室谷さん、今回のテーマは「先進的設備等を活用した放送コンテンツ製作促進事業」の三次公募です。名前が長すぎて、正直どこから読めばいいか分かりません!
名前は長いんですが、狙いは一行で言えます。日本の放送コンテンツの海外流通を促進するために、海外での放送・配信を前提とした実写コンテンツの制作を支援する事業です。
はい。そこに4K、VFX、3DCG、AI技術などの先進的な設備や放送機材を使うわけですが、その取得や使用に要する経費、そして先進的設備等を活用する制作に要する経費の一部を支援してもらえます。機材を入れて終わりではなく、作る工程まで見ているのが特徴です。
そうなんです。総務省のページでも「先進的設備等の利用・導入に係る費用」と「先進的設備等を活用したコンテンツの制作の費用」の2本立てで書かれています。ただ対象外の経費もあるので、細かい線引きは公募要領で要確認です。
さっき「一部を支援」と言いましたけど、これは国から直接もらえるタイプなんですか?
ここが独特で、この事業は間接補助金交付という形です。放送事業者や番組製作会社等が応募するのですが、その前に、交付事務などを担う執行管理団体、いわゆる事務局が間に入る構造になっています。
事務局が間に入る。だから問い合わせ先も事務局名義なんですね。
なるほど、メモしました! 間接補助だと実務的に何が変わるんですか?
手続きの窓口が事務局になる、というのが実務上の大きな違いです。根拠法令も交付要綱や交付規程まで細かく定められています。手続きの細部は公募要領で要確認ですね。
対象になる技術が4Kだけじゃないのが面白いですね。VFXに3DCG、AI技術まで入っている。
そうなんです。ここでタイプが分かれます。4Kを活用した実写コンテンツ制作がタイプA、高度特殊効果技術、つまりVFX、3DCG、AI技術等を活用した実写コンテンツ制作がタイプBです。
タイプが2つあるんですね。どっちを選ぶかで金額も変わってくる?
そこが今日のいちばん大きなポイントです。上限額がまったく違います。このあと数字をじっくり見ていきましょう。
はい、お願いします! AI技術って聞くと、うちでも何かできないかなって思っちゃいます(笑)。
その発想は大事です。まずは自分の企画がどちらのタイプに寄るのかを考えるところから始めるといいですよ。
で、いくらもらえるんですか? そこが一番気になります!
大きく2つのタイプがあって、上限がまったく違います。タイプBはVFX、3DCG、AI技術等の高度特殊効果技術を活用した実写コンテンツ制作で、上限は1億5,000万円です。
一方のタイプAは4Kを活用した実写コンテンツ制作で、上限は3,000万円です。補助率はどちらも1/2で共通です。
なるほど、4Kで作るか、VFX・3DCG・AIで攻めるかで枠が分かれているんですね。
そういう整理です。どちらも補助率は1/2なので、対象経費の半分が補助される計算になります。
| タイプ | 対象となる制作 | 補助率 | 補助上限額 |
|---|
| タイプA | 4Kを活用した実写コンテンツ制作 | 1/2 | 3,000万円(4K機材及びシステムの購入・リース等を行わなかった場合は2,000万円) |
| タイプB | 高度特殊効果技術(VFX、3DCG、AI技術等)を活用した実写コンテンツ制作 | 1/2 | 1億5,000万円 |
補助率1/2というのは、たとえば対象経費が2,000万円だったら1,000万円もらえる、という理解でいいですか?
そのとおりです。対象経費の半分が補助額になります。タイプAの上限3,000万円に届くには、対象経費が6,000万円という計算になりますね。
逆に言うと、経費がそこまで乗らないと上限は使い切れない、と。
そういうことです。タイプBの上限1億5,000万円を使い切るなら、対象経費は3億円という規模になります。ここは自分の企画の規模と見比べるポイントです。
なるほど! 上限だけ見て「1億5,000万円だ!」と飛びつくと、ちょっと痛い目を見るんですね(笑)。
まさにそこです。上限はあくまで天井で、実際の補助額は対象経費の半分。まず経費を積み上げてから上限と比べる順番がおすすめです。
さっきタイプAは上限3,000万円と言いましたけど、注記みたいなものが付いていましたよね?
よく気づきました。タイプAのうち、4K機材及びシステムの購入・リース等を行わなかった場合は上限2,000万円になります。3,000万円から1,000万円下がるんです。
えっ、それは知らないと危ない! 機材は買わずに4K制作だけする、というケースもあるんですね。
そういうことになります。何にお金を使うかで上限が動く。これはこの制度の面白さであり、注意点でもあります。
しっかりメモしました。じゃあ次は、誰が応募できるのかを教えてください!
いいですね。ここからは応募資格の細かい条件に入っていきます。ここが一番読み飛ばしがちなところです。
単独で応募する場合は、5つの条件を全部満たす必要があります。まず本店所在地が日本国内にあること。次に、実質的支配者が日本国内に本店所在地を有する者、または日本国籍を有する者であること。ここまでを満たすものを「日本法人」と呼んでいます。
加えて3つめ、本事業で制作する実写コンテンツの著作者人格権の保有者または代行者であること。4つめ、著作権(財産権)の主たる保有者であり、かつ海外への展開窓口を有すること。5つめ、制作費を自ら負担することです。
著作権を持っていること、海外に売る窓口があること、お金も出すこと。この3点セットは重いですね。
そうですね。実質的支配者の要件まであるのがこの事業の厳しさです。また、外国法人の日本支社等は補助対象者から除かれています。
1社で全部そろえるのは難しそうなんですが、他社と組むこともできますか?
できます。複数事業者連携のコンソーシアム形式での応募が認められていて、⑥から⑩の条件を満たせばOKです。
条件を見ると、代表する1つの日本法人が応募主体となって、事業全体の遂行や経費管理の責任を持ち、間接補助金を受け取る、とありますね。
そのとおりです。そして、コンソーシアムの一部、つまり代表以外に外国法人が含まれることは可能です。ここは単独応募との大きな違いです。
海外のパートナーと組んで売る、という形が想定されているわけだ。窓口は代表の日本法人が持つ、と。
そうですね。著作権の持ち分についても、コンソーシアムを構成するすべての日本法人の持ち分総計で主たる保有者とみなせる状況であることが求められます。ここは契約書の作り方で明暗が分かれます。
副業で映像を作っている個人はどうですか? けっこう実力のある人も多いと思うんですけど。
応募主体の対象外です。公募要領には「個人」と「日本放送協会」が該当する者として明記されています。
そうなんです。そこは明確に線が引かれています。法人で、しかも著作権と海外展開窓口を持っていることが前提になると覚えておくといいですよ。
では次は、その前提となる「どんなコンテンツが対象か」を見ていきましょう。ここが意外と落とし穴なんです。
対象になるコンテンツって、どういうものなんですか?
大前提は「海外での放送・配信を前提とした実写コンテンツ」であることです。国内向けだけの番組は対象になりません。
海外で流すことが決まっている、あるいはそれを前提にしている、というのがスタートラインなんですね。
はい。海外への展開窓口を持っていることが応募資格に入っているのも、この前提とつながっています。作りながら「海外でどう売るか」を考えている必要があります。
なるほど。逆に言えば、海外展開を本気で狙っている人にとっては追い風の制度ですね。
そう言えますね。総務省のページでも、世界水準の実写コンテンツの創出につなげることで、放送コンテンツのさらなる海外流通を目指すと書かれています。
対象外のものも一覧で出ていましたよね。ここは正確に押さえておきたいです。
そうですね。総務省のページでは対象外として、アニメ、映画、ショート動画、MV、CM、プロモーション映像、成人向け、YouTubeなどが挙げられています。
アニメと映画が入っているのが、正直けっこう意外です!
ここは誤解されやすいところです。あくまで「実写コンテンツ」で、しかも放送・配信を前提としたもの、という枠組みです。プロモーション映像やショート動画も外れます。
つまり、番組として成立する実写のコンテンツ、ということですね。
そう整理していいと思います。この線引きに少しでも不安があれば、応募前に事務局へ確認しておくのが確実です。
経費の話も聞きたいです。何が対象で、何が対象外なのか。
補助対象経費は大きく2つです。ひとつが先進的設備等の利用・導入に係る費用。もうひとつが先進的設備等を活用したコンテンツの制作の費用です。ただし後者には対象外経費があります。
制作費はまるごと見てもらえるわけではない、と。どの経費が外れるかは公募要領に書かれているんですね。
はい、そこは公募要領で要確認です。今回の公募要領はjGrantsのページからguidelines2026_3.pdfとして参照できるようになっています。交付要綱はregulations2026.pdf、申請様式はcomplete_set2026_3.zipですね。
3点セットでダウンロードできるのは助かります。まず公募要領を開くところからですね。
そうしてください。では次は、申請の流れと締切を見ていきましょう。ここは日付が命です。
この制度のメリットと注意点- 機材の取得・使用だけでなく制作費も対象
- 補助率1/2で上限はタイプBで1億5,000万円
- コンソーシアム形式なら外国法人も参加できる
- 全国が対象地域で従業員数の制約もなし
×デメリット
- 補助金は後払いが基本で資金繰りの負担がある
- 個人と日本放送協会は応募主体になれない
- アニメ・映画・ショート動画などは対象外
- 著作権と海外展開窓口の要件が重い
締切はいつですか? これは絶対に外せないところです。
三次公募の募集期間は令和8年9月27日から令和8年10月5日までです。約1週間とかなり短いので、ここは要注意です。
1週間!? 短い! 公募要領を読み込んでから書類を作る時間を考えると、実質もう動き出さないと間に合わないですね。
そうなんです。しかも三次公募ということは、これまでに複数回の公募が行われてきた中の3回目です。総務省のページにも一次・二次の公募結果や報道発表が並んでいます。
となると、今回で最後という可能性もあるわけですか。
そこは明言されていないので、公募要領や事務局で要確認です。いずれにせよ、準備は今すぐ始めたほうがいいです。
まず、jGrantsのページから公募要領と申請様式をダウンロードするところからです。公募要領で対象経費と要件を確認し、タイプAかタイプBを決めて、必要書類を作成して提出、という流れになります。
電子申請になるんですよね? GビズIDみたいなものが要るんですか?
jGrantsでの申請にはGビズIDが必要とされる場合があるので、取得状況は公募要領・事務局で要確認してください。取得に日数がかかることもあるため、早めの確認をおすすめします。なお、この制度は当サイトの代理申請には対応していません。
なるほど、自分で出す必要があるんですね。提出方法そのものも公募要領ベースで確認、と。
そうです。方法の細部は公募要領の記載が優先です。ここは推測で動かず、必ず一次情報を見てください。
応募までの流れ- 1
公募要領と様式を入手
jGrantsのページから公募要領・交付要綱・申請様式をダウンロード
- 2
応募資格をチェック
日本法人の要件、著作者人格権・著作権・海外展開窓口の有無を確認
- 3
タイプAかBを決める
4KならタイプA、VFX・3DCG・AI技術等ならタイプB
- 4
対象経費を積み上げる
設備等の利用・導入費と制作費を整理し対象外経費を除く
- 5
- 6
提出
提出方法・GビズIDの要否は公募要領と事務局で要確認
- 7
交付決定後に事業実施
間接補助事業の期間は総務省ページで要確認
採択されたら、いつからいつまでに事業をやるんですか?
総務省のページには令和8年実施の事業期間として、間接補助事業は令和8年6月1日以降(交付決定日)から令和9年1月31日までと記載されています。直接補助事業は令和8年3月4日(交付決定日)から令和9年3月31日までです。
あれ、今回の三次公募は9月からですよね。その期間との関係はどうなるんでしょう?
そこは公募要領で要確認です。ページに記載された事業期間は事業全体の枠なので、三次公募に応募した場合の個別スケジュールは必ず事務局に確認してください。
分かりました。勝手に「たぶんこうだろう」で動かないほうが安全ですね。
その慎重さが命綱です。では次は、審査でどこを見られるか、攻略法に入っていきます。
三次公募まわりのスケジュール令和8年9月27日〜10月5日
三次公募の募集期間
約1週間と短いので早めの準備が必須
令和8年9月28日
三次公募の報道発表
総務省のページに掲載
令和8年6月1日以降(交付決定日)
間接補助事業の開始
総務省ページ記載の事業期間
令和9年1月31日
間接補助事業の終了
個別のスケジュールは公募要領で要確認
応募資格の①②③④⑤が、そのまま審査の物差しになると思ってください。特に重いのが、著作権(財産権)の主たる保有者であることと、海外への展開窓口を有することです。
ここが満たせていないと、そもそも土俵に上がれない。
そうですね。コンソーシアムで応募する場合も、著作権の持ち分総計で主たる保有者とみなせる状況か、海外展開窓口を代表の日本法人が持っているかが問われます。構成図と契約関係をきれいに整理しておくことが大事です。
事業計画そのものより前に、権利関係の整備が必要なんですね。
まさにそこがこの制度の肝です。制作会社が作品を作れることと、その作品を海外に売れる状態であることは別の話ですから。
コンソーシアムを組むと、審査で有利になったりするんですか?
有利・不利というより、要件を満たすための手段として使うイメージです。たとえば著作権の持ち分や海外展開窓口を、複数社で分担して整えられる。外国法人も一部に含められます。
なるほど。日本法人が代表になって、海外のパートナーが入る。実務的ですね。
そのかわり、代表する1つの日本法人が事業全体の遂行と経費管理の責任を持ち、間接補助金を受け取ることになります。責任の所在ははっきりさせておく必要があります。
窓口が一本化されているから、事務局としてもやりやすいわけですね。
そういう設計だと思います。次は、つまずきやすいポイントを先につぶしておきましょう。
実際に手を挙げる人がハマりがちな落とし穴ってありますか?
ひとつは対象外コンテンツの見落としです。アニメや映画、ショート動画、MV、CM、プロモーション映像、成人向け、YouTubeなどが外れることを知らずに企画を進めてしまうケースですね。
もうひとつはタイプの選択ミスです。4Kで作るのか、VFX・3DCG・AI技術等で作るのかで上限が3,000万円と1億5,000万円に分かれます。さらに4K機材及びシステムの購入・リース等を行わないと2,000万円です。
ここは経費の積み上げとセットで考える必要がありますね。
ええ。そして最後に、募集期間が令和8年9月27日から10月5日までと短いこと。書類の準備が間に合わない、というのがいちばん現実的な落とし穴です。
応募できないケースをもう一度整理してもらえますか?
明確に外れるのは個人と日本放送協会です。加えて、外国法人の日本支社等は補助対象者から除かれています。単独応募なら本店所在地が日本国内にあること、実質的支配者の要件も必要です。
グループ会社を使って応募する、みたいなことはできるんですか?
そこは個別判断になるので公募要領で要確認です。少なくとも、本店所在地と実質的支配者の要件は必ずクリアする必要があります。
そうしてください。ここを曖昧にしたまま書類を出すのが、いちばんもったいない失敗です。
いいですね。制度名は「情報通信利用促進支援事業費補助金『先進的設備等を活用した放送コンテンツ製作促進事業』三次公募」で、実施機関は同じく情報通信利用促進支援事業費補助金『先進的設備等を活用した放送コンテンツ製作促進事業』です。
対象地域は全国、対象業種は情報通信業とサービス業(他に分類されないもの)、従業員数の上限はなし、と。
そうですね。利用目的としては、新たな事業を行いたい、販路拡大・海外展開をしたい、設備整備・IT導入をしたい、という方向けの制度として整理されています。当サイトでの代理申請は不可です。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 制度名 | 情報通信利用促進支援事業費補助金「先進的設備等を活用した放送コンテンツ製作促進事業」三次公募 |
| 実施機関/事業名 | 情報通信利用促進支援事業費補助金「先進的設備等を活用した放送コンテンツ製作促進事業」 |
| 募集期間 | 令和8年9月27日〜令和8年10月5日 |
| 対象地域 | 全国 |
| 対象業種 | 情報通信業 / サービス業(他に分類されないもの) |
| 従業員数 | 制約なし |
| 利用目的 | 新たな事業を行いたい / 販路拡大・海外展開をしたい / 設備整備・IT導入をしたい |
| 補助率 | 1/2 |
| 補助上限額 | タイプB:1億5,000万円 タイプA:3,000万円(4K機材及びシステムの購入・リース等を行わなかった場合は2,000万円) |
| 代理申請 | 不可 |
| 公式URL | https://www.jgrants-portal.go.jp/subsidy/a0WfQ000003cYWnUAM |
分からないことがあったら、どこに聞けばいいんですか?
メール一本で聞けるのはありがたい。ただ、締切が10月5日ですから、返信を待っていると間に合わない可能性がありますよね。
なるほど。公募要領・事務局・案内ページの3つを行き来しながら詰めていくイメージですね。
そうですね。数字と締切は一次情報で確定させてから動きましょう。
そろそろまとめに入りましょう。あらためて、この制度の性格を一言でいうと?
海外で放送・配信する前提の実写コンテンツについて、4KやVFX、3DCG、AI技術といった先進的な設備等の取得・使用費用と、それを使った制作費の一部を支援する間接補助金です。補助率は1/2です。
タイプBで上限1億5,000万円、タイプAで3,000万円。ただし4K機材及びシステムの購入・リース等を行わなかった場合は2,000万円。
そのとおりです。応募できるのは国内の放送事業者や番組製作会社等で、個人と日本放送協会は対象外。著作権と海外展開窓口の要件が重いのがポイントです。
そして募集期間は令和8年9月27日から10月5日までの約1週間!
そう、そこが最大の実務ポイントです。準備が間に合わない、が一番ありがちな失敗なので、今日から動いてください。
最後に、聞き手としての感想を言うと、思ったより「作る人」のための制度なんだなと感じました。
そうですね。機材を買うための補助というより、海外に届く実写コンテンツを作るための支援です。だから著作権と海外展開窓口が要件に入っているんです。
逆に言えば、海外で売る気がある人にとってはかなり心強い。3,000万円と1億5,000万円では狙い方がまったく変わりますね。
ええ。まずは公募要領(guidelines2026_3.pdf)を開いて、対象経費と対象外コンテンツの線引きを確認する。そこから自分の企画がタイプAかタイプBかを決める。順番を間違えなければ、道は見えてきます。
分かりました! 今日はありがとうございました。締切が短いので、聞いている場合じゃないですね(笑)。
そうですね(笑)。まずは一歩、公募要領を開くところから始めましょう。