今日のテーマは「令和8年度製品開発着手支援助成事業」です。名前が長い!(笑) まず、これって一言で言うと何なんですか?
製品や技術を開発する、その前段の技術検討にかかるお金を助成する制度です。実施するのは公益財団法人東京都中小企業振興公社。東京都の制度ですね。
そうなんです。公社の説明では「開発実施にあたって考えなくてはならない素材や機能、手法の選定等の技術検討」に要する経費の一部を助成、と書かれています。試作を作る前の「どれが使えるかな」を確かめる段階ですね。
なるほど! いきなり金型を起こす前の、調査や検証のフェーズにスポットを当てているわけか。
そこがこの制度の面白さです。キャッチコピーも「チャレンジを応援! 新たな製品・技術の開発にあたって必要な技術検討を支援します」ですから。
でも正直、技術検討ってピンとこないんですよ。具体的に何をすればいいんですか?
公社が挙げているのが、素材・機能・手法の選定です。新しい製品を作るとき、この素材で本当に強度が出るのか、この機能は実現できるのか、どの手法が現実的か。それを社外の力を借りて確かめる。これが技術検討です。
しかも条件がはっきりしていて「事業化を視野に入れた研究開発を実施する前の技術検討であること」が求められます。単なる勉強会や興味本位の調査だと、そこが弱いわけです。
事業化を視野に入れているかどうか、ですか。ここは後で深掘りしたいですね!
東京だけです。都内の中小企業者等が対象。逆に言うと、東京都外に本社があると対象外ということになります。
えっ、それはシビア。支店が東京でもダメなんですか?
そこは「都内中小企業者」の定義の話になるので、公募要領で要確認ですね。本社所在地の扱いは必ず原文で確認してください。
jGrantsの掲載情報では「従業員数の制約なし」となっています。ただ「中小企業者」に当たるかどうかの定義は公募要領に従う、というのが正確なところです。
で、いくらもらえるんですか? そこが一番気になります!
助成限度額は100万円、申請下限額は10万円。助成率は助成対象と認められる経費の1/2以内、千円未満は切り捨てです。
100万円! 開発の前段にしては、なかなかありがたい金額ですね。
しかも返済不要の助成金です。ただし、助成金の支払いは助成事業を完了して、公社の検査・審査を経た後になります。ここは後で詳しく話しますが、資金繰りの観点でとても大事です。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 助成限度額 | 100万円 |
| 申請下限額 | 10万円 |
| 助成率 | 助成対象と認められる経費の1/2以内(千円未満は切り捨て) |
| 対象経費 | ①原材料・副資材費 ②委託・外注費(②は申請必須) |
| 助成対象期間 | 令和9年3月1日〜令和10年2月29日(最長1年) |
| 支払時期 | 助成事業の完了後、公社の検査・審査を経た後 |
下限10万円っていうのは、つまりどういうことですか?
助成額が10万円未満だと申請できない、という意味です。助成率が1/2なので、計算上は対象経費が20万円以上ないと助成額10万円に届かない、という整理になります。
そうです。逆に上限は100万円。1/2で割ると対象経費200万円でちょうど上限に当たります。それ以上積んでも助成額は100万円で止まる、と。
なるほど、経費200万円がひとつの目安になるわけですね!
千円未満は切り捨てです。たとえば対象経費が333,400円なら1/2で166,700円、そこから千円未満を落として166,000円。
消えます(笑)。あと、経費全額が対象になるわけではなくて「助成対象と認められる経費」の1/2ですから、何が対象かで金額が変わります。
対象経費が120万円なら助成額は60万円。250万円なら1/2で125万円ですが、上限100万円なので100万円。この2パターンは頭に入れておくと計算がラクです。
なるほど! 120万で60万、250万で100万、と。
公社が挙げているのは4類型です。都内中小企業者(会社または個人事業者)、中小企業団体等、都内創業予定者、そして複数の企業等で構成される中小企業グループ(共同申請)です。
ですね。会社だけでなく個人事業者も入っていますし、まだ創業していない「予定者」も入っています。
対象者に「会社または個人事業者」と明記されています。個人事業主の方でも申請の土俵には乗ります。
一人で新製品のアイデアを温めている人とか、夢がありますね!
ただし「都内」であることと、事業化を視野に入れた技術検討であることは外せません。都内創業予定者の場合は、都内で創業予定であることが前提になります。
なるほど。何を準備すればいいかは公募要領で確認ですね。
そうです。申請様式のExcelと記入例のPDFがjGrantsからダウンロードできます。まずは公募要領とフライヤーを落とすところから始めましょう。
複数の企業等で構成される中小企業グループとして申請する形です。公社は「中小企業グループ(共同申請)」と書いています。
この制度は社外資源の活用が前提ですから、相手先との関係性がある程度できているチームなら組みやすいかもしれません。
あ、でも「社外資源の活用」って、共同申請じゃなくてもいいんですよね?
そこは別の条件です。他企業・大学・試験研究機関等の社外資源を活用することが求められていて、共同申請はあくまで申請主体の形のひとつ。この2つは分けて考えましょう。
| 対象業種(jGrants掲載) | |
|---|
| 漁業 | 運輸業、郵便業 |
| 建設業 | 卸売業、小売業 |
| 製造業 | 金融業、保険業 |
| 電気・ガス・熱供給・水道業 | 不動産業、物品賃貸業 |
| 情報通信業 | 学術研究、専門・技術サービス業 |
| 複合サービス事業 | 宿泊業、飲食サービス業 |
| サービス業(他に分類されないもの) | 生活関連サービス業、娯楽業 |
| 分類不能の産業 | 教育、学習支援業 |
| 農業、林業 | 医療、福祉 |
| 鉱業、採石業、砂利採取業 | |
漁業から医療、福祉まで、かなり多くの業種が並んでいます。製造業だけでなく、情報通信業、卸売業、小売業、宿泊業、飲食サービス業、教育、学習支援業まで入っているのが特徴的ですね。
そう読めます。ただし、このリストに載っていない業種は対象外ということになります。自分の業種がどこに当たるか、申請前にチェックしてください。
はい! ここは見落としやすいので、しっかり確認します。
公社が挙げている技術検討に要する経費は2つ。①原材料・副資材費、②委託・外注費です。そして②は申請必須とされています。
シンプルですが、②が必須というのが効いてきます。委託・外注費のうち、委託費・外注費・共同研究費のいずれか1つ以上の経費を計上すること、と明記されています。
そういうことになります。この制度の設計思想が社外資源の活用にあるので、当然といえば当然ですね。
対象になる経費と、見落としやすい注意点- 原材料・副資材費(技術検討に要するもの)
- 委託費・外注費・共同研究費のいずれか1つ以上(計上は必須)
- 助成対象と認められる経費の1/2以内を助成
×デメリット
- 委託・外注費がゼロだと要件を満たさない
- 千円未満は切り捨てになる
- 支払いは完了後の検査・審査を経た後
- 技術検討は助成対象期間内に完了させなくてはならない
原材料・副資材費って、要するに材料を買うお金ですよね。試作するわけじゃないのに買うんですか?
技術検討に必要な材料です。評価用のサンプルを作るための材料や、検討に使う副資材ですね。開発そのものの材料費とは切り分けて考える必要があります。
難しいからこそ、何を検討するために何が必要かを説明できる形にしておくべきです。公社も「技術検討に要する経費」と限定していますから。
ここは本当に要注意です。公社の記載でも「委託・外注費のうち、委託費・外注費・共同研究費のいずれか1つ以上の経費を計上すること」と書かれていますから、この項目がゼロだと要件を満たしません。
社外資源として「他企業・大学・試験研究機関等」が挙げられています。どの形で計上するかは経費の性質次第なので、整理してから申請書に落とし込みましょう。
ここからは実際の手続きを。いつからいつまでですか?
申請書提出期間は令和8年10月28日(水)から令和8年11月18日(水)17時00分までです。一方、jGrantsの掲載では募集期間が2026年10月27日から2026年11月18日となっています。
ズレています。開始日が10月27日か10月28日か。なので「10月27日から出せる」と決め打ちせず、公募要領で要確認してください。締切は11月18日17時00分で一致しています。
申請から助成金支払いまでの流れ- 1
公募要領とフライヤーを入手
jGrantsからダウンロードして要件を確認
- 2
社外資源の相手先を決める
他企業・大学・試験研究機関等
- 3
- 4
- 5
jGrantsにログインして電子申請
代理申請も可とされている
- 6
令和8年11月18日17時00分が締切
余裕を持って提出
- 7
令和9年3月1日から技術検討を開始
最長1年、期間内に完了させる
- 8
完了後に公社の検査・審査
その後、助成金が支払われる
17時00分っていうのは、つまり当日の17時で締め切りと。
はい、令和8年11月18日(水)17時00分です。時間ぴったりで閉まるので、その日の午後に駆け込むのは危険です。
電子申請なら24時間いけると思っちゃいますよね……。
そこが落とし穴。システム側の都合もありますから、余裕を持って出しましょう。jGrantsでは代理申請も可とされています。
申請はjGrantsから電子申請、ですよね。何を準備すればいいですか?
jGrantsにログインして申請する形です。ログインに必要なIDの取得方法や必要日数はjGrantsの案内で確認してください。あわせて公募要領とフライヤー、申請様式のExcel、記入例のPDFをダウンロードしておきます。
揃っています。流れとしては、社外資源の相手先を決める、経費を積み上げる、様式に記入する、電子申請する、という順番ですね。
そこです(笑)。逆算してスケジュールを引きましょう。
jGrantsのページに、公募要領、フライヤー、申請様式のExcel、記入例のPDFが掲載されています。まずこの4点を落とすところから。
記入例があるなら、まずそれを眺めるのが早いです。何を書かされるのかが先にわかると、経費の積み上げも迷いません。
公社が明示している要件を、そのまま押さえるのが基本です。事業化を視野に入れた研究開発の前の技術検討であること、社外資源を活用すること、委託・外注費を計上すること。この3つですね。
そういうことです。あと忘れちゃいけないのが、公社は「製品等の優位性や妥当性を公社が保証するものではありません」と書いている点。助成されたから市場で勝てる、ではないんです。
「研究開発を実施する前」って、どこまでを前と呼ぶんですか?
開発に着手する前に、素材・機能・手法を選ぶための検討、という整理です。だから助成対象期間中に技術検討を完了させる必要があります。開発本体をこの助成金でやる、という読み方はできません。
なるほど。じゃあ「試作を作りました」だけでは成果にならない?
少なくとも制度の趣旨は技術検討の支援です。何を検討し、何がわかったのかを説明できる形にするのが筋ですね。
公社は「他企業・大学・試験研究機関等」と書いています。自社の内製だけで完結させない、というのがこの制度の核です。
そうですね。誰に、何を、いつまでに検討してもらうのか。そこが曖昧なままだと経費の積み上げもできません。
公社の記載はこうです。助成金の支払いは、助成事業を完了し、公社の検査・審査を経た後となります。
そうです。しかも助成額は経費の1/2以内なので、残りは自社負担。資金計画は申請前に立てておくべきです。
本当にそうです。100万円の助成を受けるなら対象経費は200万円。自己負担が100万円ある計算になりますから。
令和8年10月27日がjGrants上の募集期間の開始、令和8年10月28日が公社の申請書提出期間の開始、令和8年11月18日17時00分が締切。そして令和9年3月1日から令和10年2月29日までが助成対象期間で、最長1年です。
そうですね。だから技術検討の計画も、その期間に収まるように組む必要があります。
令和8年度のスケジュール2026年10月27日
jGrants上の募集期間スタート
掲載情報の開始日
令和8年10月28日
申請書提出期間スタート
公社の記載はこちら
令和8年11月18日17時00分
申請締切
時間厳守
令和9年3月1日
助成対象期間スタート
技術検討を開始
令和10年2月29日
助成対象期間の終了
最長1年、期間内に完了
完了後
公社の検査・審査
その後、助成金が支払われる
令和9年3月1日〜令和10年2月29日、最長1年。意外と長い!
1年ありますから、段階を踏んだ検討も組めます。ただし「技術検討は助成対象期間内に完了させなくてはなりません」と明記されています。ここは絶対条件です。
そこは公募要領の世界ですが、期間内完了が条件である以上、遅れる前提で計画を立てるのは危険です。マイルストーンを切っておきましょう。
審査を経て結果が出る、という流れです。そして助成が決まったら令和9年3月1日から技術検討を始め、完了後に公社の検査・審査を受けて支払い、という順番になります。
長いです(笑)。でも、この順番を最初に知っておくと、社内の根回しがまったく変わりますよ。
ここまでの話を踏まえて、よくある疑問を詰めていきたいです。
公社の対象者欄には「会社または個人事業者」とあります。個人事業主も対象者に含まれています。ただし都内であること、技術検討であることなど他の要件は同じです。
都内創業予定者も対象者として挙がっていますから、創業前でも道はあります。詳しい確認方法は公募要領で要確認です。
この記事で参照している公社とjGrantsの記載には、併給ルールについての記述はありません。なので「大丈夫」とも「ダメ」とも言えません。ここは公募要領で要確認です。
そうです。同じ経費に二重で助成を受けるのは普通通りませんから、申請前に必ず確認を。
公益財団法人東京都中小企業振興公社 企画管理部 助成課。住所は〒101-0022 東京都千代区神田練塀町3-3 大東ビル4階、電話は03-3251-7894です。
ただし制度の細かい解釈は募集要項・公募要領が正です。電話で聞く前に目を通しておくと話が早いですよ。
そろそろまとめに入りましょう。今日の話を一言でいうと?
開発の前の技術検討に、上限100万円・1/2以内でお金が出る制度です。社外資源の活用と委託・外注費の計上が必須で、支払いは完了後。この4点が骨格ですね。
公募要領とフライヤーをダウンロードして、自分の業種と所在地が対象か確認する。そこからです。開始日が10月27日と10月28日でズレているので、その点も原文で確認してください。
はい、まず原文から。今日はありがとうございました!
あとは公募要領で詰めるだけです。良いチャレンジを!