室谷さん、まず「風車生産技術研究開発」って、どんな事業なのか教えてください。
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、NEDOが公募する研究開発事業です。jGrantsの制度ページにも「実施者を広く一般に公募いたします」とあります。風車、しかも洋上風力向けの生産技術を研究開発するのがメインですね。
洋上風力って海に風車を浮かべたり、海底に建てたりするイメージがありますが、そこまで大きな話なんですか?
本公募の概要には「2050年カーボンニュートラルの実現とエネルギー安全保障の両立」という言葉があって、第7次エネルギー基本計画の中で位置づけられています。洋上風力発電は再生可能エネルギーの主力電源化に向けた「切り札」とまで書かれていますよ。
ですよね。国の目標と直結しているからこそ、風車をどうやって国内で安定生産するか、という“作る側”の研究が必要になっているわけです。
はい、概要には2030年までに10GW、2040年までに浮体式を含む30〜45GWの案件形成目標が設定されていると明記されています。
10GWって、どのくらいの感覚で捉えればいいんでしょう?
私も直感的にはピンと来にくいですが(笑)、とにかく「これから大量に風車が必要になる」という前提で話が進んでいます。この公募は、その大量導入を支える「風車の生産技術」に切り込む事業です。
なるほど。発電所そのものをつくる話ではなく、風車や部品をつくる技術の話なんですね。
「2025年8月に策定された洋上風力産業ビジョン(第2次)」という言葉も出てきました。これはどう影響しているんですか?
そのビジョンでは、2040年までの目標として、風車の主要製品であるナセルやブレードの国内製造拠点形成を通じて、国内調達比率を65%にすること、関連人材を約4万人育成・確保することが掲げられています。
ナセルとブレード……風車の心臓部と羽根の部分ですよね。
ええ。この公募は、アジア太平洋地域の気象・海象条件を踏まえた浮体向けの風車や風車部品の安定供給と、サプライチェーンの強靱化を目的にしています。単なる研究テーマというより、国の産業戦略をになうプロジェクトなんです。
その上で、今回の公募は「研究開発項目〔1〕」と「〔2〕」に分かれていますよね。
そうですね。〔1〕が「風車部品産業強靱化基盤開発」です。公式ページの説明では、実海域における洋上風力発電設備を対象に、コンポーネント設計評価の高度化に資する部品間入力モデルデータを構築するとあります。
部品間入力モデルデータ……抽象的で、ぱっと見では何をするのか想像しにくいですね。
風車はブレード、ナセル、軸受、発電機など多くの部品が組み合わさっています。それぞれの部品がどういう入力を受けるのかをモデル化して、設計評価を高度化するデータをつくる、というイメージです。
なるほど!部品単体の研究ではなく、部品同士のつながりを考えるわけですね。
事業期間は2026年度から2028年度。3カ年計画でじっくり研究開発を進める項目です。
「風車設計技術研究開発」です。アジア太平洋地域固有の環境条件や浮体式洋上風車で必要とされる条件を整理し、構造設計条件や風車設計への影響を評価。そのうえで、浮体を含むアジア太平洋地域に適した風車仕様を定義するのがメインです。
日本の周辺海域は台風も多いし、波の条件もヨーロッパとは違いますよね。そういう“地域の特徴を織り込んだ設計”を考える、と。
しかも、国内サプライチェーン構築に向けた分析を通じて、サプライチェーンおよび生産体制具体化に向けた方針を策定するところまで含まれます。こちらは2026年度から2027年度の2カ年です。
同じ公募でも、項目で研究の深さや期間が違うんですね。
ですから応募する側も「自分たちの提案はどちらの項目に対して、何をやるのか」を明確に説明できる準備が必要です。
「風車生産技術研究開発」の制度イメージ研究開発項目〔1〕
風車部品産業強靱化基盤開発。実海域の洋上風力発電設備を対象に、部品間入力モデルデータを構築する。
研究開発項目〔2〕
風車設計技術研究開発。アジア太平洋地域の環境条件を整理し、浮体に適した風車仕様を定義。サプライチェーン方針の策定まで行う。
募集の対象
NEDOが実施者を広く一般公募。企業(団体等を含む)、大学等が対象。
事業の分類
研究(委託、共同研究、補助)。補助額・補助率は公募ページでは未記載。
気になるのはやっぱりお金です。今回、いくらまで補助されるんですか?
公式のjGrantsページでは、補助上限額の欄が「-」、補助率の欄は空欄です。残念ながら「最大いくら」とは書けません。まずはここを正確に理解してください。
えっ!? 公募なのに金額が決まっていないんですか?
「決まっていない」のではなく、「このポータルには明記されていない」というのが正確な言い方です。実際の金額についてはNEDOの公募要領で確認する必要があります。
じゃあ、この記事のタイトルも「上限額非公表」になるわけですね。
その通りです。勝手に「最大○○万円」と書いてしまうと誤解を招くので、本記事では数字を創作しない方針でいきます。
とはいえ、委託なのか補助金なのかで、資金の流れも変わりますよね。
jGrantsの概要には「本件について受託を希望する方は、NEDO HPをご確認いただき御応募ください」と書かれています。つまり、委託契約として研究開発を実施するイメージがベースにありますね。
委託、ということは、お金をもらって研究するというより、仕事を請け負うイメージ?
そう読めます。ただ、NEDOの事業分類は「研究(委託、共同研究、補助)」とあり、複数の形式が併記されています。「委託」と「補助」では経費の扱いや会計ルールがかなり違うので、応募前に公募要領と契約約款を必ず確認してください。
ちゃんと確認しないと、いざ採択されてから慌てることになりそうですね。
あと、事業分類に「補助」という言葉が入っているからといって、「補助率が決まっている」と早合点するのも禁物です。表記がない以上、要確認が正解です。
補助率が分からないと、事業計画の数字も組みにくいです……
ただ、公募ページの資料には「積算用総括表」があります。これは研究開発にかかる費用を積算し、総括的にまとめるための様式です。どの費目をどのように計上するかは、公募要領の経費区分に従って組むことになります。
そうですね。研究開発の内容に対して、費用が適切かどうかを説明できる積算が求められます。公募要領を入手したら、まず積算用総括表の見方を確認するのがおすすめです。
応募資格について教えてください。資本金や業種などの制限はあるんですか?
NEDOの募集要項には、対象者が「企業(団体等を含む)、大学等」と書いてあります。一方、jGrantsの制度ページの業種は「学術研究、専門・技術サービス業」と表示されています。
ですから、「製造業は絶対に応募できない」と早合点しないでください。jGrantsの業種は検索・申請システム上の区分の可能性が高いので、自分がどの区分で申請できるかは公募要領で確認するのが鉄則です。
大学の研究室や、企業の研究部門がメインターゲットなんですね。
NEDOは「広く一般に公募します」と明言しています。企業単体だけでなく、団体や大学も対象になり得る、というのが公式の表記です。
規模の条件はありますか?「中小企業限定」みたいな公募ですか?
本公募は中小企業限定ではありません。jGrantsには従業員数の制約なしと明記されています。また、対象地域は全国です。
全国の企業、大学が応募できるんですね。それは大きい。
ただし、研究内容はアジア太平洋地域向けの風車ですから、「全国どこでも平等」というより、研究開発の実現可能性やフィールドの適切性が提案内容で問われるはずです。
NEDOの表記は「企業(団体等を含む)、大学等」です。個人事業主が「企業」に当たるかどうかは、公募要領の応募資格を確認しないと断言できません。
ただ、応募はJグランツ経由なので、GビズIDプライムまたはGビズIDメンバーは必須です。IDをまだ持っていないなら、取得に2週間以上かかる場合もあると予告ページで注意喚起されています。早めの準備が命です!
研究開発には人件費や設備費、旅費などいろいろかかりますが、どの範囲が対象になるんですか?
実は、公式ページだけでは「この費目は対象」というリストまで公表されていません。ここははっきりお伝えしますが、経費の可否は公募要領が判断基準です。
経費の考え方の入口としては、事業分類が「研究(委託、共同研究、補助)」であることが大事です。受託や共同研究、補助のどちらの形になるかで、計上できる費目やルールも変わってきます。具体的な内容は公募要領を読み込んでください。
制度の利用目的は「研究開発・実証事業を行いたい」と書いてありますね。
これはjGrantsに明記された利用目的の大枠です。つまり、単なる設備導入や販売促進のためではなく、研究開発や実証にあたる提案が求められています。
ただし「幅広い」という言葉でぼかすと、提案書の焦点がぶれてしまいます。研究開発項目①か②のどちらに当てはまるのかを最初に決め、使途もそこに紐づけるのがポイントです。
最初にやるのはGビズIDの取得です。NEDOの予告ページに「Jグランツでの応募には、GビズIDプライムまたはGビズIDメンバーのアカウントが必要」と書かれていて、取得に2週間以上かかる場合もあると注意喚起されています。
2週間……! 募集開始までに取らないと、いざ応募しようとしたときに間に合わないんですね。
そうなんです。公募期間は2026年9月4日から10月5日まで。もしIDをまだ持っていないなら、今日から手続きを始めるのが正解です。
説明会は2026年9月10日(木)15時00分〜16時00分、Microsoft Teamsによるオンライン開催です。申込期限は同日の12時00分までと短いので、気になる方は早めに申し込んでください。
当日の開始直前でも申し込める、わけではないんですね。
公式にも「出席を希望する事業者は、以下の『説明会に申し込む』から」とあります。参加登録すると会議URLをメールで受け取る流れです。応募予定の方は可能な限り出席してください、とアナウンスされていますよ。
NEDOの公募ページの資料欄には、基本計画や公募要領に加えて、提案書、研究開発責任者の研究経歴書、若手研究者(40歳以下)数、提案者情報、NEDO事業遂行上に係る情報管理体制の確認票、提案概要資料、事前相談申込書フォーマット、積算用総括表、提出書類チェックリストなどが並びます。
かなりのボリュームですね。全部Jグランツから出すんですか?
そうです。持参・郵送・FAX・Eメールによる提出は原則受け付けません。ダウンロードした様式に記入し、Jグランツ上で2026年10月5日(月)正午までに申請します。直前はシステムが混み合う可能性もあるので、余裕を持って送信しましょう。
風車生産技術研究開発の申請ステップ- 1
GビズIDを用意
GビズIDプライムまたはGビズIDメンバーが必要。未取得なら2週間以上かかる場合も。
- 2
説明会に参加する
2026年9月10日15時00分〜16時00分。申込期限は同日12時00分まで。
- 3
公募資料を入手
NEDOの公募ページから公募要領・基本計画・提案書などの様式をダウンロード。
- 4
提案書と積算表を作成
研究開発項目①か②を意識し、経費は積算用総括表で適切に積算する。
- 5
Jグランツで申請
2026年10月5日正午まで。郵送・FAX・Eメールは原則受け付けない。
採択率や評価項目は公表されていないので、断言はできません。ただ、応募者がつくる提案書の土台になるのは、この公募の「事業内容」との一致です。まずは、研究開発項目①か②のどちらに自分の提案が当てはまるのかを明確にしましょう。
事業内容に沿っていないと、良い技術でも評価されにくい、と。
そういう意味では、プロジェクトコードP26017の事業目的を自分の言葉で説明できない提案は難しいはずです。国がなぜ今この研究をするのか、背景を読み込んでから書き始めるのがコツです。
特に項目〔2〕へ応募する場合、押さえるべきキーワードはありますか?
「アジア太平洋地域固有の環境条件」と「浮体式洋上風車」、そして「サプライチェーンおよび生産体制具体化に向けた方針策定」。この3つは外せません。
アジア太平洋地域の風車仕様を定義し、国内の生産体制の方針まで書く、と。
提案書には、自社の技術がどこに貢献するのかを、この事業の言葉で書く必要があります。特に風車の生産技術というと、部品メーカー、素材メーカー、エンジニアリング会社、大学と立場が違います。それぞれの“貢献ポイント”を具体的に示してください。
書類が多くて時間がかかりそう……どこから読み始めましょう?
まず公募要領です。そこに事業内容、応募資格、提出方法、契約条件のエッセンスが入っています。基本計画はさらに技術的な位置づけが詳しく書かれているので、要領を読んでから計画に進むといいですね。
基本計画と公募要領、2つをセットで読む必要があるんですね。
しかも、NEDOのページには「公募参加にあたっては契約約款をご確認ください」とあります。この3点を読まないまま申請書類を書き始めるのは危険です。
問い合わせ先はNEDO再生可能エネルギー部の風力・海洋ユニットです。担当として大友さん、平澤さん、水上さん、米倉さんの名前が挙がっています。メールアドレスは floating-wind[]nedo.go.jp で、[]を@に置き換えて使います。
件名の冒頭に【2026公募03】と入れて送る案内があります。これを付けないと、どの公募の質問か判別してもらいにくくなってしまいます。連絡する前に必ず確認しましょう。
まず2026年7月23日にNEDOから「公募について(予告)」が公開されています。この時点では正式な公募要領はまだありませんが、GビズIDの準備や問い合わせ先の確認はできました。
予告段階でも「説明会がある」という情報は出ていたんですね。
そうです。そして2026年9月4日に正式な公募が始まり、公募要領や提案書などの資料がダウンロードできるようになりました。この日から本格的な準備期間に入ります。
オンライン説明会に出席する、公募要領を読む、提案書類を作る、積算する。この4つを進めるイメージです。10月5日正午が締切なので、実質1カ月ほどで準備することになります。
特に初めてJグランツを使う場合は、ログイン方法や添付ファイルの仕様確認にも時間がかかります。書類作成のほかにシステムの練習時間も見ておきましょう。
公募スケジュール2026年7月23日
公募の予告
NEDOが予告ページを公開。GビズIDの準備を呼びかけ。
2026年9月4日
公募開始
公募要領・提案書などの資料を公開。Jグランツでの受付が始まる。
2026年9月10日
オンライン説明会
15時00分〜16時00分。申込期限は同日12時00分まで。
2026年10月5日
応募締切
正午まで。Jグランツ上での申請が原則。
2026年度〜
事業開始(予定)
研究開発項目①は2028年度まで、項目②は2027年度まで。
もちろんです。ここまでに出てきた情報を一覧にしますね。
補助上限額と補助率が空欄なのは、やっぱり要注意ですね。
ええ。「非公表=無制限」ではありません。正確な条件は必ずNEDOの公募要領を確認してください。特に予算案の審議状況によって事業内容が変更される可能性がある、という注意書きも予告ページにはあります。
それでは最後に、この公募の要点をズバリまとめてください。
1つ目は、洋上風力の大量導入を支える「風車生産技術」の研究開発であること。2つ目は、補助上限額・補助率が公式ページでは未記載なので、公募要領の確認が必要なこと。3つ目は、応募にはGビズIDとJグランツの操作が欠かせないことです。
なるほど。技術力だけでなく、制度を読み解く力も試される公募なんですね。
そういう意味では“申請の準備力”が結果を左右します。説明会に出て、公募要領を読み込み、積算用総括表まで手を付ければ、他の応募者より一歩先に進めますよ!