室谷さん、今回のテーマは「排出削減が困難な産業におけるエネルギー・製造プロセス転換支援事業」の二次公募ですね。名前が長い!
長いですね(笑)。ざっくり言うと、化学・紙パルプ・セメントのように、どうしてもCO2が出てしまう産業の設備投資を国が後押しする制度です。
はい。今回の二次公募は「事業Ⅱ」という区分で、対象は化学・紙パルプ・セメント等に絞られています。補助率は原則1/3以内、構造転換なら1/2以内です。
大きく2つです。ひとつは自家発電設備やボイラー等の燃料を、石炭等から排出削減に資する燃料へ切り替える「燃料転換」。もうひとつが、製造プロセスそのものを変える「製造プロセス転換」ですね。
プロセスを変えるって、工場の作り直しみたいな話ですか?
近いです。化学なら、廃プラスチック等を活用してナフサ原料の使用量を低減するケミカルリサイクルへの転換や、植物等から製造されるバイオ原料への原料転換が挙がっています。
スケールが大きすぎて、うちの会社の話じゃないみたいです(笑)。
紙パルプなら、木質パルプを活用したバイオリファイナリー産業への転換。経済産業省のページにはこうしたメニューが並んでいます。ただ、どれも設備投資としては重い案件です。
経済産業省のページに鉄鋼の電炉転換って載っていましたよね。あれは今回の対象なんですか?
そこは誤解しやすいところです。事業全体のメニューとしては、鉄鋼の高炉・転炉から革新的な電炉への転換が挙がっています。ただし今回の二次公募は「事業Ⅱ(化学・紙パルプ・セメント等)」が対象です。
じゃあ鉄鋼は、今回の申請では出せない可能性が高いと。
そう読むのが自然です。鉄鋼については別事業区分の扱いを含めて、公募要領で確認してください。
表示だけ見て「製造業だからOK」と飛びつくと危ないですね。
危ないです。jGrantsの業種欄は「製造業」ですが、事業Ⅱの対象は化学・紙パルプ・セメント等。この2つは同じではありません。
タイトルに「二次公募」とありますけど、これはどういう意味なんですか?
経済産業省のページでは、令和6年度~令和10年度事業と令和7年度~令和11年度事業が「公募終了」、令和8年度~令和12年度事業が「公募中」と整理されています。今回の二次公募は、その公募中の枠での2回目の受付という位置づけです。
そうですね。ただ、なぜ二次が設定されているのか、一次で採択に至らなかった案件がどう扱われるのかは、公募要領で確認が必要です。
はい。期間は令和8年10月22日から11月27日正午まで。約5週間しかないので、スケジュールは後半でがっつり触れます。
事業区分が3つあると伺いました。それぞれ何が違うんですか?
公募要領の概要では「燃料転換」「製造プロセス転換」「構造転換」の3つに分かれています。燃料転換は燃料の置き換え、製造プロセス転換は工程そのものの変更。構造転換はさらに踏み込んだ転換で、補助率が1/2以内になる点が大きな違いです。
補助率が変わるなら、どの区分で出すかは超重要じゃないですか!
まさにそこが申請戦略の肝です。ただ、構造転換の具体的な定義や、どの経費がどの区分に対応するかは公募要領の本文で確認してください。
それと注意点。区分をまたぐような申請は基本できません。自分の投資がどの区分に当たるかを最初に決めるのがスタート地点です。
区分の選び方で、具体的にどれくらい差が出るんですか?
たとえば対象経費が1億円だったとします。燃料転換・製造プロセス転換なら1/3以内なので、ざっくり3,300万円前後。構造転換なら1/2以内で5,000万円前後。大きな差です。
同じ1億円の投資で、1,700万円も変わる可能性があると!
ただしこれは補助率の上限の話で、実際に満額通るとは限りません。それに**補助上限額はjGrantsの掲載が「-」**で、金額の記載がありません。ここは公募要領で要確認です。
ですので、申請前に必ず要領と問い合わせ窓口で確認を。問い合わせは平日に受け付けています。
補助対象経費は4つです。設計費、建物等取得費、設備費、システム整備費。この4つに入らないものは原則対象外と考えてください。
そうですね。ただ、設備を入れるには設計が要るし、建屋も要る。システム整備費が入っているのは、プロセス転換にデジタル制御が絡むからでしょう。
ええ。逆に言うと、この4分類にどう振り分けるかで申請書の見え方が変わります。費目は最初にきれいに分けておくのがおすすめです。
制度の概要に挙がっている4つの費目以外は、原則として対象外と考えるのが安全です。人件費や旅費、消耗品費といった経費が対象になるとは、少なくとも概要には書かれていません。
通らない可能性が高いですね。認められない経費を積むと、審査の場でも説明が苦しくなります。公募要領で対象経費の細目を必ず確認してください。
あと、交付のタイミングや精算の方法も要領で確認しておきましょう。資金繰りの計画に入れておかないと、設備を入れた後に苦しくなります。
対象になる経費と注意点×デメリット
- 上記4費目以外は原則対象外
- 補助上限額は公募要領で要確認
- GX関連の体制要件が重い
対象経費が3,000万円なら、1/3以内で最大1,000万円。1億5,000万円なら最大5,000万円です。構造転換の1/2以内なら、3,000万円で最大1,500万円ですね。
ただし繰り返しになりますが、上限額は公募要領で要確認です。計算上の1/3と、制度上の上限のどちらか低い方が実際の補助額になります。
そういうことです。まず要領で上限を確認して、そこから逆算して投資計画を組む。この順番が大事です。
ここからは応募資格ですね。まず誰でもいいわけじゃない?
まず、日本国内に登記された法人であること、そして国内に事業実施場所を有していることが要件です。加えて、事業を的確に遂行する組織・人員、経営基盤と資金の管理能力も求められます。
概要には「日本国内に登記された法人」とあるので、個人事業主が対象になるとは書かれていません。ここは公募要領で確認が必要です。
ええ。従業員数については上限の制約がないとjGrantsに出ています。規模の小さい法人でも門戸は開かれている、という見方はできます。
事業Ⅱの検討対象になりそう?日本国内に登記された法人で、化学・紙パルプ・セメント等の事業を行っていますか?
さっき「温室効果ガス排出削減の取組」という要件がありましたよね。あれが一番きつそうなんですが。
おっしゃるとおりで、ここが実質的な関門です。まず、2030年度のScope1・Scope2排出削減目標を設定すること。そして第三者検証による毎年の実績報告・公表。目標未達時にはクレジットを調達する。これを実施するか、GXリーグに参加している必要があります。
さらに、2026年度以降のGXフューチャー・リーグに参加して、排出量実績を報告することも求められます。設備投資の前に、会社としての脱炭素ガバナンスが整っているかを見られているわけです。
そうですね。申請書を書く前に、社内の目標設定・第三者検証の体制を確認する。ここが最短ルートです。
欠格事由ですね。経済産業省からの補助金交付等停止措置や指名停止措置を受けていないこと、暴力団排除要件に該当しないことが求められます。
当たり前といえば当たり前ですが、確認は必要ですね。
ええ。それから、単独では事業実施が成立しない場合など、一定の条件を満たせば複数事業者による共同申請も可能です。
じゃあ、自社だけでは設備を持てない場合でも道がある?
可能性はあります。ただし共同申請は、代表者・経費の按分・成果の帰属などを決めておかないと後で揉めます。公募要領の共同申請の定めを先に読んでください。
最初はGビズIDプライムの取得です。申請はJグランツを通じた電子申請のみで、郵送・持参・メール等での提出は受け付けていません。そしてJグランツの申請にはGビズIDプライムが必要です。
ダメです。しかもGビズIDの取得には時間がかかることがあるので、要領を読みながら並行して進めるのが現実的です。
まさに。だからこそ、この記事を読んだ時点で動き出すのがいちばん安全です。
jGrantsのページに、公募要領「2026_HtA事業Ⅱ_化学・紙パルプ・セメント等(二次公募)│公募要領_v1.0.pdf」と、申請様式のzip「hta2026_2_2_shinsei_yoshiki.zip」が掲載されています。まずこれをダウンロードしてください。
はい。そして大事なのが、代理申請ができないという点。jGrantsのページに「当サイトの代理申請:不可」と明記されています。自分たちで申請する必要があります。
少なくとも申請操作は自社で行う前提です。書き方の相談はできても、提出は自分たち。そこは覚悟しておきましょう。
はい、こちらです。6ステップで考えると整理しやすいですよ。
二次公募の申請フロー- 1
GビズIDプライムを取得
Jグランツ申請に必須。早めに着手
- 2
公募要領と申請様式を入手
jGrantsページからダウンロード
- 3
応募資格をセルフチェック
業種・法人格・GX関連要件を確認
- 4
事業計画と経費を積み上げ
設計費・建物等取得費・設備費・システム整備費
- 5
- 6
そうなんです。特に様式記入は、投資計画と排出削減効果の説明がセットになります。数字の根拠を用意しながら書く必要があります。
問い合わせ先は平日の受付です。審査に関する連絡に備えて、平日に電話が取れる体制を整えておきましょう。なお、根拠法令は補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律、同施行令、そして交付規程です。
制度の目的が「CO2排出削減効果等の要件を満たす」設備投資の支援なので、削減効果の説明は外せません。加えて、事業を遂行する組織・人員・資金管理能力も要件に入っています。
ええ。どれだけ減るのか、それをどう測るのか、誰が実行するのか。この3点が説明できるかどうかです。
審査の配点や細目は公募要領で確認してください。少なくとも、目的に照らした削減効果と、遂行能力の2軸は外せないと考えておくのが安全です。
まず、GビズIDプライムは取れているか。次に、2030年度のScope1・Scope2目標と第三者検証の体制、GXフューチャー・リーグへの参加と報告。ここが抜けていると土台から崩れます。
そうなんですよ。この補助金は「設備を買う人」ではなく「脱炭素を経営に組み込んでいる人」に出す設計になっています。
そして最後に、締切が11月27日正午であること。ここを勘違いすると全部終わります(笑)。
募集期間は令和8年10月22日から令和8年11月27日正午まで。約5週間です。
しかもその間にGビズID取得、要領読み込み、様式作成、社内決裁。相当タイトです。
ギリギリです。だから、まず要領を開いて、対象経費と応募資格の該当チェックを今日中にやる。それが第一歩です。
令和8年度 二次公募のスケジュール令和8年10月22日
公募開始
募集期間の起点
令和8年11月27日 正午
応募締切
Jグランツによる電子申請のみ
締切後
審査・採択
日程の詳細は公募要領で確認
怖いですよ。11月27日の正午です。23時59分ではありません。
詰みます(笑)。しかも電子申請なので、システムの混雑や入力エラーも想定しないといけない。遅くとも数日前には提出を終える計画にしてください。
逆算すると、いつまでに様式を完成させるべきですか?
提出の3営業日以上前に社内決裁まで終える。そこから逆算して、要領読み込みとGビズID取得を最優先で。とにかく順番を間違えないことです。
よくある質問をいくつか。まず、補助上限額はいくらですか?
jGrantsの掲載では補助上限額が「-」、つまり記載がありません。ですので公募要領で要確認です。ここで推測の数字を出すのは危険なので、必ず要領を見てください。
なお、補助率は原則1/3以内、構造転換なら1/2以内と明記されています。上限と補助率は別物なので、両方確認が必要です。
可能です。単独での事業実施が成立しない場合など、一定の条件を満たせば複数事業者による共同申請ができます。詳細は公募要領で確認してください。
そこは要領の定めに従うことになります。経費の按分や設備の帰属も含めて、共同申請者間の取り決めを文書化しておくのが安全です。
必要です(笑)。補助金は後から第三者に見られるお金ですから。
じゃあ、本事業Ⅱの申請者向け窓口とまったく同じとは限らないと。
そういうことです。本事業Ⅱの申請者向け窓口は公募要領およびjGrantsページで確認してください。受付時間は平日です。
3つです。対象が化学・紙パルプ・セメント等に絞られていること。燃料転換・製造プロセス転換・構造転換の3区分があり、構造転換だけ補助率が1/2以内になること。そしてGXリーグ関連の体制要件が重いことです。
そこがこの制度のいちばんの特徴ですね。お金を出す相手を、脱炭素のコミットメントで選んでいる。そう読むのが自然です。
この制度の3つの特徴対象業種が絞られている
事業Ⅱは化学・紙パルプ・セメント等
3つの事業区分
燃料転換・製造プロセス転換・構造転換
GXの体制要件が重い
2030年度目標・第三者検証・GXフューチャー・リーグ参加
はい、こちらです。申込前にこの表を要領と突き合わせてください。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 制度名 | 令和8年度排出削減が困難な産業におけるエネルギー・製造プロセス転換支援事業(二次公募) |
| 実施機関 | 経済産業省(イノベーション環境局 GXグループ GX投資促進課) |
| 募集期間 | 令和8年10月22日〜令和8年11月27日正午 |
| 対象地域 | 全国 |
| 対象業種 | 製造業(事業Ⅱは化学・紙パルプ・セメント等) |
| 補助率 | 原則1/3以内(構造転換は1/2以内) |
| 補助上限額 | 公募要領で要確認(jGrants掲載は「-」) |
| 申請方法 | Jグランツによる電子申請のみ(GビズIDプライム必須) |
| 代理申請 | 不可 |
| 公式URL | https://www.jgrants-portal.go.jp/subsidy/a0WfQ000003mzyjUAA |
上限額だけが空欄、というのがこの制度のいちばん気になるところですね。
そうなんです。だからこそ、要領を開くのが最初の一歩。数字は要領で確認、体制は今日から確認。この2つで動き出しましょう!