてもらえますか?
もちろんです。ここだけ押さえておけば迷わない、というところを表にしました。
これで一覧できますね。あとは行動するだけか…。室谷さん、今日は本当にありがとうございました!
いいえ。この記事が、研究開発に情熱を注ぐスタートアップの皆さんの後押しになれば嬉しいです。ぜひ、締切の2026年9月8日に向けて、動き出してみてくださいね!