水力発電の事業性評価に必要な調査及び設計等を行う事業(令和5年度 新規事業 1次締切分)
基本情報
この補助金のまとめ
この補助金の特徴
事業着手前の「調査・設計」段階を支援
水力発電所の建設には多額の初期投資が必要ですが、その前段階である事業性評価の調査・設計にも相当の費用がかかります。本事業は、流量調査、地質調査、測量、概略設計、詳細設計など、事業の実現可能性を判断するための費用を補助することで、水力発電への参入障壁を引き下げます。調査の結果、事業性がないと判断された場合でも補助金の返還は不要です。
民間と自治体で異なる補助率体系
民間事業者等は補助率2分の1(上限2,000万円)ですが、地方公共団体が行う公募事業は定額(10/10)補助と、自治体の取組をより手厚く支援する設計になっています。地方自治体が地域の水力資源を活かした脱炭素施策を推進する際の初期費用負担をゼロにする制度設計は、地域主導の再エネ開発を加速させます。
幅広い出力規模に対応(20kW〜30,000kW)
対象となる発電出力は20kW以上30,000kW以下と幅広く、小水力発電から中規模水力発電まで幅広くカバーしています。農業用水路を活用した数十kW級の小水力から、河川本流を利用した数千kW級の中規模水力まで、地域の水力資源に応じた多様な開発を支援します。
作業道整備費の別途補助
水力発電の調査は山間部や渓谷部で行われることが多く、調査現場へのアクセス確保が大きな課題です。本事業では作業道の整備費用も別途補助対象としており、調査に必要なインフラ整備も含めた包括的な支援を受けられます。
ポイント
対象者・申請資格
民間事業者等の要件
- 水力発電事業を計画する法人・個人事業主
- 水力発電に関する調査・設計を行う能力を有すること
- 新設またはリプレイス(既設更新)の水力発電所を計画していること
- 対象出力: 20kW以上30,000kW以下
地方公共団体の要件
- 都道府県、市区町村、一部事務組合等
- 地域の水力資源を活用した発電事業を検討していること
- 公募事業として実施すること
対象となる発電所の要件
- 新設の水力発電所(未着工のもの)
- リプレイス(既設発電所の更新・増強)
- 出力20kW以上30,000kW以下であること
- 河川法等の関係法令に基づく手続きが可能であること
対象外
- 出力20kW未満または30,000kW超の発電所
- 既に建設工事に着手している発電所
- 他の国庫補助を受けている同一の調査・設計
ポイント
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申請ガイド
ステップ1:候補地点の予備調査
水力発電の候補地点について、既存の水文データ(国土交通省の流量データ等)や地形図をもとに、発電ポテンシャルを概算します。この予備的な検討で有望と判断された地点について、本補助金を活用した本格的な事業性評価に進みます。
ステップ2:事業計画書の作成
調査・設計の対象地点、調査内容(流量調査、地質調査、測量等)、スケジュール、経費見積もりを記載した事業計画書を作成します。想定される発電出力や売電収入の概算も示してください。
ステップ3:公募期間中の申請書提出
1次締切の公募期間内に、所定の様式で申請書類を提出します。事業計画書、経費見積書、法人の基本情報、過去の実績等を揃えます。地方公共団体の場合は議会承認や庁内決裁の手続きも考慮したスケジュール管理が必要です。
ステップ4:交付決定後の調査・設計実施
交付決定を受けた後、計画に基づき流量調査・地質調査・測量・設計等を実施します。流量調査は最低1年間の実測データが望ましく、調査期間の設定に注意が必要です。
ステップ5:成果報告書の提出
調査・設計の成果をまとめた報告書を提出します。事業性評価の結果、収支計画、今後の事業化スケジュール(事業性が確認された場合)を記載します。
ポイント
審査と成功のコツ
水力資源の有望性を客観データで提示
地域との合意形成の進捗
FIT/FIP認定を見据えた計画
環境配慮と法令遵守の体制
ポイント
対象経費
対象となる経費
流量調査費(3件)
- 河川流量の実測調査費
- 水位計・流速計の設置費
- データ解析費
地質調査費(3件)
- ボーリング調査費
- 地質分析・試験費
- 地盤安定性評価費
測量費(3件)
- 地形測量費
- 路線測量費
- 水路測量費
設計費(3件)
- 概略設計費
- 詳細設計費
- 水車・発電機の仕様検討費
環境調査費(3件)
- 河川生態系調査費
- 環境影響予備調査費
- 景観シミュレーション費
系統連系調査費(2件)
- 電力系統への接続可能性調査費
- 送電線ルート調査費
作業道整備費(2件)
- 調査現場へのアクセス道路の整備費
- 仮設道路の設置費
対象外の経費
対象外の経費一覧(7件)
- 水力発電所の建設工事費
- 水車・発電機等の機器購入費
- 用地取得費・土地賃借料
- 申請者の人件費・一般管理費
- 交付決定前に着手した調査・設計の費用
- 他の国庫補助金と重複する経費
- 事業性評価と直接関連のない経費
よくある質問
Q調査の結果、事業性がないと判断された場合も補助金は返還不要ですか?
はい、調査・設計の結果として事業性がないと判断された場合でも、適正に調査が実施されていれば補助金の返還は求められません。本事業はあくまで「事業性評価」のための調査・設計を支援するものであり、事業化を義務付けるものではありません。むしろ、事業性がない地点での無理な開発を防ぐことも本事業の目的の一つです。ただし、調査が計画通りに実施されず中途で放棄された場合は、補助金の返還が求められる可能性があります。
Q民間事業者と地方公共団体で補助率が違うのはなぜですか?
地方公共団体が行う公募事業は定額(10/10)補助とされており、自治体の負担がゼロとなります。これは、地方自治体による地域の水力資源を活用した脱炭素施策を国が全面的に後押しする政策意図によるものです。自治体は利益を目的としない公共主体であり、調査結果を地域の再エネ計画に広く活用できる公益性が高いことから、手厚い支援が設定されています。民間事業者等は2分の1補助(上限2,000万円)です。
Q出力20kW未満のマイクロ水力発電は対象外ですか?
はい、本事業の対象は出力20kW以上30,000kW以下の水力発電所です。20kW未満のマイクロ水力発電については、環境省の「地域脱炭素移行・再エネ推進交付金」や自治体独自の再エネ導入支援制度を検討してください。マイクロ水力は建設費も比較的小さいため、事業性評価のための大規模な調査が不要な場合も多く、設備導入に対する補助制度の方が適している場合があります。
Q流量調査は最低どのくらいの期間が必要ですか?
正確な事業性評価のためには、少なくとも1年間の通年実測データが望ましいとされています。河川の流量は季節変動が大きく、梅雨期・台風期の増水や冬期の渇水期を含む年間データがなければ、年間発電量の信頼性の高い推計ができません。ただし、近隣の水文観測所のデータとの相関分析により、実測期間を短縮できる場合もあります。申請前に補助事業の期間と流量調査の必要期間の整合性を確認してください。
Q作業道整備費の補助はどのような場合に利用できますか?
水力発電の調査対象地点が山間部や渓谷部にあり、既存の道路からのアクセスが困難な場合に、調査機材の搬入や調査員の移動に必要な作業道(仮設道路を含む)の整備費用が別途補助されます。ボーリング調査機器の搬入、測量機器の設置、流量観測地点へのアクセスなど、調査の実施に不可欠なインフラ整備が対象です。恒久的な道路の新設ではなく、調査に必要な最小限の作業道整備が原則です。
QFIT認定を既に取得している地点でも申請できますか?
FIT認定の取得状況と本事業の申請は直接的には矛盾しませんが、FIT認定には発電設備の仕様が確定していることが前提であり、本事業で行う調査・設計はFIT認定の前段階として位置づけられます。既にFIT認定を取得している場合は、調査・設計が完了しているケースが多いため、対象となる調査・設計の範囲が限定される可能性があります。リプレイスの場合は、既設のFIT認定とは別に新たな認定を取得する必要があるため、その前段階の調査・設計として申請できる場合があります。
Q他の補助金・助成金と併用できますか?
本事業は水力発電の「調査・設計段階」を支援するものであるため、調査の結果事業性が確認された場合の建設段階では別の補助制度を活用できます。環境省の「地域脱炭素推進交付金」は脱炭素先行地域に選定された自治体が再エネ設備を導入する際の交付金で、水力発電の建設費も対象となる場合があります。農林水産省の「農山漁村再生可能エネルギー導入事業」は農業用水路等を活用した小水力発電の導入を支援しており、本事業の調査対象が農業用水路を活用した水力発電であれば建設段階での併用が検討できます。また、FIT/FIP制度による売電収入は補助金ではありませんが、事業の収益基盤として重要です。本事業で事業性評価を行い、FIT認定を取得した上で建設資金を金融機関からプロジェクトファイナンスで調達するという組み合わせが、水力発電開発の典型的なスキームです。地方自治体が主体の場合は、過疎地域対策事業債や辺地対策事業債などの起債制度との組み合わせも有効です。
詳細説明
水力発電の事業性評価支援事業の概要
本事業は、新設またはリプレイス(既設更新)を計画する水力発電所の事業性評価に必要な調査・設計費用を支援する補助制度です。出力20kW以上30,000kW以下の水力発電所が対象で、再生可能エネルギーの導入拡大を目的としています。
水力発電開発における調査・設計の重要性
水力発電は再生可能エネルギーの中でも設備稼働率が高く、一度建設すれば50年以上の長期にわたって安定した発電が可能です。しかし、建設費が高額であるため、事前の事業性評価が極めて重要です。
- 流量調査:年間を通じた河川流量を実測し、発電可能量を正確に把握する
- 地質調査:取水堰や発電所建屋の基礎地盤の安定性を確認する
- 測量:取水口から発電所までの水路ルートを決定する
- 設計:水車の型式選定、水路・管路の口径、発電所のレイアウトを設計する
補助率と補助上限額
本事業の補助率は申請主体によって異なります。民間事業者等は補助率2分の1(上限2,000万円)、地方公共団体が行う公募事業は定額(10/10)補助で自治体の負担はゼロです。さらに、調査現場へのアクセスに必要な作業道の整備費も別途補助の対象となります。
対象となる水力発電の類型
本事業では以下の水力発電の類型が対象となります。
- 流込み式:河川から取水し、水路で導水して発電する方式。ダムを必要としないため環境負荷が比較的小さい
- ダム式・ダム水路式:既設ダムの放流水を利用する発電。ダムの維持管理との相乗効果がある
- 農業用水路利用:既存の農業用水路の落差を利用した小水力発電。水路の維持管理費の財源にもなる
- 上水道・下水道利用:水道施設の余剰圧力や処理水の落差を利用した発電
リプレイス(既設更新)の意義
日本の水力発電所の多くは高度経済成長期に建設され、老朽化が進んでいます。リプレイスにより最新の水車・発電機に更新することで、同じ水量からより多くの電力を発電できるようになります。既に水利権を取得している地点でのリプレイスは、新規開発に比べて許認可のハードルが低く、事業化までの期間も短い傾向があります。
令和5年度1次締切分の留意点
本公募は令和5年度の1次締切分として実施されました。予算の執行状況によっては2次締切や翌年度の公募が行われる場合がありますので、資源エネルギー庁の公募情報を定期的に確認してください。調査・設計には時間を要するため、早期の申請準備が重要です。
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