今日のテーマは「排出削減が困難な産業におけるエネルギー・製造プロセス転換支援事業」の二次公募、しかも【事前着手】の回ですね。制度名が長すぎて、まず何の話か飲み込めていません。
ですよね。しかも今回は申請そのものより「事前着手届出」が主役なんです。補助金は普通、交付決定のあとでないと発注できないのに、その前から動きたい事業者向けの特例で。
えっ、交付決定前に発注していい特例があるんですか。それは知らなかった!
条件付きです。届出を出して、事務局が「交付決定前に着手する緊急性と必要性がある」と判断したときだけ受理される。受理されたら結果が速やかに通知される、という流れです。
その前に、この事業そのものが何を支援するのか教えてください。
排出削減が困難な産業で、排出量削減と産業競争力強化につなげるための設備投資等を支援します。対象として挙がっているのが鉄鋼、化学、紙パルプ、セメント等ですね。
鉄鋼も化学も紙パルプも、世の中の素材を作っている業種ばかり。まさに「困難な産業」ですね。
そう。しかも「いち早い社会実装に繋がる」設備投資等、というのがポイントです。実験室レベルではなく、現場に入れる段階の投資を想定していると読めます。
たしかに。研究開発の補助金とは性格が違うんですね。
経済産業省のGX投資促進課が所管する事業で、今回募集されているのは令和8年度から令和12年度までの枠のひとつです。ここから先は、中身を分解していきます。
経済産業省のページに、年度の違う枠が並んでいましたよね。
3つ並んでいます。令和6年度~令和10年度事業、令和7年度~令和11年度事業、令和8年度~令和12年度事業。このうち前の2つは「公募終了」と明記されていて、いま公募中なのが令和8年度~令和12年度事業です。
生きている枠は1つだけ、と。ここを混同すると締切を見間違えそうです。
そうなんですよ。しかも今回は「二次公募」と付いています。jGrantsに置かれている公募要領のファイル名が「2026_HtA事業Ⅱ_化学・紙パルプ・セメント等(二次公募)」なので、化学・紙パルプ・セメント等の区分を対象にした回だと分かります。
ファイル名から読み取るんですね(笑)。タイトルだけ見ていたら気づきませんでした。
笑。細かいところですが、大事な情報がファイル名に載っていることもあるので、公募要領は開いて確認するのが確実です。
では核心です。事前着手が認められると、何が変わるんですか。
本来は、補助金の交付決定通知が出た後でないと、補助対象となる経費の発注や支出ができません。事前着手が受理されると、その縛りが一部緩む、という違いです。
なるほど。じゃあ、交付決定までにどんな書類が来るのかも知りたいです。
まず審査の結果、採択が決まると事務局から「採択通知書」が出ます。そのあと採択者が交付規程に基づいて交付申請書を出し、事務局が内容を厳正に審査して、正式に認める「補助金交付決定通知書」が出る。ここまでが2段階です。
採択=もうお金が決まった、ではないと。そこは誤解しやすい!
まさに。採択通知は採択の知らせ、交付決定通知は「補助金の交付対象として事業の実施を認めます」という知らせ。発注のタイミングを考えるとき、どちらの通知の話をしているかで意味が変わってきます。
受理通知に事前着手開始日として認める日が書かれます。その日以降の日が起点で、それより前にやった発注・契約・支出は補助対象になりません。
え、通知が来る前の準備発注は全部アウトなんですね……。
アウトです。しかも「事前着手受理通知の発行日以降の日」と決まっていますから、受理の連絡を受けてから動くのが鉄則。ここを先走ると、どれだけ立派な設備投資でも経費として拾えません。
ひえっ、怖い。スケジュールは余裕をもって組みたいですね。
そこが落とし穴で、発注先への内示も発注行為とみなすと明記されています。口頭やメールで「この方向でお願いします」と伝えただけでも、発注をした扱いになり得ます。
それは知らないと普通に踏みますよ……。見積もりの依頼は?
見積依頼は発注ではありませんが、内示との線引きは微妙なので、迷ったら事務局に確認してください。確認の一手間が、あとで効きます。
なるほど、そこは誤解しやすい。届出の前に、社内で「いつ何を言ったか」を揃えておく必要がありますね。
ここからは対象の中身です。どんな事業が対象になりますか。
大きく2本立てです。ひとつが製造プロセス転換事業、もうひとつが自家発電設備等の燃料転換事業。分けて考えると整理しやすいですよ。
製造プロセス転換って、要は作り方そのものを変えるイメージですか。
そのとおりです。鉄鋼なら、従来の高炉・転炉から大幅に排出を削減する革新的な電炉への転換。化学なら、廃プラスチック等を活用してナフサ原料の使用量を低減するケミカルリサイクルへのプロセス転換や、植物等から製造されてライフサイクルを通じた排出量が低いバイオ原料への原料転換です。
鉄鋼の電炉って、設備の入れ替え規模がすごく大きそうですけど。
だからこそ「いち早い社会実装に繋がる設備投資等」が支援対象なんですね。紙パルプでは、化石燃料由来製品等の代替素材となる可能性を有している木質パルプを活用したバイオリファイナリー産業への転換が挙がっています。
木質パルプが代替素材の原料になる、という発想が面白い!
化学、紙パルプ、セメント等の各産業で、石炭等を燃料とする自家発電設備やボイラー等を、大幅な排出削減に資する燃料へ転換する事業です。工場の動力源を丸ごと変える話ですね。
製造プロセスはそのままで、燃料だけ変えるパターンもあると。
そうです。プロセスを変えるのか、燃料を変えるのか、あるいは両方か。自社の投資計画がどちらに当たるかを先に決めておくと、公募要領を読むときの迷いが減ります。
応募できるのはどんな会社ですか。中小企業でも大丈夫?
jGrantsの条件欄では、業種は製造業、対象地域は全国、従業員数の上限は「従業員数の制約なし」とされています。利用目的は「新たな事業を行いたい」ですね。
従業員数の縛りがないのはありがたい。地域も全国なんですね。
ただし、これはjGrantsの掲載情報です。細かい要件は公募要領の確認が必要で、特に「新たな事業」とどう組み合わさるかは要領を読んで判断してください。
わかりました。条件欄は入口、公募要領が本丸、という理解でいきます。
それが、jGrantsのページでは補助上限額が「-」、補助率の欄も空欄なんです。ですからこの記事で金額を断定はできません。公募要領で要確認、という扱いになります。
えー、そこが空欄なのはつらい。でも数字を作っちゃいけないですもんね。
そうです。推測で書かないのが正解。補助上限額と補助率は、公募要領PDFの該当箇所と交付要綱を見て確定させてください。
金額が分からない状態で、社内の投資決裁は通らないですよね。
通らないと思います。だから最初に公募要領を開いて、上限額と補助率の記載を確認する。そのうえで、自社の投資額のうちどこまでが対象経費になるかを積み上げる。順番としてはこれしかありません。
金額が空欄なぶん、読み込みの順番が大事なんですね。
あともうひとつ、この事業は「間接補助事業者」という言葉が出てきます。経済産業省が執行団体を公募しているページにも同じ表現があるので、補助金の流れが何段階あるのかも要領で確認しておくと安心です。
直接もらうのか、間に団体が入るのか。そこも要確認ですね。
概要に「コミットメントの確認」「モニタリング」とありました。これ何ですか?
事業の実施にあたっては、GX推進戦略に書かれた「国による投資促進策の基本原則」や、分野別投資戦略の「投資促進策の執行原則」等に基づいて、間接補助事業者の採択時のコミットメントの確認と、事業実施期間中におけるモニタリングを行うとされています。
採択されたら終わりではなくて、その後も見られるんですね。
そこは意識しておいたほうがいいです。しかも事務局と経済産業省の担当部署が協議のうえ、適時適切に実施する、という書き方になっています。提出物の質がそのまま評価につながる場面がある、と。
そういうことか。申請書は「通すための書類」で終わらないんですね。
ここまでの基本情報を、一度表で見せてもらえますか。
どうぞ。数字が入っていない欄は、そのまま「公募要領で要確認」としています。
| 項目 | 内容 |
| 制度名 | 【事前着手】令和8年度排出削減が困難な産業におけるエネルギー・製造プロセス転換支援事業(二次公募) |
| 実施機関・事業名 | 令和8年度排出削減が困難な産業におけるエネルギー・製造プロセス転換支援事業(所管:経済産業省 GXグループ GX投資促進課) |
| 補助上限額 | 記載なし(公募要領で要確認) |
| 補助率 | 記載なし(公募要領で要確認) |
| 募集期間 | 令和8年10月22日(木)~令和8年11月27日(金)正午まで(事前着手届出も同じ期間) |
| 対象地域 | 全国 |
| 対象業種 | 製造業(従業員数の制約なし) |
| 利用目的 | 新たな事業を行いたい |
| 申請方法 | Jグランツによる電子申請(GビズIDプライムの取得が必要) |
| 代理申請 | 当サイトの代理申請は不可 |
| 公式URL |
https://www.jgrants-portal.go.jp/subsidy/a0WfQ000003myubUAA |
表にすると、空欄の場所がはっきりしますね。逆に怖いくらい明確です。
そうなんです。空欄を曖昧にしないのが、正確な記事の作り方だと思っています。では次、経費の線引きに進みます。
経費の話を具体的に。何が対象で、何が対象外ですか。
大原則は、補助対象経費は原則交付決定後に発注・契約等を行ったものに限られる、です。ここに事前着手の特例が乗るかどうか、という構造になります。
2パターンあります。事前着手が受理された場合は、受理通知に書かれた日より前の発注・購入・契約等が対象外。受理されなかった場合は、交付決定日より前にやった発注・購入・契約等が対象外です。
受理されたかどうかで、線が引かれる位置が変わるんですね。
そう。だから「届出を出したから大丈夫」ではなくて、「受理されて、通知に書かれた日を確認してから動く」。この順番を守れるかどうかで結果が分かれます。
え、そこまで厳密なんですね。稟議の日付まで見られそうです。
もう一点。受理通知を受け取っても、補助金のルールに従った発注等の手続きが行われていない場合は補助対象経費になりません。詳しくは別紙「補助金ルールの基礎説明について」を確認すること、と書かれています。
受理=経費が認められた、ではないと。二段構えの審査みたいですね。
まさに二段構えです。見積を何社から取るのか、発注の記録をどう残すのか。そういう基礎の部分が別紙にまとまっているので、届出の前に一度読んでおくべきです。
たしかに。ここを飛ばすと、後から「なんで落ちたの」になりそう。
設備費とか外注費とか、費目の線引きは分かるんですか。
費目ごとの細かい対象・対象外は、この記事で断定できる情報がありません。審査内容や対象経費の詳細、その他の重要な遵守事項は、別途公開されている公募要領PDFを必ず確認してください、と明記されています。
そこは公募要領に任せるとして。何を優先して読めばいいですか。
対象経費の一覧と、対象外のただし書き。この2つを先に拾うと、社内の投資計画とのズレが早く見つかります。
事前着手のメリットと注意点- 受理された日以降なら、交付決定前でも発注・契約が補助対象になり得る
- 緊急性・必要性が認められれば、事業開始の遅れを防げる
- 受理後は事務局から結果が速やかに通知される
×デメリット
- 届出や受理は採択・交付決定を約束しない
- 受理されなかった場合は交付決定日より前の発注等が対象外
- 受理通知に書かれた日より前の内示・発注・契約・支出は対象外
- 受付期間を過ぎた届出は一切受け付けられない
実際の手続きを教えてください。何から始めればいいですか。
まずGビズIDプライムの取得、次に公募要領と別紙の確認、そしてJグランツの事前着手届出画面からの入力です。ここまでの流れを図にしました。
事前着手届出から交付決定までの流れ- 1
GビズIDプライムを取得
Jグランツの利用に必要。取得方法はJグランツ・GビズIDの案内で確認
- 2
公募要領と別紙を確認
対象経費・要件・補助金ルールの基礎説明を読む
- 3
Jグランツで事前着手届出
令和8年10月22日から11月27日正午までに届出画面で直接入力
- 4
事務局が緊急性・必要性を判断
受理した場合は結果を速やかに通知
- 5
受理通知の日付を確認
事前着手開始日として認める日より前に発注しない
- 6
採択通知書の受領
審査の結果、採択が決定されると発出
- 7
交付申請書の提出と審査
交付規程に基づき提出し、事務局が厳正に審査
- 8
補助金交付決定通知書の受領
正式に事業の実施が認められる
令和8年10月22日(木)から令和8年11月27日(金)正午までです。しかも期間中にJグランツで届出を実施・完了してください、とあります。
1か月ちょっとですね。締切が正午というのも見落としそう。
正午です。しかも受付期間以降の届出は一切受け付けない、と明記されています。余裕をもって、期間の前半に出すのが安全ですね。
申請はJグランツを利用した電子申請で、利用にはGビズIDプライムの取得が必要です。準備は早めに、というのが正直なところですね。
そこはこの記事で断定できる情報がありません。取得方法や必要なものはJグランツ、GビズIDの案内で確認してください。ただ、締切が正午で期間外の届出は受け付けないルールなので、ID準備で詰まらないように先に動くのが賢明です。
書類はどこにありますか。あと、代理申請はできますか。
jGrantsのページに申請様式「hta2026_2_2_shinsei_yoshiki.zip」が用意されています。そして「当サイトの代理申請 不可」となっているので、届出画面の入力は自社で行う前提で考えてください。
では、誰が入力するかを社内で決めておく必要がありますね。
そうですね。様式のどの書類を誰が用意するかも先に分担しておくと、締切前がぐっと楽になります。
なるほど、段取り勝負。ここは人手の話でもあるんですね。
令和8年10月22日(木)に受付が始まり、11月27日(金)正午で締切。そのあとは事務局の判断と通知、採択通知、交付申請、交付決定という順番です。時間軸を図にしました。
令和8年度 二次公募のスケジュール令和8年10月22日(木)
受付開始
事前着手届出と応募の受付がスタート
令和8年11月27日(金)正午
締切(必着)
期間以降の届出は一切受け付けられない
締切後
事務局の判断・通知
緊急性・必要性が認められれば受理し、結果を速やかに通知
審査後
採択通知書
採択が決定すると発出
採択後
交付申請書の提出
交付規程に基づき提出し、事務局が厳正に審査
審査後
補助金交付決定通知書
正式に事業の実施が認められる
11月27日は正午で終わり、と。ここは何度でも言っておきたいですね。
笑。ほんとに。正午は午前の終わりですから、当日の午後に駆け込むことはできません。システムの入力が終わっていないと意味がないので、前日までに完了させる計画にしてください。
え、そこまで厳密なんですね。念のため、もう一度書いておきます。
令和8年11月27日(金)正午、必着。期間以降の届出は一切受け付けない。ここは覚えて帰ってください。
通知に書かれた事前着手開始日として認める日を確認してからです。その日以降の日が起点になります。通知の発行日そのものではなく、通知に書かれた日付を見てください。
日付を確認してから動く。当たり前に見えて大事ですね。
そして忘れてはいけないのが、受理されても採択されなければ交付は受けられない、という点です。事前着手はスタートを早める制度で、採択を保証する制度ではありません。
そういうことか。順番を間違えなければ強い味方、間違えると痛い目、ですね。
通るためのポイントを教えてください。何を見られるんでしょう。
事前着手の届出で見られるのは、ひとことで言えば「交付決定前に着手する緊急性と必要性」。ここが伝わらないと受理されません。
この記事で断定はできませんが、少なくとも「なぜ交付決定を待てないのか」が読み手に伝わる必要があります。設備の納期や工事の段取り、止められない操業の都合など、自社の事実を具体的に書くしかありません。
そうです。そして忘れがちなのが、発注先への内示も発注行為とみなされる点。緊急性を説明するあまり先に口約束をしてしまうと、元も子もありません。
3つあります。期間外の届出、受理前の内示・発注、ルールに沿わない発注手続きです。どれも「知らなかった」では済みません。
そうなんです。だからこそ、届出の前に購買・経理・現場を集めて、いつ何をするかを一行ずつ決めておく。これが一番効きます。
たしかに、そこで一回そろえるだけで事故が減りそうです。
この制度の押さえどころ交付決定前の着手を特例で認める
緊急性・必要性が認められ受理されると、通知に書かれた日以降の発注等が補助対象になり得る
製造プロセス転換と燃料転換の2本立て
鉄鋼・化学・紙パルプ・セメント等の設備投資等を支援
申請はJグランツで電子申請
GビズIDプライムの取得が必要で、当サイトの代理申請は不可
採択時のコミットメント確認とモニタリング
GX推進戦略・分野別投資戦略の原則に基づき適時適切に実施
採択後に発注すれば問題ないのか、窓口はどこか。この2つは必ず聞かれるので、先に答えておきますね。
原則は交付決定後に発注・契約等を行ったものが対象です。ですから、急がないならその順番が一番安全。事前着手は、待てない事情があるときの特例だと考えるといいですね。
そう考えていいと思います。ただし、内示も発注行為とみなされるので、営業の会話も含めて社内で共有してください。
事務局サイトは
https://hta2026.jp です。jGrantsのページには、申請にあたってのお問い合わせはこちらで受け付けていて、受付時間は平日と書かれています。くわえて経済産業省の事業ページには、GXグループ GX投資促進課、電話03-3501-1511(内線3367)が掲載されています。
平日の窓口、しかも締切が正午。質問は早めに出すべきですね。
そうですね。公募要領を読んで分からない点は、ためずに聞く。これが結果的に一番早いです。