今回のテーマは、令和8年度の資源循環まわりの補助金にある「事前着手届出」です。名前からしてもう難しそうなんですけど、そもそも何の話なんですか?
室谷: まず原則からいきましょう。補助金は、交付決定通知が出たあとでないと、対象となる経費の発注や支出ができないんです。
佐藤: なるほど、順番が決まっているんですね!
室谷: しかも、発注先への内示も発注行為とみなされます。審査の結果、採択が決まると事務局から「交付決定通知書」が発出されて、そこから発注・契約・支出が可能になる。これが原則です。
佐藤: へえ! じゃあ、先に動いちゃうのは基本アウトなんですね。
室谷: そうなんです。だからこそ、この「事前着手届出」という仕組みに意味が出てくるわけです。
じゃあ、その原則を崩せるのが事前着手届出なんですか?
室谷: はい。本事業の必要性・緊急性に鑑みて、決められた受付期間に届出を行い、事前着手受理通知を受け取った場合に限り、通知に記載の「事前着手開始日として認める日」以降に発生した経費等についても、補助対象経費として認める場合があるんです。
佐藤: 早く動きたい人向けの救済措置ってことですね!
室谷: ただ、無条件ではありません。この場合でも、補助金のルールに従った発注等の手続き、たとえば入札や3者見積などが行われていないと、補助対象経費になりません。
佐藤: タイミングだけ例外で、やり方は普通どおり、と。そこは覚えておきます。
届出を出せば、過去にさかのぼって対象にできるんですか?
室谷: そこが最大の落とし穴です。事前着手開始日は、自分で届け出た日付になります。そして、届出日より前に実施した発注・契約・支出等に係る経費は、補助対象になりません。
佐藤: えっ、先に発注してから「じゃあ届け出よう」では手遅れなんですね。マジですか……。
室谷: そういうことです。順番が命。ここを外すと、あとで全部自己負担になりかねません。
自律型資源循環システム強靱化促進事業(事前着手届出)の特徴交付決定前でも着手できる可能性
事前着手届出が受理されると、通知に記載の開始日以降の経費が対象になりうる
jGrantsでオンライン届出
受付期間内に事前着手届出画面から必要項目を直接入力して届け出る
手続きのルールは同じ
入札や3者見積など、補助金のルールに従った発注等が前提になる
従業員数の制約なし
対象業種は幅広く、対象地域は全国。代理申請は不可とされている
この補助金、そもそも何を目指しているんですか?
室谷: 経済産業省が公表している情報によると、本事業は、民間企業等が「サーキュラーパートナーズ(サーキュラーエコノミーに関する産官学のパートナーシップ)」の枠組みを活用し、新たな資源循環市場の創出に向けた、脱炭素と経済成長を両立する取組を早期に実現することを目的としています。
佐藤: サーキュラーパートナーズ、初耳でした。産官学のパートナーシップなんですね。
室谷: そういう枠組みを前提にした事業です。「早期に実現する」というところが、事前着手を認める理由にもつながっていそうですよね。
佐藤: なるほど! スピードが重視されている事業だから、この届出があるんですね。
うちみたいな会社でも対象になるんでしょうか。業種の縛りが気になります。
室谷: ここは驚きポイントです。対象業種がとにかく広い。漁業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、情報通信業、複合サービス事業、サービス業、公務、分類不能の産業、農業・林業、鉱業・採石業・砂利採取業、運輸業・郵便業、卸売業・小売業、金融業・保険業、不動産業・物品賃貸業、学術研究・専門・技術サービス業、宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス業・娯楽業、教育・学習支援業、医療・福祉です。
佐藤: ほぼ全部じゃないですか(笑)。「分類不能の産業」まで入っている!
室谷: そうなんです。業種で足切りされる感じはかなり薄いですね。まずは自分たちが何をやりたいかで考えていいと思います。
従業員数の上限とかはあるんですか?
室谷: 従業員数の制約はなし、とされています。
佐藤: それはありがたい! あ、代理申請ってできるんですか?
室谷: そこは不可です。jGrants上でも代理申請は不可と明記されています。自分たちで出す必要があります。
佐藤: なるほど、そこは自力でやるしかないんですね。覚えておきます。
どういう目的の使い方が想定されているんですか?
室谷: 公募情報では、利用目的として「新たな事業を行いたい」「研究開発・実証事業を行いたい」「設備整備・IT導入をしたい」「エコ・SDGs活動支援がほしい」が挙げられています。
佐藤: 設備もITもいけるんですね!
室谷: ただし、実際にどの経費が対象になるかは公募要領の確認が必須です。ここを飛ばして走り出すのが、いちばん危ないパターンです。
事前着手届出のメリットと注意点- 交付決定を待たずに着手できる可能性がある
- 緊急性・必要性が認められれば、通知の開始日以降の経費を対象にできる場合がある
- 対象業種が幅広く、対象地域は全国、従業員数の制約もなし
×デメリット
- 受理されても、採択審査で採択されなければ交付は受けられない
- 届出日より前に実施した発注・契約・支出は補助対象外
- 入札や3者見積など、ルールに従った手続きを守らないと対象外
- 受付期間以降の届出は受け付けられない
気になるのは金額ですよ。いくらもらえるんですか?
室谷: ここは正直にお伝えします。jGrants上の補助上限額は「—」、つまり公表されていません。補助率も「公募要領をご確認ください」という扱いです。
佐藤: えっ、金額がわからないまま終わるんですか(笑)。
室谷: いえ、だからこそ公募要領を最初に開くのが正解なんです。こちらで「たぶんこのくらい」と書くのは絶対にダメなので、そこは伏せます。
佐藤: なるほど、フェアですね。じゃあ要領を読むところから始めます。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 制度名(正式) | 令和8年度 脱炭素成長型経済構造移行推進対策費補助金(自律型資源循環システム強靱化促進事業)(事前着手届出)【二次公募】 |
| 実施機関/事業名 | 脱炭素成長型経済構造移行推進対策費補助金(自律型資源循環システム強靱化促進事業) |
| 補助金額 | 上限は公表なし(jGrants上は「—」)→ 公募要領で要確認 |
| 補助率 | 公募要領をご確認ください |
| 募集期間 | 2026年10月1日〜2026年11月6日(令和8年10月1日〜令和8年11月6日15時まで) |
| 対象地域 | 全国 |
| 対象業種 | 漁業/建設業/製造業/電気・ガス・熱供給・水道業/情報通信業/複合サービス事業/サービス業/公務/分類不能の産業/農業、林業/鉱業、採石業、砂利採取業/運輸業、郵便業/卸売業、小売業/金融業、保険業/不動産業、物品賃貸業/学術研究、専門・技術サービス業/宿泊業、飲食サービス業/生活関連サービス業、娯楽業/教育、学習支援業/医療、福祉 |
| 従業員数の上限 | 従業員数の制約なし |
| 代理申請 | 不可 |
| 公式URL | https://www.jgrants-portal.go.jp/subsidy/a0WfQ000003N8hVUAS |
こうして並べると、業種の欄が長いなあ……!
室谷: そうなんです。それだけ間口が広いということです。
補助率がわからないと、事業計画も立てづらいですよね。
室谷: ですから、まず公募要領をダウンロードして、対象経費と補助率、上限額を確認する。これが最初の一歩です。
佐藤: ちなみに要領ってどこにあるんですか?
室谷: jGrantsのページに「公募要領_二次公募.pdf」が掲載されています。あわせて交付規程と、交付規程の様式集_二次公募.docxも公開されています。
佐藤: 様式もセットであるんですね。助かります!
事前着手で先に発注した場合って、金額の扱いは変わるんですか?
室谷: 金額の扱いが変わるという話ではありません。認められるかどうかの「タイミング」の話です。しかも、入札や3者見積といった手続きを守っていないと対象外になります。
佐藤: なるほど。ルールは同じで、タイミングだけ例外、と。
室谷: その理解で大丈夫です。次の章では、そのタイミングの締切を見ていきましょう。
締切を教えてください!
室谷: 受付期間は令和8年10月1日(木)から令和8年11月6日(金)15時までです。この期間にjGrantsで届出を実施・完了させる必要があります。
佐藤: 15時まで、というのがポイントですね。夕方じゃなくて15時!
室谷: そうなんです。しかも、締切は「書き始めた時刻」ではなく「届出を完了させた時刻」が勝負になります。
佐藤: なるほど……。じゃあ前日までに終わらせるくらいの気持ちで動きます。
1分過ぎたらどうなるんですか?
室谷: 受付期間以降の届出は受け付けられません。これははっきり書かれています。
佐藤: 容赦ないですね……。
室谷: ですから、11月6日の午後に初めてシステムを触る、というのが一番危険なパターンです。余裕を持って出すのが鉄則です。
佐藤: はい、カレンダーに書いておきます!
地域の縛りはありますか?
室谷: 対象地域は全国です。どこに事業所があっても対象になりえます。
佐藤: 全国OKはありがたい! 地方の小さい会社でもチャンスがあるんですね。
室谷: そうですね。だからこそ、業種や地域ではなく「何をやるか」で考えていくことになります。
事前着手届出のスケジュール令和8年10月1日(木)
受付開始
jGrantsで届出を実施できるようになる
令和8年11月6日(金)15時
受付締切
期間以降の届出は受け付けられない
締切後
受理可否の通知
事務局が緊急性・必要性を判断し、結果を速やかに通知
通知後
通知に記載の開始日以降
発注・契約・支出が補助対象になりうる
その後
採択審査
採択されなければ補助金の交付は受けられない
実際どこに出すんですか?
室谷: 補助金申請システム「jGrants」の事前着手届出画面です。そこから必要項目を直接入力して届け出ます。
佐藤: 郵送とかじゃないんですね。完全にオンライン!
室谷: はい。しかも、この事前着手届出は通常の申請とは別の入口です。混同しないようにしてください。
佐藤: なるほど、別のメニューを開くわけですね。
入力する項目って何があるんですか?
室谷: そこは画面に沿って入力していく形になります。大事なのは、事前着手開始日として届け出た日付が、そのまま「認められる日」の基準になるという点です。
佐藤: つまり、自分の入力が運命を決めるわけですね……慎重にやります。
室谷: そうですね。あとから「この日付にしておけば」と思っても、届出日より前には戻せません。
jGrantsを使うのに、事前の準備ってありますか?
室谷: jGrantsでの届出にはアカウントの準備が必要とされています。ただし、要否や具体的な手順はjGrants公式の案内で確認してください。こちらで断定できる部分ではありません。
佐藤: なるほど、公式で確認ですね。締切直前に「ログインできない!」は避けたい!
室谷: まさにそのとおりです。受付開始の令和8年10月1日より前に、環境を整えておくのが安心です。
事前着手届出の流れ- 1
公募要領を確認
対象経費・補助率と「6.間接補助事業の申請、実施における注意事項」(P.18)を読む
- 2
jGrantsのアカウント準備
要否や手順はjGrants公式の案内で確認しておく
- 3
- 4
受付期間内に届出を完了
令和8年10月1日から11月6日15時までに完了させる
- 5
受理可否の通知を待つ
緊急性・必要性があると判断されれば受理される
- 6
通知の開始日以降に発注等
入札・3者見積などのルールを守って実施する
- 7
採択審査の結果を確認
採択されなければ補助金の交付は受けられない
届出を出せば必ず受理されるんですか?
室谷: いえ、そこは判断があります。事務局が、届出の内容から交付決定前に着手する緊急性・必要性があると判断した場合に受理されます。受理後は結果が速やかに通知されます。
佐藤: なるほど、出せば通るわけじゃないんですね。
室谷: はい。だからこそ「なぜ先に着手しないといけないのか」を、届出内容でしっかり示す必要があります。
佐藤: 理由をきちんと書く、と。そこが勝負ですか。
受理されたらもう安心、ですか?
室谷: それが違うんです。事前着手が受理された場合でも、本補助金の交付を受けるための採択審査の結果、採択されなかった場合は、補助金の交付は受けられません。
佐藤: ええっ、着手しちゃったのに採択されない可能性があるんですか!
室谷: あります。だからこそ、先に着手するリスクを理解したうえで判断してください。ここは本当に大事なポイントです。
佐藤: はい……。「受理=採択」じゃない、と胸に刻みます。
届出が受理されなかった場合は?
室谷: その場合、交付決定日よりも前に発注・購入・契約などを実施したものの経費は、補助対象外になります。
佐藤: けっこう怖いですね……。
室谷: ですので、受理通知が届いて、そこに書かれた「事前着手開始日として認める日」を確認してから動く。この順番を守ることが、いちばん安全な進め方です。
佐藤: 順番、順番、ですね!
受理された場合と、そうでない場合- 通知に記載の事前着手開始日以降に発生した経費等が補助対象経費になりうる
- 入札・3者見積など補助金のルールに従った手続きが前提
- 採択審査で採択されなければ交付は受けられない
- 交付決定日よりも前に発注・購入・契約した経費は補助対象外
- 通知に記載の開始日より前の発注・購入・契約も補助対象外
事前着手が認められたら、あとは自由に発注していいんですか?
室谷: いいえ。補助金のルールに従った発注等の手続き、たとえば入札や3者見積などが行われていないと、補助対象経費になりません。
佐藤: タイミングがOKでも、やり方がダメならアウト、と。
室谷: まさにそこです。スピードと手続きの両立が必要なんですよ。
佐藤: 急ぐほど丁寧に、ってことですね。
正式な発注書を出す前に「これでお願いします」と伝えるのは、セーフですか?
室谷: それは発注行為とみなされます。内示の段階でアウトになりえます。
佐藤: 口頭での根回しも危ないんですね……。
室谷: そうなんです。だから「いつ、何を、どの段階で伝えたか」を記録しておくのが大事です。
佐藤: メモと日付、ですね。徹底します。
細かい注意点はどこに書いてあるんですか?
室谷: 公募要領の「6.間接補助事業の申請、実施における注意事項」、18ページです。ここに詳しく書かれています。
佐藤: ページ数まで指定されていると探しやすい!
室谷: はい。まずP.18を開いてください。ここを読まずに進むのが、いちばん危険なパターンです。
佐藤: なるほど、要領の18ページから読む、と。決めました。
わからないことがあったら、どこに聞けばいいんですか?
室谷: メールは
r8skgshigen@teitanso.or.jp、電話は
03-6264-8381 です。
佐藤: メールアドレス、そのまま打ち込めばいいんですね。
室谷: はい。ただし、受付時間が決まっています。そこを外すと繋がらないので注意してください。
佐藤: なるほど! 時間を確認してから連絡します。
何時から何時までですか?
室谷: 月曜日から金曜日の9時から17時までです。ただし12時から13時を除きます。祝祭日と12月29日から1月3日も除きます。
佐藤: お昼休みがあるんですね。12時台に電話すると繋がらないのか。
室谷: そういうことです。締切が近づくと混み合う可能性もあるので、早めに聞くのがおすすめです。
佐藤: 早めに動く、また早めに動く。この記事、そればっかりですね(笑)。
公式の情報って、どこを見ればいいんですか?
室谷: jGrantsのページと、参照URLとして掲載されている事務局のページがあります。公募要領、交付規程、様式集もあわせて確認してください。
佐藤: 出典をたどって原典を読む、が基本ですね。
室谷: そうです。この記事は入り口として使っていただいて、最終判断は必ず公式の一次情報で。ここだけはお願いします。
佐藤: 了解です! じゃあ最後に、全体をまとめましょうか。
タイトルにもある「二次公募」って、どう受け止めればいいんですか?
室谷: 制度名に【二次公募】と付いているとおり、二次の公募として実施されている回です。本体の事業と、この事前着手届出の回であることを取り違えないようにしてください。
佐藤: なるほど。同じ名前でも窓口が違う可能性がある、と。
室谷: はい。だからこそ、申し込む入口が「事前着手届出」なのか「本申請」なのかを、毎回確認するのが大事です。
この記事を読んだ人が、今日まず何をすればいいですか?
室谷: 公募要領を開いて、対象経費と補助率、上限額を確認する。そしてP.18の注意事項を読む。これが第一歩です。
佐藤: 金額も補助率も要領しだい、ですもんね。
室谷: そうなんです。そして着手を急ぐなら、受付期間の令和8年10月1日から11月6日15時までの間に、jGrantsで届出を完了させる。この順番だけは崩さないでください。
佐藤: わかりました! まず要領、次に届出、そして受理通知を待ってから発注ですね。
最後に、要点をもう一度お願いします。
室谷: はい。交付決定前の着手を認める可能性があるのがこの届出。受付期間は令和8年10月1日から11月6日15時まで。届出日より前の経費は対象外。受理されても採択されなければ交付は受けられない。そして手続きのルールは通常どおり、です。
佐藤: ありがとうございました! 読者のみなさんは、必ず公募要領で最新情報を確認してくださいね。