室谷さん、今日のテーマは「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」。名前が長すぎて、初見だと何の支援かわからないんですけど…。
室谷: ひとことで言うなら「都内の中小企業が機械設備やソフトウェアを買うときの、背中を押してくれるお金」です。製品やサービスの質を上げて競争力をつけたい、生産能力を広げて生産性を上げたい。そういう設備投資の経費の一部を助成してくれます。
佐藤: なるほど! じゃあ研究開発の話ではないんですね?
室谷: そこが最大のポイントで、この事業は試作・開発ではなく量産フェーズの申請が対象なんです。jGrantsの概要にもはっきりそう書かれています。
佐藤: えっ、開発じゃなくて量産。そこ、見落とす人がいそうですね。
室谷: そう思います。「実験用の装置を買いたい」のか「売るために作るラインを増やしたい」のかで、判断が分かれるところです。
この助成金って、要するに企業を応援するだけの話なんですか?
室谷: いえ、目的が二段構えなんです。まず都内中小企業の中長期的な成長を支えること。そしてもう一つが、東京の産業力の強化と都内経済の持続的発展につなげること。制度の目的にそう明記されています。
佐藤: おー、スケールが大きい! 会社単体の話じゃないんですね。
室谷: だからこそ、申請書には「自社が儲かる」だけでなく「その投資が何を生むのか」を書く必要が出てきます。ここは後半の審査の話にもつながります。
佐藤: なるほど、そこは意識したいですね。
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の特徴量産フェーズの設備投資が対象
試作・開発ではなく、売るための設備投資を支援
機械設備とソフトウェア
設備導入経費の一部を助成する仕組み
助成率は事業区分ごとに4段階
1/2以内から4/5以内のいずれか
助成限度額は最大2億円
申請する事業区分によって決まる
図で見ると、だいぶ輪郭がはっきりしてきました!
室谷: そう言ってもらえると助かります。押さえるべきは、量産フェーズ・機械設備とソフトウェア・助成率は事業区分次第・上限は最大2億円。この4点です。
佐藤: 助成率が4段階ってところが、ちょっと気になりますね。
室谷: そこは次のセクションで、表を使ってていねいに見ていきましょう。
まず金額ですよ。いくらもらえるんですか?
室谷: jGrantsの補助上限額は20,000万円、つまり最大2億円です。これはかなり大型の設備投資を想定した金額ですね。
佐藤: 2億! 設備投資の規模が大きい会社じゃないと、そもそも届かない数字ですよね。
室谷: そうですね。ただ上限はあくまで上限で、実際の助成額は助成対象経費に助成率をかけた金額になります。ですから「上限2億円=もらえる額」ではありません。
佐藤: そこ、誤解する人いそう。ちゃんと書いておきたいですね。
で、助成率が4パターンあるって話。どういうことなんですか?
室谷: 制度の表記はこうです。事業区分に応じて、助成対象経費の1/2、2/3、3/4、4/5以内のいずれか。どの区分に当てはまるかで率が変わる仕組みです。
佐藤: えっ、同じ制度なのに率が違うんですか!
室谷: そうなんです。しかも「以内」なので、その率が上限として働きます。自分の事業がどの区分になるかで、手元に入る額が大きく変わるということです。
佐藤: じゃあ、自分の区分がどれなのかを先に知らないと、計画が立てられないですね。
室谷: その通りです。区分の判定は公募要領で確認する必要があります。ここは勝手に決めつけないほうが安全です。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 助成限度額 | 最大2億円(20,000万円) |
| 助成率 | 事業区分に応じて 1/2以内・2/3以内・3/4以内・4/5以内 のいずれか |
| 助成対象経費 | 機械設備等の導入経費の一部 |
| 助成対象期間 | 令和9年4月1日〜最長令和10年9月30日(最長1年6か月) |
| 基準日 | 令和8年10月1日 |
| 募集期間 | 2026年10月23日〜2026年11月24日 |
数字だけ並べられてもピンとこないので、例で考えていいですか?
室谷: もちろんです。たとえば助成対象経費が1,000万円だったとします。助成率が1/2以内なら500万円、3/4以内なら750万円、4/5以内なら800万円が上限の目安になります。
佐藤: 同じ1,000万円の投資でも、500万と800万じゃ全然違う!
室谷: そうなんですよ。だから「どの事業区分で申請するか」は、金額面でもすごく重要な選択になります。繰り返しになりますが、区分の内容は公募要領で要確認です。
佐藤: わかりました。先に要領を開けと。
従業員が何十人もいる会社でも申請できるんですか?
室谷: jGrantsの項目では従業員数の上限は「制約なし」とされています。とはいえ「中小企業者等」としての要件はありますから、資本金や従業員数の区分は公募要領で確認してください。
佐藤: なるほど、制約なしと書いてあっても油断するなと。
室谷: そういうことです。あとjGrants上は代理申請が可能とされています。申請の代行を頼めるかどうかも、選択肢として頭に置いておくといいですよ。
佐藤: へえ、そこもチェック項目なんですね!
ここからは対象者の話を。まず、東京の会社じゃないとだめなんですか?
室谷: 制度概要には「都内中小企業者」と書かれています。具体的には、基準日(第14回は令和8年10月1日)現在で東京都内に登記簿上の本店または支店があること。そして都内で2年以上事業を継続していることです。
佐藤: 本店じゃなくて支店でもいいんですね。
室谷: そこは助かるところです。加えて、助成対象設備を都外に設置する場合は都内に本店があることという条件も書かれています。設備の置き場所で要件が変わるので注意してください。
佐藤: あっ、これは見落としそう! 工場が県外にある会社とか、まさにここですよね。
個人でやっている人には、ちょっと厳しい感じですか?
室谷: そんなことはないです。個人の場合は、基準日現在で都内に開業届出があることが要件として示されています。
佐藤: よかった。法人みたいな登記がないですもんね。
室谷: ええ。ただ、いずれの場合も都内で2年以上事業を継続しているという継続性の条件は共通して意識したいところです。開業したばかりの人には、残念ながらハードルがあります。
佐藤: 2年というのは、けっこう効いてきますね。
法人と個人事業主、それぞれの申請資格- 基準日現在で都内に登記簿上の本店または支店があること
- 都内で2年以上事業を継続していること
- 設備を都外に置く場合は都内に本店が必要
- 基準日現在で都内に開業届出があること
- 都内で2年以上事業を継続していること
- 設備を都外に置く場合は都内に本店が必要
あれ、さっきから気になっていたんですけど、jGrantsの対象地域欄って東京だけじゃないですよね?
室谷: よく気づきました。jGrantsの対象地域欄には茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・山梨県の8都県が並んでいます。
佐藤: でも制度の説明は「都内中小企業者」って書いてある。これはどっちなんですか?
室谷: そこは私も断言できません。表示上は関東8都県、概要は都内。食い違って見えるので、公募要領で要確認としておくのが正直なところです。
佐藤: なるほど! 曖昧なまま書かないのが大事ですね。問い合わせて確認するのが確実そう。
何に使えるお金なのか、具体的に知りたいです。
室谷: 制度の説明では「機械設備等の導入経費の一部」とされています。都の報道発表では「中小企業における設備(機械設備、ソフトウェア)の導入を支援」という表現も出てきます。
佐藤: ソフトウェアもいけるんですね! 工場だけの話じゃないんだ。
室谷: そうですね。生产管理のシステムや業務の仕組みを買う場合も、検討の視野に入ってくるということです。ただし、対象経費の細かい線引きは公募要領で要確認です。
佐藤: はい、そこは要領を見ます。
さっきの「量産フェーズ」の話、もう一度くわしく聞いていいですか?
室谷: 概要には「本事業は、試作・開発ではなく量産フェーズの申請が対象です」と明記されています。ここは申請の入り口で切られる可能性がある線だと思ってください。
佐藤: つまり、まだ売り物になっていない段階の設備はダメ、と。
室谷: そう受け取るのが自然です。逆に言えば、すでに売る体制に入っていて「もっと作れるようにしたい」「質を上げたい」という会社には向いている制度です。
佐藤: なるほど! じゃあ自社がどっちの段階か、まずそこを確認ですね。
対象になり得るもの・注意したいこと- 機械設備の導入経費
- ソフトウェアの導入経費
- 量産フェーズの設備投資
- 製品・サービスの質的向上につながる投資
- 生産能力の拡大や生産性向上につながる投資
×デメリット
- 試作・開発段階の取り組みは対象外
- 対象経費の細目は公募要領で要確認
- 事業区分ごとの助成率の確認が必要
左側が当てはまれば、チャンスありってことですね。
室谷: そう見てもらえれば。右側に書いた3つは、申請前に必ずつぶしておきたい確認事項です。
佐藤: よし、ここは要領と説明会で埋める感じですね。
で、実際どう動けばいいんですか? 流れを知りたいです。
室谷: jGrantsでの電子申請が前提になるので、まずGビズIDの準備が起点になります。取得には時間がかかることがあるので、募集開始を待たずに動くのがおすすめです。
佐藤: 締切が2026年11月24日ですから、ギリギリだと危ない!
室谷: まさにそこです。募集期間は2026年10月23日から11月24日。1か月ちょっとしかありませんから、IDの準備と書類づくりは並行して進めるのが現実的です。
佐藤: なるほど、段取りが命ですね。
申請から助成までの流れ- 1
GビズIDを用意
jGrantsでの電子申請に必要。早めの取得が安全
- 2
公募要領で要件と対象経費を確認
事業区分ごとの助成率と対象経費の細目をチェック
- 3
説明会・個別相談会に参加
令和8年度から助成事業説明会に加えて個別相談会も実施
- 4
- 5
募集期間内に電子申請
2026年10月23日から11月24日まで
- 6
審査を経て交付決定
その後、助成対象期間に設備を導入
6ステップか。意外と多い!
室谷: そうなんですよ。特に2番目の「要領で確認」を飛ばして書類を作り始めると、あとで全部やり直しになりかねません。
佐藤: あるあるですね…。まず読む、ですね。
室谷: はい。そして3番目の説明会と個別相談会。ここは令和8年度から強化されている部分なので、使わない手はないです。
申請書類って、具体的に何がいるんですか?
室谷: 詳細は公募要領と申請様式で確認する必要があります。jGrantsのページにも公募要領・交付要綱・申請様式の枠が用意されていますから、そこから落とすのが確実です。
佐藤: なるほど! まずページを開いて、ファイルを全部ダウンロードすると。
室谷: そうですね。そのうえで、設備の見積もりと事業計画をセットで練る。ここは時間がいちばんかかる部分です。
佐藤: 見積もりは設備屋さんに頼むとして、事業計画は自分で書くんですね…。
審査って、何を見られるんでしょう?
室谷: 制度の性格から言えるのは、まず量産フェーズの投資かどうか。ここがぶれると、そもそも土俵に乗りません。
佐藤: 試作の話を混ぜると危ない、と。
室谷: そうです。そして製品・サービスの質的向上による競争力強化なのか、生産能力の拡大による生産性向上なのか。どちらの筋の投資なのかを、はっきりさせる必要があります。
佐藤: なるほど! 何のための設備か、一言で言えるようにしておく感じですね。
さっき出てきた個別相談会、そんなに大事ですか?
室谷: 都の報道発表によると、令和8年度から助成事業説明会に加えて個別相談会を実施しているんです。応募を検討している人は活用してください、と書かれています。
佐藤: じゃあ、自分の計画を見てもらえる場があるんですね!
室谷: そう受け取れます。書類を書き上げてから出すのではなく、途中で一度見てもらう。これだけで仕上がりが変わりますよ。
佐藤: なるほど、独りよがりを防げるわけですね。
なるほど! この3点は、申請前チェックリストにしたいですね。
室谷: ぜひ。特に「どの事業区分か」は金額に直結しますから、最初に確認してください。
佐藤: わかりました。順番は要領から、ですね。
スケジュールを整理したいんですけど、まず基準日って何ですか?
室谷: その日時点で要件を満たしているかを見る日です。第14回の基準日は令和8年10月1日。ここで都内に本店または支店があるか、都内で2年以上事業を継続しているかが判定されます。
佐藤: 募集開始より前が基準日なんですね。
室谷: そうなんです。だから「申し込む直前に法人を作った」では間に合わない。基準日を軸に逆算してください。
佐藤: なるほど! 逆算、大事ですね。
で、通ったあとはどうなるんですか?
室谷: 助成対象期間は令和9年4月1日から最長令和10年9月30日まで、最長で1年6か月です。この期間に設備を導入することになります。
佐藤: 1年半あれば、けっこう大きい設備も入れられますね。
室谷: そうですね。ただし期間が決まっている以上、発注や据え付けのスケジュールを最初から描いておく必要があります。
佐藤: 交付決定が出てから動くのでは遅い、と。
第14回のスケジュール令和8年10月1日
基準日
都内に本店または支店があり、2年以上事業を継続しているかを判定
2026年10月23日
募集開始
jGrantsでの電子申請の受付開始
2026年11月24日
募集締切
期間内に申請を完了させる
令和9年4月1日
助成対象期間の開始
ここから設備導入期間がスタート
令和10年9月30日
助成対象期間の終了
最長1年6か月
図にすると流れが一気に見えますね!
室谷: 基準日・募集期間・助成対象期間の3つを押さえれば、あとは動くだけです。
佐藤: よし、手帳に書き込みます。
同じ設備で、ほかの助成金と一緒にもらうことはできますか?
室谷: 併給のルールは、残念ながらこの情報だけでは判断できません。公募要領で要確認です。
佐藤: ですよね。ここは推測で書かないほうがいい。
室谷: そうしてください。二重取りにならないかは、申請前に必ず確認したい項目です。
佐藤: はい、要領チェックリストの先頭に置きます。
工場が東京の外にある場合は、もう無理なんですか?
室谷: そこは道が用意されていて、助成対象設備を都外に設置する場合は、都内に本店があることという条件が示されています。
佐藤: 支店じゃなくて本店。ここは厳密なんですね。
室谷: ええ。本店が都内にあるかどうかで判断されるので、登記を確認しておいてください。
佐藤: なるほど! 登記簿、取っておきます。
じゃあ最後に、どんな会社が狙い目なのか整理してもらえますか?
室谷: ひと言でいえば、すでに量産フェーズに入っていて、設備を増やしたい会社です。製品やサービスの質を上げたい、生産能力を広げたい。そんな投資が対象になります。
佐藤: 逆に、これから試作を始める段階だと、場違いになりかねない、と。
室谷: そうですね。そこは最初に確認してほしいポイントです。あとは基準日までに都内で2年以上事業を継続していることが前提になります。
佐藤: なるほど! そこが入り口なんですね。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 制度名 | 第14回(令和8年度第3回)躍進的な事業推進のための設備投資支援事業 |
| 実施機関 | 躍進的な事業推進のための設備投資支援事業(問い合わせは東京都中小企業振興公社 設備支援課) |
| 助成限度額 | 最大2億円(20,000万円) |
| 助成率 | 事業区分に応じて 1/2以内・2/3以内・3/4以内・4/5以内 のいずれか |
| 募集期間 | 2026年10月23日〜2026年11月24日 |
| 基準日 | 令和8年10月1日 |
| 助成対象期間 | 令和9年4月1日〜最長令和10年9月30日(最長1年6か月) |
| 対象地域 | 茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・山梨県(ただし制度概要は都内中小企業者が対象。公募要領で要確認) |
| 対象業種 | 全業種(漁業、建設業、製造業、情報通信業、卸売業、小売業、宿泊業、飲食サービス業、医療、福祉など) |
| 公式URL | https://www.jgrants-portal.go.jp/subsidy/a0WfQ000003rLvpUAE |
こうして表にすると、持ち物リストみたいで助かります!
室谷: そう言ってもらえるとうれしいです。募集期間が1か月ちょっとしかないので、今日から動いても遅いくらいですよ。
佐藤: 確かに(笑)。まず要領を開くところから始めます!