今日のテーマは「経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業助成金」の業務改善コース、令和8年度第3回です。……名前が長い!(笑)まず何なのか、ざっくり教えてください。
東京都中小企業振興公社が運営する助成金です。長期化する物価高騰や社会情勢の変化、近年続く賃上げで中小企業の課題が山積する中、創意工夫で既存事業を深化・発展させる計画を作った事業者を支援する。これが目的です。
深化は、すでにやっている事業そのものの質を高める取り組み。発展は、既存事業をベースに新たな展開を図る取り組みです。どちらかの方向性が求められます。
なるほど、肩を張らずに「今の仕事を伸ばす」でいいんですね。
そう受け取って大丈夫です。そして最初に覚える数字が2つ。助成上限が600万円、助成率が助成対象と認められる経費の2/3以内です。
タイトルに「第3回」って付いてますけど、これ、何回もあるんですか?
業務改善コースは年に複数回の募集が行われていて、今回が令和8年度の第3回にあたります。受付は令和8年11月2日(月)9時から11月13日(金)16時までです。
13日間です。第3回の窓口はこの期間しか開きません。しかも締切は16時なので、最終日の夕方に駆け込むと間に合わない可能性があります。
こわ! じゃあ逆に、第4回を待つ手もあるんですか?
令和8年度は第4回が令和9年2月1日から2月12日という日程で組まれている、という情報が公開されています。ただこれは公社のページではなく民間の解説ページの記載なので、必ず公募要領で要確認してください。
なるほど、第3回がダメでも次がある、と。でも日程は要確認ですね。
上限600万円、2/3以内。ここ、いちばん知りたいところです!
まず数字を表で並べておきましょう。助成上限額は600万円、助成率は助成対象と認められる経費の2/3以内、助成対象期間は交付決定日から最大1年間です。
助成対象期間が1年ってことは、仕事の進め方も考えないといけないんですね。
そうなんです。交付決定日から最大1年間の取り組みが対象。ですから、いつ交付決定が出るかを頭に置いてスケジュールを組みます。
で、「以内」ってことは、2/3ちょうどじゃないこともある?
あります。2/3は率の上限で、対象になるのは審査で認められた経費です。申請した経費がそのまま全部認められるとは限らない前提で計画を立ててください。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 助成上限額 | 600万円 |
| 助成率 | 助成対象と認められる経費の2/3以内 |
| 助成対象経費 | 既存事業を深化・発展させる計画で審査に認められた経費 |
| 助成対象期間 | 交付決定日から最大1年間 |
| 申請受付期間 | 令和8年11月2日(月)9時~令和8年11月13日(金)16時 |
| 交付決定日 | 令和9年1月下旬予定(2月下旬予定との記載もあり/公募要領で要確認) |
600万円を満額もらうには、いくらの経費が必要なんですか?
2/3で600万円ですから、対象経費は900万円。経費900万円なら助成600万円、自己負担は300万円という計算になります。
300万円は自分で出すんですね。……で、経費が1,200万円だったら?
2/3だと800万円ですが、上限が600万円なので助成は600万円。自己負担は600万円になります。上限に張り付く形です。
経費450万円なら助成300万円で自己負担150万円。経費300万円なら助成200万円で自己負担100万円。このあたりが現実的なラインかもしれません。
ここで引っかかるのが対象地域です。jGrantsの画面だと関東8都県になっていますよね。茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨。
そう、そこは食い違って見えます。制度詳細の助成対象者は「東京都内で事業を行う中小企業者(個人事業主を含む)」と書かれています。
そこは断定できません。jGrantsの対象地域欄と制度詳細の書き方が違うので、自分の所在地が対象になるかは公募要領で必ず確認してください。曖昧なまま進めないほうがいいです。
あわせて「申請要件を満たす」ことが条件になります。要件の中身は公募要領に書かれているので、まずそこを読み込むところから始めましょう。
対象業種はかなり広く並んでいます。漁業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、情報通信業、複合サービス事業、サービス業(他に分類されないもの)、農業・林業、鉱業・採石業・砂利採取業、運輸業・郵便業、卸売業・小売業、金融業・保険業、不動産業・物品賃貸業、学術研究・専門・技術サービス業、宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス業・娯楽業、教育・学習支援業、医療・福祉です。
18の分類が並んでいます。そして従業員数については「従業員数の制約なし」とされています。
ただし中小企業者であることは前提です。個人事業主も対象に含まれます。法人か個人かで必要書類が変わるので、そのあたりは公募要領と申請様式で確認してください。
対象になる経費と、ならない経費- 原材料・副資材費
- 機械装置・工具器具費
- 委託・外注費
- 産業財産権出願・導入費
- 規格等認証・登録費
- 設備等導入費
- システム等導入費
- 専門家指導費
- 不動産賃借料
- 販売促進費(200万円まで)
- その他経費(100万円まで)
×デメリット
- 交付決定前の発注・契約
- 既存事業との関連性が薄い取り組み
- 審査で認められなかった経費
で、何に使えるんですか? ここが一番気になります!
制度詳細では「既存事業を深化・発展させる計画を作成した場合に、審査で認められた経費」とされています。品目の一覧は民間の解説ページに出ていて、原材料・副資材費、機械装置・工具器具費、委託・外注費、産業財産権出願・導入費、規格等認証・登録費、設備等導入費、システム等導入費、専門家指導費、不動産賃借料、販売促進費、その他経費という並びです。
そこは特徴的ですね。ただし販売促進費は200万円まで、その他経費は100万円までという枠が付いています。この金額は公募要領で要確認です。
そして「審査で認められた経費」ですから、一覧に載っている経費でも、計画とのつながりを説明できないと対象になりません。そこは意識しておいてください。
それができないんです。対象になるのは交付決定後に発注・契約したものだけ。工事や設備購入を先に進めてしまうと対象外になります。
よくある落とし穴です。交付決定日は令和9年1月下旬予定とされているので、それまでは発注も契約も動かせない、という前提でスケジュールを組みましょう。
年度の切り替わりと重なるので、そこは要注意ですね。
加えて、既存事業との関連性が薄い取り組みは対象外とされています。今の事業の強みとどうつながるか。ここが説明できないと厳しいです。
うちは設備とITにお金がかかるんですけど、相性はいいですか?
jGrantsの利用目的には「新たな事業を行いたい」「販路拡大・海外展開をしたい」「設備整備・IT導入をしたい」が挙がっています。設備整備やIT導入は想定された使い方のひとつです。
じゃあシステム等導入費で業務を効率化する、みたいな筋書きもありですか。
ありえます。ただし深化の例として挙がっているのは、高性能な機器や設備の導入で競争力を高める、既存の商品やサービスの品質を上げる、高効率機器や省エネ機器で生産性を上げる、といった取り組みです。導入そのものではなく、何が良くなるのかを書く必要があります。
なるほど! 道具の自慢じゃなくて、効果の話ですね。
そこを取り違えると、審査で経費が認められにくくなります。金額の根拠と効果の説明をセットで用意してください。
業務改善コース 申請から事業実施までの流れ- 1
公募要領・申請様式をダウンロード
公社のページから入手
- 2
GビズIDプライムを取得
電子申請に必須。受付開始前に準備
- 3
事業計画書を作成
課題・施策・効果をストーリーで組み立てる
- 4
電子申請で提出
令和8年11月2日9時~11月13日16時
- 5
- 6
交付決定
令和9年1月下旬予定(2月下旬予定の記載もあり/要確認)
- 7
- 8
電子申請です。申請には電子申請システムを使うので、事前にGビズIDプライムアカウントを取得しておく必要があります。
ジー、ビズ、アイディー……。聞いたことはあるけど、取ったことないです。
申請のときには携帯やスマホのワンタイムパスワードも使います。アカウントがないとスタート地点に立てません。
じゃあ11月2日より前に取っておかないといけないんですね!
そうです。11月2日9時に受付が始まって、13日16時に終わる。この13日間で「取得してから申請」をやろうとすると、かなり慌ただしくなります。
公社のページから申請書をダウンロードして、事業計画を練って、電子申請で出す。これが本体です。図にすると、取得・作成・提出・審査・交付決定・発注・事業実施という順番になります。
そこが審査の対象になります。経営課題を抽出して、課題解決のための施策を書いて、実施したときに経営へどう効くかを書く。この3つが一本の線でつながっているか、何度も読み返して仕上げてください。
計画書のブラッシュアップには時間がかかります。受付が始まったらすぐ出せるくらいの準備が理想です。
まずは既存事業の深化なのか発展なのかが明確か、です。深化なら、高性能な機器や設備の導入で競争力を高める、既存の商品やサービスの品質を上げる、高効率機器や省エネ機器で生産性を上げる。このあたりが例として挙がっています。
発展なら、新たな商品やサービスの開発、商品やサービスの新たな提供方法の導入、既存事業で得た知見に基づく新たな取り組み。こちらの例になります。
どちらにせよ、既存事業とのつながりを言葉で説明できるかが勝負です。関連性が薄いと対象外になります。
経営課題を抽出して、その解決のための施策を書いて、実施したときに経営にどう効くかを書く。この3層をストーリーとして組み立てます。
はい。そして経費はそのストーリーに紐づけて積み上げます。認められるのは審査を通った経費だけなので、金額の根拠が説明できないと削られます。
そこが甘いと、上限600万円を狙っていても認められる経費が減って、助成額も一緒に下がります。逆算して、根拠のある積み上げをしてください。
3つのコースの違い(民間解説ページの情報/公募要領で要確認)| 項目 | 業務改善コース | 賃上げ重点コース | 新市場・新分野進出コース |
|---|
| 助成限度額 | 600万円 | 600万円 | 1,000万円 |
| 助成率 | 2/3以内 | 3/4 | 2/3 |
| 対象期間 | 交付決定日から1年間 | 交付決定日から1年間 | 交付決定日から1年間 |
| 令和8年度の募集回数 | 第1回~第4回 | 第1回~第4回 | 第1回・第2回 |
業務改善コースのほかに賃上げ重点コース、新市場・新分野進出コースという3つのコースがある、と民間の解説ページに書かれています。並べるとこうなります。
業務改善コースが2/3以内、賃上げ重点コースが3/4、新市場・新分野進出コースが2/3。上限はそれぞれ600万円、600万円、1,000万円とされています。
ただしこれは民間ページの情報なので、必ず公募要領で確認してください。コースの選び方は、事業の性格で決まります。今回は業務改善コースの第3回、ここに絞って準備しましょう。
業務改善コース 令和8年度の募集日程(民間解説ページの情報)令和8年5月11日~5月29日
第1回
受付終了
令和8年8月3日~8月14日
第2回
受付終了
令和8年11月2日9時~11月13日16時
第3回
今回の募集
令和9年1月下旬(2月下旬予定との記載もあり)
交付決定
公募要領で要確認
令和9年2月1日~2月12日
第4回
次回の募集
業務改善コースは第1回が令和8年5月11日から5月29日、第2回が8月3日から8月14日、第3回が11月2日から11月13日、第4回が令和9年2月1日から2月12日という日程が公開されています。
そうです。ただ第3回の受付は11月13日16時で閉まります。次の機会を待つか、今回で出すかは、計画書の完成度で決めてください。
なるほど! 日程だけ見ると余裕があるように見えて、実はタイトですね。
交付決定日から最大1年間が助成対象期間ですから、事業をいつ始めたいかから逆算するのもひとつの考え方です。
ここで気になるのが交付決定日です。1月下旬予定って書いてあるところと、2月下旬予定って書いてあるところがあるんですが……。
そうなんです。制度詳細では令和9年1月下旬予定、jGrantsのページでは令和9年2月下旬予定と表示されています。食い違っているので、公募要領で要確認です。
1ヶ月違うと、発注のタイミングが変わってきますもんね。
大きく変わります。交付決定前の発注は対象外ですから、この1ヶ月は致命傷になりかねません。
電話で聞くのがいちばん早いです。問い合わせ先は東京都中小企業振興公社の経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業事務局、03-4405-0707です。
ほかに、申請前に確認しておくべきことってありますか?
電子申請の環境、GビズIDプライム、対象経費の品目、そして自分の所在地が対象かどうか。この4つは早めに潰しておいてください。
制度の参照URLは公社のページで、そこから申請書をダウンロードできます。jGrantsのポータルにも掲載があります。
はい。ただ表示が違う箇所があるので、最終判断は公募要領で。そこだけはぶれないでください。
押さえるべきは、上限600万円・2/3以内、受付は令和8年11月2日9時から11月13日16時までの13日間、電子申請なのでGビズIDプライムの事前取得が必要。この3つです。
そして交付決定前の発注は対象外、対象地域と交付決定日は公募要領で要確認。ここを外すと計画が崩れます。
事業計画書は課題・施策・効果のストーリー。そこに根拠のある経費を積む。ここまでできれば、600万円は手の届く数字になります。