室谷さん、今日は「育業」って言葉が入ったすごく長い名前の補助金ですよね。まず何なのか教えてください!
室谷: 正式には「令和8年度介護・障害福祉サービス等事業所における育業・介護休業等両立支援事業費補助金」です。東京都が実施している制度で、介護や障害福祉の事業所で働く職員が休業を取るときに、その人の業務を代替する体制を整えた事業者に補助を出します。
佐藤: 事業所がもらえるお金なんですね。
室谷: そうです。しかもこれ、国の両立支援等助成金に東京都が上乗せする形なんです。国から受け取ったうえに、都からも補助が出る。二段重ねです。
佐藤: えっ、上乗せって聞くだけでテンション上がります!
具体的には何をしてくれるんですか?
室谷: 介護・障害福祉サービス等事業所に勤務する職員が、介護休業、育児休業、介護短時間勤務、育児短時間勤務を取得する場合に、その職員の業務を代替する体制の整備を行った事業者に対して、都が予算の範囲内で補助を行う、というのが概要です。
佐藤: 休みを取る本人じゃなくて、事業所側に来るお金なんですね。
室谷: そこがポイントです。人が抜けても現場が回るように体制を組んだ分を支える。だから「休みたい人がいるけど現場が心配」という事業所に向いた制度なんです。
法律の裏付けもあるんですか?
室谷: 根拠法令は、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律、通称の育児・介護休業法です。対象は東京都内の介護事業所と障害福祉サービス等事業所ですね。
佐藤: 都内限定ですか。
室谷: 基本は都内ですが、障害福祉サービスにおける都外独占施設、都外協定施設等、いわゆる都外施設も含むとされています。自分の事業所が当てはまるかは、この後の基本情報と公募要領で確認しておきましょう。
ここが一番気になるところです。いくらもらえるんですか?
室谷: 正直にお伝えします。jGrantsで公開されている情報では、補助上限額は「—」、補助率も記載なしになっています。
佐藤: えっ、空欄なんですか!
室谷: そうなんです。だから「いくら」と断言できません。金額は別添の交付要綱や公募要領で要確認です。ここは想像で埋めてはいけない部分です。
佐藤: なるほど、まず要綱を開くのが出発点ですね。
予算の範囲内、というのはどういう意味ですか?
室谷: 制度の目的・概要に「都が予算の範囲内で補助を行う」と明記されています。つまり枠には限りがあって、要件を満たしていても必ずもらえるとは限らない、という性質があります。
佐藤: まさに早い者勝ちになり得るわけですね!
室谷: だからこそ、締切ぎりぎりではなく早めに動くのが安全です。まずは交付要綱を開いて、自分の事業所のケースでいくらになるかを確かめる。順番としてはここからです。
この制度の特徴をまとめて教えてください!
室谷: 1つ目は、東京都が国の両立支援等助成金に上乗せして補助するということ。2つ目は、対象が介護事業所と障害福祉サービス等事業所に絞られていること。3つ目は、予算の範囲内での補助だということです。
佐藤: 地域も業種も絞られているんですね。
室谷: 絞られているぶん、対象の事業所にとっては狙い目です。下の図解も見ながら整理してみてください。
この制度の3つの特徴国の助成金に上乗せ
国の両立支援等助成金に東京都が上乗せして補助する
対象は介護と障害福祉の事業所
東京都内の介護事業所、障害福祉サービス等事業所(都外施設を含む)
予算の範囲内で補助
要件を満たしても必ず出るとは限らない
誰でも申請できるんですか?
室谷: まず大前提として、実施要綱の別表に定める事業所を運営する者であること。つまり東京都内の介護事業所や障害福祉サービス等事業所を運営する事業者ですね。
佐藤: 個人事業主でもいけますか?
室谷: 条件が「資本金の額若しくは出資の総額が5千万円以下」という金額の書き方になっているので、法人か個人かを分けているわけではありません。ただ、細かい判定は交付要綱で要確認です。
佐藤: ここは確認必須ですね。
規模の条件もあるんですよね?
室谷: あります。資本金の額または出資の総額が5千万円以下、もしくは常時雇用する労働者の数が100人以下であること。どちらかを満たせばよい書き方です。
佐藤: 100人って、けっこう大きいですね!
室谷: さらに、育児休業と育児短時間勤務については、常時雇用する労働者の数を300人以下としています。ここが2段構えになっているので、読み飛ばすと危ないです。
佐藤: 育児だけ300人。これは覚えます!
その「常時雇用」って、パートさんも入るんですか?
室谷: 定義が書かれています。2か月を超えて使用される者であって、かつ週当たりの所定労働時間が、その事業主に雇用される通常の労働者と概ね同等である者。
佐藤: 2か月超え、かつ週の所定労働時間がほぼ同じ、と。
室谷: この2つを両方満たす人を数える、と理解しておきましょう。どちらか片方だけでは数に入りません。
他に条件はありますか?
室谷: 雇用保険適用事業所の事業主であることです。しかも、支給申請日と支給決定日の時点で雇用保険被保険者が存在する事業所である必要があります。
佐藤: 従業員が今いるかどうかまで見られるんですね!
室谷: そういうことです。申請の時点で被保険者がいない、となると対象から外れてしまいます。時点のズレでつまずかないようにしましょう。
国の助成金の話がまた出てきましたね。
室谷: はい、ここが最大の条件です。両立支援等助成金の「介護離職防止支援コース」の業務代替支援、そして「育休中等業務代替支援コース」の支給決定を受けていること。
佐藤: 先に国に行ってから、都に来るという順番なんですね!
室谷: そのとおりです。加えて、暴力団でないこと、代表者や役員、使用人その他の従業員や構成員に暴力団員に該当する人がいないことも明記されています。
対象になる職員さんはどんな人ですか?
室谷: まず雇用形態です。事業者から直接雇用を受け、その事業所において勤務する職員であること。勤務形態は常勤・非常勤、専従・兼務を問いません。
佐藤: じゃあパートでも兼務でも大丈夫なんですね。
室谷: ただし、派遣職員は対象外です。事業者から直接給与を受けていない職員はダメ、と明記されています。ここは混ざりやすいので注意してください。
職種の指定もあるんですか?
室谷: あります。介護サービスでは、直接支援および相談支援等の業務に従事する者です。たとえば介護職員、訪問介護員、支援員、サービス提供責任者、生活相談員、支援相談員、医師、歯科医師、看護職員、機能訓練指導員、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、放射線技師、栄養士、管理栄養士、薬剤師、歯科衛生士、調理員、福祉用具専門相談員などが挙がっています。
佐藤: 調理員さんまで入るんだ!
室谷: さらに介護支援専門員、計画作成担当者として業務を行う人も入ります。現場を支える職種が細かく書かれているのが特徴です。
障害福祉のほうはどうなっていますか?
室谷: こちらも直接支援および相談支援等の従事者で、訪問介護員、生活支援員、児童指導員、指導員、保育士、世話人、職業指導員、地域移行支援員、就労支援員、訪問支援員、介護職員、相談支援専門員、医師、看護職員、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、機能訓練担当職員、心理担当職員、栄養士、管理栄養士、調理員などです。
佐藤: すごい数ですね……!
室谷: 加えてサービス提供責任者、サービス管理責任者、児童発達支援管理責任者として業務を行う人も対象です。自分の職種名がどこに近いか、照らし合わせてみてください。
で、何に使ったお金が対象になるんですか?
室谷: 制度の軸は、休業等を取得する職員の業務を代替する体制の整備を行った事業者への補助、という点です。ですから対象経費の中心は、その体制整備に関わるものになります。
佐藤: 人を雇うお金とか、シフトを組むお金とかですか?
室谷: そこは交付要綱の別表を見ないと確定できない部分です。ただ、応募資格の書きぶりから読み取れる範囲はあります。次の小見出しで見ていきましょう。
読み取れる範囲って、どこですか?
室谷: 応募資格の4番目に、両立支援等助成金の支給決定を受けていること、ただし別表1の3と4に定める介護短時間勤務および育児短時間勤務の取得に係る代替職員の雇用等に対する経費、9の求人広告費、10の職場環境改善経費を除く、と書かれています。
佐藤: 求人広告費と職場環境改善経費は除く、と。意外です!
室谷: ここは「ただし」が何にかかるのかを含めて誤読しやすい箇所です。必ず交付要綱の別表と突き合わせてください。対象経費の最終判断は公募要領で要確認です。
この制度のメリットと注意点- 国の両立支援等助成金に上乗せして受けられる
- 休業中の業務代替体制づくりを後押ししてくれる
- 対象職種が現場の職種名まで細かく明記されている
×デメリット
- 補助上限額と補助率は公募要領で要確認
- 国の両立支援等助成金の支給決定が前提になる
- 予算の範囲内なので必ずもらえるとは限らない
- 求人広告費や職場環境改善経費は除外の記載がある
実際の申請はどう進めるんですか?
室谷: 電子申請が前提ですから、まずGビズIDの取得が必要です。jGrantsのポータルから電子申請する形になっています。
佐藤: 紙じゃないんですね。
室谷: 電子申請です。GビズIDには種類があるので、申請に使える種類を確認して、余裕を持って発行してもらいましょう。発行には日数がかかることがあります。
国と都、どちらが先ですか?
室谷: 都の応募資格に、国の両立支援等助成金の支給決定を受けていることが入っています。ですから流れは、国の支給決定が先、都の申請が後です。
佐藤: 逆にすると詰むやつだ……!
室谷: そうならないように、国の支給決定通知書などの書類をそろえてから都の申請に進むのが安全です。この順番だけは崩さないでください。
どんな書類を出すんですか?
室谷: 交付申請書類、変更交付申請書類、実績報告書類、仕入控除税額控除、委任状、そして申立書が2種類。参考として国助成相当額計算シートも公開されています。
佐藤: けっこうありますね。
室谷: 申立書は、国制度の申請書類の写しを提出できない場合のものと、環境整備補助申請・職場宣言未宣言の際に提出するものがあります。自分のケースでどれが要るかを先に整理してから動きましょう。
出したら終わりですか?
室谷: いいえ。変更交付申請書類と実績報告書類という様式が用意されていますから、申請して終わりではなく、変更や実績の報告という後工程があります。
佐藤: 採択されたあとの動きも大事なんですね!
室谷: そこを忘れると支給に影響します。締切から逆算して、実績報告まで見据えてスケジュールを引きましょう。
補助金申請の流れ- 1
GビズIDを取得
電子申請に必要。発行に日数がかかるので早めに
- 2
実施要綱・交付要綱・申請の手引きを確認
対象事業所、対象経費、別表をチェック
- 3
国の両立支援等助成金の支給決定を受ける
都の応募資格の前提条件になる
- 4
jGrantsから電子申請
交付申請書類などの必要書類を添付する
- 5
変更交付申請・実績報告
提出したあとにも後工程がある
通るためのコツはありますか?
室谷: 一番のポイントは、国の両立支援等助成金の支給決定を確実に押さえていることです。ここが無いと都の土俵に上がれません。
佐藤: 前提条件ですもんね。
室谷: もう一つは書類の整合です。支給申請日と支給決定日の時点で雇用保険被保険者が存在することも見られますから、時点のズレで不利にならないように準備しましょう。
みんなが転びやすいところはどこですか?
室谷: 従業員数の2段構えです。100人以下と300人以下が混ざっていて、育児関係だけ300人という部分を読み飛ばしてしまう。
佐藤: あー、やりがちです。
室谷: あとは派遣職員を対象に数えてしまったり、介護短時間勤務と育児短時間勤務に係る経費の除外を見落としたり。交付要綱を最初に開くクセをつけてください。
いつからいつまでの募集ですか?
室谷: 募集期間は2026年10月16日から2027年2月15日までです。令和8年度、西暦でいう2026年度の募集になります。
佐藤: 4か月あるなら、けっこう余裕があるんですね!
室谷: ただし国の支給決定が前提ですから、実質的にはもっと前から準備が要ります。国の手続きにどれくらいかかるかを見込んで、動き出しは早めにしたほうが安全です。
基本情報を一度まとめて見たいです!
室谷: では、こちらの表を見てください。募集期間、対象地域、対象業種、公式URLまで一覧にしています。
表にすると一気に見やすくなりますね。
室谷: 特に注目してほしいのは、金額と補助率が空欄だという点と、従業員数の条件が2段構えだという点です。この2つを頭に置いて要綱を読み進めてください。
募集スケジュール2026年10月16日
募集開始
令和8年度の募集がスタートする
2027年2月15日
募集締切
締切までに電子申請を完了させる
2027年2月15日以降
変更交付申請・実績報告
実績報告書類などの様式が用意されている
要件の解釈で迷ったら、どこに聞けばいいですか?
室谷: コールセンターが用意されています。電話番号は0570-200-823、受付は平日の午前9時から午後6時までです。
佐藤: 土日はやってないんですね。
室谷: 土曜日、日曜日、祝日および年末年始は休業日です。メールアドレスも公開されていますから、急ぎでなければメールでも聞けます。
東京都の外にある事業所は、まったく対象外ですか?
室谷: 地理条件には、東京都内の介護事業所、障害福祉サービス等事業所と書かれています。そのうえで、障害福祉サービスにおける都外独占施設、都外協定施設等、いわゆる都外施設を含む、とされています。
佐藤: 都外でも種類によっては入るんですね!
室谷: はい。ただし自分の施設がその区分に当たるかどうかは、公募要領と交付要綱で要確認です。判断に迷ったらコールセンターに聞くのが早いです。
派遣で来ているスタッフは対象になりますか?
室谷: 対象職員の条件に、事業者から直接雇用を受けていることが入っています。事業者から直接給与を受けていない派遣職員は対象外と明記されています。
佐藤: なるほど、そこは線が引かれているんですね。
室谷: 一方で、常勤・非常勤、専従・兼務といった勤務形態は問わないとされています。直接雇用かどうかで判断してください。
最後に、この制度のポイントをまとめてください!
室谷: 東京都が国の両立支援等助成金に上乗せして補助する制度で、対象は都内の介護事業所と障害福祉サービス等事業所です。募集期間は2026年10月16日から2027年2月15日までで、金額や補助率は公募要領で要確認。
佐藤: まず要綱、そして国の支給決定、と。
室谷: その順番を忘れなければ大丈夫です。今日、公式サイトをひとつ開いてみてください。そこから始まります!