今日は「東京都正規雇用転換安定化支援助成金」の令和8年度第6回申請受付について教えてください。名前が長い!
長いですよね(笑)。でも中身はシンプルです。パートや契約社員、派遣労働者といった非正規の方から正規雇用に転換した従業員が、安心して働き続けられるようにする。そのための労働環境整備や賃上げをした都内の事業主を応援する助成金です。
そうなんです。国が実施するキャリアアップ助成金(正社員化コース)と連携する形で、計画的な育成計画の策定や退職金制度、結婚・育児支援制度、介護支援制度などの整備、それから賃上げが対象になります。
ただし順番が決まっていて、国の支給決定が先です。ここは後で詳しく触れますね。
ちょっと待ってください。名前が変わったって聞いたんですけど。
はい、そこは大事なポイントです。令和7年度までは「東京都正規雇用等転換安定化支援助成金」でした。令和8年度から「東京都正規雇用転換安定化支援助成金」に変わっています。「等」が取れたんですね。
「等」が消えただけ? 検索で間違えそうです(笑)。
それだけではありません。令和8年度からは、1年度につき1雇用保険適用事業所ごとに申請できる対象労働者数が3名から5名に拡大しました。そして新しく「介護支援制度整備加算」が創設されました。
対象業種はかなり広く設定されています。漁業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、情報通信業、複合サービス事業、サービス業(他に分類されないもの)、農業・林業、鉱業・採石業・砂利採取業、運輸業・郵便業、卸売業・小売業、金融業・保険業、不動産業・物品賃貸業、学術研究・専門・技術サービス業、宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス業・娯楽業、教育・学習支援業、医療・福祉です。
ただし業種だけで決まるわけではありません。中小企業事業主であること、東京労働局管内に雇用保険適用事業所があること、そして東京労働局からキャリアアップ助成金(正社員化コース)の支給決定を受けていることが重なって、初めて対象になります。
この助成金の3つの特徴国と都の連携
キャリアアップ助成金(正社員化コース)の支給決定が前提
最大5人まで
1年度につき1雇用保険適用事業所で5人まで対象
加算が4種類
退職金・結婚育児・介護の制度整備と賃上げで加算
| 対象労働者数 | 金額 |
|---|
| 1人 | 20万円 |
| 2人 | 40万円 |
| 3人 | 60万円 |
| 4人 | 80万円 |
| 5人 | 100万円 |
1人20万円、5人で100万円! すごく分かりやすい。
はい、これは手引きに載っている基本の金額です。ここに加算が乗っていきます。
掲載情報では上限190万円、補助率100%とされています。この点はあとで詳しく説明しますね。
補助率100%って、出したお金が全部戻ってくるってことですか?
そこは誤解しやすいところです。案内されている補助率は100%ですが、実際の交付額は対象労働者数に応じた定額、プラス加算で決まります。かかった経費の全額が戻る、という設計ではありません。
なるほど。じゃあ「いくら使ったか」より「何人転換したか」を見るんですね。
その理解で大丈夫です。**補助率100%**という表示だけを見て判断しないでください。
はい。まず制度整備が3つです。退職金制度整備加算、結婚・育児支援制度整備加算、介護支援制度整備加算。いずれも10万円です。支援期間中に新しく制度を整備して、就業規則などを労働基準監督署に届け出た場合が対象になります。
そう計算したくなりますが、各加算は1事業主あたり1回のみの申請です。しかも「新たに整備した場合」が条件なので、すでにある制度はカウントされません。
| 賃上げ対象者数 | 金額 |
|---|
| 1人 | 12万円 |
| 2人 | 24万円 |
| 3人 | 36万円 |
| 4人 | 48万円 |
| 5人 | 60万円 |
はい。支援期間中に、対象労働者の時間単価を60円以上賃上げした場合です。加えて、賃上げ後の時間当たりの賃金額が、東京都の最低賃金を60円以上上回っていることも必要です。
60円上げて、さらに最低賃金も60円以上上回る。ダブルで60円!
そうなんです。ここは見落としが起きやすいところです。
最低賃金をちょっと超えたくらいじゃ足りないんですね。
そういうことになります。時間単価で見るので、月給制の場合は換算が必要です。
掲載情報では上限190万円、補助率100%です。一方で、手引きには本助成金の申請は1年度につき1雇用保険適用事業所5人を限度とし、交付上限額は1年度につき1雇用保険適用事業所100万円、という記載もあります。
加算をどう扱うかで読み方が変わる部分なので、ここは断定せず、申請前に公募要領・手引きで交付上限の扱いを必ず確認してください。金額の設計に関わるので「たぶんこうだろう」で進めないのが安全です。
そうしてください。問い合わせ先はこのあと出てきます。
はい、おもな要件に「中小企業事業主であること」が挙がっています。資本金等の額や、常時雇用する労働者数の基準があり、業種によって区分が変わります。自社が該当するかは手引きの用語の定義で確認してください。
そうですね。少しでも迷ったら窓口に聞いてしまいましょう。
要件は「東京労働局管内に雇用保険適用事業所があること」です。対象労働者側も、令和5年4月1日以降に都内事務所において転換等された労働者であること、転換時から支援期間終了日まで同一の事業主との間で雇用区分の状態が継続し、都内で継続して勤務していることが求められます。
都内で働き続けている人、というのがポイントですね。
そこは外さないでください。勤務地の変更があった場合の扱いは、手引きで確認が必要です。
そうですね。東京労働局よりキャリアアップ助成金(正社員化コース)の支給決定を受けている事業主であること、が要件です。手引きでは、令和5年4月1日以降に交付対象労働者を転換等し、東京労働局長がキャリアアップ助成金(正社員化コース)の交付決定をしていること、と書かれています。
じゃあ国に申請して通ってから、都に申請する順番なんですね。
その順番です。東京労働局長から交付決定通知書を受理したあと、交付申請受付期間内に都へ申請します。
はい。キャリアアップ助成金(正社員化コース)の交付対象となった労働者であること。令和5年4月1日以降に都内事務所において転換等された労働者であること。転換時から支援期間終了日まで、同一の事業主との間で転換または直接雇用後の雇用区分の状態が継続し、都内で継続して勤務していること。そして支援期間の終了日において有期雇用労働者でないことです。
支援期間の終了日に有期じゃないこと、って地味に効きそう。
効きます。ほかにも要件があり、手引きには「その他要件あり」と書かれているので、必ず最新版で確認してください。
お金をもらうために、こちらがやることもありますよね。
あります。支援期間は3か月間で、その間に3つ行います。1つ目が3年間の指導育成計画の策定。2つ目が指導育成者(メンター)の選任と、メンターによる3回・3日以上の指導。3つ目が指導育成計画に基づく研修の実施です。
メンター指導は3回・3日以上! 回数と日数の両方なんですね。
そうです。だからこそ、やった記録がものを言います。
必要です。実績報告時には、様式第6号の実績報告書のほか、別紙1の指導育成計画書、別紙2のメンター選任・指導報告書、別紙3の研修実施報告書を提出します。加算を取る場合は、様式第12号の結婚・育児支援制度整備確認票、様式第13号の介護支援制度整備確認票、様式第11号の賃金支払実績確認表などが加わります。
やったことを、そのまま書類に落とす作業がいるんですね。
そういうことです。賃上げ加算は対象労働者全員分の賃金支払実績確認表が必要で、月給制・日給制・時給制・出来高払制で様式が分かれています。
ここが感覚の違うところです。この助成金は、かかった経費を積み上げて補助するタイプではなく、対象労働者数に応じた定額と加算で金額が決まるタイプです。だから「この経費は対象、これは対象外」という仕分けの話にはなりません。
あ、そうなんだ。じゃあ判断の軸は「要件を満たす取組をしたか」ですね。
そのとおりです。整備した制度、指導の記録、賃上げの事実が要件を満たしているかが問われます。
この助成金のメリットと注意点- 対象労働者数に応じた定額で金額が読みやすい
- 退職金・結婚育児・介護の制度整備で各10万円加算
- 賃上げで1人12万円から加算
- 転換後の定着に効く取組がそのまま要件になる
×デメリット
- キャリアアップ助成金の支給決定が前提
- 支援期間は3か月と短く計画倒れが許されない
- 撤回届提出期限後は対象労働者の変更や追加ができない
- 電子申請か郵送かを最初に決めて統一する必要がある
交付申請までの流れ- 1
キャリアアップ計画の認定
国のキャリアアップ助成金の手続からスタート
- 2
正社員化コースの支給決定
東京労働局長から交付決定通知書を受ける
- 3
最新の手引きをダウンロード
TOKYOはたらくネットから取得
- 4
交付申請書を提出
令和8年10月1日から10月31日まで
- 5
3か月の支援期間で取組
令和8年12月1日から令和9年2月28日
- 6
実績報告書を提出
令和9年3月1日から3月16日まで
そうなんです。国→都の順番なので、都への申請はかなり最後に来ます。だから逆算して動く必要があります。
転換した瞬間から、都の申請までの時計が動いてるわけですね。
そうです。しかも支援期間は3か月、実績報告受付期間も3月1日から3月16日までと短いんです。
電子申請を希望する場合は「令和8年度東京都正規雇用転換安定化支援助成金 電子申請の手引き(7月1日改正)」を確認します。Jグランツを利用するには、法人共通認証基盤(GビズID)のアカウント、gBizIDプライムを取得する必要があります。
はい。gBizIDプライムの取得にはデジタル庁のGビズID運用センターによる審査があり、ID発行まで時間がかかるので余裕をもって準備してください、と案内されています。
そうならないように早めに動いてください。そして交付申請書を電子申請で出したら、その後の実績報告書、撤回届、中止申請書および再提出書類は、すべて電子申請で提出します。
原則郵送で、送達記録の残るレターパック等の方法で送ります。申請書類は信書に該当するので、信書の送付が禁止されているメール便、宅配便等は使えません。郵便事故については一切の責任を負いかねます、とされています。
郵送の場合は各回の受付期間開始日から受付期間終了日までの消印有効です。ただし消印のない場合、料金後納郵便等は書類の到着日になります。書類不備・不足や申請受付期間外の申請は受付できません。
返信用封筒の郵便料金が足りないと受付できない、って書いてありましたよね。料金不足で落ちるのは悲しすぎます(笑)。
本当にそうなので発送前に確認してください。あとFAX、メールでの申請受付・問い合わせ・書類の受理等は一切対応していません。
交付申請時は、セルフチェックリスト、様式第1号の事業実施計画書兼交付申請書、様式第2号の誓約書、支払金口座振替依頼書が基本です。提出代行者が申請する場合は、様式第10号の委任状と、電子申請の場合の同意書も必要になります。
そうしてください。実績報告時にもセルフチェックリストがあり、様式第6号と別紙1から3をそろえます。
様式第5号の申請撤回届、様式第8号の変更報告書、様式第9号の中止承認申請書が用意されています。ただし撤回届提出期限後は対象労働者の変更や追加ができません。また同期限後に事業計画を中止した場合は、年度内の申請回数にカウントされ、交付したものとみなされます。
中止したのに交付したことになるんですか!? それは痛い。
そうなんです。だから最初の計画づくりが本当に大事です。
TOKYOはたらくネットです。交付申請や実績報告等に関する様式は、TOKYOはたらくネットからダウンロードしてください。令和7年度以前の様式は使用できないので、必ず最新の様式を使います。手引きは郵送申請用と電子申請用の2種類があります。
はい。申請にあたっては必ず最新版の手引きを確認した上で申請してください。消せるタイプのボールペンは使用しないでください、という注意もあります。
令和7年8月28日付で案内があり、本事業により取得した個人情報を含む申請情報は、生成AIアプリにより審査を行う場合や、審査制度向上のため当該生成AIアプリの開発およびその検証に利用することがある、とされています。
ただ、審査は生成AIアプリのみで行うのではなく、職員も審査し最終的な判断を行います。また申請情報は生成AIアプリに学習されることはありません。
手引きが挙げている注意点でいうと、まず順番の間違いです。東京労働局長よりキャリアアップ助成金正社員化コース交付決定通知書を受理した後、交付申請受付期間内に申請を行ってください、という流れです。
それから、各回に設定されている支援期間に支援が実施できない場合や、実績報告受付期間に実績報告の提出がない場合は、本助成金の交付は受けられません。
支援期間が3か月しかないから、スケジュールが命ですね。
そういうことです。あと予算の範囲を超えた場合は年度途中であっても申請受付を終了することがあります。申請の際には必ずホームページを確認してください。
指導育成計画は3年分ですから、研修の年間スケジュールまでイメージしておくと強いです。もう一つ、制度整備の加算は支援期間中に整備して労働基準監督署へ届け出た場合が条件なので、就業規則の変更は支援期間が始まる前から準備しておくくらいがちょうどいいです。
交付申請受付期間は令和8年10月1日の8時30分から、10月31日の17時15分までです。
短いです。しかもこの期間に書類を全部そろえて出す必要があります。
令和8年12月1日から令和9年2月28日までの3か月間です。そのあと、実績報告受付期間が令和9年3月1日の8時30分から3月16日の17時15分まで。
そうなんです。だから支援期間のうちから書類を準備しておくのが現実的です。なお曜日の表記は資料によって異なる箇所がありますので、最新の手引きで確認してください。
令和8年度第6回のスケジュール令和8年10月1日 8時30分
交付申請受付開始
10月31日17時15分まで
令和8年12月1日
支援期間スタート
3か月間の取組を実施
令和9年2月28日
支援期間終了
この日まで雇用区分が継続していることが条件
令和9年3月1日 8時30分
実績報告受付開始
3月16日17時15分まで
第6回まであるってことは、年に6回チャンスがあるんですね。
本助成金は第1回から第6回まで交付申請受付期間があり、各回に応じた支援期間、実績報告受付期間が設定されています。第1回の受付は令和8年5月1日から開始すると案内されています。各期間の詳細は申請の手引きで確認してください。
回ごとに支援期間が違うから、自社の転換タイミングに合う回を選ぶわけですね。
そうです。ただし予算の範囲を超えた場合は年度途中でも受付が終了することがあります。ホームページの確認を欠かさないでください。
電子申請と郵送申請の違い| 項目 | 電子申請 | 郵送申請 |
|---|
| 必要なもの | gBizIDプライム | 送達記録の残るレターパック等 |
| その後の提出 | すべて電子申請で統一 | 電子申請への切り替えは不可 |
| 送付方法の制限 | Jグランツから提出 | メール便・宅配便等は不可 |
| 受付の考え方 | 受付期間内に提出 | 消印有効。消印がない場合は到着日 |
どちらでも申請できますが、途中で切り替えられません。電子申請で出したら最後まで電子、郵送または窓口で出したら、実績報告書や撤回届なども電子申請では出せません。だから最初に決める必要があります。
そういうことです。gBizIDプライムの準備が間に合うなら電子申請、間に合わないなら郵送という判断もあると思います。
できます。受付窓口は東京都正規雇用化推進窓口の東京都正規雇用転換安定化支援助成金担当で、住所は東京都新宿区歌舞伎町2-42-10、ハローワーク新宿5階です。受付時間は平日の午前8時30分から午後5時15分まで、12月29日から1月3日を除きます。
はい。東京都正規雇用化推進窓口の正規雇用転換安定化支援助成金担当、電話03-6205-6730です。ダイヤルインになっています。
それが、FAX、メールでの申請受付・問い合わせ・書類の受理等は一切対応していません。電話か窓口でお願いします。
制度の概要はjGrantsのページ、申請の手引きや様式はTOKYOはたらくネットに掲載されています。下の表にまとめました。
国のキャリアアップ助成金(正社員化コース)の支給決定が先。都の申請は令和8年10月1日から10月31日まで。支援期間は令和8年12月1日から令和9年2月28日まで。この順番と日付を外さないことです。
あ、それと交付上限の扱いは公募要領・手引きで必ず確認してくださいね。