室谷さん、今回のテーマはデータセンターですよね。巨大なサーバーが並んだ建物に、国がお金を出すって本当ですか?
本当です。今回取り上げるのは「令和8年度データセンターのゼロエミッション化・レジリエンス強化促進事業(二次公募)」で、二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金という枠組みの中の一つです。データセンターの再エネ活用や省CO2化を後押しする支援なんですね。
制度の目的に「我が国の2050年カーボンニュートラル・脱炭素社会の実現に向け」と書かれています。データセンターのゼロエミッション化・レジリエンス強化を支援することで、デジタル社会とグリーン社会の同時実現、さらにはグリーン成長の実現を目指す、と。デジタルと環境を同時に進めたいという発想なんです。
なるほど! デジタル化が進むほど電気を使うから、そこを何とかしたいと。
そういうことです。しかもこの事業、設備を入れたら終わりではありません。事業の実施により、エネルギー起源二酸化炭素の排出が確実に削減されることが必要だと明記されています。
えっ、そこが条件なんですね。省エネ設備を入れれば自動的にOKではないと。
はい。「どれだけCO2が減るのか」を説明できる計画であることが求められます。ここは審査でも効いてくるので、後半でもう一度触れますね。
ところで、うちの倉庫にサーバーを1台置いたら、それはデータセンターですか?(笑)
あはは、それはさすがに飛躍しすぎです(笑)。この事業では、データセンターをサーバーや通信機器等のICT機器を設置・運用することに特化した施設と定義しています。単にサーバーを置いた部屋、ということではないんですね。
「特化した施設」というのがミソなんですね。本社ビルの一室にサーバールームがある、というケースは?
そこは判断が微妙になり得るので、公募要領で確認するのが確実です。要領に書かれている定義の言葉そのものを基準にして、迷う部分は問い合わせ先に聞く。この姿勢で進めましょう。
この制度の特徴データセンターが対象
サーバーや通信機器等のICT機器を設置・運用することに特化した施設が対象
CO2削減が必須
事業の実施によりエネルギー起源二酸化炭素の排出が確実に削減されることが必要
二次公募
募集期間は2026年9月17日から2026年10月16日まで
さっき3タイプって話が出ましたよね。自分がどれに当てはまるのか分からないと動けません。
そうですね。ここは最初に自分の立ち位置を決める大事なところです。新設・改修・コンテナで、やることがかなり違います。
【新設】は、地域の再生可能エネルギーを最大限活用したデータセンターの新設に必要な、再エネ・蓄エネ設備の導入、そして空調設備等の省CO2型設備の導入を行う事業です。一から立ち上げるイメージですね。
「地域の再エネを最大限活用」というのがポイントですか?
そう読めます。地域にある再エネを使い切る形でデータセンターを作る、という方向性がにじんでいます。だからこそ補助事業期間も【新設】は原則3年度以内と、3つの中で一番長く設定されているんですね。
建物を建てるとなると、確かに時間がかかりますもんね。
はい。ただし令和8年度事業については、交付決定の日から令和9年2月28日までに完了する必要がある、という共通の期限があります。ここは忘れないでください。
じゃあ改修は、今あるデータセンターをいじるイメージですか?
はい。【改修】は、既存データセンターへの再エネ・蓄エネ設備の導入、そして空調設備等の省CO2型設備への改修を行う事業です。既に運用しているデータセンターの設備を入れ替えたり追加したりするケースですね。期間は原則2年度以内です。
【コンテナ】は、地域再エネの効果的・効率的活用に資するコンテナ・モジュール型データセンター等の導入を行う事業です。期間は単年度と、3つの中で一番短くなっています。
単年度ということは、1年でやり切る必要があるんですね。コンテナ型は箱を置くイメージだからスピードが売りなのかな。
そういう捉え方で整理すると分かりやすいと思います。まずは自分の事業が3つのどれに当たるかを決めてから、要領の該当部分を読み込むのが効率的です。
3つのタイプを比べる| 項目 | 新設 | 改修 | コンテナ |
|---|
| 内容 | 地域再エネを最大限活用したデータセンターの新設に必要な再エネ・蓄エネ設備の導入、空調設備等の省CO2型設備の導入 | 既存データセンターへの再エネ・蓄エネ設備の導入、空調設備等の省CO2型設備への改修 | 地域再エネの効果的・効率的活用に資するコンテナ・モジュール型データセンター等の導入 |
| 補助事業期間 | 原則3年度以内 | 原則2年度以内 | 単年度 |
| 複数年度申請 | 応募時に年度ごとの経費内訳書と実施計画書が必要 | 同じく年度ごとの経費内訳書と実施計画書が必要 | 単年度のため複数年度申請の扱いは公募要領で要確認 |
ここが一番気になるところです。ズバリ、いくらもらえるんですか?
それがですね、今回の提示情報では補助上限額は「上限—」、補助率は公募要領を参照となっています。金額が公表されていないので、私のほうで勝手に「○百万円」と書くことはできません。
まずやるべきは公募要領の確認です。jGrantsのページには公募要領のPDFが掲載されていて、そこに対象経費や要件が詰まっています。金額の前に、自分が対象になるか、何が経費になるかを押さえるのが先です。
確かに、金額だけ見て「対象外でした」では悲しいですもんね。
ちなみにjGrantsのページには、公募要領のほかに交付要綱や申請様式も並んでいます。ページを開いたら、まずこれらをダウンロードしておくと動きが早いですよ。
へえ、様式まで一緒に取れるんですね。それは助かります!
【新設】が原則3年度以内、【改修】が原則2年度以内、【コンテナ】が単年度です。複数年度で申請する場合は、応募時に年度ごとの事業経費を明確に区分した経費内訳書と実施計画書を出すことが前提になります。
年度ごとに分けて書く、と。交付申請も毎年必要なんですか?
はい、その場合は補助金の交付申請等を年度ごとに行う必要があります。さらに令和8年度事業については、交付決定の日から令和9年2月28日までに完了する必要があります。ここは見落としやすいので要注意です。
令和9年2月28日! 年度末ギリギリですね。逆算して動かないと間に合わなそうです。
次は誰が手を挙げられるのかを知りたいです。うちみたいな会社でもいいんですか?
応募資格は9つの区分に分かれています。意外と間口が広いので、「自分は対象外かな」と早合点しないでほしいところです。
アが民間企業、イが独立行政法人通則法第2条第1項に規定する独立行政法人、ウが地方独立行政法人法第21条第3号チに規定される業務を行う地方独立行政法人、エが国立大学法人・公立大学法人・学校法人、オが社会福祉法人です。
カが医療法人、キが特別法の規定に基づき設立された協同組合等、クが一般社団法人・一般財団法人・公益社団法人・公益財団法人、ケがその他環境大臣の承認を経て協会が適当と認める者です。
なるほど、最初の「民間企業」でかなりの会社が当てはまりそうですね。
そうですね。法人格を細かく列挙しているので、公益法人や医療法人、学校法人なども選択肢に入っているのが特徴です。自分の法人格がどこに当てはまるかを確認してください。
jGrantsの情報では、対象業種がとても細かく挙げられています。漁業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、情報通信業、複合サービス事業、サービス業(他に分類されないもの)、公務(他に分類されるものを除く)、分類不能の産業、農業・林業、鉱業・採石業・砂利採取業、運輸業・郵便業、卸売業・小売業、金融業・保険業、不動産業・物品賃貸業、学術研究・専門・技術サービス業、宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス業・娯楽業、教育・学習支援業、医療・福祉です。
とても広く設定されていますね。従業員数についても、jGrantsの情報では従業員数の制約なしとされています。
人数で足切りされないのはありがたいです。個人事業主はどうなんですか?
個人事業主が応募できるかどうかは、今回の応募資格の記載からは読み取れません。判断に迷う場合は、問い合わせ先に確認するのが確実です。
| 対象業種 | 対象業種 |
|---|
| 漁業 | 建設業 |
| 製造業 | 電気・ガス・熱供給・水道業 |
| 情報通信業 | 複合サービス事業 |
| サービス業(他に分類されないもの) | 公務(他に分類されるものを除く) |
| 分類不能の産業 | 農業、林業 |
| 鉱業、採石業、砂利採取業 | 運輸業、郵便業 |
| 卸売業、小売業 | 金融業、保険業 |
| 不動産業、物品賃貸業 | 学術研究、専門・技術サービス業 |
| 宿泊業、飲食サービス業 | 生活関連サービス業、娯楽業 |
| 教育、学習支援業 | 医療、福祉 |
経費の話に来ました。何が対象で何が対象外なのか、すごく気になります。
ここは公募要領の読み込みがものを言う部分です。今回の情報では、新設・改修・コンテナそれぞれで「再エネ・蓄エネ設備」と「空調設備等の省CO2型設備」がキーワードとして出てきます。
再エネ・蓄エネ設備、そして省CO2型設備。この2本立てなんですね。
はい。【新設】では再エネ・蓄エネ設備の導入と空調設備等の省CO2型設備の導入、【改修】では既存データセンターへの再エネ・蓄エネ設備の導入と空調設備等の省CO2型設備への改修、【コンテナ】ではコンテナ・モジュール型データセンター等の導入、という整理です。
要は「電気を作る・貯める・冷やす」を脱炭素方向に寄せる、という話に近いんでしょうか。
そこまで単純化すると細部が抜け落ちるので、必ず公募要領の対象経費の項目で確認してください。ただ、再エネ、蓄エネ、空調の3つが軸になっていることは間違いなさそうです。
今回の提示情報には、対象外の経費の具体例までは書かれていません。ですので「これは対象外」と断定できるリストを私のほうで作ることはできません。要領の対象経費と、対象にならない経費に関する記載を確認してください。
ただ、押さえておきたいのは、この事業はCO2削減が確実であることが求められている点です。設備を入れること自体が目的ではなく、CO2が減るという説明ができることが大切なんですね。
なるほど! 経費の選び方も、CO2削減に効くかどうかで見るべきなんですね。
この制度のメリットと注意点- データセンターの新設・改修・コンテナ導入が対象
- 応募資格が9区分で、公益法人や医療法人なども選択肢に入る
- 従業員数の制約なし
- 国(環境省)の施策として実施される
×デメリット
- 補助上限額・補助率は本記事の情報では確定しておらず公募要領の確認が必須
- エネルギー起源CO2の排出が確実に削減されることの説明が必要
- 令和8年度事業は交付決定日から令和9年2月28日までの完了が必要
- 複数年度申請は年度ごとの経費内訳書・実施計画書、年度ごとの交付申請が必要
制度の中身はだいぶ見えてきました。実際の申請ってどう進めるんですか?
まず大枠のスケジュールを押さえましょう。募集期間は2026年9月17日から2026年10月16日まで、対象地域は全国です。ここから逆算して準備します。
そう感じる方も多いと思います。だからこそ、募集が始まる前に「自分は対象か」「どんな書類が必要か」を調べておくのが効きます。応募様式もjGrantsのページに掲載されているので、事前に目を通しておくと当日の動きが変わります。
締切は2026年10月16日です。この日を過ぎたら受け付けてもらえないので、日程は絶対に手帳に入れておきましょう。
今回の公募はjGrantsのページから情報が提供されていて、応募様式もそこで配布されています。電子申請の準備として、GビズIDの取得や、公募要領・交付要綱・申請様式のダウンロードを済ませておくのがおすすめです。
GビズIDって、聞いたことはあるけどまだ持ってないです。
そういう方は多いので、早めに発行手続きを進めましょう。IDの発行には時間がかかることがあるので、締切間際に慌てないようにするのが大事です。
申請までの流れ- 1
公募要領を入手する
jGrantsのページから公募要領・交付要綱・申請様式をダウンロード
- 2
応募資格と対象経費を確認する
自分の法人格が9区分のどれに当てはまるか、経費が対象かを確認
- 3
GビズIDを取得する
電子申請に必要なIDは早めに発行手続きを
- 4
事業計画と経費内訳を作成する
複数年度申請なら年度ごとに経費内訳書と実施計画書を区分して作成
- 5
応募様式を整えて提出する
募集期間は2026年9月17日から2026年10月16日まで
- 6
交付決定後は期限までに事業を完了
令和8年度事業は令和9年2月28日までの完了が必要
令和9年2月28日までに完了、というのがやっぱり気になります。
全タイプ共通で意識すべき期限です。交付決定の日から令和9年2月28日までに事業を完了させる必要があります。
交付決定がいつになるかで、実質の猶予がかなり変わりますよね。
その通りです。だからこそ、設備の発注や工事の段取りを早めにシミュレーションしておくことが大切です。特に【新設】は原則3年度以内とはいえ、令和8年度事業の完了期限があることを忘れないでください。
複数年で考えている場合も、初年度の期限は意識しないといけないんですね。
はい。複数年度申請をする場合は、年度ごとに交付申請等が必要になる点もセットで押さえておきましょう。
スケジュールの目安2026年9月17日
募集開始
公募要領・各種様式がそろう
2026年10月16日
応募締切
この日までに応募する
交付決定日以降
事業実施
令和9年2月28日までに完了する必要がある
年度ごと
交付申請
複数年度申請の場合は年度ごとに手続き
出せば通るもんじゃないですよね。審査で見られるポイントを教えてください。
今回の情報から確実に言えるのは、CO2削減が確実であること。そして事業期間や複数年度申請のルールを守ることです。この2つを土台として押さえましょう。
はい、事業の実施により、エネルギー起源二酸化炭素の排出が確実に削減されることが必要です。ここを「なんとなく減りそう」で済ませず、どう減るのかを筋道立てて説明できるようにしておくのが大事です。
設備を入れたら自動的に省エネになるでしょ、では弱いと。
そうですね。再エネをどれだけ使うのか、蓄エネでどう効率が上がるのか、空調を省CO2型にすることで何が変わるのか。このあたりを事業計画の中で結びつけて語れると強いと思います。
ただの設備リストじゃなくて、削減のストーリーが要るんですね。
複数年度の話で、失敗しやすいポイントはありますか?
年度ごとの事業経費を明確に区分した経費内訳書と実施計画書を、応募時に出すことが前提になります。ここが曖昧だと、そもそも前提を満たしません。
はい、年度ごとに分けて示す必要があります。加えて、補助金の交付申請等は年度ごとに行う必要があります。応募のときだけ丁寧にやって、あとが雑だと困るので、最初から毎年この作業があると想定して計画を立てましょう。
分かりました。スケジュール表に「年度ごとの交付申請」も書き込みます。
最後に、聞きにくいけど気になることをまとめて聞いていいですか?
どうぞ。判断に迷うときは、憶測で進めずに問い合わせるのが一番です。
担当者の名前まで出ているんですね。安心感があります。
ただし、メールを送る前に公募要領を一度読んでおくと、質問の精度が上がりますよ。要領のどこに書いてあるかを確認したうえで聞くと、やり取りがスムーズになります。
ここまでの内容を、最後にギュッとまとめてもらえますか?
制度名は令和8年度データセンターのゼロエミッション化・レジリエンス強化促進事業(二次公募)、実施機関の事業名は二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金です。募集期間は2026年9月17日から2026年10月16日まで、対象地域は全国、補助上限額は公募要領を参照、補助率も公募要領を参照です。
金額が要領確認なのが、逆に「要領を読まないと始まらない」というメッセージに感じます(笑)。
まさにそのとおりで、この制度は公募要領ありきなんです(笑)。3つのタイプ、応募資格9区分、対象経費、年度ごとの交付申請、令和9年2月28日までの完了。ここを最初に押さえておけば、あとは要領を読み込むだけです。