室谷さん、今日は東京都の「令和8年度 病院勤務者勤務環境改善事業・救急医療体制強化事業」をお願いします。名前が長すぎません?(笑)
長いですよね(笑)。でも中身はシンプルです。病院が実施する医師と看護職員の勤務環境を改善して、離職防止と定着を図る取り組み、それと職場を離れた医師などの再就業を支援する取り組みに対して、都が必要な経費を補助する制度です。
目的は都内医療体制の安定的な確保です。医療従事者が辞めていってしまうと、地域の医療を支えられなくなりますからね。
まさにその発想です。あわせて、救急医療体制の強化も目的に入っています。
対象が絞られます。都内の救急医療体制の中核を担う、救急車年間受入2,000件以上の病院です。その病院に対して、医師と看護職員の勤務環境を改善し、離職防止、負担軽減、復職、定着を図る取り組みに必要な経費を補助します。
救急車の受け入れが年間2,000件というのは、救急対応が日常的に集中している規模です。そこを支えないと都内の救急が回らない、という問題意識があります。
なるほど。でもこれ、単独では申請できないんですよね?
よく気づきました。救急医療体制強化事業は、対象事業の1と2のうち、救急医療体制を確保するために必要な事業とされていて、病院勤務者勤務環境改善事業の加算事業という位置づけです。
3つ挙げられます。ひとつは東京都が実施する地域限定の補助であること。ふたつ目は、人材の定着に直結するソフト事業と、施設・設備というハード事業の両方を見ていること。3つ目は、救急の受入件数という明確なラインで加算対象が分かれることです。
この制度の3つの特徴東京都の地域限定
対象地域は東京都。応募できるのは都内の病院
ソフトとハードの両対応
復職研修や相談窓口などのソフトと、施設・設備整備のハードを対象とする
救急は加算で対応
救急車年間受入2,000件以上の病院は加算事業として上乗せ
まず押さえるべきは補助率1/2です。ただし、施設・設備整備事業だけは2/3になります。ここ、テストに出ますよ(笑)。
そうなんです。ソフトは半分、ハードは3分の2。この違いは申請書の作り方にも効いてきます。
「基準額」っていう言い方が出てきますけど、これは何ですか?
事業ごとに示された金額の目安です。ソフトだと、復職研修と就労環境改善が11,140千円、相談窓口事業が7,093千円、チーム医療推進の取組が6,700千円です。
11,140千円は1,114万円ですね。相談窓口が約709万円で、チーム医療が670万円。
そのとおりです。ただ、jGrantsの掲載ページでは補助上限額の欄が「—」になっています。基準額がそのまま上限とは限りませんから、最終的な金額は公募要領で要確認です。
なるほど、そこは勝手に決めつけないほうがいいですね。
院内助産・助産師外来の整備、それに休憩室・当直室の整備で、施設が5,040千円、設備が3,811千円です。
はい。しかもハードは補助率が2/3なので、同じ対象経費でも手厚い計算になります。たとえば対象経費が100万円なら、ソフトは1/2で50万円、ハードなら2/3で66万円台、という考え方です。ただし、それぞれの基準額の枠の中で、というのが前提です。
ソフト事業とハード事業の基準額・補助率| 項目 | ソフト事業 | ハード事業 |
|---|
| 補助率 | 1/2 | 2/3 |
| 復職研修・就労環境改善 | 11,140千円 | 対象外 |
| 相談窓口事業 | 7,093千円 | 対象外 |
| チーム医療推進の取組 | 6,700千円 | 対象外 |
| 院内助産・助産師外来の整備/休憩室・当直室の整備 | 対象外 | 施設5,040千円・設備3,811千円 |
応募資格は都内の病院です。ただし、国、独立行政法人、地方独立行政法人、そして都が設置する病院は除かれます。
国や都が設置した病院は、そもそも別の枠組みでやっているから、ということですね。
そういう整理です。この制度は、あくまで都が補助する枠の話です。
応募資格の記載は「都内の病院」です。診療所がどう扱われるかまでは、この情報では判断できません。公募要領で要確認です。
ここは曖昧にしないで、ちゃんと聞いたほうがいいですね。
そうしてください。対象の解釈は、必ず一次情報で確認するのが鉄則です。
掲載情報では従業員数の制約なし、業種は医療と福祉です。使途としては「雇用・職場環境を改善したい」と「設備整備・IT導入をしたい」に当てはまります。
ただし、あくまで対象事業として認められるものに限ります。何でもIT化すればいい、という話ではありません。
大きく3つです。1が勤務環境改善及び再就業支援事業、2がチーム医療推進の取組、3が勤務環境改善施設整備事業と勤務環境改善設備整備事業。この3つのどこに自分の取り組みが入るかを考えるのが第一歩です。
まず「復職研修事業」。個々の事情や出産、育児などにより離職せざるを得なかった医師と看護職員が、不安なく再就業して定着できるように、指導担当者のもとで実施する復職研修です。
次が「就労環境改善事業」。病院に勤務する医師と看護職員の負担を軽減して、働きやすい環境を整備することで、離職防止と安定的な人材確保に資する事業です。
女性医師等の仕事と家庭の両立支援のための相談窓口を設置して、相談対応や情報提供を行う事業です。
人が辞めていく理由に、家庭との両立があるからですね。
はい。離職防止と定着が、この制度全体のキーワードです。
3つあります。ひとつは、医師の事務作業を補助する職員、いわゆる医師事務作業補助者と、看護補助者の配置に伴う研修の実施。ふたつ目が助産師の活用で、院内助産や助産師外来の設置。3つ目が看護師の活用で、医師の業務負担軽減に資する認定看護師の資格取得支援と、特定行為研修の受講支援です。
各医療スタッフの専門性を発揮させて、医師や医療関係職等との役割分担を進める、という考え方です。
院内助産と助産師外来に必要な施設・設備の整備。そして、休憩室・当直室の新築、増改築又は改修に係る施設・設備の整備です。
しかもこのハードは補助率が2/3。金額の枠もソフトとは別で示されています。
掲載情報では、対象外経費の一覧までは示されていません。ただ、対象事業が細かく列挙されていますから、列挙された事業に当てはまるかどうかが最初の関門になります。
そういうことです。判断に迷ったら、東京都の担当に直接確認するのがいちばん早いです。
この制度のメリットと、確認しておきたいポイント- 復職研修や就労環境改善などソフトの取り組みを幅広く対象にできる
- 女性医師等の仕事と家庭の両立支援の相談窓口設置も対象
- 医師事務作業補助者・看護補助者の配置に伴う研修も対象
- ハードは補助率2/3で、休憩室・当直室の整備まで対象
- 救急車年間受入2,000件以上の病院は加算事業で上乗せ
×デメリット
- 対象は都内の病院。国・独立行政法人・地方独立行政法人・都が設置する病院は除外
- 救急医療体制強化事業は単独ではなく加算事業
- jGrantsの掲載では補助上限額の欄が「—」で、基準額と上限の関係は公募要領で要確認
- 対象外経費の一覧は掲載情報では確認できない
東京都のページには、本事業の申請手続については対象施設宛てにメールにて連絡する、と書かれています。つまり、まず案内が届いているかを確認するところからです。
自分から「やります」と手を挙げる前に、案内が来るのを待つ形なんですね。
そして「勤務環境改善に向けた取組を推進するとともに、積極的に本事業の活用を検討し、事業計画がある場合は申請書類を提出してください」という流れです。計画があるなら、早めに動いておくのが安全です。
ここは注意が必要です。jGrantsの掲載ページはありますが、東京都の案内では申請手続は対象施設宛てのメール連絡とされています。電子申請の要否やGビズIDの扱いは、公募要領で要確認です。
えっ、そうなんだ。先にGビズIDを取っておけば安心、という話でもない?
必要になる可能性を考えて準備しておくのは悪くありませんが、まずは案内メールの指示に従ってください。勝手に手順を決めないのが大事です。
交付申請書の様式が、ソフト用とハード用に分かれています。様式のファイル名には医療機関コードと病院名を書く形式であることが示されています。
はい。あわせて、実施要綱、交付要綱、交付要綱別表の3つが公開されています。金額や対象の細かい話はここに書かれていますから、必ず目を通してください。
募集期間は令和8年9月16日から令和9年5月31日までです。約8か月半あります。
ただし案内メールが起点になりますから、実際の締切はそちらで確認してください。
申請までの流れ- 1
案内メールを確認
本事業の申請手続は対象施設宛てにメールで連絡される
- 2
対象事業に当てはまるか整理
勤務環境改善及び再就業支援、チーム医療推進、施設・設備整備のどれか
- 3
様式と要綱をそろえる
ソフト用・ハード用の交付申請書、実施要綱・交付要綱・交付要綱別表を確認
- 4
電子申請の要否を確認
GビズIDの扱いを含め、公募要領と案内メールで要確認
- 5
交付申請書を提出
事業計画がある場合は申請書類を提出
- 6
保健医療局に問い合わせ
迷った点は医療人材課 人材計画担当へ
募集スケジュール令和8年9月16日
募集期間スタート
対象施設宛ての案内に従って準備
令和9年5月31日
募集期間の終わり
実際の締切は案内メールと公募要領で要確認
目的に戻るのが基本です。離職防止と定着、職場を離れた医師等の再就業の支援、そして救急なら救急医療体制の安定確保。このどれに効くのかを丁寧に書くことです。
弱いですね。「どんな状況で人が辞めていたのか」「この取り組みで何がどう変わるのか」まで書くと強いです。
基準額という枠が示されていますから、事業の範囲と金額の整合は必ず取ってください。復職研修・就労環境改善なら11,140千円、相談窓口なら7,093千円、チーム医療なら6,700千円、ハードなら施設5,040千円・設備3,811千円という物差しがあります。
そこは公募要領で要確認です。少なくとも、基準額を無視した計画は説得力を持ちません。
ひとつは除外規定の見落とし。国、独立行政法人、地方独立行政法人、都が設置する病院は対象外です。ふたつ目は、救急医療体制強化事業を単独で考えてしまうこと。これは加算事業なので、1と2の事業が前提です。
補助率の取り違えです。ソフトは1/2、ハードは2/3。ここを逆で計算してしまうと、計画そのものが崩れます。
「得」で選ぶものではないんです。やりたいことが対象事業のどこに当てはまるか、で決まります。
なるほど。当直室を直したいなら、ハードの「休憩室・当直室の新築、増改築又は改修」に入る、と。
そのとおりです。逆に、復職研修や相談窓口はソフトの世界です。
1/2と2/3では、自己負担の重さが変わってきます。ハードは施設5,040千円・設備3,811千円という基準額の枠の中で2/3、ソフトはそれぞれの基準額の枠の中で1/2です。
ただし救急医療体制強化事業は加算事業ですから、そちらは1と2の事業が土台になります。ここは混ざりやすいので注意してください。
掲載されている募集期間は令和8年9月16日から令和9年5月31日までです。ただし案内メールが起点なので、実際の提出期限はそこで確認してください。
〒163-8001 新宿区西新宿二丁目8番1号です。正式な書類の送付先は案内で確認してください。
併給の扱いについては、掲載情報では確認できません。公募要領で要確認です。
金額も対象も、けっこう細かく決まっているんですね。
そうなんです。だからこそ、対象事業の3つの柱のどこに当てはまるかを最初に決めて、基準額と補助率で計画を組む。これがいちばん大事です。